作品名 | 作者名 | カップリング |
No Title | 天邪鬼氏 | - |
【自室へ戻ってみる】 「溜まってるものを処理するか・・・」 それが性欲なのか宿題なのか。 聞くだけ野暮ってもんですぜ。 実は先ほど買い物に行った際に新しい本を仕入れてきていたのだ。 新作を心置きなく堪能するチャンスだと、シンジは小走りで自室へと急いだ。 妹がこんな状態のときに自慰をしに部屋に戻るというのも多少は罪悪感があるが、せっかく空いた時間を利用しない手はない。 カナミが起きるまで結構時間も空いていることだし、今日まで我慢してきたものをぶちまけたい。 カズヤと暇つぶしでもしようかと思ったが、さすがに時間が掛かりすぎるだろうし、なんとなく嫌な予感がするのでやめた。 新創刊『私はアナタのアナリスト』を片手に部屋に戻ったシンジの前に現れたのは、自分のベッドで気持ちよさそうに寝ている妹の友人の姿であった。 「アキちゃん・・・?」 状況がまったく分からない。 こんな早い時間に、人の部屋でなにをしているんだこの子は? 冷房がついていることから考えると、差し詰め自宅の空調でも壊れて非難してきたのだろうか。 「仕方ないな・・・」 ここで怒らないのがシンジの性格なのか、とりあえずカナミの看病を続けようと決めた。 とはいえこの本だけはどこかに隠さねば。 アキを起こさないように、そっと本棚に背表紙を奥側に向けて入れた。 「ん・・・・・・」 しまった、起きたか?! 一瞬焦ったシンジだったが、単なる寝返りだったことに胸を撫で下ろす。 しかし、胸を撫で下ろしたはずの手は自らの胸の高鳴りを実感する材料となった。 ぶるんっ・・・ 思いっきりくつろぐことを遠慮していたからか、アキはタオルケットをかぶらず直接ベッドに寝転がっているだけだった。 寝返りで少し体を動かしただけで、その豊満な胸は存在感を放ちまくっていた。 (うおおっ・・・!) 夏はイイ、夏最高!柔道最高! 秋山ばりのイイ声を心の中で叫びながら、シンジは思わずガッツポーズをとってしまった。 ただでさえ素晴らしい胸をお持ちだが、夏の薄着はそれを強調する効果を十分すぎるほどに持っていた。 一昔、キャミソールが流行りだしたときに「下着で歩いているみたいだ」「はしたない」などの意見が世間を賑わせたが・・・ 若者たちよ、大人の言葉に惑わされずに良く頑張った!感動した!! あそこでキャミソールが根絶していたら俺はこの喜びに出会うことは出来なかったかもしれない!! 過去の偉人たちを褒め称えている間に、アキは再び寝返りをうった。 うおしゃあああああああと喜びながらも、シンジは現状を冷静に分析する。 先ほどまで気づかなかったが、冷房の温度はあまり低く設定されていなかった。 そのため中途半端な温度となり、日光を浴びて結局少し暑めになってしまっているようだ。 結果として、アキは少し汗を滲ませながら若干寝苦しそうにしている、というわけである。 チャンス。 チャンスなのである。 今まで、不思議で仕方なかった。 人懐っこく、整った顔立ちに太りにくい体質。 さらに殺人的なアドレナリンを引き寄せるバストを持ち合わせた彼女が、今まで彼氏の1人もいなかったなんて。 違うのだ、これは神の巡り合わせなのだ。 自分の元に来るまで、綺麗な状態でいるために神がフィルターをかけていたに違いない。 欲望が限界レベルにまで至ったシンジは、行動を決意する。 まずは隣の部屋のカナミを覗く。 先ほどまでと変わらず寝息を立てており、しばらくは起きそうもない。 誰かがビルの屋上から覗いてないかとか、有り得ない想像までもしながら窓の外も確認してみたが、せいぜい犬が鳴いているくらいだった。 完璧な状況だ。 さぁ、いざ始めるぞというときに決意が鈍るのはよくあることだ。 妹の親友だし、ここでナニかしてしまったら犯罪者だ。 しかしこの状況でナニもないとか男じゃねー・・・ そんなとき、エアコンのリモコンが目に入った。 「・・・・・・そうだ・・・節電節電・・・」 シンジはエアコンの温度を上げた。 