作品名 作者名 カップリング
「アマイワナ」 郭泰源氏 -

"ピンポ〜〜〜〜ン"
「ん?誰だ?」
学校から帰ると、いつものメンツが妹のカナミの部屋でダベっていた。
俺も混じって矢野ちゃんと一緒に呆れたりツッコンだりして夕方まで過ごし、
もう遅いんで、ってみんながお暇した、そんな―――いつもの日常だったんだ、その日は。
カナミも夕飯の買い物に行くとかでみんなと一緒に家を出て、
俺は軽く後かたづけをして台所でお茶碗を洗ってたとこだった。
呼び鈴が鳴ったんで誰か忘れ物でもしたのかな?と思いながら玄関に出ると、
そこにはちょっと思案顔の岩瀬さんがいた。
「あれどうしたの?岩瀬さん、忘れ物?」
「おにいさん……ちょっと、いいですか?」
「へ?俺に?」
「はい……おにいさんに、ちょっとお願いっていうか……」
そう言ってモジモジする岩瀬さん。
カナミの友達の中でも唯一の彼氏持ちってこともあってか、
クールな感じの大人びたコだから、そういう仕草ってのは結構珍しい。
「………?ま、とりあえず家に上がりなよ、話くらい聞くけど……」
「ありがとうございます、おにいさん……」
上がってもらってしばらくしても、ボ――っとした様子でなかなか話そうとしない。
「あの……岩瀬さん、もしかしてカナミの奴が迷惑かけた?なら俺から言っておくけど……」
「あ………違うんです、カナミのことじゃ……」
そう言ってまた岩瀬さんは言いよどむ。――よっぽど言いにくいことなのか?
そう言えば、カナミの友達の中でも彼女とはあんまり話した記憶がない。
前にカナミが風邪で寝込んだときに料理を作ってくれて、そのときにちょっと話したくらいだ。
矢野ちゃんやマナカちゃん、それに最近知り合いになった金城さんよりも
下手したら話してないかもしれない。別に彼女がとっつきにくいタイプだとかじゃなく、
あの個性的なメンツの中では少し大人しめの感じがして、印象が薄いっていうか………
まあ、そんな彼女もしっかり媚薬入りの料理を作ってくれたわけで、
ああ、クールな美人系のコだけどやっぱりカナミの友達なんだなあ、って痛感したんだけど……。
「実は……おにいさんにお願いがあるんですけど………いいですか?」
「え……?あ、ああ、なにかな?」
そんなことを考えて俺もちょっとぼんやりしてたら、
真剣な表情で岩瀬さんが聞いてきたんでちょっと慌ててしまった。
「はい……こういうの、本当は……相談して良いかどうか迷ったんですけど……」
そう言いながら、ゆっくりと上着を脱いで、ブラウスを脱いではだけて……※!☆!★?って!
「ちょちょちょちょ、ちょっと、岩瀬さん!???」
「いえ……お願いです、見て下さい、おにいさん……」
するり、と岩瀬さんの肩が露わになる。
―――少し日焼けの残る肩に、赤っぽい跡がある。痣にしてはなんだか細い、跡。
「………?どこかに、ぶつけたとかじゃ……ないよね?」
「……違います。おにいさん……私にカレシがいるのは、知ってますよね?」
「あ、ああ……カナミからなんとなくだけど……」
「そのカレシなんですけど……最初は優しかったんです。でも最近マンネリだとか言い始めて。
……言いにくいんですけど、エッチのときに無理矢理縛ってきたり……あとそれに、
嫌だって言ってるのに外でエッチしようとしたり……逆らうと暴力を振るってきて……」
(……それってええと……EDじゃなくて、AVじゃなくて、DVって奴か?)
「酷い話だとは思うけど……別れちゃえばいいだけの話じゃ……」
「………もう嫌だって、私も散々言ったんです。別れたいって、何度も言ったんです。
それでも、絶対に別れないって……。もう……私、どうしたらいいのか……」
そう言ったまま、岩瀬さんは両手で自分の顔を覆って嗚咽を漏らし始めた。
確かカナミの話だと、その彼氏ってのは岩瀬さんが中学生の頃に家庭教師として来た人で、
その当時は大学生だったはずだ。今は金城さんの学校で非常勤講師をしているらしい。
……でもカナミの話だと、基本的にふたりはラブラブ状態ってはずじゃ?
それはともかく、目の前でこんな格好で泣かれているのは……非常にマズイ。
もしカナミの奴が帰ってきたら………
§


