作品名 作者名 カップリング
「二人の秘密」 シンジx加藤先生氏 -


 ある日の放課後。
 加藤先生は、ほてった体を持て余し、顔を上気させながらも仕事を続けていた。

 ことの発端は、いつもの小宮山先生の粗忽というか、悪戯だった。
 職員室でコーヒーを淹れた加藤先生、砂糖が見つからず少々探したが、すぐに
ビンに入った白い甘い粉を見つけ、おいしいコーヒーを飲んでいた。
「こんな時季にコーヒーなんて、暑くないですか?」
 坪井先生は加藤先生を気遣うが、加藤先生には余計な心配だった。
「平気よ、私コーヒー好きだから」
 苦味のある液体が、彼女の喉を滑り降りてゆく。

 が、そのわずか五分後。
 加藤先生は妙に体が熱くなってきた。たまらず荒い息をつき、ブラウスの上端を
わずかにはだけて汗をぬぐい、体に起きた異変を訴える。
「……あれ、何か体が火照って……はあ、はあ……」
「ホラ、いわんこっちゃない」
 坪井先生は苦笑いだ。
 そこへ授業から小宮山先生が戻ってきた。机の上に乗っている、さっきの加藤先生が
使った甘い白い粉のビンに目をやる。
「ちょっと誰ー? 私の媚薬、勝手に使ったの」
 加藤先生と坪井先生の声がハモる。
「何〜?!」
 図らずも、媚薬を服用してしまった加藤先生だった。

 貞淑な加藤先生のこと、媚薬などに体が慣れているはずもない。
 盛られた強烈な媚薬の効用に、火照った体を持て余しながら仕事を続けていた。
 隣の小宮山先生、流石に少しは責任を感じるのか、ほかには聞こえないように声を
かける。
(ちょっと、大丈夫?)
(……ええ、ほっといてください)
(良かったら、コレを貸すけど……)
 机の下で取り出して加藤先生に見せるソレは、男根をかたどった女性用の自慰道具、
早い話がバイブレータ。
(……やめてください)



 しばらくは、そうやって机に向かって頑張っていた加藤先生だが、体の芯から全身に
妙な感覚が走り、股間には熱いしたたりをはっきりと感じるに及んで、ついに耐え切れ
なくなった。
(も、もう駄目……どこかに隠れて、鎮めなきゃ……)
 つと席を立つと廊下を足早に歩き、めったに人が来ない資料室に、足音を忍ばせて
そっと入った。ざっと見回すが、この部屋に人が入ることはほとんどないと思って
油断したか、不運にも彼女は、並んだ本棚の奥の一角、入り口からは死角になった
ところに人がいることには気づかなかった。
 鍵を閉めると、もう矢も盾もたまらなくなった。紺色のタイトスカートを脱ぎ捨て、
パンティストッキングを脚から抜き去ると、書庫の中にちょこんと置かれた細い長椅子
に身を横たえた。
「ああ……」
 この熱くほてった体をやっと開放できる。彼女は安堵の息をつき、体を開いていった。





 城島シンジは、小宮山先生に資料室の片づけを頼まれて、資料を整理していた。
 学校の沿革、部活動の記録に、教師の過去の名簿、卒業アルバム。がさがさと
箱ファイルを並べなおし、書物を整理し、本立てに分別して入れる。
「……ふう」
 埃っぽい書庫の中でふと手を休めたその時。戸が開き、誰かが入ってくる音がした。
続いて戸が閉まり、鍵が閉まる音がカチリと響く。
(……小宮山先生かな? なんで鍵なんか……)
 シンジはそっと本棚の影から入口のほうを覗いた。入ってきたのは小宮山先生では
なかった。そこにいたのは、国語を教える美人教師、全男子生徒の憧れ、「清楚」と
いう言葉が似合う人ナンバーワンの、加藤キョウコ先生。
 シンジは声をかけようとしたが、それに続く加藤先生の行動に、目を疑い、たまらず
固まってしまった。

