作品名 作者名 カップリング
「夢のような出来事」 ピンキリ氏 ミホ×シンジ


 窓からは、血のように真っ赤な夕陽が差し込み、化学準備室を染めあげている。
紅一色のその部屋で、一人の少女がぼーっとした表情で床にへたり込んでいた。
「…………」
 彼女の目の前には、目蓋を閉じた少年が、机に突っ伏している。
「ホ、ホントに、寝ちゃってる……」
 少年の腕の横には、ペットボトルが転がっていた。中身は、無い。
「…………」
 少女はパクパクと口を動かした。言葉が上手く出てこない様子だ。
「ど、ど、ど、んぐ」
 ゴクリ、と少女は唾を飲み込んだ。
「どうしよう」

 彼女の名前は叶ミホ。
小笠原高等学校の一年生、16歳。
彼女の前で寝息を立てているのは、城島シンジ。
同じ高校の三年生、彼女の想い人。

 ミホはゆっくりと立ち上がると、震える膝に何とか力を入れて、シンジの横へと歩いていった。
そして、おずおずとその肩に触れると、小さく揺さ振る。
「せ、先輩……?」
「……ムニャ」
 どうやら、完全に夢の中らしい。
もう一度、ミホはさっきより強めに揺さ振ってみた。
が、シンジは指先さえも動かさない。
「ど、ど、ど」
 膝のがくがくが、より大きくなり、ミホはまた床に尻餅をつきそうになった。
「どうしよう」
 ミホの脳裏に、つい一時間程前に、小宮山との間で交わした会話が蘇った。

              ◆                     ◆

「先生……また失敗しました」
「……そう、残念ね」
「何か、どんどん先輩との距離が遠くなっていく気がするんです……」
「確実に遠のい、ふんがくっく、そ、そんなことはないわよ」
「私、もう自信無くしました……」
「あらあら、そんなこと言っちゃだめよ。当たって砕けろの精神は捨てちゃいけないわ」
「……でも、今まで何度砕けたかわかりませぇん……」
「大丈夫よ、中出ししてりゃいつか妊娠するのと同じで、結果が出る日が何時か来るわよ」
「……凄まじく嫌な例えですね」
「あーもー、辛気臭いわねぇ。よし、最終兵器を貸してやろうじゃない!」
「……?」
「これよ!」
「何ですか、この薬は?」
「それはね……耳貸しなさい、ゴニョゴニョ」
「ええー!?す、睡眠薬ー!?」
「しっ、声が大きい!コレ、非合法なヤツで相当強力なんだから」
「……」
「コレを城島君に飲ませて、眠ったところで無理矢理コトを済ませるのよ。既成事実さえ出来上がれば……」
「で、でも、これ、ホントに大丈夫なんですか?命に関わったりは……」
「大丈夫大丈夫、多分」
「多分てなんですか!」
「あら?やめとく?いらない?」
「……」
「どうするの?また、いつもの通り正面から突撃して自爆する?」
「……いります」
「オーケー、はいどうぞ」
「……」
「彼を呼び出すならここを使っていいわよ。私、もう少ししたら会議で出るから」
「……」
「成功を祈ってるわ。じゃ〜ね」

 五時半に化学準備室に来て下さい、と書いた手紙を下駄箱に入れて、
化学準備室の冷房を切って、薬入りの冷たいペットボトルを冷蔵庫にしまって、机の上に
『少し遅れます。冷蔵庫の中にお茶がありますので、飲んでお待ち下さい』とメモを置いて……。
 小宮山が去った後、ミホは無我夢中で行動した。
細かい思考が働かなかった、と言った方が正しいかもしれない。
メモなんぞは、凄まじくアヤしい内容だったが、それ以外思いつかなかった。
「……先輩、来るかな」
 全ての用意が終わると、ミホは隣の薬品保管室に身を隠した。
こっそりと準備室中を窺えるように、ドアをちょっとだけ開けておくのも忘れない。

