廊下に響くのは、翠の足音一つ。 彼女はどこへ行くともなく、校舎の中を彷徨うに歩いている。 今日は翠のこの学校最後の日、卒業式。 式はずいぶん前に終わり、もう学校内には卒業生どころか在校生の姿も見えない。 教室、音楽室、理科室・・・。 彼女はそんな場所を巡りつつ、自分が過ごしてきた思い出を確かめる。 やがて、翠は手洗い場にさしかかった。 壁に据え付けられた大きな鏡に進学する学校の制服を着た彼女自身の姿が映る。 すこし変わった形の襟のセーラー服。 薄いピンク色のそれは、地元の公立のブレザー姿ばかりの卒業生の群れの中で一際目立っていた。 その光景を思い出すと、自分の胸のなかで、吹き溜まる靄のようなものが一層濃くなる。 (いや、私、一人でなんてやっていけない!) 翠は逃げるようにその場を駆け出す。 4月から仲間たちとは別れ、ひとり、県外の私立の女子校へ進学する彼女。 内気な彼女にとって、誰も知る人の無い場所へ進む不安が黒い靄をとなって心を覆っていた。 気付くと、翠はある場所に立っていた。 そこは、屋上への階段を昇りきった踊り場のように少し広くなった部分。 ほとんど用具倉庫のようなその場所は、滅多に人も寄りつかないため、緑たちの絶好な溜まり場になっていた。 彼女は、自分の指定席であった山積みの体育マットの上に座り、あたりをぼんやりと眺める。 昼休みは、よくここに集まって他愛のない話をしていた。 (ほんと・・・) 「ほんと、よくここに集まっていたよね。」 翠の心の中の言葉が聴きなれた声で耳に飛び込んでくる。 「あ、茜ちゃん!?」 その声の主、彼女の幼なじみの茜が片手を軽く上げながら、階段をゆっくりと昇ってきた。 「茜ちゃん・・・、どうしてここに?」 「翠の家に行ったら、まだ帰っていないって聞いて、もしかしたらここかなって思ったから。」 茜はそう言いつつ、翠の隣りに腰掛けた。 「それにしても、どうかしたの? もう卒業式が終わってずいぶん経ってるのに・・・。」 彼女は、心配げに翠の顔を覗き込む。 「ううん、何でもない。なんか、いざ卒業するとなると何でも懐かしくなっちゃって。」 翠はなにも無いように装う。 自分が私立に合格した時に一番喜んでくれたのは、誰でもない大の親友の彼女。 そんな彼女に心配をかける訳にはいかない 「そうなんだ・・・。」 茜は、少しいぶかしむ様に親友を眺めていたが、ふと周りに視線を向けた。 「それにしても、昼休みになるといつもここで喋っていたよね。」 「うん、よくもあんなに話すネタがあったよね。」 二人ともなぜかクスクスと笑い出してしまう。 「たしかに」 「幼稚園のころからずっと一緒だったけど、とうとう離ればなれになっちゃうね。」 ひとしきり、思い出話をしていた茜がふと呟いた。 翠は自分の心を見透かされたような気になり、思わず茜ちゃんの顔を見た。 彼女は天井を見上げて何かを思い出すようにしている。 「そんなこと無いよ。家だって近いんだし、いつだって会えるじゃない。」 強い口調で否定する翠。茜はそんな彼女にちょっと驚いたように幼馴染を見やった。 「そうだね。」 微笑みながら言う彼女の様子に、翠は自分の心の靄の濃さが増すように思えた。 「そうだよ。」 不安を打ち消すように翠は言う。しかし、茜は黙ってまた天井を見上げた。 「実はね、翠の家に行ったのは、渡したいものがあったからなんだ。」 何分経っただろうか、唐突に茜は言った。 「渡したもの?」 彼女はその翠の問いに答えようとせず、顔を翠に寄せた。 「翠・・・、目を閉じて・・・。」 呟くように言う茜。 どこか普段と様子の違う親友に少し緊張しつつも、翠は言われたとおりに目を瞑る。 「これでいい?」 「うん。」 と、一言だけ茜は答えたものの、すぐに何かしようとする気配を翠は感じなかった。 翠は何か不安になり、少し目を開いてしまおうかと思ったその時、 彼女の唇に柔らかくて暖かいものが軽く押し付けられる。 驚いて目を見開くと、すぐ前には目を閉じた幼馴染の顔があった。 「やっ!」 