「あ〜〜!!おにいちゃんがショーコちゃん泣かした!チカちゃんとアキちゃんに言ってやろ〜〜」
……絶対これくらい言うに決まってる。
またアイツって、こういう最悪のタイミングで現れるのが得意技なんだ。
「い、岩瀬さん?分ったから泣かないで……で、どうして俺に……」
「私……男の人の友達とかいなくて……相談できる人っていったら、おにいさんくらいなんです。
お姉ちゃんにも相談しにくいし、カナミやアキたちじゃ相談にならないだろうし……
それに、今までカレシとうまくいってるってことしか言ってなかったから、
嘘つきだって言われるのが怖くて……」
女の子同士だと、やっぱり見栄とかそういうのがあるのかな?
でも暴力をふるわれてるんだからそんなことを言っている場合じゃないだろう。
「岩瀬さん……俺に出来ることなら、助けてあげたいけど……でも、何をすればいいか……」
「うッ……ぐすッ、すいません……おにいさん……実は私、考えたんです。
私に他に好きな人ができたって言えば、あの人も諦めると思うんです。
だから……すごく悪いとは思うんですけど、おにいさんに、恋人のフリをして欲しいんです」
「え?で、でも……」
「お願いです……私、私………他に頼る人がいなくて……」
肩を震わせ、泣き続ける岩瀬さん。ここまで言われれば、男としては嫌とは言えない。
「分った……俺でいいんなら、力になるよ、岩瀬さん」
「……うッ、本当ですか?うっく、おにいさん……」
「ああ。ただ……俺はいいけど、君の安全もあるから聞いておきたいんだ。
彼氏って、キレやすいタイプ?もしそうなら他の人の目のある所で会った方が良いだろうし、
冷静に話し合えるなら三人だけで会った方が良いだろうし。どうだろう?」
「……ありがとうございます……三人だけで会っても大丈夫だと思います。
あの人、教師志望のせいか、職場での立場とか結構気にするタイプだし……
女子校の非常勤講師なのに高校生に手を出したってことにちょっとビビってるくらいですから」
「ふ〜〜ん、なら……岩瀬さんから、場所を指定した方がいいね?
あとは日にちを決めて、俺と岩瀬さんで会って話をしよう。
勿論その日までに色々と打ち合わせはしておかないといけないけど……」
「分りました……あの、おにいさん?」
「?」
「ありがとう……ございます。私……本当に……助かりました」
涙で濡れた瞳で、俺を見る岩瀬さん……やべえって、マジで色っぽい。
このまま本当に付き合っちゃうのもアリかなあ……なんてアホな妄想をしてしまう俺だったが、
さすがにその<当日>って奴が近づくにつれ、恐怖、というか緊張は高まっていくのだった――

「シンジさん……ここが、あの人のアパートです」
「あ……ああ……」
そして<当日>が来てしまった。岩瀬さんと訪れたのは、
いかにも一人暮らし用、って感じのアパートの前。
ガチガチに緊張する俺だけど、さすがに女の子の前で怖いとか言うわけにはいかない。
「大丈夫です……シンジさんの方が背も高いし、女の子にしか暴力は振るえないタイプですから」
「でも……それってさ、岩瀬さんの前で言うのもなんだけど、男として最低だよね」
「……そうですね、本当に。あと……もしあの人が襲ってきてもコレがあるんで安心して下さい」
「???あ、ソレって……」
「マナカに借りました。……スタンガンです。一発あてれば、気絶はほぼ確実らしいです」
「………マナカちゃんって、本当になんでも持ってるよね」
「ふふ、こういうときは頼りになる友達なんですけどね」
そう言って彼女は苦笑した。にしても……俺は、丸腰で来た自分のマヌケさをちょっと恨んだ。
怖かったら彼女みたいに武器みたいなものを持つべきだったんだ。
いざとなると女の方が慎重で腹が据わっているってのは本当みたいだ。
「できたらソレを使わずにすませたいところだね……岩瀬さん?」
「はい?でも、一応の備えですから……」
「いや……それのことだけじゃなくて。あのさ、俺……たいして腕力もないし、
頼りないと思うけど……絶対、君にケガをさせないようにするから……」
「………ありがとうございます、おにいさん……」
§


