AVぷーさんの公開オナニー





普通にすればいいだろと、喉まで出かかった言葉は結局、音にはならず消えてしまった。
そもそもがギルベルトは、イヴァンのセクハラに反抗する気が一切ない。雇用主という立場も、恋人?愛人?という立場から考えても、出来るはずがなかった。性行為に関しては一枚も二枚も上手のイヴァンに、何か言ったところで言い包められるだけだろう。それにギルベルトは心底嫌なわけではない。寧ろ多少過度なスキンシップくらいならば、内心喜んで受け入れてしまう。 その多少が、どの程度まで多少の範囲に入ってしまうのか。それは常々、ギルベルトの疑問ではあったけれど。
一度トーリスに聞いたときは、穏やかな彼らしからぬ素っ頓狂な声で、はあぁ?!!と言われたので、多分世間一般の多少とは違うのだろう。
けれどギルベルトから言わせれば、中腰になったイヴァンの太股に足をかけ大きく開いている現状は多少だし、自身が全裸でイヴァンがきっちりとスーツを着ている事実も多少になってしまう。
勿論ギルベルトにだって羞恥心はあるし、実際その恰好は恥ずかしい事を認識しているけれど。とても柔らかいラグが肌に直接触れる現状を、好んでいるわけではないけれど。
仕方ない、イヴァンがすっと目を細め、見惚れるような熱い視線を送ってくれるから。
「ギル君とても綺麗だよ、それに可愛い」
大きな手が頬に触れ、やわやわと撫でてくれるから。ギルベルトに見惚れるイヴァンに見惚れる。頭がほわんとなって、なんだかそれだけで気持ちがよくて、自身が恥ずかしい恰好をしている事になど気が回らなくなって。多少日中だろうが、多少オナニーを促されようが、多少ガン見されようが、ギルベルトにとってそれは多少の事。
ん、ん、んっ
口を閉じ、少しだけ鼻にかかる息を吐きながら、両手で一生懸命ペニスを扱く。そうするとイヴァンが嬉しそうに笑って、時たま腰を擦り付けてくる。それだけで胸がドクドクと鳴り、体が勝手に震えた。
準備の一切されていないアナルに。それでも、普段から使われて普通よりも多少柔らかいアナルに。スーツ越し、イヴァンの少しだけ形を変えたペニスが擦り付けられる。腰を擦り付けられるたび、ふっくらとした熱がアナルに触れる。はぁと吐いた息は、だから熱い。オナニーをしているからではない、イヴァンがギルベルトの痴態を見て興奮している、それを感じたからだ。
「ギル君、気持ちいい?」
問いにこくこくと頷くと、イヴァンが慈しむような笑みを見せた。そしてまた、こりこりと腰が擦り付けられた。優しい顔で、はしたない場所にはしたない物を擦りつけるイヴァンに、ギルベルトはありえないほど興奮している。
ぁ、ん、ん、ぁっ
段々と鼻にかかる息が、喘ぎまで乗せ始める。手はずっとペニスを扱き続けているというのに、どちらのようがより気持ちいいかと言われれば、比べる必要などない。
「ねえ、どうするのが気持ちいいの?」
比べられるものでもない。
「ぁ…ッイヴァン、みてる」
素直に告げると、イヴァンが少しだけきょとんとした顔。けれどすぐに気付いたのだろう、オナニーを促されてからずっと、ギルベルトは手元ではなく、イヴァンの顔を見続けていたことに。
ふふと空気が揺れた。イヴァンはまだ笑っている、笑っているけれど。先ほどのような慈しむようなそれとは、少しだけ違う。セックスの最中ではなくて、事後にじゃれあっている時のような。まだ性の雰囲気を色濃く残すときの笑みに、それは似ていて。それだけでびゅくりと飛んだ先走りを、太い指がギルベルトの臍辺りに擦り付けて。
「可愛い子」
少し掠れた、小さな小さな声で呟かれたものだから。ひくりと喉が鳴った、自然顎を引いて上目遣いで、媚びるように。見上げたギルベルトに、少しだけ腰が引かれた。少しだけ前かがみになったイヴァンの唇が気になって仕方がない。
くれるだろうか、くれるだろうか?
「ひぅッ!!」
そればかり気にしてしまったから悪かったのだろう。…いや、結局は同じ結果になっていたかもしれない。
少しだけ引いた腰が、とんと。本当にとんと当るくらい、やんわり突き上げられた。突き上げるような動きをした。スーツ越し、擬似的な突き上げに。それだけでギルベルトは耐えられなかった。
「…出ちゃったね」
ぁ、ぁ、ぁ…
痺れるような快楽に、腰が自然に浮く。最後はちゃんと扱いていたかも怪しい、ペニスに手を添えていただけかもしれない。何故なら扱いていないのに、イヴァンが震える太股を優しく撫でただけ、最後とばかりぴゅうと飛んだ精子は完全に撫でられた太股が原因。少しだけ熱を帯びた青紫も。
イヴァンにみられるだけで過度なスキンシップなのだから、ギルベルトはもう本当に、全てが多少。何をされたって多少。
「洗っておいでよ、全部」
全部、に。少しだけ篭った熱と、優しく頬を撫でる手付きのギャップにくらくらする。
全部、全部
「ん」
素直に頷いたギルベルトは、だから執務室での行為など多少の事。トーリスが不穏な空気を察知し書類片手にため息をついているだろう扉の向こうも、多少の事だった。







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