 足早に部屋に入り鍵をかけた彼女は、もどかしげにタイトスカートとパンストを脱ぎ、
続いて長椅子に身を投げ出すと、仰向けになり大きく脚を開いた。両脚が大きく開かれ、
ちょうど股間がシンジのほうを向く。
 本棚の隙間から覗くシンジの眼前に、蠱惑的な眺めが広がった。
 憧れの加藤先生が、上半身の白いブラウスはそのままに、下半身はショーツを残して
すっかりあらわになっていた格好で仰向けになり、脚を開いている。
 むっちりと引き締まった白磁の太腿は大きく左右に割れ、その付け根を覆い隠すのは、
清楚な薄いブルーのショーツ一枚。薄い布地を通して、黒みがかすかに透けて見えて
いる。そのわずか下には、なんとくっきりと濡れてシミが出来ており、淫らな膨らみ
までが布越しにその存在を主張していた。
(ゴクリ……)
 シンジはそこから目を離せない。のどがカラカラになり、何度も生唾を飲み込むが、
渇きはいっこうに収まらない。心臓はバクバクと高鳴っていた。




 体を横たえた加藤先生は、膝から下を細い長椅子の左右に落としてしまうと、そっと
右手を股間に伸ばしていった。
「あ……あん……」
 目を軽く閉じ、右手の指がそっとショーツの上から割れ目をなぞると、半開きの口
から甘い声が漏れた。
 強烈な媚薬の効き目に、既にすっかりシミを作っていたショーツだったが、指の淫靡
な動きに、その布地はさらに濡れそぼり、色を変えた部分の面積が広がっていく。
 湿った布切れはぴたりと媚肉に貼りつき、形を変え始めた花びらまでがくっきりと
布越しにうかがえた。
 右手の指を股間に蠢かせたまま、加藤先生は空いた左手を胸に伸ばし、自分の乳房を
白いブラウス越しにゆっくりと揉みしだく。やがてそれにも飽き足らなくなると、ブラ
ウスの上の二つだけボタンを外し、そっと左手をブラウスの中へ、さらには、やはり
薄いブルーのしゃれたブラジャーの中へと忍び込ませていった。
(あ……私ったら、学校でなんてことを……)
 彼女の内心にはわずかな逡巡もあったが、体は更なる快感を求めており、もう愛撫は
止まらなかった。
「あう……ああっ……んっ……あふっ……」
 甘い吐息を漏らしつつ、自らの手のひらで豊かな乳房を軽く撫で回し、先端に息づく
乳首をそっとねぶる。指先になんとなくどろっとした液体を感じて、それが自分の乳首
から漏れ出した母乳であることに気づき、ようやく立てるようになったばかりの幼い
息子のことを、続いて夫のことを思い出した。
(ああ……ぼうや……あなた……ごめんなさい、でも、もう少し……もう少しなの……)
 彼女は右手をショーツの中に忍び込ませた。軽く花びらをくつろげ、中指を膣の中へ
と侵入させる。同時に人差し指で、クリトリスを軽くつつく。
「あっ……あーっ……」
 次第々々に甘い声が高まっていく。
 彼女は体に流れる快感のままに身をよじった。いったん愛撫を止めると、両手の指を
ショーツの縁にかけ、体を反らせて腰を浮かせると一気に剥きおろした。脚から小さな
布切れを抜き取り、投げ捨てる。
 下半身を覆うものは何もなくなったところで、寝返りしてうつぶせになると、再び
両脚を開き、両膝を長椅子の左右の縁につくと、尻を高く持ち上げた。




 シンジは相変わらず、本棚の向こうで息を殺し、破裂しそうな心臓の鼓動を感じつつ、
加藤先生の自慰から目を離せずにいた。
 女の秘奥を覆う最後の一枚を脱ぎ捨て、体勢を変えた彼女は、いまや一糸まとわぬ
下半身を、豊かな肉付きの尻をシンジに向けて、腰を高く上げて脚を開いている。
 加藤先生はバックから、女体のすべてをシンジの視線に晒していた。その花弁はもう
すっかり開いてピンク色の襞々が覗き、てらてらと濡れて光っていた。
 シンジの股間の肉棒は痛いほどに張り、ズボンの前は見事にまでにテントを形成して
いた。
(ゴクリ……)
 何度目かわからない生唾を飲み込む。

