作品名 作者名 カップリング
「兄は発情期〜第二章〜」 72氏 -

城島家のいつもと変わらぬ―いや、1ヶ月前とは明らかに何かが違う―静かな夜。

「今日は…コレか…?」
風呂上りのシンジが部屋に戻ると、いつものようにカナミのパンツが机の上に置かれていた。
「俺…もっとシンプルな方が好きなんだけどな…」
図々しくも貰ったパンツに文句を言いながらも、シンジは少しにやけた顔でそれを握り締める。
続いてすぐさまズボンとトランクスを脱ぎ、彼はいつも通り"日々の日課"の準備をはじめた。
―それが何故か、ほんのりと温もっている事については…深く考えずに。


―そして、その隣の部屋では―
「…まだかな…」
壁にじっと耳を当て、静かに耳を済ませるカナミ。
彼女は兄が自慰を始めるのを、今や遅しと待ち続けていた。


あの日―兄のとんでもない痴態を目にしたあの日の夜―カナミは考えた。

―お兄ちゃんも今年は受験生。きっとフラストレーションも溜まっているに違いない。

―今日はあれで済んだけれど…大げさかも知れないが、いつか性犯罪に手を染めないとも限らない。

―妹としてできることは…なに?

そしてカナミが考えに考えて出した結論が…

『オナニー用に自分の下着をプレゼントして、それでヌイてもらおう!』

…本来はここでツッコミを入れるべきなのだが、
肝心のツッコミを入れるべきシンジは自分の部屋に塞ぎこんでいたわけで…
残念ながら、その行動を止めるものがいなかった。
カナミはその夜シンジの部屋に忍び込み、自分のパンツを机に置いた。
―メモにひと言、「プレゼント」と書き残して。

―次の日の朝、シンジはカナミの行動に何も言わなかったが…

―その顔は実に晴れやかだった。

こうしてシンジがまんざらではない様子でそれを受け入れてしまったことで、
その日からカナミは同じことを繰り返すようになる。
そして…今夜のように「兄がちゃんと溜まったモノを抜いているか」という名目で、
カナミが毎晩聞き耳を立てるようになったのは、それからすぐのことだった。

そんな思惑にまんまと乗っているシンジもシンジなのだが…
…まあカナミもカナミで、シンジに提供するためのパンツを買い足したり、
隣の部屋の兄の声がよりよく聞こえる壁の位置を探し当てたり、
そしてまたある時は、黙って作った合鍵でシンジの部屋にこっそり忍び込み、
床にわずかに残った恥ずかしいシミと陰毛の量から
兄がちゃんとオナニーしているかを調べたりしていたので…
…つまりまあ、どっちもどっちというわけで。


「…あ…ふっ…くっ…」
シンジが部屋に入って数分後、壁の向こうからその荒い息遣いが聞こえてきた。
「わ…今日も…激しいなぁ…お兄ちゃん」
そしてその呼吸に合わせるかのように、兄の部屋の床もギシギシと軋み始める。
「くふう…くっ…うっ…はあ…」
"ギシッ…ギシッ…"

「へへ…お兄ちゃんたら…」
自分のパンツに夢中な兄の姿を想像して、愛おしさとも言える感情がこみ上げてくる。
そしてそんなカナミの身体も、次第に火照りを帯び始めていた。
「もう…お兄ちゃんのせいだからね…」
もぞもぞと下半身へと伸びたカナミの手は、スカートの裾をつまみそのままゆっくりと引き上げていく。
―さて…先程カナミがシンジの部屋に置いてきたのは、"脱ぎたて"のショーツ。
スカートをめくりあげると、汗ばんだ白い太ももと共に…剥き出しになった陰部が晒け出された。
「…うわぁ…もうこんなに濡れちゃってる…」
何も穿いていなかったせいもあるのか、いつも以上に過敏な反応を見せるカナミの秘裂。
少し戸惑いながらも、カナミはそこに優しく指で触れる。
"くちぃ…"
「あっ…!」
触れた瞬間にカナミを襲った、甘く痺れるような刺激。
思わず声が出てしまい、カナミははっと口を塞ぐ。
(き…聞こえちゃった…?)
焦ったカナミは、じっと兄の部屋へと耳を澄ます。

…どうやらシンジには気づかれなかったのか、
相変わらず壁の向こうからはリズミカルに床の軋む音が響いていた。
ほっとしたカナミは、今度は声を漏らすまいと左手でしっかりと口を塞ぎ
再び自らの秘所を弄り始めた。


―自分の渡した下着を、お兄ちゃんはどうやって楽しんでいるんだろう?

―パンツに頬ずりしたり、匂いを嗅いだり…もしかしたら、しゃぶったり…?

―そして…いつも最後には、白い精液で私のパンツを汚して…

―まったく…洗濯するのは私なのに…汚れ落とすの、結構大変なんだから…

―血を分けた兄が、妹の下着で自慰にふけっている…それを考えるだけで
カナミの欲情は増し、身体の奥底から何かが疼き始めるのだった。
(もうっ!…変態だよ…お兄ちゃんたらっ…!)
カナミは優しく秘唇の周囲をなぞった後、既に十分に濡れそぼった膣内にゆっくりと指を差し入れる。
"ずぷり…ぬちゅう…"
程なくして完全に奥へと沈み込んだ指は、カナミに快楽を伝えるべく
シンジの呼吸に合わせて蠢きはじめた。

「うんっ…くふう…ふぅん…!」
決して兄に気づかれるまいと、懸命に声を抑えるカナミ。
膣内はクチュクチュと淫靡な音を立て、そこを弄る彼女の指の動きも激しくなる。
(お兄ちゃんも…もう、イキそう…?)
次第に速まっていく兄の息遣いに、その行為の終焉を悟るカナミ。
(待って…待ってよ…私もすぐにイクからっ…!!)


「…んっ…ふっ…ひ…んくうううぅっ…!!」
―やがて訪れた絶頂に、耐え切れず声を漏らすカナミ。
快楽が全身を駆け巡り、彼女は一度背中をビクッと大きくのけぞらせた後
そのまま床へと崩れ落ちた。
カナミが指が引き抜くと、膣からあふれ出た愛液が絨毯の上に染みを作っていく。
そして兄も絶頂を迎えたのか、いつの間にか隣の部屋は静けさを取り戻していた。
「お兄ちゃんも…イッてくれたんだね…良かった…」
兄が今日も満足してくれたことに、カナミは嬉しそうな表情を浮かべた。

―しばしの休息の後、一仕事終えたシンジが静かに一階へと降りていく。
洗濯籠には、兄に思う存分汚されたショーツが放り込まれるに違いない。


「…そっか…そうだよ…ね…」
未だ全身に力が入らぬまま、部屋の天井をぼうっと眺めるカナミ。

―薄々は気づいていた。自分のしている行為が、既に軽い冗談では済まないということに。

―そして何よりも…カナミ自身が、"それ"を毎夜心待ちにするようになったことに。

「…私も…お兄ちゃんとおんなじ……変態だね……」

―快楽の余韻に浸りながら、カナミはどこか虚しそうにそう呟いた。

(つづく)

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