反射的に茜の肩を突き飛ばすと、翠は顔を背けてしまう。 茜は翠の行動に呆然とした表情していたが、それは少し寂しそうな微笑へと変わってゆく。 「ごめんね。」 予想もしないその言葉に翠は、何と答えたらよいのか分からず、顔を背けたまま黙っている。 「あたし、翠とはいつも一緒にいられると思っていた。」 まるで独り言を言うような茜を、翠は思わず見返す。 「実はね、あたし、翠が私立に行くって聞いたとき、すごく寂しかった。」 「えっ?」 初めて聴いた親友の気持ちに驚きを隠せずにいる翠。 (だって、合格した時もあんなに喜んでくれたじゃない!) そんな言葉が口をつきそうになる。 「でも、あんなに翠ががんばっているんだもの。応援しなきゃって思ったの。」 その言葉に、翠は彼女の顔を直視ことができなかった。 苦しんでいたのは自分だけじゃなかった、逆に友達を苦しめてしまった・・・。 「こめんね。茜ちゃん・・・。」 やっと、翠が言えたのはその一言だけ。 「ううん、緑が謝ることじゃないよ。」 やさしく言う茜の言葉が何故か翠の心を締め付ける。 「ただ、逢えなくなる前にわたしの気持ち・・・、『大好き』という気持ちを緑に伝えたかった。」 翠は、何か親友の言うことに違和感を感じてその顔を見た。 ちょっとはにかむ様な表情で茜は見返している。 「それが、緑が持っている『大好き』という気持ちと違うかもしれないけれど・・・。」 「茜ちゃん・・・。」 翠は茜が言いたいことがぼんやりとであった理解できたような気がした。 「普通じゃないのは分かっている。」 茜は立ち上がると、全てを振り払うように自分のスカートをぽんっと一払いした。 「こめん、あたしの自分勝手に巻き込んじゃって。」 彼女は、そう言うと階段のほうに向かって歩き始める。 その少しずつ離れていく彼女の姿に、 翠は自分の心の中の何か大事なものを連れて行かれるような感覚を覚えた。 「分からない!」 思わず翠は叫んでいた。 その声に階段を降りかけた茜が足を止める。 「分からないよ・・・。」 翠は小さく言う。 「わたし、茜ちゃんが持っている『大好き』と 自分の『大好き』が違うのかどうなのかなんて・・・、分かんないよ!」 まるで小さい子がイヤイヤするように首を激しく横に振る彼女。 「翠・・・。」 茜は踵を返し、幼馴染の前で立ちすくむ。 「茜ちゃん・・・、茜ちゃんの『大好き』という気持ち、もっと教えて・・・。」 「えっ。」 茜には翠が何を言ったのか、すぐには理解することができなかった。 「だって、いつも一緒にいたんだよ。そんな違うなんてこと・・・。」 見上げた翠の顔に光る涙のあと、 茜はそれをじっと見つめていたが、心を決めたように言った。 「翠、今から全てを私に預けてくれる?」 「うん・・・。」 翠は泣き笑いの表情を浮かべ、ひとつ頷く。 彼女にはこれから自分の身におきる事が何となく分かっていた。 それでも、親友と共に過ごす時間が少しでもたくさん欲しい。 茜は傍らに座ると、そんな幼馴染みの頬を指でぬぐった。 翠の身体を抱えるように引き寄せると、茜は静かに唇を重ねる。 「んっ。」 彼女の舌が翠の唇をこじ開け、奥へと侵入してゆく。 初めて口で知る他人の舌の感触。その暖かさに胸の鼓動が高まるの翠は感じた。 茜の舌が翠の舌を弄ぶように這ってゆく。翠もぎこちなく舌で茜の舌に触れさせてゆく。 やがて、二人の舌は一つに絡み合った。 「はぁ・・・。」 どちらともなく顔を離す。 その二人の間には透明な細い糸が渡され、やがて消える。 茜の手のひらが翠の背後から伸びて、服の上からそっと発達途中の乳房に添えられた。 「あっ・・・。」 やさしく乳房に加わる力に、翠は不思議なくすぐったさを覚える。 「翠の胸って結構おっきいよね。」 「そ、そうかな・・・?」 と、翠は答えながら、自分の背中に当たるふくらみの大きさを感じてた。 彼女の心臓の鼓動が、茜の手の動きに合わせるように激しさを増しす。 「翠、どお?」 「なんだか・・・、身体が熱くなってきちゃった・・・。」 荒くなってゆく息遣いに言葉をも途切れがちになる。 