 果たして、時間かっきりにシンジは準備室にやって来た。
周囲をキョロキョロと見回し、机の上のメモを手に取って、不審そうな顔をした。
「……」
 ミホは気が気でなかった。
シンジは、お茶を本当に飲むだろうか?
その前に、帰ってしまわないだろうか?
 ……それから、シンジがペットボトルを手にとるまでの十数分は、ミホにとって人生で一番緊張した時間となった。
薬の効果は、すぐに現れた。一分もしないうちに、シンジが大きな欠伸を何度も繰り返す。
そして、目じりを何度も擦ると、フラフラと椅子に座り込み、やがて机の上に倒れ―――。

              ◆                     ◆

「……」
 今、ミホの目の前に、シンジがいる。
手を伸ばせば、触れられる範囲内にいる。
「どうしよう……」
 目的が目的であるので、どうしようも何もないところだ。
シンジをひん剥いて裸にし、覆いかぶさってコトを成し遂げればいい。
「うう、ど、どうすればいいの……?」
 悲しいことに、具体的な手段がミホの頭の中に生まれてこない。
「……え、えっと、セックスするためには、男の人が勃起してなきゃならないんだよね」
 ミホは自信のこめかみに拳をぐりぐりと押し付けた。
風俗雑誌、エロビデオ、小宮山のアドバイス、様々な情報が頭を駆け巡る。
「と、とにかく、その、アレを取り出して……」
 ミホはシンジのベルトに手をかけると、それを外した。
ズボンを脱がし、トランクスも下ろす。
「可愛らしいトランクス……じゃなくって、えええ」
 どうやら、脳の回路が一部分焼き切れているらしい。
覚悟しようとしてなかろうと、普段の彼女なら絶対にこんな大胆な行為はしないだろう。

「う、うわぁ……」
 ミホは、それ以外に言葉が出てこなかった。
男性の性器をこんなに間近で見るのは、もちろん初めてのことである。
まだ柔らかく、直立していないそれは、ミホに大きな芋虫を想像させた。
「え、えっと…」
 どうすればそれが固くなるのか、それくらいは知っている。
だが、いざ実践となると、脳がテンパってるとはいえ、さすがに勇気がいる。何しろ、ハジメテなのだから。
「……」
 恐る恐る、ミホはシンジのペニスに手を伸ばした。
「キャッ!?」
 そして、あわてて手を引っ込めた。
「動いた……?」
 実際には動いていない。だが、ミホには、ソレがぶるっと震えたように思えた。
「………んぐ」
 ミホは唾を飲み込むと、目を瞑ったり開いたりしながら、もう一度シンジのモノに近づいた。
竿と、亀頭の部分に指をあて、ゆっくりと上下に、左右に動かす。
「あ、あれ……」
 ミホの心に焦りが生じた。
シンジのそれは、何の反応も見せない。
「ど、どうするんだっけ……」
 竿を持ち上げ、擦りあげてみる。
だが、それでもやはり、固くなっていく様子はない。
「あれ、あれ、あれ……」
 ミホは悲しくなってきた。
自分のやり方が間違っているんだろうか。
自分の知識が間違っているんだろうか。
自分が悪いんだろうか。
自分が……。
「あれ……あ……れ……?」
 ミホの目に、うっすらと涙が滲んできた。

「あ〜、もう見ちゃらんない」
「!?」
 ミホは驚きのあまり、心臓が止まるかと思った。壊れた扇風機のような動きで、首を後ろに向ける。
「せせせせせ、先生、どどどどど、どうして?」
 ミホの背後に突然現れたのは、何と小宮山だった。
「会議が終わったから帰ってきたのよ。当然のことじゃない」
 事も無げに言い放つと、小宮山は白衣を肩からずらし、床に落とした。
「え、ええええ、ええええ?」
 ミホは目を剥いた。小宮山は何をしようというのだろう?
「叶さん、あなた……ハジメテだから仕方が無いかもしれないけど、手コキが下手過ぎよ」
 小宮山は続けて、シャツ、スカートと脱いでいく。

