作品名 作者名 カップリング
No Title 雷電氏 -

30分くらい歩いただろうか、バスには乗らず歩いて帰る二人





「疲れた〜、あの公園で休まない?」
今岡は公園の芝生を指差す
「…あぁ」
二人は公園に入り整備された芝生に座る
黙っていたカズヤが口を開く
「本気で恋してたんだぜ」
「知ってるよ」
「馬鹿らしいよな、好きになった子は親友に恋してんだぜ」
「そうだね」
今岡は優しくカズヤの言葉に答える
「いつもシンジには何かに負けてるんだよ」
「それはそうだよ」
「…ひどっ!慰めろよ!」
カズヤは笑って今岡に反論する
今岡もやっとの笑顔に顔がほころんだ


「ありがとな」
「んっ?」
礼を言うカズヤに今岡は首を傾げる





カズヤは少し暗くなった空をじっと眺める
その表情は憂いをおび、切なさを醸し出す
「…カズヤ」
「……!!!」
今岡が優しく包み込むように抱きしめる
「泣いてもいいんだよ…」
その優しさが、カズヤの目を熱くする
「くっ!」
膝に置いていた手を今岡の腰にまわし、顔を今岡の肩にのせる
いつもなら殴られるが今日は特別らしい
「なんでシンジなんだよ!」
「…よしよし、我慢しなくていいんだよ」
今岡は聖母のように優しくカズヤの背中をさすった


「……」
「泣き止んだ?甘えん坊さん」
肩にのせている顔に喋りかける





「あぁ、完璧!」
カズヤは目を赤くしながら笑顔で顔をあげる
「じゃ、最後に元気がでるおまじない」
そう言って今岡は顔を近づけそっとキスをする
いやらしさが無く、哀しみを吸い取るような甘いキス
カズヤは溶けそうになるキスに目を閉じ、芝生に今岡と横たわる


唇が愛おしく離れ、静かに時が進む
「カズヤ君、何するのかな?」
芝生に馬乗りみたいな状況で今岡が真っ直ぐカズヤを見つめ聞く
「……」
カズヤは何も言わずまたキスをした


今岡は抵抗もせず目を閉じてカズヤを受けとめる




さっきより長く、そして濃く
今岡の口の中にカズヤの舌が這うように入ってくる
舌と舌が触れ、求めあうようにくっつきあう

そしてカズヤの手が今岡の胸に触れる瞬間だった
今岡は唇を離し言う
「私…失恋の道具じゃないよね?」
「あぁ」
「じゃ私と付き合える?ミホちゃんの事を忘れて」
真剣な表情で問う
「……」
「私、カズヤ案外好きだよ、入学した頃から明るくて、クラスでイジメがあると一人立ち向かって」
「……」
「カズヤの良い所私いっぱい知ってるよ」


「後悔するならやって後悔しろ!そう言ってたね」
「なんでそれを?」
「昔から言ってたじゃん、私カズヤの言うその言葉好きだよ」





「……」
「でも、後悔すると解ってるなら逃げてもいいんじゃない?」
「どういう事だ?」
悪戯っぽく今岡は笑う
「ミホちゃん、諦めきれないでしょ?」
「……」
「今の私は寂しさを紛らす為にいる」
「んな事は!」
「いいの、解ってた」
沈黙が二人を重く包む
「私は乱暴な同級生だもんね」
「今岡…」
「さて、私先に帰るね、バイバイ!」
そう言って走ってカズヤの元から去っていった


四部終了
さて、遊び心で一つ短いのを作ったのでそれも投下させてもらいます
「カウンセラー小宮山」です


「今日のお客様はこの方、若田部アヤナさんね」
「初めまして」





「それで悩みとは?」
「私周囲の人に怖いイメージをもたれてて」
「ふんふん」
「そのイメージを変えたいんです」
「…、なめた事言ってんじゃないわよ雌豚!」
「ヒッ!」
「あんた今ツンデレがブームなのよ!恵まれてるのに文句言ってんじゃないわよ!」
「いや、私が望んだ訳じゃ」
「糞餓鬼!私以外の人に言ったら掘られるわよ!」
「あの〜」
「勉強と料理もできて美人で巨乳でツンデレ、メジャーもびっくりの和製大砲のくせに!最後の松坂世代か!?」


「松坂世代?大砲って?」
「あん!テメーはヒット打てんのか?振ればホームランだろうが!」





「それはどうか…」
「悔しかったらヒット打ってみやがれ!」
「……」
「この打率十割のブンブン丸が!」
「……」
「日本の国宝きどりか?私だって昔は!ヒット量産してたんだよ!」
「……」
「はぁ!はぁ!」
「…あの、小宮山先生のお陰で悩みは解決しました」
「あら、そう?」
「はっ、はい…。では失礼します!」
「走って行っちゃった。悩みが解決して嬉しいのかしら?」
悩める子羊がいなくなるまで小宮山の闘いは続く

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