目を潤ませて、岩瀬さんが俺を見る。うむ、こうこなくちゃ。ヒーローにはヒロインが必要なんだ。
………にしても、やっぱり岩瀬さんって美人だ。普段は意識したことが無かったけど……
こうして間近で見ると……マジで男の保護欲をそそられるって言うか……
「じゃあ……おにいさん、お願いします……」
「?%$!あ。ああ……」
妄想でトリップしかけていた俺に、そっと岩瀬さんが腕を組んできた。
頭一つ低い彼女の髪から、ふわりとシャンプーの香りがして俺の鼻腔をくすぐる。
おまけに……その……腕から伝わる、柔らかな感触に胸がバクバクとする。
「あの……一応、恋人同士っぽく……」
上目遣いで俺を見た後、そう言って頬を赤く染める彼女。……ムチャクチャ可愛い。
「あ、ああ……そうだね、それっぽく見えるかな……」
情けないけど、思いっきり声がうわずってしまっていた。矢野ちゃんほどじゃないけど、
彼女もそう言えばなかなかスタイルの良いコだったのを思い出した。
俺の肘には、ちょうど……彼女の胸が当たって、存在を主張してきていた。
「じゃあ……おにいさん………」
その言葉を最後に、俺たちは腕を組んで階段を上り、その部屋の前に来た。
無言で頷き合うと呼び鈴を鳴らす。
"ポ――――ン……"
「ああ、どうぞ……開いてるよ……」
「お邪魔します……」
「入るよ?セージ……」
ドアを開けて入ると、そこには……ちょっと緊張した表情の、<彼氏>がいた。
短めに揃えた髪、浅黒く日に焼けた整った顔立ち、
身長は……俺より少し低いくらいだけど、なにかスポーツをやっていたのか、
引き締まった感じの体つきなのが服の上からでも分る。
「まあ………緊張するのは分るけどさ、そう構えないで入ってくれよ」
「あ、はあ……」
「そうさせてもらうわ、いいよね?シンジ」
「うん……」
男の一人暮らしにしては片づいている方なんじゃないか?
雑誌やリモコンが散乱していたりするけど……俺の部屋なんかより、全然キレイだ。
セージさんは俺たちを部屋に通すと、コーヒーを淹れてくれた。
「ほい……ま、ラクにしてくれ。どうぞ、シンジ君……だよね?」
「はい……」
「そうね、じゃ、ありがたく頂くわ……」
「って言ってもインスタントだから、そんな大層なもんでもないけどな」
「今日の話は……分ってるわよね?」
「ああ……でもな、ショーコ……」
「……とにかく私、シンジさんと付き合うから。アンタとはもう別れたいの」
「あ、あの……複雑なのは分りますけど、セージさん、俺たち……」
「分ってる、分ってる……」
頭をボリボリとかきながら言うと、セージさんが苦笑した。
「しかし……ショーコ、お前……役者だよな?」
!!!!もうバレたのか?慌てて立ち上がってなにか言おうとした、その瞬間だった。
"バリバリッ!!!!!"
破裂音が耳元で響き、俺の首筋に鈍い衝撃が走った。



………………え?


「ふふ……アカデミー賞もんでしょう?ご主人様……」
ぐらり、と目の前が揺れる。なにか言おうとしたのに、言葉が出てこない。
立ち上がろうとした膝が震えて、体がそのまま崩れ落ちる。
§