「う・・・・・・・・・ん・・・」 部屋の温度は上昇していく。 じわじわと汗が滲んで、艶を増していくアキ。 額の汗を拭ってワキフェチゲッチュゥ!と新たな境地を見つけ出すシンジ。 完全に被害者と加害者に分けられた空間の中、シンジの脳内ではまだ「セーフセーフ」だった。 このまま室温を上昇させ続ければ、もしかするとティクビが浮き上がってくるかも知れないわけです。 なぜか綾小路きみまろ口調で自分の期待を煽るシンジだったが、どうにもノーブラではなさそうだ。 もう少し、もう少し大胆になってくれ。 そう願うシンジは、とうとうエアコンのスイッチを切ってしまった。 最早体温もシンジの欲望も制御できる段階でなくなっていた。 「うぅ~ん・・・」 さすがにかなり寝苦しそうにしているものの、未だに起きる様子はない。 夏休み早々夜更かしでもしたのだろうが、シンジにとってすべてが好都合であった。 (間違いないッ!!確信したっ!神は今っ!!俺へ使命を架したッ!!妹?犯罪?なんのことです?) 自分にばかり好転する今の事態を、シンジは神からの献上品と信じることにした。 というか、現状を神に責任転嫁することでシンジは自らへの免罪符を作っていた。 いざ、甘美の世界へ・・・ シンジの手が、アキへと伸びていった。 ふにっ・・・ ファーストコンタクトは、人差し指だった。 柔らかい。柔らかすぎる。 一体なんだというんだ? マシュマロみたいというか・・・ アキを覗いてみても、まだ起きる気配はない。出来ればもっとぐっすり寝ていてほしい。 (カナミのやつ、睡眠薬とか持ってないかな) もう完全に犯罪者思考ですよシンジさん。 アキが起きていたならこうでも突っ込んだのだろうか。 駄目だ、もう我慢できそうにない。もっと触ってみたい。 シンジの手が再びアキの乳房へ伸びる。 ふにぃっ・・・ (柔らけぇ!!!!) 掌までは行く勇気がなかったものの、今度は五本の指で柔らかさを確かめる。 興奮と緊張のあまりシンジの手はプルプルと小刻みに震えているが、それすらもプルプルと反応を返すこの罪な胸が愛しくてたまらない。 完全に今までは未知だった領域。 もし自分が人としての常識をかなぐり捨ててカナミに迫っても、この感触を味わうことは不可能だ。 興奮のあまり力の加減がつかず、シンジは思わず強めに乳房を押してしまった。 ぷにゅぅーっ・・・ しまったぁ!と慌てて手を離すと、弾けるように乳房がたゆんたゆんと揺れた。 シンジが生唾を飲んだ瞬間、そのときは訪れた。 「うぅ~ん・・・ん・・・」 やべえええええええええええええええ さすがに起きたかぁああああああああああ シンジはとりあえず自分の顔を隠そうと、手近にあったジーパンを被った。 上下ジーパンという意味不明なクリーチャーになってしまったものの、これなら誰か分かるまい。 いや、実のところバレバレ極まりないが、今のシンジにそれを判断できる思考は残されていなかった。 ただでさえ冷房を切って暑いのに、頭にジーパンを被ってしまったのでかなり蒸す。 更に先ほどまでの興奮で、フーッ、フーッ!と息を漏らし、変質者の極みたる姿に成り下がったのは明らかに逆効果だ。 今起きられたらマズイ・・・が。 完全に起きたように思ったが、寝返りをうって反対側を向いただけに収まった。 爆発寸前だったシンジの心臓も、一命を取り留めた。 しかし壁側を向いてしまったために、さっきのように触るのが少し難しくなってしまった。 ・・・が。 その副産物は別のところに現れていた。 スカートが若干、まくれ上がってきていたのである。 ボーイッシュな格好をしていることが多いアキだが、今日はスカートを履いていた。 (なーに、スカートめくりなんて小学生でもやってるぜ・・・) もうシンジの価値観はとっくに崩壊している。 被っていたジーパンを床に置き、汗を拭いながらアキの元へと近づいていく。 これがドラマなら怪しげな音楽がこの場を盛り立てていることであろう。 