作品名 作者名 カップリング
「夢の贈り物」 ペピトーン氏 -

金城カオル16歳−
カナミ、アキ、マナカ、ショーコといった友人たちとファーストフード店で集まって
おしゃべりに花を咲かせる。期末試験も終わり、今年もそろそろクリスマスの季節である。
「これで安心してクリスマスを迎えられますね」
とマナカの言葉に、
「ホント、サンタさん…今年は何をプレゼントしてくれるのかなぁ」
とカオルはすっかり自分の世界に入ってしまった。
「おい、誰か言ってやれよ」
「私たちに彼女の夢を壊す権利ありませんよ」
という友人達の会話もそっちのけである。
サンタに手紙を書いたり、プレゼントを入れるための大きな靴下を作るために編み物を覚えたり、
未だに夢見る少女のままである。


クリスマスイブ金城家−
カオルの両親が何やら話し合っている。
「ねえ、母さん、カオルのプレゼントだけど…」
「あら、お父さん、まだ買ってないのですか?」
「いや、あの子も16歳だし、そろそろサンタクロースから卒業させてもいいかなと思って…」
「じゃあ、プレゼントは今年はなしですか。それはちょっとあの子がかわいそうじゃありません?」
「でも、カオルも高校生なんだし、そろそろ現実の世界を教えてあげないと」
「そうですね、そうしますか、あの子にはちょっとかわいそうだけど…」
この年、カオルの元にプレゼントが届くことは無かった。そして、友人たちから本当の事を知ることになった。
自分の幼い頃からの夢が音を立てて壊れて行くのを感じた。



それから十数年後のクリスマスイブ−
「…というお話でした。」
カオルは布団に入っている子供の横で絵本を読んでいる。結婚して現在は一児の母親である。
「ねえ、おかあさん、サンタさんきょうきてくれるかなあ?」
子供が母親であるカオルに問いかける。
「うん、サンタさんはお利口さんにしている子の元にちゃんとプレゼントを届けてくれるんだよ」
「うわぁー、サンタさんきてくれるといいなあ」
「うん、だから今夜はグッスリ眠るのよ」
カオルは子供と話しながら、16歳の時のクリスマスをふと思い出した。
(あの時に、サンタクロースは本当はいないって知ったんだよね。それまでの夢が壊れていくようで
なんだか悲しかったなあ。でも、サンタクロースはやっぱりいるのよ。本当のプレゼントは子供の夢なのよ。
この楽しくて、待ち遠しい時間は子供の時にだけ味わえる貴重な時間なの。本当の事を知るのはずっと後でいいわ)
そう思いながらカオルは優しい眼差しを子供に向けるのであった。

「おかあさんおやすみー」
「はい、おやすみなさい」
(さて、プレゼントを用意しますか)
心の中で思いながら部屋を後にした。部屋にはカオルが16歳の時に覚え、今は子供のためにと編んだ
毛糸の大きな靴下が掛けてある。カオルのピュアなところは十数年経っても変わることは無く、
幼かった頃の夢を自分の子供に託しているかのようだった。

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