茜は、そんな彼女の腹を、腰を、尻を片手で撫でてゆく。その手はやがて太ももまで達した。 「そういえば、翠、ストッキング履いてたんだね。」 黒く薄い布の上を茜の手は摩るようにしている。 「うん・・・。今度の学校の決まりだから・・・。」 「そうなんだ。」 彼女はそう言いつつも、擦る手の位置を少しずつづらし、翠のスカートの中へ忍ばせた。 「あんっ、茜ちゃん!?」 突然、突き抜けるような感覚に身体を大きくよじらせる翠。 「わぁ・・・。翠、凄く濡れてる・・・。」 「ぬ・・・、濡れてるって・・・?」 初めて感じた強い刺激に潤んだ瞳が戸惑いの視線を茜に投げかけていた。 彼女は、翠のスカートの中にあった手を翠の目の前に示す。 「やぁ!」 思わず目を背ける翠。 彼女の下半身を撫でた幼馴染のその指は、一目で分かるほど濡れて光っていた。 「わ、わたし・・・、お漏らししちゃったの?」 恥ずかしそうに小声で言う彼女。 「ううん・・・、お漏らしじゃないよ。」 茜は、自分に寄り添うようにしていた翠の身体をそっと離すと、自分のスカートも捲り上げた。 「ほら、あたしだって同じ・・・。」 彼女の真っ白なパンティの股の中央が濡れて少し透けて見えた。 「これはね・・・、翠の身体にあたしの『大好き』という気持ちを伝えられて喜んでいる印なの・・・。」 茜は微笑みながら言う。 「それじゃあ、わたしのは・・・?」 困惑したような表情を浮かべて問う翠の身体を、茜は何も言わずに再び抱き寄せる。 「ああっ!」 茜の手が翠の乳房を揉みしたく。 はじめに感じていたくすぐったが、いつの間にか不思議さを残したまま気持ちよく感じてゆくのに気付く。 「あん・・・。」 妖しい心地よさに身体が反応し、翠は茜の身体に顔を埋めるような姿勢となっていた。 (あ・・・。) いつも触れていた茜の匂いを強く感じたとき、翠の心の靄が薄らいでいくような気がしていた。 茜は翠の乳房を愛しながら、片手をその上半身へと這わす。 「茜ちゃん・・・。」 「んっ?」 唐突に声を掛けられて、茜は行為を止める。 翠は、自分の履いている赤いスカートを捲り上げて下半身をさらけ出した。 ストッキングの股の部分は他と比べて黒さを際立たせ、まるで、彼女の今の気持ちを表しているよう。 「翠?」 当惑した表情の親友と対照的に、彼女はその黒く湿ったストッキングの一部分を見つめて微笑んだ。 「わたし・・・、茜ちゃんの『大好き』と自分の『大好き』が同じものか分かんない・・・。」 「翠・・・。」 茜は寂しそうな表情を浮かべる。やはり、自分の思いは届かなかったのだろう、と・・・。 「でもね・・・。」 微笑んだまま、翠は茜のほうへ視線を向けた。 「でも、茜ちゃんにこうしてもらうと・・・、なんだか・・・、安心できるの。」 「えっ?」 茜は一瞬、何を言われたのか理解できず、翠の顔をぼうっと見返していた。 「だから、最後まで・・・、あかねちゃんの『大好き』っていう気持ちを教えて。」 何も言わず、茜は翠をぎゅっと抱きしめた。 その一瞬、彼女の顔に泣いているような微笑んでいるような表情を翠は見たような気がした。 「茜ちゃん・・・。」 翠は力を抜いて、茜に寄りかかった。 翠の身体がそっと体操マットの上に仰向けで横たえられた。 「翠のオッパイ、かわいい。」 翠の上着はブラと共に胸の上まで捲り上げられ、小ぶりの乳房があらわとなっている。 初めて知った悦楽に先を尖らせた乳首を舌でつつくように弄ぶ茜。 「はぁあ・・・。」 手の甲を口に当て喘ぎを懸命に押し殺そうとする翠。 茜の舌は、胸の丘を下りへそのあたりを巡る。 「んんっ。」 茜は上へと戻り、反対側の乳房に達する。 (もっと欲しい・・・。) ぼんやりと翠は思う。 (何もかもを包み消してくれる、この快い感覚が・・・。) 茜の顔が翠の耳元に近づいて、温かな感触が耳朶を刺激する。 「きもち・・・いいよぉ・・・。」 思わず翠の口からこぼれるその上ずった声に、茜は小さく笑った。 「そう、それじゃあ、もっとよくしてあげるね。」 