スス・・・ 捲り上げる感覚を気づかせないように、慎重に、かつ大胆にスカートを捲り上げてられていく。 そこには、情熱的な深紅の布が存在感を示していた。 (赤ッ・・・!夏の開放感はここまでもぉっ!) 素晴らしきかなっ、と下着に手を合わせるシンジ。 さすがにこっちはヤヴァイだろ、と躊躇するが、どう考えてもさっきの時点で一線は越えてしまっている。 下着履いてるからセーフ!という理屈で自分を押し込めて、シンジは深紅の布に指を近づけた。 ヒタッ・・・ ここから足の隙間まで指を滑り込ませれば・・・ そう、男性ならあるモノがナイ、女性だけの領域がそこには待っている。 下着のラインに沿ってその谷間まで指を滑らせている最中だった。 「ん・・・」 ふおあっ! シンジは慌てて手を引いてなんとか逃れることが出来たが、今度は仰向けに転がったためにシンジの大好きな尻は拝むことが出来なくなった。 が・・・しかし。 お帰りなさい、おっぱい様。 日光が眩しいのか右手は目元にいっているし、左手は腹の上。 真っ赤な三角地帯に未練もあるが、彼女の魅力を最大限に発揮しているのはこちらだ。 だが、またチマチマと指で遊んでいるなんて耐えがたい。 思春期なのは妹だけじゃない、シンジだって思春期どころか発情期真っ盛りだ。 やってやる・・・やってやるぞ! 某シミュレーションゲームの雑魚キャラのように決意を固めたシンジは、ついに例の「アレ」を実行するときが来たのである。 ・・・そう、「巨乳を鷲掴み」だ。 その大きさと柔らかさを同時に実感できる、最も効率的な手段だ。 汗だくの手を乱暴にズボンで拭き、準備は万端だ。 (さぁ・・・・・・行くぞ・・・!) シンジは本人に圧し掛からないようにアキを跨って、マウントポジションで両手を構えた。 ごくりと生唾を飲み込んで、その掌をアキの胸へと伸ばしていった。 むにゅぅーっ・・・! (うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!) なんだ!?ナンダ!?NANDA!!!!? さっきまで十分に堪能したつもりでいたが、実際に鷲掴みにしてみると未だ知らない領域が存在していた。 (これが・・・・・・これが・・・・・・) その柔らかな手触りに感動を覚えながら、シンジの興奮は抑えきれないほどに膨れ上がっていった。 むにっ!むにぃっ! 角度を変えながら、何度も乱暴に揉みしだく。 キャミソールと下着越しであるにも関わらず、ゆさゆさと律儀に反応を返す乳房。 もう、我慢の限界。 直に・・・直に触りたい。 シンジは揉むのを中断し、両手をアキの肩に添えた。 ススス・・・といやらしく指を頂点までずらしていく。 その途中、地肌と衣服との境界線でシンジは指をストップさせる。 ここに指を引っ掛けて、まくってしまえば・・・ シンジの率直な欲望が、頂点まで上り詰めようとしたとき・・・ ガタガタッ (!?!?!?!?!?!??!?!??!?!) 隣の部屋から物音に、シンジは慌てふためいた。 バレリーナのように華麗にベッドから着地し、足音を立てないように、かつ迅速に隣の部屋へ向かう。 そこには布団に頭だけ突っ込んでいるカナミがいた。 「カナミ・・・起きたのか」 努めて冷静を装うとするシンジであったが、全身汗だくで息も切れ切れな姿はあまりに不自然なものだった。 「お兄ちゃん・・・おはよう♪」 にやり、と笑いながらシンジを見つめるカナミ。 シンジの額からさっきとは違う汗がひたりと落ちる。 「お前・・・・・・まさか・・・・・・!」 「分かってたよ・・・いつかこの日が来るのは」 「ちょっ」 っと待て、と言おうとした次の瞬間、今度は自室から物音が。 シンジが慌てふためく暇もなく、カナミの部屋までアキがやってきた。 「おー、カナミ起きてたんだ・・・。シンジさん、お邪魔してます。スイマセン、勝手にお部屋使っちゃってて・・・」 「い、いやいいんだよ。俺も今帰ってきたところだし・・・」 だよな、とカナミの目を見ると、先ほどまでと変わらずカナミの表情はニヤニヤとしていた。 