作品名 作者名 カップリング
「猫と噂」 72氏 -

「ねえ、知ってる…?」
「出るんだってよ…」
「えー、嘘だろ…」
「いや、俺の知り合いで見た奴がいるって…」


―小笠原高校で、とある"噂"が広まり始めたのは1カ月程前からのこと。

それは―夜の学校に"化け猫"が出る―という突拍子もない噂。

ただそれを聞いただけでは、誰もが一笑に付す冗談のような話。
まだ幽霊の類が出るといった方が信憑性があるというものだ。

だが―現実に夜の校舎でそれを目撃した者がおり―
―その時に怪しげな声を聞いたという人もいたとかで―

やけに信憑性を感じさせるその話は、生徒の間で噂になり続けていた。

―ただ、実際にその噂の真実を確かめた物好きは、今のところ誰もいない。

―そう、誰もいない。

―もし噂を確かめようとする奴が現れたら、たまったもんじゃない。

―俺が…困るのだ。



「なあ…もう、やめないか?」
「え?何をですかにゃん?」
お尻から延びるしっぽをゆらゆらと揺らせながら、俺の彼女であるマナカは首をかしげた。
「だから…結構噂になってんだぜ…化け猫が出るって」
静まり返った夜の小笠原高校。今は使われていない空き教室に、俺とマナカの二人だけ。
当然ながら他に生徒は誰もいない。
そして…今目の前にいるマナカは"化け猫"のカッコをしている。
文化祭でカナミたちのクラスがお化け屋敷を開いた時に使った代物だ。流石に初めて見た時は面食らったなあ…
そう、彼女こそが噂の正体。"化け猫"というわけだ。

「別に…私はかまいませんけど。」
噂などそ知らぬと言った顔のマナカ。
「でもさ…こんな所を見られたら、何ていいわけするのさ…」


「あら…私をこんな淫乱な女にしたのは…誰でしたっけ?」
「いや…それは…」
「文化祭のあの日、私の処女を奪ったのは…」
「…はい…俺です。ゴメンなさい。」
「わかればいいんです…にゃあ」
そう言って笑いながら、マナカは俺に猫のようにじゃれ付く。
もともとネコミミ属性など持っていなかった俺だが、今はそんなマナカが可愛くて仕方がない。
そしてマナカは俺の膝の上に乗り、頬を摺り寄せて甘える。
マナカのその仕草が可愛くて、いつものように俺はマナカの華奢な身体を抱きしめる。
「あの日は…本当に痛かったにゃあ…」
「いや…もうその話はやめて…」


―それは1ヶ月前のあの日。
文化祭が終了し片付けも一段落ついたその日の夕暮れ、俺はマナカに呼び出された。
呼び出されたのは誰もいない空き教室。
そこにお化け屋敷での"化け猫"のカッコをしたままのマナカがいて。
一体どういう事かと聞こうとしたら、
マナカに「ずっと前から…好きでした」と告白を受けて。
あまりにも突然の事で俺も戸惑った。
「いや…いきなりそんなこと言われても…」
「嫌いなんですか?私のこと」
「いや、そういうわけでは…ないけどさ」
「じゃあ…今、他に付き合っている人が?」
「…別にいないけど」
「だったら、私と付き合ってください。」
「あ、う…」


―今、俺の目の前に好きだと言ってくれる子がいる。それに断る理由もない。
そしてマナカちゃんは…ぶっちゃけ好みだ。
ええい、何を悩む必要があるのか。…いけ!俺!!

「じゃあ…分かった。こんな俺で良かったら…よろしく。」
「ほ、本当ですか?…ありがとうございます!…嬉しいです」
ぱあっと顔が明るくなるマナカ。こんな笑顔は今まで見たことがなかった。
「では、気が変わらないうちに早速…」
「へ…?」
その直後、俺はマナカにいきなり唇を奪われて何かを口に流し込まれた。
「う、うぐっ…」
"ごくっ…こくっ…"
謎の液体は喉を通って、身体の隅々へとしみ込んでいく。
途端に身体の奥が芯から熱くなって…
「な、何を…?飲ませたの…マナカちゃん…?」
「媚薬…ですにゃん♪すぐに私が欲しくてたまらなくなるにゃんよ♪」
「なっ…!!」
「晴れて恋人同士になれたことですし…私…お兄さんに早く処女を奪って欲しくて…」
「で、でも…」
混乱する俺の目の前で、純潔の証である貞操帯を外し俺に迫るマナカ。
媚薬が効いたのか、俺の心臓の鼓動も激しくなり―ある一つの欲望が膨れ上がる。