と、彼女は言うと翠の視界から消える。 ずっ、という布が擦れるような音と共に、翠のの下半身をまだ冷たい風が撫でる。 それは、その部分がひどく熱くなっていることを、翠に思い知らしめた。 「わぁ・・・、やっぱり、すごく濡れてる。」 「茜ちゃん・・・、恥ずかしいから、そんなこと言わないで。」 パンティとストッキングは片足から完全に脱がされ、もう片足の太ももの半ばでぶら下がる。 親友とは言え、他人に何も身に着けていない下半身をじっくり見られていることに、 急に恥じらいを覚えた翠は目をぎゅっと閉じて身を硬くする。 「あひぃ!」 誰もまだ直に触れたことの無い、翠の大事な場所を温かなモノが滑るよう軽く撫でる。 その途端、今までと比べられないほどの刺激が彼女の身体を突き上げる。 「あ、茜ちゃ・・・ん・・・。そんなところ、舐めちゃ・・やぁ・・・。」 彼女は、ぺちゃっとひと舐めして苦しげに呟く幼馴染の顔を見やった。 「でもね・・・、ここにわたしの気持ちを知ってもらいたいの。だから、ね・・。」 そう言うと、茜はまた翠の下半身に顔を埋める。 「あ、ああん・・・。」 茜の舌が割れ目を丁寧になぞるのを翠は感じていた。 「んっ、あぅ・・・。」 その舌の動きが、翠の身体中で膨らんで広がる淫らな高揚感をさらに呼び起こしていく。 突然、翠を包んでいた激しく熱い衝動が途絶える。 「茜ちゃん・・・?」 急に冷めてゆく快感にひどく物足りなさを覚え、自分の身体を起こした。 「茜ちゃん、そこは・・!?」 見ると、茜は翠のラビアから滴り落ちる液体をある所に塗りつけている。 ムズムズするような感触を翠は覚える。 溢れるほどに塗られた液体がすこし内部へと流れ込んでゆく。 「翠・・・。」 翠と茜の視線が合う。 微笑む彼女の表情が、翠にはどこかいつもと違って見えたような気がする。 「感じてね。あたしの想い・・・。」 ズブッ。翠はその音を身体の中から聞いたような気がした。 「ぎっ・・・。」 突如として押し広げられた後ろの小さな蕾。 その衝撃に言葉にならない声を上げて、彼女の身体が反り返る。 「茜ちゃん・・・! お尻・・・お尻なんてっ!」 茜の指の侵入を拒むかのように翠の門肉がぎゅっと絞まるが、既にその指は腸の内側を愛撫を始めていた。 「あぐっ!」 茜の指が腸のなかでステップを踏むたび、お腹に広がる異物感。 しかし、翠とってその感触は不快などころか、知ったばかり興奮を増幅させるものだった。 茜は親友のアナルを可愛がりつつ、まだストッキングで包まれた翠の太ももに顔を近づける。 温かく湿った茜の舌が這うのを布越し感じるたび、翠は身悶えた。 「あっ、あっ・・・!」 喘ぎ声のもれる翠の唇の端から、唾液が透明な筋を作って滴り落ちる。 彼女は、もう自分の中なら湧き出る淫らな衝撃以外、何も感じていなかった。 「翠・・・。」 ほとんど抵抗の意思を失ったとはいえ、初めての行為に壊れそうな翠のアヌス。 開花することを覚えたばかりな親友の菊の蕾の中を指でやさしく刺激しつつ、 茜はラビアへと顔を近づけると、流れ落ちる愛液を口で受け止め、確かめるように舌の上で転がす。 「これ、すごい・・・、『あの方』が言ったとおり・・・。」 思わず漏れた幼馴染の小さな呟きも、翠の甘い嬌声にかき消される。 「気持ちよさそうね?」 今度は翠に聞かせるよう言った茜。 でも、今の翠には頷くしか答えることしかできない。 「じゃあ、もっと気持ちよくなってね・・・。」 「うぐっ!」 茜の舌が翠のラビアの端に納まっていた小さな突起を舌で刺激する。 「あっ、ああ・・・。」 翠の身体の外と内、同時に与えられる猥らな衝動。 それが彼女の身体の中で熱く膨張していく。 (な、何・・・?) 初めて迎えるアクメに戸惑う翠の様子を敏感に感じ取る茜。 「イキそうなのね?」 (・・・イクって何!?) 嬉しそうな声で言った茜の言葉の意味を問おうとしたが、 翠の身体がその暇を与えてはくれなかった。 「え? あ、やあぁ・・・!」 まるで真っ白な世界へ突き飛ばされるような感覚にとわれる翠。 