作品名 作者名 カップリング
「I Can't Give Up Your Side」 クロム氏 -

「お邪魔しまーす」
「どーぞ。つってもオレしかいないけどな」
私たち二人は、城島家にいた。
シンジ君と付き合い始めてから何度もこの家を訪れたが、今日はちょっと違う。
初めて彼の家に『お泊まり』するのだ。
シンジ君の話だと、妹のカナミちゃんは友達の家でパジャマパーティーらしい。
そのため家には誰もいない、だから泊まりがけで遊びにこないか、というのが彼の誘い文句だった。
もちろんただ遊びにいくだけで終わるはず無いのは分かっていたが、
彼と丸一日一緒にいられるというのは非常に魅力的だった。
その場でOKの返事をしたのが一週間前。
その後、少々厳しい親をかわすために友人に口裏合わせを頼んだり、
彼に食べてもらうために料理を勉強したりといろいろ準備してきた。そして今日に至る。
「んじゃ、オレはお茶でも淹れてくるから、先にオレの部屋に行ってて」
「はーい」
言われた通り、一人シンジ君の部屋に入る。
シンジ君の部屋は、珍しくキレイに整頓されていた。私が来るので掃除したのだろうか。
とりあえずベッドに腰掛け、これからのことをシュミレートしてみる。
(まずお茶を飲みながらお喋りして、適当に時間を潰す。その後食事の支度をして、
一緒に食べて…それから後片付けして、お風呂に入って…その後は…その後は…)
そこでハッとする。自分の思考が暴走モードに入りかけていることに気付き、慌てて考えるのをやめた。
私って、シンジ君と付き合い出してからどんどんHになってるんじゃないだろうか…。
「お待たせ…ってケイ、顔真っ赤だぞ。風邪でもひいたか?」
お茶を持って入ってきたシンジ君が、不思議そうに尋ねる。
貴方との夜を想像してました、なんて言えるはずもなく、適当な言葉でごまかした。
どうにかその場をしのぐと、二人でベッドに座り、お喋りを始める。
学校の話、家族の話、自分達の話。どれだけ喋っても、話の種は尽きることがない。
「へー、そんなことがあったのか」
「そうなの。ホント、あの時は大変だったよ」
ハハハ、とシンジ君がおかしそうに笑う。その姿を見て、不意に彼に甘えてみたくなった。
彼のすぐ隣に移動し、彼の肩に頭を預ける。
「おいおい、なんだよ急に」
「ん?フフ、たまにはいいじゃない。普段はこんなことできないしさ」
確かに、普段はこれほど彼にベッタリすることはできない。
学校ではある程度の節度を保つようにしているし、街中でも手を繋ぐくらいに止どめている。
これは付き合いだしてから二人で決めたことだけど、全く不満がないわけでもなかった。
できることなら四六時中彼にひっついて、イチャイチャしていたいのに。
今日は、誰かの目を気にする必要のない、絶好のチャンスなのだ。
「だから、今はいいの!」
そんなもんかねぇ、とかブツブツ言いながらも、シンジ君は照れているみたいだ。
最近気付いたのだが、私の方から積極的に迫ると、大抵主導権を握ることができる。
なので、もう一押ししてみよう。
「ねえ…」
軽く顎をあげ、目を閉じる。そういえば、最初の頃はシンジ君、この意味が分からなかったみたいだ。
今では流石に学習したのだろう。少し間があったが、すぐに唇に柔らかい感触を感じる。
唇はほんの二三秒で離れた。名残惜しいが、彼の照れた顔を見ることができたのでよしとしよう。
「さ、そろそろゴハンの支度しないと!」
何事もなかったかのように立上がり、彼を促す。
「あ…ああ、そうだな」
「ほら、早く!」
まだ照れくさそうにしているシンジ君の手を引き、私たちは台所へと移動した。



「うん、旨い!」
「本当?よかったぁ」
シンジ君の言葉にホッと胸を撫で下ろす。食卓の上には、ビーフシチュー、サラダ、それにパン。
シンジ君に食べてもらうために、この一週間何度も練習した料理。
おかげで我が家の食卓には連日このメニューが並び、家族からは非難の嵐だった。
けど、彼がおいしいと言ってくれた。それだけで、今までの努力も報われた気がする。
「いや、マジで旨いよ。ケイってこんなに料理上手かったっけ?」
「シンジ君に食べてもらおうと思って、頑張ったんだよ。
レシピ調べて、お母さんにも教えてもらって、何度も練習して。
でもよかった、喜んでくれて」
自分でもシチューを食べてみる。たぶん今までで一番の出来だろう。愛情が隠し味、ってやつ?
「ところでさ、ケイ。」
「なあに?」
「いや、さっきから気になってたんだけど、何でそんなとこに座ってんの?」
その言葉を待っていた。
今私はシンジ君の真横に座っている。四角いテーブルだから、対面に座るのが普通だろう。
かなり不自然だけど、これにはもちろん意味があった。
「フフフ…」
自分のシチューをスプーンで掬い、シンジ君の前に差し出す。
「ハイ、あ〜ん」
これがやりたかった。
予想通り、シンジ君はかなり動揺している。
「あ〜ん」なおもスプーンを差し出していると、漸くシチューを食べてくれた。
「おいしい?」
「…ああ、おいしい」
「じゃあ、今度はシンジ君の番」
そう言って口を開ける。そこに、オズオズといった感じでスプーンが運ばれた。
「う〜ん、おいしい!一度こういうのやってみたかたんだぁ」
「何だそりゃ。今時そんなベタな…」
悪態を吐いてるけど、シンジ君、目が泳いでます。
シンジ君が困ったり、照れたりするのを見るのが楽しくてしょうがない。
なので最近は、ワザとこんなことをしてシンジ君を困らせている。その時に見せる表情が可愛いのだ。
もっとも、本人に可愛いなんて言ったら結構傷つくだろうから言わないけど。
「あ、おかわりあるからたくさん食べて。何ならもう一回食べさせてあげようか?」
「いや、遠慮しとくよ」
からかわれているのが分かっているらしく、目は笑っている。
「ちぇっ、残念」
「ハハッ、勘弁してくれよ」
(あ〜、いいかも、こういうの)
他人からすればバカップル確定の会話だけど、当事者になってみるとすっごく楽しい。
ニヤニヤとシンジ君を眺めながら、次はどうやって困らせようか、なんてことを考えていた。



その後もシンジ君をからかいつつ食事を終えて、リビングに移動する。
二人並んでソファーに腰掛け、先程のお喋りの続きを始めた。
「もうすぐクリスマスだね。シンジ君、どこかに連れてってくれる?」
「ああ、ケイの行きたい所ならどこへでも」
「ホント?じゃあオシャレなブティックで買い物して、ダンスパーティーに出て、
夜景の綺麗な高級レストランで食事して…」
「…もうちょい高校生に相応しい希望をお願いします」
「え〜、どこでもって言ったのにぃ」
「限度ってもんがあるだろ!オレを破産させる気か?」
「う〜ん、シンジ君破産しちゃったらデートの時お金払ってくれるスポンサーがいなくなっちゃうしな〜」
「オイオイ、なんだよスポンサーって」
芝居がかった私の口調に、苦笑しながらシンジ君が答える。
「じゃあ、シンジ君の希望は?」
「ん?そうだな…オレは別にどこでもいいかな」
「どこでもって…何かないの?」
「いや、正直好きな人と一緒ならどこだっていいんだ」
「えっ…」
何故この人は、このタイミングでこんなことを言えるのだろう。
予想していなかった言葉に、一気に顔が熱くなる。
「どうした?また顔が赤くなってるぞ。やっぱり風邪なんじゃないか?」
先程の仕返しをされてしまった。慌ててそっぽをむくが、耳まで染まった顔は誤魔化せない。
「…バカ」
それだけ言うのがやっとだった。
先程までと立場が逆転し、今度はシンジ君がニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。
「バカって…ケイはオレと一緒じゃ嫌なのか?」
さらに追い討ちをかけられる。
「そ、そんなこと…ない、けど…」
「ないけど?」
「ないけど……もうっ、バカ!」
照れ隠しに、シンジ君の胸をポカポカと叩く。
「ハハ、やめろよ」
言葉とは反対に、シンジ君の顔は笑っている。そのまま、彼は私を抱き寄せた。
「あっ…」
「ケイは、オレと一緒じゃイヤ?」
「イヤ、じゃ、ない…私も、シンジ君と一緒がいいな…」
互いの顔を見つめ合い、どちらからともなく唇を重ねる。
「あ、プレゼントは別だからね」
「へいへい、分かってますよ」
再び微笑み合い、もう一度唇を重ねる。
「ねぇ、もう一回…」
三度目のキス。
唇を重ねたまま、シンジ君が私を押し倒した。
「ケイ…オレ、ケイが欲しい…」
熱の籠った声でシンジ君が囁く。彼の手が、私の胸の辺りに触れようとした。
「待って…ここじゃイヤ。ちゃんとベッドで…それに、先にお風呂に入りたいな」
「…分かった。じゃあ、部屋で待ってるから」
ソファーから立上がり、シンジ君は自室へ、私は浴室へ向かった。



脱衣所で服を脱ぐ。その途中であることを思いだし、ドアにカギをかけた。
(いくら何でも、毎回あんなことされちゃあね…)
以前ホテルに行った時、シャワーを浴びているところに入ってこられた経験がある。
あの時はされるがままだったが、そう何度もあんなことをされては、私の体が保たない。
身の安全を確保したところで浴室に入り、体を隅々まで念入りに洗う。
シャワーを使って身体に付いた泡を洗い流していると、外でガチャガチャという音がした。
(うわぁ…カギかけといてよかった…)
案の定、シンジ君は同じことをしようと企んでいたみたいだ。
カギのかかったドアにガックリと肩を落とす恋人の姿を想像し、大きく溜め息を吐く。
普段は私の方が主導権を握っているが、こういうことになるとシンジ君はやけに強引になる。
男の人ってみんなこうなんだろうか?
「ま、いっか!」
私を愛するが故に我慢出来なかったんだろう、と都合のいい解釈を下し、頭を切り換える。
あまり待たせるのも気の毒だ。それに、待たせ過ぎたら後で何をされるか分からない。
手早く入浴を済ませ、体を拭く。この日のために買った可愛い下着を身に着け、パジャマを纏う。
髪を乾かし、これまたこの日のために買ったコロンを軽く一吹き。
最後に鏡の前に立ち、自分の姿を確認する。
「うん、完璧!」
おかしな所がないのを確認し、狼モードに入りかけているであろうシンジ君の待つ部屋へと向かった。


「何、してるの…?」
シンジ君の部屋のドアを開けた私の第一声。
シンジ君は自分の部屋をところ構わず引っ掻き回していた。
(私のこと待ちきれなくなって、壊れちゃったのかな?)
などと下らないことを想像する。
「ん、ごめん、ちょっと待っ…あ、やっぱり仕掛けてやがった!!」
本棚の裏を探っていたシンジ君が、叫んで掲げたのは…
「ビデオカメラ…?」
「ああ…ここにカメラがあるってことは…こっちの方に…あ、やっぱりあった!」
今度は本棚の上から3cm四方の箱のようなものを摘みあげた。見ると、ベッドの上にも同じモノがたくさん落ちている。
「何、それ…?」
「ん?ああ、盗聴器」
「盗っ…!?なんでそんなものが?」
最近は街中いたる所に仕掛けられているらしいが、何故こんな所に?
「まず間違いなくカナミの仕業だろうな」
「カナミちゃんの?」
「ああ。ケイが泊まりにくるって言ったとき、妙におとなしくしてると思ったけど…
念のために調べてみてよかったよ。案の定こんなことしてやがった」
あっさりと言ってのけるシンジ君。けど、内容は絶対普通じゃない。
(何なの、この兄妹!?)
カナミちゃんがかなり変わってるというのは知っていたけど、ここまでとは…。
っていうか、シンジ君が気付かなかったらどうなってたの?
「いや、カナミも普段からこんなことしてるわけじゃないんだけどさ…。
なんつーかその…魔が差したっていうか…別に悪気はないんだ」
呆然とする私に気付いたシンジ君が、妹を弁護する。あまり効果はないけど。
「ごめん、アイツには後でよーく言っとくから」
「ハハハ…」
もう笑うしかない。他にどうしろと?
そういえば、何度かこの部屋でシンジ君とエッチしたけど、まさかそれも撮られてたなんてことは…
「まさか、ね…」
考えると気が遠くなりそうなのでやめた。



「ちょっとコレあいつの部屋に返してくるよ…」
そう言い両手いっぱいに怪しい機器を抱えて部屋を出ていった。
これだけの量を仕掛けるカナミちゃんもカナミちゃんだが、それを見破るシンジ君もシンジ君だ。
改めて、この兄妹の日常がどんなものであるかを思い知った。
(なんだかなぁ…)
今から起こることを多少なりとも期待していただけに、拍子抜けである。
カナミちゃんは普段はとても良い娘で、私も本当の妹みたいに接していた。
それだけに、こういう時にはどのように対応したらいいのか分からない。
「あーあ、まったく…」
すっかり熱が冷めてしまった。することもなく、ベッドに寝転がる。
「あれ?」
ベッドと壁の間に何かあるのに気が付いた。手に取ってみると、先程と同じ盗聴器。
そこであることを思い付いた。
(コレ…電源入ってるのよね?)
せっかくいい雰囲気だったのに、この機械のせいで台無しになったのだ。
なのでコレを仕掛けたカナミちゃんには、少し反省してもらうことにしよう。
(私達の幸せな時間を奪った罪は重いんだよ、カナミちゃん!)
集音マイクと思しき部分に当たりを付け、大きく息を吸い込んで…
「ワッ!!!」


同時刻、黒田家、マナカの部屋。
そこに、ヘッドホンを装着したまま白目を剥いたカナミとマナカの姿があった。
「アイツ等どーしたんだろ?」
突然ひっくり返って失神した二人を無表情に眺めながら、アキが呟く。
「大方、仕掛けてた盗聴器がバレたんでしょ」
これまた無表情に、ショーコが返す。
「ま、自業自得ね。ほっときましょ」
兄達の濡れ場を盗み聞きしようと企んでいたカナミ達だが、ケイの大声で気を失ったのであった。
「まあ、いつものことか」
興味を失い、テレビに視線を戻す。
「ねえねえ、あの二人さっきから何してるの?」
「「気にするな」」
一人現状が理解できないカオルをやり過ごす。二人が目を覚ますのは、当分先になりそうだ。



「おい、どうかしたのか!?」
私の声を聞き付けたシンジ君が、大急ぎで戻ってきた。
「あ、気にしないで。独り言だから」
電源を切った盗聴器はベッドの下に隠し、トボケてみる。
「いや、独り言って…あんなにでかい声で?」
「別にいいじゃない。細かいこと気にしないの!」
なおも追及しようとするシンジ君を、強引に止どめる。さすがに私のやったことを説明するのは憚られた。
「それより…なんかダレちゃったね。これからどうしよう」
勢いでそういう行為に持ち込めるうちはいいが、一度間が開いてしまうと何となく気恥ずかしい。
「どうしようって言われてもな。正直、あんま我慢できないんだけど…」
「お風呂に入ってこようとしたしね」
「うっ…いや、あれは…」
「いくら恋人同士でも、女の子の入浴中に入ってくるなんて…一歩間違わなくても犯罪だよ?」
「いや、待ちきれなかったっていうか、その……ごめんなさい」
この日一番の困った顔で謝るシンジ君。まあ許してあげるとするか。
「反省してる?」
「してる。もう、目一杯」
「じゃあ許してあげる。その代わり、最初からして」
「最初からって?」
その声には答えず、背伸びして唇を押し付けた。
「あ、プレゼントは別だからね」
先程と同じ台詞に、その意味を理解したシンジ君が微笑む。
「へいへい、分かってますよ」
今度はシンジ君の方から唇を重ねてきた。
「ねぇ、もう一回…」
合わせて六度目のキス。そのまま、ベッドに押し倒される。
「ケイ…オレ、ケイが欲しい…」
「うん、いいよ…全部、シンジ君にあげる…」
その格好のまま唇を塞がれ、半端に開いた口の隙間から、彼の舌が入ってくる。
「んっ…んんっ…」
歯を、頬を、シンジ君の舌先が撫でる。彼の首に腕をまわし、より激しく舌を絡めた。
「ふうっ…んっ…はむっ…んんっ」
舌を絡め、唇を吸い、唾液を交換する。それら一つ一つが、甘い刺激となって全身を走る。
「んんっ…ん、んふっ…」
いつもより長く、深く、激しいキスに全身の力が抜けていくのが分かる。
漸く唇を離した時には全身が弛緩し、息も荒くなっていた。
「あっ…」
シンジ君の手が、私のパジャマを脱がしにかかる。あっという間にショーツ一枚にされた。
「ケイ…凄くキレイだ…」
「やだ…恥ずか、しい…」
彼の手が露になった私の胸に伸び、薄く桃色に染まった乳房に触れる。
そして、感触を楽しむように掌で撫でまわしていく。
「あっ…う、ん…はぁ…」
くすぐったいような刺激に、思わず声が洩れてしまう。
シンジ君は両手で私の身体を弄びながら、私の項、額、首筋へとキスしていく。
私もシンジ君に全てを任せ、されるがままに込上げてくる快楽を楽しんでいた。
熱い吐息が耳にかかり、それだけで興奮が高まっていく。



どのくらいそうしていただろうか。不意に、シンジ君の動きが止まる。
そして私から体を離し、どこからかタオルを取り出した。それも3本も。
「え、また目隠しするの?」
あの日ホテルでして以来一度もなかった目隠しプレイ。それはそれで気持ちい…じゃなくて。
でも、目隠しなら何故3本も?
その答えはすぐに分かった。シンジ君は何も言わず私の手を取ると、ベッドの端に縛り付けてしまったのだ。
「えっ、やだ、ちょっと待って!」
抗議の声をあげるが軽く無視され、残った手も同じように拘束される。
痛くはないが、両手がまったく動かせなくなってしまった。
「ねえ、いくら何でもこれはちょっと…シンジ君、やっぱりこういう趣味なの?」
「ああ…そうかもな」
いや、肯定されても…。
だが、私にはもはやどうすることもできない。だいたい、シンジ君はこうなると手が付けられないのだ。
諦め嘆息する私の目を、残ったタオルが覆った。
(これって…やっぱり普通じゃないよね…?)
目隠しに両手の拘束。確かに普通ではないだろう。
「あの、シンジ君?やっぱり私、こういう趣味は……んむッ!?」
再度抗議しようとしたが、口を塞がれてしまった。
「ンっ、んむ…むゥ…んんっ」
口の中を舌で蹂躙され、抵抗する気力を奪われる。
「続けていい?」
耳元で囁かれ、最後に残った理性の一片まではぎ取られた。
「いい、よ…シンジ君の好きに…して…」
シンジ君の指が、舌が、私の身体を這う。
どこから来るのか分からない刺激に身を捩らせ、押し寄せる快感に身悶える。
「うン…あッ、ふあ…あ、あ、ん…ああッ!」
胸の辺りを撫でていた指がゆっくりと下腹部に伸びていき、ショーツの中に潜り込んだ。
「ケイのここ…すごいことになってるよ。本当はこういうの好きなんじゃないか?」
「いやぁ…そんなこと、言わない…で…ああぁッ!」
指が割れ目をなぞり、私の一番敏感な部分を刺激する。
「あぁッ……あぁンッ、あうぅ…」
「ケイはここが一番感じるんだよな」
「そんな…だ…ダメ…あぁ…」
私の体はシンジ君以外の男性を知らない。逆に、シンジ君には私の体の全てを知り尽くされていた。
「ケイ、ちょっと腰をあげて…」
言われた通り腰を浮かせると、一気にショーツをはぎ取られた。
湿った秘所が空気に触れ、ヒンヤリと冷たい。
シンジ君の指が中に入ってきた。そのまま内側を掻き回す。
指が動くたびに、私の秘所がクチュクチュと卑猥な音をたてた。
「ああッ!…んッ、あンッ…あうんッ」
両手を拘束されほとんど身動きが取れないため、絶え間なく続く指の動きから逃れることができない。
「ひあッ、うぅ…ふわぁ、シ、シンジ、君ッ、わたし…もう…」
だが、そこでシンジ君の動きがピタッと止まった。
「えっ?…シンジ君、どうして…?」
「まだ我慢して…ケイのHな声もっと聞いてたいんだ」
そう言って秘所から手を離し、今度は胸を愛撫する。
右の乳房を掌で撫で、反対の胸に口を付けた。



固くなった乳首を吸われ、舌で転がされ、甘噛みされる。
「くぅ…ん、あ…ン、ふぁ…」
一度ギリギリまで高まった体は、焦らされることでさらに敏感になっていく。
その後もシンジ君は秘所や胸への愛撫を続けたが、私がイキそうになるとそこで中断してしまう。
何度も焦らされ、私の体はとっくに限界を越えていた。
「シンジ君、も…ダメ…私…おかしくなっちゃうよ…」
「じゃあ、自分でしてみせて」
「自分…で…?」
シンジ君は何も言わない。代わりに、私の右手を拘束していた布を取り去った。
言葉の意味を理解し、しばし迷う。
(そんな…シンジ君が見てるのに…)
だが、私の体は羞恥心よりも女としての快楽を選んだ。
いけないとは思いながらも、下腹部に伸びる自分の手を止めることができない。
「シンジ君…見ないで…見ないで…」
恋人に自分の自慰行為を見られる。それはしかし、私の快感を一層駆り立てることになった。
自分自身を激しく掻き回し、悦楽の声をあげる。
「あっ…くぅ、ん…っ!!!んああぁぁぁぁ!!!」
そのまま一気に絶頂へと達してしまった。全身がビクビクと痙攣し、動くことさえも億劫になる。
「ケイ…すっげー可愛いよ…」
シンジ君が腕の拘束を解き、目隠しを外してくれた。
「ケイ…」
「シンジ君…」
もう言葉は必要なかった。
シンジ君が私の秘所にあてがい、私も彼を受け入れる。
シンジ君の熱いモノが、私の中に入ってくる。
「くっ…あっ!…ああッ!!」
腰が打ち付けられるたびに、はしたない声が洩れてしまう。
「あぅ…ああ…ふ、あ、あ あ あ…」
ベッドの上で体が弾む。視界がかすみ、意識が薄れていく。
「シンジ、君ッ…!お願い…キスして…」
シンジ君がキスしてくれる。
女としての快感と恋人の甘い口付けが混ざり合い、爆発する。
「あ、あ、ふわ…あッ、ああああぁぁぁッ!!!」
頭の中が真っ白になり、ゆっくりと、私は意識を失った。



気が付くと、私はシンジ君の腕に抱かれ眠っていた。
シンジ君も眠っているようで、規則正しい寝息が聞こえる。
見ると、私の体に付いた汗や体液は綺麗に拭われていた。シンジ君がやってくれたんだろう。
体を起こし、シンジ君の寝顔を眺める。
「まったく…何で君はHになるとこんなに強引なのかな」
鼻を摘んでみる。
「んぐっ…」
間抜けな声をあげ顔をしかめるが、目を覚ます気配はない。
その様子を見て、思わず吹き出す。そして、その寝顔に、そっと唇を重ねた。
「今回も、これでチャラね」

私は、本当にシンジ君が好きなんだろう。
あんなことをされても、彼への愛しさが勝って怒るきになれない。
(たぶん…ううん、絶対…私はこの人から離れられないんだろうな)
彼の腕の中。ここは、私だけのものだ。
とりあえず、もう少しこの暖かさの中で眠ることにしよう。


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