「……」
 ミホは息をのんだ。
目の前に、大人の女性が下着ひとつで立っている。その姿の何と美しいことか。
艶かしく輝く肌、程よい肉付きの胸とお尻、美しいラインを描く腰と首筋……。
おそらく、スタイルを保つために、何らかのトレーニングをしているのだろう。
黒い色のアダルトな下着が、より一層、その麗しさを際立たせている。
「叶さん、こうするのよ」
 小宮山は後ろからミホに覆いかぶさった。
「あ、あああ」
 胸がミホの背中にあたる。セーラー服とブラジャーが間に挟まっているとはいえ、その感触は物凄く柔らかい。
「見てなさい……」
 ミホの目の前で、テクニックの実演が始まった。まるで蛇が絡みつくように、滑らかな手つきでシンジのモノを擦り、撫であげる。
「あ……!」
 シンジのペニスが、どんどんと固くなり、そそり立っていく。ミホの時とは、反応が全く違う。
「ほら、叶さんも同じようにやってみて」
 囁かれるままに、ミホは手を再びモノへと伸ばした。懸命に小宮山の真似をしようとするが、やはり経験の差か、上手くいかない。
「……こうするのよ」
「あ……!」
 小宮山は背後から、ミホの手の甲に、己の掌を添えた。そして、操るように動かしていく。
「あ、あ、ああ……」
 ミホは、シンジのモノが自分の手の中で、固さを増していくのを実感した。
同時に、何とも言えない、喜びに似た感情が内からどんどんと沸きあがってくる。
「あ、わ、私の手で……先輩が……」

 後ろの背中に小宮山、そして前―――掌にシンジ。
二つの肉体に挟まれる形となり、その非現実感にミホは脳みそが一瞬くらりと揺れるのを感じた。
「う、うひゃあぁぁっ!?」
 ミホは声をあげた。
何時の間にか、小宮山の手が自分の胸へと移動していたのだ。
「あ、せ、せんせぇっ!?」
 そして、ぐるぐると円を描くように指先が動き、次第に中央へと近づいていく。
「ふふふ……」
「あ、はぁ、あんっ!」
 小宮山の手が、まるで蜘蛛のようにセーラー服の上を蠢く。
しかし、ミホの心に嫌悪感は無かった。
「くぅ、ん、あああっ……」
 小宮山の繊細で大胆な指づかいが、ミホの体に、脳に、快楽を刻み込んでいく。
「うふふ、叶さんって、敏感なのね……」
「うぁ、あ、ああ、先生ぃ……」
「ほら、手をとめちゃダメよ。城島君が寂しがってるじゃない」
 小宮山は続いて、ミホの服を脱がしにかかった。
セーラー服のジッパーを下ろし、スカーフを取り、
ブラジャーを外し、スカートに手をかけ……。
「ふあ、あぁ、ああ……」
 ミホの唇の端から、つーっと唾液が垂れ落ちた。
「ああ、せ、先生……」
 ミホは肩を震わせた。
小宮山を拒むことが出来ない。逃げることも出来ない。
マリアの開発の成果といえるだろう。
望むと望まないとに関わらず、その体は同性を受け入れるようになっていたのだ。

 ストン、とスカートが床に落ちた。
ついに、ミホが身につけているのはショーツ一枚のみとなった。
「くは、くはぁ」
 無論、服を脱がす最中も、小宮山は愛撫の手を止めない。
片方で脱がし、片方で愛しむ。性の伝道師小宮山の真骨頂だ。
「ほぉら、さっきから手がお留守になってるじゃない?そんなんじゃ城島君に嫌われるわよ?」
 ミホは慌てて、ペニスを握る手に力を込めた。
「うふふ……」
 小宮山はミホに背後から圧し掛かると、両手をその胸にまわした。
そして、思い切り乳首を引っ張りあげた。
「くああああああ!」
「可愛らしい声ね……。何だか、マリア先生の気持ちがちょっとわかる気がするわ」
「くひぃ……」
「痛かった?ゴメンなさいね」
 今度は一転して、クリームを塗るように、人差し指と中指で優しくさする。
「……ッ!」
 ヒリヒリとした疼きの後に、ビリビリとした痺れ。
どちらも、快楽となって、ミホの体の芯を直撃する。
「そろそろ、いいかしら?」
「……え?」
「叶さんのココ、もう凄いことになってるじゃない」
「あ、そ、それは……」
 愛する人のモノを手に収め、体中を愛撫され、何時の間にかミホはショーツをべっとりと濡らしていた。
うっすらと、陰毛が透き通って見える程に。