「あっ、あんっ……」
 体勢を変えた加藤先生は、両手を股間の間から女体の芯に到達させると、思う存分に
自らの体に愛撫を加えていった。左手の指で花弁をそっと開き、その中に右手の中指を
ゆっくりと挿入させる。ピンク色の襞々が覗くそこからは、とめどなく愛液が漏れては、
真っ白な太腿を垂れて流れた。いまや、指の動きに応えて、ぴちゃぴちゃと淫靡な音
までもが響いている。

「あああっ……うあっ……はあっ……」
 彼女は愛する夫の肉棒が自分の肉体を貫くさまを、脳裏に思い描いた。同時に、熟れ
た女のワギナに、二本目の指を侵入させていく。残った指でクリトリスの周りをそっと
じらすように愛撫し、それをだんだんと一点に集約させていった。
「あっ、あっ、ああああーっ!」
 美しい女の体が、背筋をぐいとそらして硬直した。薄い色の口紅が塗られた口から、
ひときわ高い声が漏れる。
 絶頂に達した加藤先生は、ビニール製の長椅子の上にぐったりとうつぶせになり、
荒い息をつきつつ、激しい自慰行為の余韻にひたった。

 シンジは既に決心していた。
(あの清楚な加藤先生にも、性欲が押さえ切れないことはあるんだな……俺は……)
 この後、シンジはどうするべきか。
 加藤先生が後始末をして立ち去るまで隠れていれば、エッチな思い出で済む話だ、
そんなことは分かっている。が、目の前で本気のオナニーショーを見せられたシンジは
もう理性など吹き飛んでいた。
 彼は自分の股間のテントを見やると、足音を忍ばせ本棚の陰から出て、そっと加藤
先生に近づいていった。




「はぁ、はぁ……」
 加藤先生はまだ脱力したまま、自慰の余韻に浸っていた。
「……?」
 なんとなく気配を感じ、そちらに上気した顔を向ける。開いた両脚の向こうに、教え
子のひとり、三年生の城島シンジを認め、たまらず悲鳴を上げた。
「……きゃあっ?! じょ、城島君? いつからいたの?」
 あわてて脚を閉じ合わせようとする女の体に、そっとシンジはのしかかった。
 加藤先生が体を起こそうとする寸前、後ろから腰をぐいと押さえ、長椅子の左右に
落ちた女教師の両足を自らの両足でキープする。加藤先生は身動きできなくなった。
「先生がこの部屋に入ってきたときから居ましたよ……先生……俺、俺もう……」
「ちょ、ちょっと城島君……恥ずかしいったら……動けないわ、お願い、離して……」
 自慰行為を教え子の男子生徒に見せてしまったことに気づき、羞恥で真っ赤になり
ながらも、加藤先生は必死で身をもがき、シンジの視線から丸出しの下半身をなんとか
隠そうとしたが、下半身は身動きできない。せめて腕を伸ばし、手でそこを覆ったが、
こんな体勢で、男の腕力に抵抗できるはずもない。あっさりと手の防御は外され、再び
加藤先生は女体の全てをシンジの視線に晒した。
「お願い、離して……!」
 首を必死で回し、シンジの視線が信じられぬほどギラついているのを認めた彼女は
必死になって哀願した。
 まさか……、いやこのままでは、教え子に犯される!
「じょ、城島君! 離して、駄目ぇ!」
「先生……」
 シンジは女教師の大きく割られた両脚の間に体を落ち着け、その股間に改めて目を
やった。加藤先生の熟れた女の体のすべてが、今度は覗き見どころではなく、かぶりつ
きでシンジの眼前に広がっていた。そこは先ほどの激しい行為に、すっかり濡れて恥ず
かしく開き、『犯して……』とシンジの脳内にささやきかけているかのようだった。