ん?あれ?なんだ?コレ?
しばらくして気がつくと、体が痺れて動かなかった。声も……出ない。
イスみたいなのに座ってるのか?全然からだの感覚が無いのはなんでだ?
でも、下半身に伝わる……鈍い疼痛、っていうか……なんか気持良い……?なんだ?
"ぷちゅ……ぺちゅ……"
「気がついたかい?シンジ君……」
セージさん?なにかビデオカメラみたいなものを持って……俺を撮影して?
「ちょっと我慢してて下さいね、おにいさん」
少し自由のきく首をなんとか動かして、岩瀬さんの声がした腹の下あたりを見ると……
え???ええええええ?????
全裸の岩瀬さんが……俺のモノを、しゃぶっていた。
「はは、悪いねえ、シンジ君。ショーコの奴のワガママにつきあわせて……」
「なによ……最初にスワップしたいなんて言ってきたのはご主人様の方のくせに……」
???話が、全然見えてこない。と言うか、岩瀬さん?君、
俺のモノから口を離したのはいいけど、タマを揉むのは……ちょっとその、気持ち良いんだけど……
「ああ、そりゃ訳がわかんないよね?一応説明しておくよ。剃毛・アナル・露出・SMと
ひととおりのプレーには挑戦したんだけど、俺とショーコの付き合いも最近マンネリでねえ……
そこで俺がスワップを提案したんだ。ところが………」
「見ず知らずの人と交換でヤるなんて、絶対嫌じゃないですか?病気も怖いし。
それに私の見ているところでご主人様が別の女の子とセックスしてるなんて耐えられないし」
「って感じでコイツに拒否されちゃって。でもね、スワップは無理でも……」
「妥協案として、私が他の男の人とセックスするところを鑑賞するのはOKって言ったんですよ。
ただし条件として、優しくて、病気の心配の無い童貞君で、私の気に入った人じゃなきゃダメ、
って言ったんです。検討の結果、おにいさんが選ばれたってわけです。
カナミから何度もおにいさんが童貞だってのは聞いてましたからね。分りました?」
ああ、なるほど、それで……じゃあなくてえええええええ!!!!!!!!!!!!!
「悪いけど、大声出されてお隣さんに迷惑かかると悪いからね。しばらく声は出ないよ。
体も一応縛っているけど、全然感覚は無いだろう?」
「うふふふ……でも、おにいさんのおちんちん素敵です……ピンク色でキレイ……
それに、すっごく固くてピクピク動いて……」
ぞくっとするくらい妖艶な笑みを浮かべて岩瀬さんが俺を見上げる。確かに体は動かせないけど、
ケツの裏あたりにじんじんとくる低温火傷みたいな感覚だけは残っていた。
「しかしシンジ君のモノもなかなか立派だねえ……ショーコもいい顔してるねえ」
「んッ……うふぁあ……おにいさんの……おっきくて……美味しいです……」
"ちゅつぷ、ずぷッ、"
再びなま温かい岩瀬さんの口に俺のが包まれる。彼女の舌先が俺のを舐める。
自分の意志とは別に、俺のモノが歓喜に震えながらさらに大きくなっていく
「よし……。じゃあ、ショーコ?そろそろ……」
「はい……ご主人様……おにいさん?悪いですけど、ゴムはつけさせてもらいますよ?」
小さな包みからそれを取り出すと、岩瀬さんが口に含んで……
俺のモノに口をつけ、くちゅくちゅとスケベな音をさせながら装着した。
「うふ……それじゃあ、おにいさん……」
岩瀬さんが俺のモノをつかむと、動けない俺の体に跨ってゆっくりとそれを……
"ぬッ………にゅうッ……"
彼女の中へと、沈めていった。何も出来ないままその様子を見つめるしかない俺は、
酸素不足の水槽の中で苦しむ金魚みたいに……ぱくぱくと、荒く息を吐いて悶える。
さっきのフェラチオのときの感覚なんて比べものにならない、凄まじい快感だった。
「ああ……素敵です……おにいさん……あっ」
"ぐぷッ、くぷあッ、ぬぢゅんッ!!"
取り憑かれたように、岩瀬さんが俺の上で腰を振る。
彼女の長い黒髪がほどけたように広がり、形の良い乳房が揺れる。
俺のが引っ張られて包まれて挟まれて締め付けられて中でごりごりしてぬるぬるして
「うわ〜〜〜、しかしエロい顔だねえ……ふたりとも……」
嬉しそうなセージさんの声が聞こえる。
アンタら、狂ってる。そう言おうと思ったとき、俺の目の前で火花が散った。

END

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