「さて、最後の仕上げにいくかな」
 小宮山はミホの右横に移り、肩を並べた。
「叶さん、見ておきなさい」
 そう言うと、体を前に伸ばし、大きく口を開けて舌を突き出した。
「はぬ……れろ……」
 ぺちょぺちょといやらしい音をたてて、シンジの亀頭を舐め回す。
続いて、そのモノ自体を頬張り、吸い上げていく。
隙間から漏れた唾液がつーっと竿を伝わり、ミホの手に届き、こぼれる。
「す、すごい……」
 何という淫靡な、いや、淫美な光景だろう。
ミホは瞬きをするのも忘れて、じっと見入った。
「ん……んんっ」
「!せ、先輩?」
 シンジの口から、呻き声が漏れた。
目が覚めたのか、とミホが驚いて視線をそちらにをやるが、目蓋は閉じられたままだ。
「もふ……はぷ、ふふ、彼、とってもいい夢を見てるみたいね」
 小宮山は顔を上げた。
シンジのそれは、唾液にまみれ、妖しく光りながら固くそそり立っている。
怒張、という表現がまさにぴったりだ。
「さて……」
 小宮山は唐突に、ミホの股間をまさぐった。
「き、きゃあ!ああ、あっ!あはっ!」
 びくんびくんと、ミホは仰け反った。
「うーん♪どちらも完璧」
 その濡れ具合を確認すると、小宮山はミホの頬っぺたにキスをして、
ぐしょぐしょになったショーツを緩やかに引っ張り下ろした。
ミホの太股から爪先にかけて、いやらしい液体が筋を書く。
「はぁ、はぁ……か、完璧って……?」
 ミホは床にへたり込みそうになるのを、辛うじて堪えた。
「決まってるじゃない。あなたの処女喪失の準備が整ったってこと」

「え?」
「え?じゃないでしょ。既成事実を作り上るんだから」
「え、い、いや、その」
 ここに来て、ミホは躊躇した。
シンジの意思を無視して、薬を使ったことに対する後ろめたさもあるが、
何より、未知の体験への恐怖が大きかった。
「わ、私、そ、その……」
「何よ、これだけやって、まだ踏ん切りがつかないワケ?」
 小宮山は溜め息をついた。
爆弾で言えば、あと数ミリで爆発するところまで来ているのに、何をこの娘は足踏みをしているのだろう。
「仕方がないわね……ふむッ」
「ムム!?む……ッ」
 小宮山はミホを抱き締めると、強引に唇を押し付けた。
歯を割り開き、舌を刺し込み、口の中を蹂躙する。
「ぐ……ッ……ッ」
 ミホは魂が絞り取られていくような錯覚に陥った。
いや、それは錯覚ではない。
小宮山が自分の唇を吸う度に、腕に、脚に、腰に、力が入らなくなっていく。
痺れが、体中に広がっていく。
「……む、ひゅぅ……」
 ついに、ミホは立っていられなくなった。
「おっと」
 がくっ、と崩れ落ちそうになったミホを、小宮山は受け止めた。
「……ホント、感度の良いコね」