「先生……綺麗だ……」
「いやぁ! 見ないで……」
 加藤先生は、ギラギラした若い男の視線に、自分の秘奥を余すところなく晒している
ことをはっきり悟っていた。あまりの羞恥に身を固くするが、覆い隠すすべもない。
「……先生……」
 シンジの指が、そっと加藤先生の体の芯に忍びこんでいった。
 それと感じた加藤先生がたまらず身をよじる。泣き声交じりの哀願と、か弱い抵抗が
シンジの興奮をさらに煽った。
「あああっ! だ、駄目ぇ……お願い、やめて……私には夫と子供が……」
 その言葉に、そこにそっと忍び込み、下の唇をくつろげ、膣の中に探りを入れていた
シンジの指がぴたりと止まった。
(そうだ……加藤先生は人妻なんだ……)
 わずかに挿入された指を熱く締め付けてくる女の体に陶然となりながらも、始めから
分かっていた事実を突きつけられて、シンジは一瞬、逡巡した。
 だが、そうかといって、精力が有り余った男子高校生が、この状況で立ち止まれる
はずもなかった。
 欲望と僅かに残った自制心の狭間でゆれるシンジに、悪魔的な考えが浮かぶ。
(……それなら……)





 シンジは指にたっぷりと愛液を塗りつけると、その指をそっと加藤先生のアヌスに
あてがった。あらぬところに男の指を感じた加藤先生がたまらずピクンと体を震わせる。
「あっ! 城島君、一体何を……あっ、いやっ!」
 シンジは答えず、指先のぬめりを、ひそやかにおちょぼ口を見せている菊座にゆっく
りと塗りつけた。もう一度、てらてらと愛液をたたえて光る割れ目に移動し、指に水分
を補給し、また菊座へ。ゆっくりと小さな口を開くように、再びその周囲に愛液を塗り
こめる。もう一度花弁へ。また菊座へ。
「だ、駄目ぇ! そこは……」
 加藤先生の声は悲鳴に近かった。
「……先生……もしかして、ここは処女……ですか?」
 加藤先生はシンジの言葉に耳まで真っ赤になった。そこは誰にも、夫にも犯された
ことのない、正真正銘の処女地。加藤先生は、更なる羞恥にさいなまれながら、かすか
に頷くと、なおもシンジに哀願する。
「だから、お願い、やめて……」
 シンジはたたみかけた。
「ということは、旦那さんにはその趣味はない、と……」
 シンジの指は加藤先生の菊座をゆっくりと押し広げた。自らの愛液をそこに塗りこめ
られた加藤先生は、あまりの羞恥と体に走る初体験の感覚に耐え切れず、思わず声が
漏れる。
「あーっ……」
「それなら、俺が……」
「だ、駄目ぇ、やめて! お願い、それだけは……」
 シンジはもう止まらなかった。ズボンを脱ぎ、トランクスから引き出すのももどかし
く、天を向いていきり立ったそれを、目の前に思い切り広がった熟れた女の体に突き
立てていった。
「やめて、やめてぇ……あーっ! い、痛いっ!」
 アヌスにゆっくりと、暖かく、奇妙な固さを持ったそれが侵入してくる感覚に、加藤
先生は悲鳴を上げた。
「先生……きつい……」
「駄目、駄目ぇ、抜いてぇ! あああっ……」
 シンジの前進がようやく止まり、とうとう奥まで男の一物を受け入れたと悟った加藤
先生の体から、がくりと力が抜けた。




「先生……素敵だ……」
 シンジは興奮の絶頂にいた。憧れの加藤先生のアナルの処女を俺が奪った! 今まさ
に、あの清楚な先生を欲しいままに犯している! 
 男の肉棒にバックから欲望のままに貫かれながら、加藤先生の体はシンジのそれを
きつく締め付けていた。。
「ひあっ………う、うう……んあーっ……」
 長椅子に顔をうずめ、生まれて初めて後ろの穴に男の肉棒をくわえ込んだ女教師は、
痛みと異様な感覚に歯を食いしばり、嗚咽とも小さな悲鳴ともつかぬ声を上げ続けて
いた。
(あなた……ごめんなさい、私、私……)
 加藤先生の固く閉じられた両目から、涙があふれ、頬を伝って流れた。