彼女のアヌスに突き挿ささる茜の指を再びぎゅっと締め付けた。 「あっ・・・。」 気が付くと翠の目の前には、天井と茜の顔があった。 「翠、大丈夫?」 「うん・・・。」 翠は茜のひざの上からゆっくりと頭を起こした。 ふと、彼女が自分の身体を見回すときれいに身づくろいがしてある。 それは、まるでここでの出来事が夢のように思えるほどだった。 しかし、お尻に感じる違和感が自分が受けた行為の証明している。 「翠・・・、ごめんね。あたし・・・。」 翠はその言葉を唇で封じ、ぎゅっと茜の身体を抱きしめた。 「ありがとう、茜ちゃん。」 「えっ?」 「きっと・・・、翠の『大好き』も茜ちゃんの『大好き』と同じだと思うよ。」 「翠・・・。」 「だって、そうでなきゃ・・・、茜ちゃんの『大好き』を最後まで受け入れられなかった思う・・・。」 翠は身体から離れる。 「でね・・・。今度は、茜ちゃんにわたしの『大好き』を伝えさせて・・・。」 まだ恥ずかしさが残るのか、翠は俯いて上目遣いで茜の方を見る。 「今からでもいいの?」 と、小さな声で言う茜はあらぬ方向を向いて頬を指で掻いていた。 翠は、小さく「うん」と頷く。 「そうしたら、あたしの家に行こうよ。今日は午後から誰もいないんだ。」 「うん、そうね。」 二人は笑いながら手を取り合って立ち上がると、ゆっくりと階段を降りていった。 ・・・・・・・・・・ 暗い部屋に燈る卓上のライト。 未だに進学先の制服姿を着たままの茜の影が大きく壁に写る。 ベッドを見ると翠との営みでできた皺のついたシーツと脱ぎ捨てられた彼女のパンティ。 「見ていましたよ、茜。」 その女性の声は、何も無いように見える部屋の隅の暗闇から聞こえてくる。 「はい・・・、緋様のおかげです・・・。」 茜は見えない何かにそう答えつつ、首に赤く細いベルトのようなものを巻きつけた。 それを合図にするように、ライトの当たっているはずの茜はすっと闇に覆われる。 「良かったわね・・・。」 数秒して闇が薄らぎ、ライトは人の影を作り出した。 光の輪の中に姿を見せた茜は先ほどの制服姿ではなく、 どこか、冒険小説にでも出てくる異世界のものを思わせるような衣装を身に付けている。 その背後には、どこから現れたのか若い一人の女性が一糸纏わぬ姿で立っていた。 均整の取れた身体と誰もを惹きつける面立ちに、なにか人を超えたを感じずにはいられない。 「緋様・・・。」 見上げるようにして、茜はその女性の名を呼んだ。 「あたし、本当にこれでよかったのでしょうか・・・。」 彼女は翠との行為を思い出し、なんとも言いようのない気持ちになる。 『いい・・・、もっと・・・。』 アナルの内を蠢く指の動きに応える、あのときの翠の甘い声が茜の頭に甦る。 彼女は俯いて自分の肩を抱いた。 あれほど簡単に堕ちると茜自身も思っていなかった。 もとから『素質』があったのかもしれない。 でも、それを醒ましてしまったのは、紛れもなく彼女の行為によって。 幼馴染を変えてしまったとという重い心が自分の肩に爪をくい込ませる。 「茜、そんな事言っては駄目。」 女性は後ろから茜に覆いかぶさるよう身体を密着させた。 「翠は、あなたと一緒にいる事を望んだのだから・・・。」 女性の手が、下半身を包む丈の短い薄いピンクの布の裾から茜の中へと差し込まれる。 「あんっ!」 冷たい何かが股間をひと撫でしただけで、 翠との行為からそれほど経ていない茜の身体は激しく反応する。 「あっ・・・、ああっ!」 彼女のスカートが軽くはためくのに合わせるように、淫らな興奮が茜に沸き起こる。 緋が呼び起こす快感が翠への罪悪感を押し流してゆく。 「だから、あなたはちゃんと彼女を導かなくてはいけない・・・。」 耳元で囁く緋の声に、茜はいつも贖えない感覚を覚える。 「はい・・・。」 と、答える彼女の潤んだ瞳に緋の本当の姿が映っていた。
■CM■ |
---|
楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
|
■CM■ |