 小宮山は、よいしょ、とオバサン臭い台詞とともに、ぐったりとなったミホを抱えた。
いかにも軽々、といった風なのは、ミホの体が軽いのか、小宮山が力強いのか。
「うりゃ……っと」
 ミホを一度椅子に座らせると、次に後ろから両脇に腕を差し入れ、持ち上げた。
そのまま、シンジの体の上へと持っていき、シンジのモノとミホのアソコが重なるように、位置を調整していく。
「あ、ふぁ……」
 ミホの瞳には、まだモヤがかかっている。
「ふふ……イクわよ、叶さん」
 小宮山は腕の力を、徐々に抜いていく。
「ふぁぁ!」
 ビク、とミホの体が跳ね上がった。
秘所に、シンジの先っぽがあたったのだ。
「せ、せんせぇ……せん、ぱぃい……」
「叶さん、覚悟はいい?」
「あぅ、ううう」
 小宮山は微笑むと、ミホの右耳をペロリと舐めた。
「うひゃうぅぅ……」
「最初は少し痛いかもしれないけど……我慢するのよ?」
「あひゃ、ま、まってくらさい……ま、まだ……」
 戸惑いの言葉を聞き流し、小宮山はミホの体を下ろした。
「あ、ぎゃ、ああ、あああ!」
 体内に侵入してくる異物、それを感じ、ミホは悲鳴をあげた。
シンジのモノが、ゆっくり、ゆっくりとミホの中に埋まっていく。
「ぐひぃっ!」
 ジンジンとした痛みが、下半身に走る。
赤い液体が、ミホの股の下、シンジの陰毛に絡みつく。
「あ、ああ、あああ、ああああ……」
「ふふ、どう、大人の女になった感想は」
 そう、この瞬間、ミホはもう少女ではなくなった。

「いきなり動かすと、痛いだけだろうから……ゆるゆるとイキましょうね」
 そう言うと、小宮山はミホを背後から抱き締めた。
そして、体を密着させると、左右に揺らして、振動をミホに伝えていく。
「ぐぎぃ、い、痛いよぉ……」
「我慢しなさい。回数を重ねるうちに、気持ち良くなってくるわ。今はまだ、無理だろうけどね」
「あが、ああ、あああ」
 小宮山は、痛みを散らすように、ミホの体を愛撫した。
乳房を、乳首を、脇腹を、喉首を、優しく、柔らかく。
「むひぃ、いい……」
 同時に、うなじや肩に舌を這わせる。
「気持ちを落ち着けて、叶さん……素直に、感じなさい」
 小宮山の腰の動きが、段々とスピードを増した。
左右だけだった動きに、縦方向への修正が加わる。
「あ、あぅ、せん、せんせ、ああ……」
 痛みは若干和らいだものの、シンジのモノを感じることが出来るほどにはなっていない。
気持ち良さは無いが、熱さが腰の辺りから広がり、ミホの体を支配していく。
「あら、叶さん……声が変わったわね?」
「ふぁ、うああ、ああん!」
 小宮山はミホの乳房を掴むと、体全体を持ち上げるように動かし始めた。
「せぇ、せぇせ、焼ける、焼けるぅ、うう」
「ふーん、熱いの?」
「あ、熱い、です、うぐぅ」
「もっと熱くなりたい?」
 さらに、小宮山のスピードが上がった。

「あう!ううん!いぎぃ、ん!」
「それなら、自分で腰を動かしなさい、上に、下に!そうすれば、もっと熱くなれるわ!」
「うあああ、ああ、ああっ!」
 ミホは言われるままに、腰を上下に揺さ振る。
「そうよ、叶さん、もっと激しく動きなさい!」
 小宮山は股を大きく開き、ミホの尻に押し付けた。
ミホの胸を思い切り揉みしだくとともに、リズムを合わせ、体を上下に荒々しく振り動かす。
「くっ、くあっ、い、いうっ!」
 もうミホは、何がなんだかわからなくなっていた。
気持ち良いのか、悪いのか。
自分が腰を振っているのか、小宮山に動かされているのか。
「くふぅっ!」
「もっと、もっとよ、叶さん!」
 ミホと小宮山の体から、玉のような汗が吹き出て、宙を舞う。
その玉はシンジの胸や腹、額に落ち、シンジの汗と混ざり合う。
「ぐ……きゅうッ」
 ミホはより、激しく腰を回転させた。
熱い。頭も、乳房も、アソコも、太股も、全てが熱い。
それ以外の感覚は、完全に麻痺していた。
脳と目、そして体が切り離されたかのようだ。
「みぃっ!う、うっ!」
 ミホの嬌声が一段高くなった。
「ひぃやぁ、熱い、熱いッ!」
 経験豊富な小宮山は、ミホが頂点に近づいていることを感じとった。