 ゆっくりと腰を前後してみるシンジの一物を、加藤先生の肉体が暖かく包み込み、
強烈に締め付けている。シンジの指が加藤先生の見事にくびれたわき腹を回って、
そっと割れ目に忍び込み、クリトリスを探り当てた。
「ひいっ…ああーっ……」
 後ろの穴に感じる異様な感覚と、前の性感帯に加えられる乱暴な刺激。
「くくっ……い、痛い……だめ、だめぇ……やめてぇ……」
 男の侵入が浅くなり深くなり、女がたまらず体に力を入れると、きつい締め付けが
いっそう強烈になり、シンジをあっという間に絶頂にいざなっていった。
「お、おおおうっ……熱い、きつい……俺もう……先生……せんせいっ!」
 爆発寸前に、シンジは思い切って腰を突き出す。シンジの一物がかつてない深さまで
加藤先生の体内に侵入した瞬間、それは断末魔のように蠢動し、先生の体内に、どす
黒い欲望の汁が大量に放出された。
「ああーっ!」
 体内に熱いものが放出されたのを感じ、加藤先生の口からたまらず声が漏れた。
 とうとう体内を穢されたと悟り、脱力した体を長椅子に投げ出したまま、加藤先生は
すすり泣いた。
「う……ぐすっ……ひっく……」
 シンジもまたがくりと体を倒し、うつぶせの加藤先生の上にのしかかる。
 加藤先生のブラウスをつけたままの上半身に腕を回し、後ろからそっと抱きしめて、
激しい行為の余韻に浸った。






「はぁ、はぁ、先生……先生、ごめんなさい……でも、憧れの先生のオナニーを見て
いたら、もう何も考えられなくなって……それに、素敵でした……どうしてこんなと
ころでオナニーを……」
 ちぐはぐに話をするシンジ。涙を流し続けながらも、身をもがいてようやくシンジの
下から抜け出した加藤先生は、嗚咽をもらしながらティッシュで出来る限り自分の体を
ぬぐう。
 シンジはその様子から目を離せなかった。上半身はブラウスのまま、下半身は一糸ま
とわぬ美人教師が、肛門からあとからあとから垂れてくる自分の精液を必死になって
拭き取っている。その眺めに、一時勢いを失っていたシンジの男根が、再び天を向き
はじめた。

 ようやく肛門を拭い終えた加藤先生は、シンジの姿に気づいてはっとした。
 先ほど自分のアヌスからずるりと抜けたばかりのシンジの一物は、もう再び天を向い
て屹立している。
 上を向いているのは勿論、下半身裸の自分と一緒にいるからだ。そして、一物にかす
かにこびりついているのは、シンジの精液だけではない。
 茶色のこれは……。この匂いは……。
「じょ、城島君! それを綺麗に拭いて! 早く!」
 金切り声を上げ、ポケットティッシュをシンジに押し付けると、加藤先生は顔をそむ
けて、慌ててショーツとスカートを身に着けた。続いて、シンジがのろのろと一物を
拭いているのを見ると、目をそむけつつ、わずかに残ったティッシュを手に、自分で
必死になってシンジの男根をぬぐう。
 自分の汚物を男性に見せるなど、加藤先生には耐えられることではなかった。
「う……」
 自分の男根をぬぐう加藤先生の細い指に、シンジの一物はさらに勢いを増すが、ここ
は必死にこらえた。ようやく開放されたところで、凶暴に天を向いた、邪魔なそれを
なんとか収めて、シンジはズボンを穿いた。




 スカートを穿いて、シンジのそれの掃除を終えてやっと泣き止んだ加藤先生だが、
事態を完全に受け入れ、呆然自失から立ち直るにはさらに数分かかった。

 ようやく目の焦点があった加藤先生。シンジを長椅子に座らせると、自分はその前に
立つ。
 パシーン!
 加藤先生は、まずはシンジの頬に平手打ちを一発いれ、続いてシンジの肩に両腕を
置いた。
「……城島君! あなた、女をなんだと思っているの? ひくっ……」
 コトの成り行きを思いだし、再び加藤先生のつぶらな瞳に涙が浮かんだ。
「……その……すみません……」
「あんなところを見せてしまった私も悪いけど……ぐすっ……もう、女の子の意思を
無視してコトを進めちゃ、絶対に駄目よ?」
 瞳に涙を溜めた、美人教師の血を吐くような思いでの説教。シンジには逆らうこと
など出来なかった。
「……はい……」
「……それとこのことは、絶対、絶対に誰にも内緒だからね? もし他言したら、私は
あなたを殺して、私も死ぬからね? 二人だけの、お墓まで持っていく秘密よ、いい?」
 思いつめた表情の加藤先生に、シンジは、改めて自分の行為の罪深さを思い知った。
 女性にとって、レイプという行為がどういう意味をもつことなのか? シンジは、
そのことを全く考えもしなかった自分を恥じた。
「……はい。絶対、誰にも言いません」
「……そしたら、早く家に帰って、シャワーでも浴びなさい……大事なとこ、よく洗う
のよ。……今のあなたに、女の気持ちを分かってといっても無理でしょうけど、せめて、
自分の欲望よりも、女性の幸せを優先できる男性になって……」