「うんうん、色々買い込みすぎたんだよね」 「そ、そうそう!急いで走ってきたから汗かいちゃって・・・」 「でもアキちゃんなんで汗だくなのぉー?」 てめぇ!とでも言いたそうなシンジだったが、万が一に備えて表情を崩すわけにはいかない。 体中から噴出す汗が空調の風にさらされて、シンジは身も心も凍えるような気分だった。 「あぁ、空調入れてたんだけど・・・勝手に長時間使うのも悪いと思って、タイマーかけてたから。でもかえって汗でベッド汚しちゃったなぁ。スイマセン、シンジさん」 「い、いやいや!大丈夫!!この時期なんか毎日シーツ代えるし、むしろ俺のベッドなんて汗臭かったんじゃないかって申し訳ないくらいで」 「お兄ちゃん汗フェチにも目覚めたもんね!」 「んなわけないだろ!!」 ギリギリのやりとりは、妙に矢継早に行われた。 カナミのエロボケにより不自然さをなんとか流したシンジは、シャワーを浴びてくるといって浴室へと逃げ込んだ。 「アキちゃん、今日はありがとうね。」 「ん、いいよ。じゃあアタシは帰るね。」 シンジが入る前にシャワーにも勧められたが、どうせ帰りも汗かくよ、といってアキはそのまま帰路へ着いた。 手を振るアキを見送ったあと、カナミは再びニヤリと意味深に笑った。 「ふー・・・」 シャワーから上がり、アキが帰ったことを確認して一息つくシンジ。 しかし、これからが本当の地獄である。 「お兄ちゃん・・・ここに座って」 先ほどとは打って変わって真剣な表情のカナミを前にして、シンジはついに観念した。 「本当に・・・なんて言っていいか・・・」 「やったねお兄ちゃん!!」 想像していた発言と正反対の言葉が来たため、シンジは唖然として言葉が出なくなる。 というかなぜこいつは風邪なのにこんなに元気なんだ、と別のところばかり気になってしまう。 「お兄ちゃんの彼女がアキちゃんなら・・・私も許してあげちゃう!!」 「ま、待て待て!一体全体なんでそういう話になるんだ!!」 「えっ、だって・・・」 1人帰り道を歩くアキ。 その表情はどこか虚ろであった。 (はぁ・・・まさか、あんなことになるなんて・・・) 実は、アキは途中から目を覚ましていた。 シンジの部屋で起こったことを思い出しながら、アキは複雑な表情になる。 (正直・・・嫌じゃ・・・なかった自分がいるんだよなぁ・・・) 熱くなった下腹部を意識しながら、アキは早歩きで家へ急いだ。 (あそこで下着触られてたら、バレてたなぁ・・・危なかった・・・) あの状況に酔っていた自分がいたことを、アキ自身も分かっていた。 とはいえ、その自分を曝け出す勇気もまだ持ち合わせていなかった。 しかし、もう一度「それ」を望んでいる自分。 今や、常識という箍が微かにアキを制限しているだけなのであった。 (もう一回・・・同じことがあったら、そのときは・・・) アキは足を止め、振り返って城島宅の方向を見つめた。 (そのときは・・・) 「・・・マジか?」 シンジがカナミにズイっと迫る。 「まじまじ」 カナミはその反応を待ってました、と言わんばかりに嬉しそうににやける。 「アキちゃんもその気だったんだよ・・・その証拠にホラ!!ここにバッチリ写ってるでしょ?真ん中あたりをよーく・・・」 「っと待てぇぇぇぇぇぇェェ!!!」 当然のように差し出された盗撮画像に、シンジは青ざめた。 コイツ・・・まさか計算ずくで・・・ シンジの冷や汗が、背中をぞぞぞと伝い落ちた。 「そういえばアキちゃんって、いつも宿題終わるの遅くて苦労してるって言ってたなぁ・・・ウチでやれば、はかどるかもね♪」 イタズラっぽく肘でシンジを小突くカナミの顔には、悪びれた様子は一切ない。 コイツには適わないな、と項垂れながらも少し心躍らせるシンジなのであった。 ―――――――――思春期へようこそ!――――――――――
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