「イク?叶さん、イクのね?ハジメテなのにイッちゃうのね?」
「うぁぁ、うぁあああ、はうぅ」
 ミホは答えることが出来ない。
「イッちゃいなさい。そして、城島君を自分のものにしなさい!」
 小宮山は右手をミホの乳房から離し、下へずらして、クリトリスへと持っていった。
そして、思い切り捻り上げる。
「うーッ!!」
 ミホは、胸の奥で何かが弾けるのを感じた。
「ふぅっ!」
 小宮山がミホの体を持ち上げ、後方に共に倒れこんだ。
ずるり、とシンジのモノが外れ、反動でぶるんと揺れる。
瞬間、その先から、白い、ドロリとした液体が飛び散った。
「きゃうぅうぅうぅうぅ!」
 白濁液が、ミホの下腹部に降り注ぐ。
本来なら熱いはずのそれだが、ミホは逆に、凍るような冷たさを感じた。
白く濡れた場所から、腰、ヘソ、脇の下、うなじ、後頭部へと冷たさが駆け上がっていき、そして―――。
「あ、ふぅぅぅぅうー……」
 吹き飛んだ。
ミホの中で。
全てが、吹き飛んだ。

              ◆                     ◆

「それでさぁ……」
「あはは、ホントに?……」
「おーい、シンジィ、今岡ぁ……」
 城島シンジ、今岡ナツミ、新井カズヤの三人が、廊下を歩いていく。
そして、そこから10メートル離れて、隠れるように後を着いていく少女が一人。
「……先輩」
 そう、叶ミホだ。
しかし、何故以前と同じように、コソコソとしているのだろうか?
既成事実を作り上げた今、ミホはシンジと付き合っているのではなかったのか?

              ◆                     ◆

 ミホが目を覚ました時、周囲は静まりかえっていた。
「あ……」
 ミホは自分を見た。
破瓜の血も、汗も全て拭い取られ、バスタオルに包まれて、薬品棚を背もたれに、床に座らされている。
「あら、気づいた?」
 声の方に視線を向けると、小宮山が椅子に腰掛けてコーヒーを飲んでいた。
「先生……」
「どう、コーヒー、飲む?」
 どれくらい気を失っていたかはわからない。
が、一緒にあれ程乱れていたというのに、今、ミホの目の前でカップを差し出しているその姿は、
いつもと変わらぬ落ち着きを取り戻している。
髪、顔、白衣、その下の服……ミホが相談しに行った時と、寸分も変わらない。
「あ、ハイ……」
 ミホはカップを受け取った。
小宮山を見ていると、まるでさっきの出来事が夢のように思える。
「ん……」
 カップに唇をつけ、ゆっくりとすする。苦い。
ゴクリ、と飲み込んだ時、ミホは鈍い痛みを下半身に感じた。
「……ッ」
 夢、ではない。
確かに、自分は城島シンジと交わったのだ。

「先生、せ……先輩、は?」
 その問いに対して、小宮山はカップに口をつけたまま、ん、と瞳を動かした。
「……?」
 ミホは、小宮山の視線を追った。
「あ……」
 机の向こう側、そこに、シンジは横になっていた。
ミホと違い、上も下も制服を着せられている。
「先輩……」
 ミホはシンジの側に寄った。その目は、まだ閉じられている。
「先生……先輩、大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。あと一時間もすれば目が覚めるはずだわ」
「そ、そ、それで、あの、その」
 小宮山はコーヒーの残りをぐいっと喉に流し込んだ。
そして、ミホに向かってパタパタと手を振る。
「大丈夫、全て事は成立したわ」
「え?」
 空になったカップを机に置き、小宮山はひとつのビデオテープを取り出した。
「……それは?」
「ふふん」
 小宮山はもう一方の手で、部屋の一部を指し示した。
「……?」
 ミホは顔をそちらに向けた。
小宮山が指をさした先、そこにあったのは、観葉植物と、その間に隠された一台のビデオカメラ。
「あ!?」
「そういうこと。全ての痴態がずぇーんぶ、この中に収められているってワケ」
 小宮山は、ビデオテープをピコピコと左右に振ってみせた。

 ミホは頬を真っ赤に染めた。
さっき、自分達が何をしていたのか、生々しく脳内で蘇ってくる。
「コレを使えば、城島君が何を言おうと関係ナシ。あなたの思うままってこと」
「で、でも、それは……むぅ」
 ミホはそこから先の言葉を飲み込んだ。下半身がズキッと痛む。