 加藤先生はシンジを部屋から追い出すと、再び鍵をかけた。
(どうして、こうなっちゃったのかな……)
 加藤先生は、資料室に一人残り、その清楚な美しい顔に涙の跡をくっきりと残して
座り込んだまま、先ほどまでの出来事を反芻していた。

 手違いで媚薬を服用してしまい、誰もいないと思ったところで体を鎮めようと自慰に
ふけった……。
 しかも、それを夫でも恋人でもない男性に見られ、勢いのままに犯された……。

 独身の頃だったら、自殺さえ考えていたろうが、愛する夫と幼い子を残して自分だけ
が死ぬわけにはいかない。彼女は無益な考えを振り払い、多少とも分析的に事態を見よ
うと努めた。
 彼女が高校教師として赴任してからもう数年になる。男子高校生の性欲がどんなもの
かは知っているつもりだったし、時として教え子が自分をオナペットにしていることも
気づいていた。
(やっぱり、男子高校生のまえで、オナニーなんかしたのが悪いわよね……)
(前の穴は無事で済んだけど……でも、私のお尻の処女……)
 またしても、つぶらな瞳に涙が溜まる。
 そのとき、廊下をこちらへ歩いてくる二つの足音が響き、加藤先生ははっと身を固く
した。

 廊下を歩いてきたのは、一年生の女子生徒、矢野アキと岩瀬ショーコ。二人はぺちゃ
くちゃとおしゃべりをしながら、資料室の前を通り過ぎた。アキはついさっき読んだ
雑誌の記事の話をしている。
「でね、アイデア商品を開発して億万長者になった人の話を読んだのよ。私もなにか、
開発しようかなあ」
「あら、きぐー」
 ショーコはひょいと右手を上げる。
「私もいま、開発中なの。……アナル」
「……またこれ以上開発するのか?」
 呆れた表情で、突っ込むアキ。二人はそのまま歩き去った。

 加藤先生は遠ざかっていく足音に安堵しつつ、盗み聞いてしまった二人の会話の内容
にあきれていた。
(まったく、今の若い人は……お尻の穴くらい、どうでもいいみたいに……
 でも、そうね、これくらいでくよくよしても始まらないし……学校では教師、家庭で
は主婦を勤める、いつもの私に戻らなくちゃ……夫のためにも子供のためにも、城島君
のためにも……なにより、私自身のために……)
 ショーコの変態もたまには役に立つようだ。加藤先生は服装を整え、資料室の空気を
入れ替えると、戸の鍵を開け、顔を洗うため、人影のない廊下を手洗い所へと向かって
歩き出した。




 一方の城島シンジ。しばらく時間をつぶし、加藤先生が資料室から居なくなったこと
を確かめた上で、小宮山先生に資料室の整理が終わったことを告げ、帰ろうとした。
「先生、資料室の整理、終わりました」
「お疲れ様。んもう、さっきは密室に二人きりだったのに、何もしてくれないんだから」
「え?」
「私が部屋を出る前に、すかさず鍵をかけて押し倒してくれても良かったのに」
「え? え?」
「そこで押しが弱いからいまだに童貞なのよ」
「えーーー」
 てな会話で散々からかわれた後、ようやく開放されたシンジ。家路を歩く彼は、まだ
罪の意識にさいなまれながらも、さっき資料室で味わった、加藤先生の熟れた肉体が
ひとりでに脳裏に浮かんでくるのをどうにも抑えられなかった。
 が、そんな中、小宮山先生の最後の言葉が彼には引っかかっていた。

(『そこで押しが弱いからいまだに童貞なのよ』って言われても、もう童貞じゃあ……
いや待てよ……アナルに入れた場合って、童貞喪失になるのか??)
 頭をふりふり、帰っていくシンジであった。

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