―犯したい―今すぐ―目の前の女を―抱きたい。

(ま、まずいぞ俺!?抑えろ俺!)
必死で欲望とむくむくと起き上がるムスコを理性で押さえ込もうとするが…

「お兄さん…私の事…好きにしていいです…にゃん」と言われた直後。
俺の中で何かが"ぶちん"と切れる音がして…

―そこから後はよく覚えていない。

気付いた時には、俺の目の前には裸になって横たわるマナカの姿が。
床には破瓜の証である血が点々と。
そしてそんな状況に戸惑っている俺の耳元で、猫耳マナカはにっこりと笑いながらこう囁いた。


「ふふ…責任…とってくださいね♪」


―こうして俺は逃げ道を失ったわけだ。


―マナカ曰く、他にも俺の事が気になっている女子は多かったそうで。
(アキちゃんとか、今岡とかがそうらしい)
このままではいつか他の人に取られるのでは―という焦りから―
「えへ…強行手段をとっちゃいました。」
…だそうな。
―こうして俺とマナカの交際は始まったのだ。


―そんなこんなで、二人が付き合い始めて約1カ月。
その間に俺とマナカはこの夜の教室で、何度も肌を重ねあった。
どこから手に入れたのか、マナカは学校の裏口の鍵を持っていて、いつでも自由に学校に出入りできるのだ。
お互いの家やラブホテルでした事もあったが、マナカは純潔を失ったこの場所で俺を求めることが多かった。
ここではいつもマナカは"化け猫"のコスプレをして、他の場所でするよりも激しく乱れた。

以前俺がマナカに抱いていた、
「時々エロネタは言うけれど、基本的には清楚で落ち着きのある少女」
といったイメージはここ1ヶ月ですっかり崩れ、
そして今―俺の前では、マナカは大胆でエロい娘に成長していた。
その理由について「貞操帯を外してから、性格が開放的になったんですよ」とマナカは言っていたが―
―それだけが理由なのかは俺にもよく分からないが。

「分かりました。それでは、ここでするのは今日で最後にしましょう。」
俺の説得が功を奏し、マナカはようやくの事で承諾してくれた。
「え、ホント?」
「その代わり…今日はたっぷり私を可愛がってくださいね…にゃん♪」
「まあ…善処する」
「ありがとうございます…にゃん」
「いや、無理して語尾に"にゃん"つけなくていいから…」
「ふふ…じゃあ、始めましょう…にゃん」

軽くキスを交わした後、早速俺はマナカの上着をめくり上げ乳房をあらわにさせる。
「すみません…私の胸ちっちゃくて…」
「いや、小さいのもなかなか…」
「でも…男の夢なんですよね…パイズリって」
「だから、別に気にしなくていいって…小ぶりなのもこれはこれで…」
そう言って俺はマナカのその小さな乳房を掴み、優しく絞り込むように揉み上げる。
ちょうど手のひらにすっぽり収まるマナカの乳房の感触を、俺は十分に味わう。
"くにゅう…ぷにい…"
「ああっ…くうん…」
マナカが感じているのを確かめながら、続いてそのふくらみの上にぽつんと置かれている乳首にしゃぶりつく。
"ちろ…ちゅう…"
「…はあっ…ん」
「はは…感じてるんだな。乳首が立ってきてるよ…」
「いやぁ…もう…お兄さん…」
起立した突起を舌で舐め転がしながら、左手でもう片方の乳首を指で弄ぶ。
その刺激に耐えかねて、マナカはその肢体をくねらせる。
「あ…んっ…」


一旦胸への愛撫を止めると、マナカの身体が床に崩れ落ちる。
「あ…あの…私ばっかり気持ちよくなっても…いつもみたいに…しますからぁ…」
一方的に愛撫される事に悪いと思ったのか、俺に奉仕を申し出るが…
「いや…今日は…いいよ」
「え?」
そう言って俺はマナカの下半身に手を伸ばす。
虎柄のスカートの下は、いつもと変わらず下着は穿いていない。
マナカの秘部に俺の指が触れる。
"くちゅ…"
「あ…うっ…くうん…」
―思ったとおりだ。マナカのそこは、既に十分に濡れそぼっていた。
「やっぱりな…もうこんなにグショグショじゃないか…」
「あの、これは…ああっ…いにゃあ…」
割れ目に指を滑り込ませそのまま動かすと、マナカは身を震わせた。
「愛撫の必要もないかな…
さあ…マナカ、正直に言ってごらん。もう我慢できないんだろ?」
我ながら嫌らしい言い方で俺はマナカに尋ねる。

「は…はい…もう…我慢できませんにゃあ…」
「じゃあ、仕方ないな。本当に淫乱なメス猫だね…マナカは。
…これだろ。コイツが欲しいんだよな。」
俺はズボンとトランクスを脱ぎ、起立した男根をマナカの前に差し出す。
待ちかねたぞと言わんばかりに飛び出したそれを見て、マナカは顔を真っ赤にしながら訴える。
「はい…私は淫乱でエッチなメス猫…は、早く…それを…入れてほしい…にゃん」
「分かったよ…じゃあ早く準備しな」
「は…はいにゃあ…」
マナカは机に手をつき、俺に向けてお尻を突き出す格好をとる。
「やっぱりバックが好きなんだね、マナカは。…本当に獣みたいだな」
「いや…恥ずかしいですにゃあん…」
「次は自分でスカートをめくって…」
「は、はいぃ…」
俺に言われたとおり、自らの虎柄のスカートをめくり上げるマナカ。
月明かりに照らされて、マナカの愛液で滑った秘所がてらてらと光る。
俺を受け入れる準備が整ったその花弁は、ひくひくと蠢いて俺を誘っていた。


「早く…来て…お兄さん」
「お兄さんはやめろってこの前言ったろ…シンジでいいからさ」
「は…はい…シンジさん…早くぅ…」
そう言って、マナカは腰をくねくねと揺らせながら俺に訴える。
その魅惑的な姿に、もう俺も、そして俺の下半身も我慢の限界だ。
「よし、行くぞ…」
右手で尻尾を掴んで腰を引き寄せ、俺はマナカの中へ分身を一気に突き入れた。
"ぐちゅう…"
「あ…ふあっ!!」
"ずぶう…"
マナカの膣は、思っていた以上に俺を滑らかに受け入れていく。
「動くよ…」
"ずっ…ずっ…"
腰を動かすと、マナカは快楽を訴える声を上げ始める。
「はあ…にゃあ…いいっ…にゃあっ…!」
次第にマナカの息が荒くなる。そして俺も腰をより激しくマナカに叩きつけていく。
「ああっ…いいです…にゃおん…!」
快感に悶えるマナカは、さかっている猫のように叫び声を上げながら
自らも腰を振り、男根に心地よい刺激を加えていく。
ただ今日は…いつもより激しくて…気持ちが良い。
身体の奥から快楽がこみ上げてくる。
もう…イッてしまいそうだ。
「う…ゴメン…マナカ…もうイキそう…」
「え…早すぎ…ああっ!!」
"どくっ…"
―激しく締め付けるマナカの膣に、不覚にも俺の男根は限界を超えてしまい―
俺はマナカの中に熱い精液をぶちまけた。


「ご、ゴメンな。俺が先に…」
「くす…別にいいですにゃん。でも…今度は一緒にイキましょうね。
もうシンジさんの準備もOKみたいですし…」
若さってやつなのか、既に臨戦態勢に入っている俺のムスコを見ながら、
マナカはくすくすと笑う。
「はは…参ったな。
…じゃあ、今度はどうする?またバック?」
「いえ、次は…」


マナカのリクエストを受けて、続いて俺はマナカを正面から抱きかかえ
俗に言う"駅弁"の体勢になる。
抱きしめたマナカの身体は思っていたよりも軽く、そして柔らかい。
「じゃ…もう一回…」
「は…はいにゃ…」
そう言って、俺はマナカの腰をゆっくりと自らの分身へと導いていく。
「あ…ん…」
そして先端がマナカの柔肉に触れる。
そのまますぐには入れずに、しばし割れ目の上を先端でなぞる。
"くいっ…つつ…ずっ…"
「くう…はあ…シンジ…さん…?」
「あれえ…おかしいな…うまく入らないや…」
「あ…もう…あふぅ…」
分身が擦るたびに喘ぎを漏らすマナカの反応を楽しみながら、俺は意地悪く彼女を焦らしていく。
「もうっ…意地悪しないでくださいにゃあ…」
「はは、ゴメン。じゃ、入れるよ…」
堪りかねたマナカに急かされて、ようやく俺は腰を上げて分身を再びマナカの中へ侵入させた。
「ああっ…入って…くる…にゃあっ!」
マナカのお尻の肉に俺の指がじわりと食い込ませながら、
そのまま俺は下半身を激しく振り、マナカの膣に刺激を与えていく。
「ふうっ…くうっ…!」
更なる快楽に身を捩じらせながら、マナカは俺に顔を寄せキスをねだる。
俺はその要求に応じてマナカの唇を奪い、口を押し開いて舌をこじ入れる。
"ぴちゃ…くちゃ…"
二人の舌が絡み合い、溶け合っていく。
「はぁ…ふう」
「くはあ…うくっ…」
誰もいない深夜の学校で激しく絡み合う俺とマナカ。
月明かりに照らされて、マナカの肌が艶かしく照らされる。
そのマナカの白い肌は、いつの間にかほんのりと赤く染まっていた。

「ああ…もう…俺…」
「わ…私も…ああっ…にゃうっ…!」
限界が近いのを悟ってか、背中に回されたマナカの腕の力が強くなり、
ぎゅっと俺の身体を抱きしめる。
そして、俺とマナカは絶頂へと昇り詰めていく。
「い、いくぞ…!!」
「はあ…う…く…ひ…いにゃああっ!!」
俺が大きく腰を突き入れた次の瞬間―
マナカはその身を思い切り反らし絶頂に達して―
―そして俺は、本日二発目の精をマナカの中へと吐き出した。


「はあ…シンジさん…気持ちよかったですにゃん♪」
「だから…別に無理矢理"にゃん"と付けんでも…
それにしても今日は激しかったな…マナカ…」
「ふふ…今日でこの場所では最後ですから…ちょっとはりきっちゃいました。」
マナカはくすりと笑って、再びキスをねだる。
そんなマナカが愛おしくて―未だ繋がったままのちょっと間抜けな格好ではあるが―
マナカに求められるまま、唇を重ねた―

―その時だった。


"カシャリ"


―突如廊下の方から、カメラのシャッター音が聞こえた。


「はっ、大方こんな所だろうと思っていたわ…でも意外な組み合わせね」
驚いた二人が廊下を見る―その視線の先には。
「「こ、小宮山先生!?」」
そう…そこにはデジカメを構えた小宮山先生がいた…。
そして硬直する俺とマナカ。
「あ、慌てないで。そのまま楽にしてていいわよ」
「いや…俺たち繋がったままなんで…」
「あら、そうね…じゃ、せっかくだから…ハイ、チーズ♪」
「「チーズッ…ってなにいイイイイイっ!!」」

"カシャリ"

「…撮れたわ。ほら、二人の記念すべき結合の瞬間よ。」
「うわー、結構きれいに撮れてますね…って今すぐ消せーっ!!」
「えー、もったいない…パソコンの壁紙にでもしようと思ったのに」
「…ちょっと待て」
「じゃあ消す前にこの記念写真をカナミちゃんにでも送ろう…」
「「…勘弁してください」」


「…しっかし…凄い乱れようね、黒田さん。ほら、これなんかいい表情してるわよ」
「いや、そのう…」
いつの間にか律儀に正座する俺ら。その前で小宮山先生は今撮ったばかりの画像を吟味していた。
小宮山先生には、俺たちの今までの関係を洗いざらい聞き出されてしまった。
「えーっと、話によると付き合い始めたのは…確か1カ月前だっけ?全然気が付かなかったわ。」
「はあ…まあ…学校では二人の関係は隠してたので…」
「ふうん…そう言えば文化祭が始まる前辺りに、科学準備室に置いてあった
私の特製の媚薬が無くなってんのよねぇ…いつの間にか戻ってきてたけど。
…どういうことかな?黒田さん?」
(媚薬!?…まさか)
俺がある事に感づいてマナカの顔を見ると、彼女はすぐに顔をそらしてしまった。
…そうか…俺に飲ませたのって…なるほどね。
小宮山先生もそんな俺たちの今のやりとりで感づいてしまったようで。
「ふうん…やるじゃないの、黒田さんも。クスリで意中の男性を落とすなんてね…」
「あ、あのう…この事は…どうか、ご内密に…」

「ま、いいわ。今回は特別に黙っててあげる。」
「「ほ、本当ですか?」」
「うん。でも、その代わり…」
「「え?」」
小宮山先生はにやりと笑って、こう続けた。


「私も仲間に入れなさいよ」


その日を境に―「夜の小笠原高校には、"二匹"の化け猫が出る」という噂が広まり始めたとか。

―で…そのせいで俺が毎夜毎夜死にかけているのは…言うまでもないわな。

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