「……」
 そう、お互いの意思がどうあろうと、事は終わってしまったのだ。
今更、言い訳も出来ないし、やり直しも効かない。後悔しても仕方がない。
無理矢理セックスをして、それを盾に交際を迫るのは、確かに卑怯なことだろう。
それに、そこまでやった自分を、シンジが愛してくれるとも思えない。
 だけど。
「……」
 だけど、シンジが、シンジのことが。
「はい……」
 罵られようとも、詰られようとも、嫌がられても。
「わかり、ました……」
 どうしようもなく、シンジのことが好きなのだ。
どんな手段を使っても、シンジの側にいたい。

「ようやく決心したみたいね」
 小宮山はそう言うと、ビデオデッキへと足を向けた。
普段、教材用のビデオを流す時に使うものだ。
「では、どんなモノか、試しに見てみるとしましょう」
 ガチャン、とビデオテープを入れ、再生ボタンを押す。
「……」
 ミホも画面に目をやった。まだ、真っ黒のままだ。
「……」
「…………」
「………………」
「…………………?」
 画面は、依然として黒。何も映し出しはしない。
「先生?」
「ありぃ?」
 小宮山は首を傾げた。デッキからテープを取り出すと、調べ始める。
「デッキは壊れていない……」
「……」
「テープもおかしいところはない……」
 小宮山は観葉植物の前へ行き、ビデオカメラを覗き込んだ。
「せ、先生、もしかして」
 小宮山は固まっている。
「じ、冗談ですよね?」
 まだ固まっている。
「何とか言って下さい、せんせぇ!」
 小宮山は肩をすくめると、観葉植物から離れた。
コーヒーメーカーを動かして、新しいコーヒーをカップに注ぐ。その間、ずっと無言のままだ。
「せんせぇ……」
 そして、アツアツのコーヒーを冷まそうともせずに一気に飲み干し―――

「ごめーん、ビデオカメラが壊れてたわ」
 悪戯っ子のように、小宮山は舌をペロッと出して笑った。

              ◆                     ◆

「でね……」
「へぇ、それ本当か?……」
「おーい、今岡ぁ、シンジィ……」
 城島シンジ、今岡ナツミ、新井カズヤの三人が、廊下を歩いていく。
そして、そこから10メートル離れて、隠れるように後を着いていく少女が一人。

 ビデオカメラが壊れていたことを知った後、ミホは小宮山に詰め寄った。
いったい、どうすればいいのか、と。
小宮山はひたすら頭を下げて謝るばかりだった。
実際、どうしようもない。
シンジは睡眠薬で寝ており、事の一切は理解していない。
肝心のビデオテープが証拠としての役割を果たさない以上、
いくら「あなたと私はセックスをしたんです」と主張したところで、シンジがそれを信じるはずがない。
逆に怪しまれ、前にも増して避けられるだけだ。
結局、取るべき方法はひとつ。
全てを無かったことにするしかないのだ。

「……先輩」
 カサカサ、とミホはシンジの後を着けていく。
今は、周りに人がいる。突撃を敢行するべきではない。
「そうなんだよ……」
「アハハ……」
「おーい、シンジィ……」
 シンジは笑っている。
まさか、自分がすでに童貞を捨てているなどとは、夢にも思ってはいないだろう。
「……先輩」
 きっかり10メートル、縮まりもせず広がりもせず、距離を保ってミホは追い続ける。

「……」
 ミホは、下腹部に手をあてた。
どんな形であれ、自分の処女をシンジに奉げ、同時に童貞を奪ったのは間違いない。
夢のように、過ぎてみれば何も残らない出来事だったが、決して夢マボロシそのものではない。
世界でミホと小宮山しか知らないとはいえ、それは確固たる事実なのだ。
「……先輩」
 今日もミホはシンジの後を追い続ける。
何時か、本当の恋人同士になるために。
「先輩と付き合う」という思いを、夢のままで終わらせないために。



                               ・・・・・・to be continued?

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル