作品名 作者名 カップリング
『アイドルの発声練習』 白雀氏 -

「よく噛んじゃうんですよ」
「噛む? 何を?」
「チンコ!」

 ……という、あと一歩で取材打ち切りになりかけた騒動から三日後。
 他の面々が休日や営業で、そこにいるのはマネージャーの井戸田一人だけのレイ・プリンセス事務所。今後三人をどう教育していくべきか必死に考えていた井戸田は悩んでいた。
 マニュアル本を真剣に読みながら、とりあえずどうやったらあの三人がまともにインタビューできるアイドルに育ってくれるかを真剣に考えていた。
 頭の中で5つくらいシミュレートが完成し、しかしそのどれもが大して効果がなさそうだという結論に達し頭を抱えかけたその時、ガチャリとドアノブを回す音がした。井戸田の意識は自然とそちらに向けられる。

「おいっす、ヒロ君」
「こんにちはシホちゃん。どうしたんだい?」
 右手を元気に上げ、入ってきたのはおそらく、いや確実にトリプルブッキング一の問題児こと飯田シホであった。
 井戸田は頭の中でカレンダーを展開し今日のスケジュールを確認するが、今日は仕事も打ち合わせもなかったはずである。故に、来なくてもいい日にシホが一人で来るというのは珍しい。
 何かあったのかと、不安半分心配半分、つまりマイナス思考十割でシホにやや硬い笑みを見せる。
「うん。今日はヒマだから噛んじゃう癖を直す練習しようと思って。この前また失敗しちゃったしね。というわけでヒロ君、練習付き合ってー」
「なるほど。いいよそういうことなら喜んで」
 幾分井戸田の笑みが柔らかくなる。まさかこの子が自分から、オフの日に(といっても駆け出しの彼女たちにとってオフの日のほうが多いのだが)自分の欠点を克服しようと申し出てくるとは。
 シホちゃんもだんだんとアイドルの自覚を持ち始めてきたんだなぁ…とまるで父親のような気分でうんうん頷く井戸田。
「それじゃあそこの椅子に座って。この前と同じように……実際のインタビュー形式で行こうか」
 『本番を想定して』と言いかけた言葉をかろうじて飲み込む井戸田。そんなことを言ったらどうせまた『いきなり本番なんて…まずは前戯から』とかボケるに決まってると井戸田の脳が瞬時に判断した結果であった。
 
「いや、それちょっと待った」
 ビシッ、という効果音が聞こえてきそうなほどに、シホは右手をパーにして真っ直ぐに突き出す。
「?」
 突然のストップに首をかしげる井戸田。まさか『本番』という言葉を使わないとこの子には伝わらないのかなどと再び嫌な予感襲来。
「確かに本番を想定してあらかじめ慣らしておくことは大事なんだけど、昨日一日考えた結果それより大切なことがあると思ったんだよ私は」
 シホがボケてるのか真剣なのか井戸田には判断が付かなかったが、少なくとも顔はふざけていないのは分かった。とりあえず言わせて見よう、この位の年頃の女の子は自己主張がしたい年頃なのだろう。と井戸田は思う。
「それはいったい?」
「ズバリ発声れんひゅ……発声練習! いくら本番を想定しても、それ以前に基本がなってないといくら練習したところでどうせ噛むのが落ちなんだから、まずは口を正しく動かして声を出す練習から始めることにしたんだ」
 ……うおおおおお、まさかこの子が、口を開けば下ネタしか出てこなくて体は下ネタで出来ているのかとさえ思われた飯田シホがここまでまともなことを言うなんて! アイドルとして成長を見せてくれるなんて!
 井戸田は感激のあまり目から一筋の涙さえ流した。

 しかし、井戸田はまだこの時気付いていなかった。
 飯田シホという思春期の少女を甘く見ていたことに……。


「でも、それなら鏡の前で一人で発声練習するだけでも十分じゃないかな? 俺が手伝えることって何かある?」
 むしろシホくらいの年頃は、口が正しく動いているか鏡の前でチェックしながら「あえいうえおあお〜」と発声するところを見られるのは恥ずかしいのでは、と考えながら井戸田は軽く視線を上げ天井を向く。
「うん。ヒロ君はその椅子に座ってるだけでいいよ。お仕事あるんなら仕事しながらでもいいし」
「? ああ、なんだか知らないけど俺がいた方がいいのなら」
「うん。社長や三瀬さんじゃダメなこと。小田さんだとさすがに口に入らないだろうしね。いやーちょうどヒロ君一人で助かったよ」
 他人がいる、ということを自分に意識させて緊張する環境を作りたいのかな、と井戸田は合理的な結論に達する。

 『女性である社長や三瀬さんではダメ』
 『小田さんのでは口に入らない』
 井戸田はまだ人生経験の浅い新人である。言葉の裏を全て読めるほどの優秀さと鋭敏さを求めるのは酷であろう。だがしかし彼はこの時点で気が付くべきだった。このシホの言っていることが、何を意味するか。 

「じゃヒロ君、そのまま座っててねー」
「ああ」
 とりあえず、さっきまで読んでいた『絶対成功マニュアルVol11・マネージャー編』に再び目を通し始める井戸田。
「あ、もう少し足開いてくれるかなヒロ君」
「うん」
 足を開いてできた空間の中に、シホが膝立ちで割り込む。ちょうどシホの顔が井戸田の股間あたりに来る体勢になった。
「それじゃ失礼まーす」
「ああ……ってちょっと待てえぇぇぇぇぇ!!」
 シホはまだ子供らしい小さな手を伸ばすと、右手でゆっくりと井戸田のズボンのファスナーを下ろす。開かれた社会の窓の奥には、青と緑の縦縞のシンプルなトランクスの柄が顔を覗かせていた。
「こら動くなヒロ君。手元が狂ってチンコ挟んじゃったらどうするの」
 井戸田が混乱している間に、シホは社会の窓に細い指先を突っ込む。もぞもぞと手を動かし、まだ柔らかいままの井戸田のペニスを取り出す。少女特有の柔らかく体温の高い指が触れたことで、少しずつそこに熱い血液が巡り始め硬度を高めていく。
「……うわ、うわ」
 右手でペニスを握ったまま、左手を広げて視線を隠すように目の前に持ってくるシホ。しかし指は大きく広げられており、ペニスを見ないようにしようとするどころか隙間からバッチリと観察している。
「よ、よーし、いきゅよヒロ君」
 初めて見る男性器を前にさすがに緊張しているのか、噛みながらも断固立つ決意をその薄い胸に秘め、覚悟を決めたように顔をさらに近づける。シホの鼻息がペニスの裏にかかり、井戸田はくすぐったさと心地よさに体を震わせる。
 全体を包み込むように握った右手を軽く上下に動かし、ナマコから明太子くらいにまで硬くなった井戸田のペニスをシホは恐る恐る、しかし決して目はそらさないまま大きく開けた小さな口へと含んでいく。

「こらこらこら! 待てシホちゃん!」
 シホの舌の先端が亀頭に触れた刺激で井戸田は我に返った。自分がマネージャーを勤めている13歳の少女がいきなりフェラチオを始めるというあまりにも現実離れした光景に頭の中がカオスになっていた井戸田は、
 ようやく現状の危うさを自覚するとシホの頭を両手でつかんで強引にペニスから引っこ抜く。
 シホは不満そうな表情というよりは、なんで止められたのか分からないといった不思議そうな表情で跪いたまま井戸田の顔……いやペニスを見上げる。

「何だよヒロ君。練習手伝ってくれるんじゃないの?」
「シホちゃん。性知識の豊富な君のことだから知ってると思うけど、これはフェラチオといって世間では男が18歳未満の女の子にしてはいけない行為の一つ、
 および通常は好きあってる大人の男女間で行われる性愛行為として認識されているんだけど、これがどうして噛まないための発声練習になるのか新人マネージャーの俺に教えてくれるかな」
 遠まわしに「これのどこが練習だ。とにかく止めなさい俺を刑務所に入れる気か君は」と言った井戸田だったが、シホは良く聞いてくれましたとばかりに口元に得意そうな笑みを浮かべる。
 先ほど一瞬とはいえ井戸田のペニスを含んだ唇からは唾液の糸が一筋引かれ、シホの唇と井戸田のペニスを繋いでいた。


「うん。私も昨日知ったんだけど、発声練習の最初の段階で大切なのは『噛まないように意識して』発音することなんだって。だから普通に発声するよりは、口の中に噛んじゃいけない物を頬張って、それを噛まないように注意しながら声を出すのが効果的なんだって。
 特に男の人のチンコは大きさもぴったりだし、一度口の中に入れると男の人がなかなか離してくれないし、噛んだら大変だしってことでアイドルのレッスンに最適なんだって。それにこの前私が噛んで失敗しちゃったのも同じ『チンコ』だよ? これはもう運命の偶然としか」
 井戸田は突っ込みたかった。心の底から突っ込みたかった。しかし突っ込むべきところが5個や6個では済まなくて、どこから突っ込んでいいか分からず、そのうち彼は考えるのをやめた。

「……シホちゃん。参考までに聞くけど、そんな知識どこで覚えたの?」
「うん。昨日発売された人気女子高生官能小説家・黒田マナカの新刊『アイドル陵辱レッスン』」
「……頼むから、そんなの読んでることは絶対にインタビューで答えないで」
「分かってるよ。清純なアイドルにはちょっと相応しくない作風だしね」
「それ以前に君は18歳未満なのっ!」
「アイドルを目指す女の子が悪徳プロデューサーに騙されて強制的にチンコ咥えさせられるシーンの描写がまた見事でさ」
 突っ込む井戸田。しかしズボンのチャック全開で、しかもそこからチンコ丸出しの状態で突っ込んでも間抜けなだけであることは残念ながら否定できない。
 女将を呼べ! いや、こんな汚れを知らない(?)少女にこんな乱れた知識を教えたその官能小説家を呼べ! と頭の中で怒鳴ったが、きっと井戸田がその小説家に口で勝てる日は永遠に来ないであろうことはこのスレの方々なら皆承知していることだろう。

「すごいよね。私こんなこと初めて知ったよ。なんでこんな効果ありそうな練習、今までだれも教えてくれなかったんだろうね」
 答え:アイドル目指す未成年の女の子にそんなこと教えたりしたら確実にしょっ引かれるから

「それなら別にアイスとかでも」
「アイスだとすぐ溶けちゃうし、私アイスは噛んで食べる派だし」
 自分の股間のアイスキャンディーを噛んで食べられる光景を想像し、井戸田は一瞬目の前が真っ暗になった。

「し、シホちゃんは疑問を抱かないのかい。いやそもそも男のモノを口に含む行為に抵抗とか嫌悪とか、そういうのがあるだろ」
「大丈夫だよヒロ君。アイドルはみんな、その恥ずかしさを乗り越えて一つ成長していくんだよね。それにヒロ君のだし」
(……社長。俺、最近の女の子が分かりません)
 井戸田に分かったことといえば、少なくともシホはふざけていたり性への知的好奇心からこんなことを言い出しているのではなく、至って本気だということだった。
 少なくともシホとしては、噛み癖をなくしアイドルとして成長するため、大真面目に努力しようとしている。それはシホの恥らいつつも真剣な表情を見れば確かなことだった。もっとも、その前提となる知識に大きな間違いと大きな問題があるのだが……。




「け、けどねシホちゃん。万が一こんなことしてるのを誰かに見つかったら、俺も君もやばいことに……」
「……ダメ? 私みたいな子供にこんなことされても嬉しくないの?」
「う……」
 一瞬、寂しそうな哀しみの色を帯びた目で見上げられ、井戸田は思わずドキリとさせられる。そう。まだシホは子供なのだ。
 しかし仮にもアイドル候補としてレイ・プロに採用されただけあって、黙っていれば顔は可愛いし、子供っぽい顔つきの中にも将来を期待させる官能的な艶っ気が隠されている。そんなシホの上目遣いは、一瞬彼女が13歳の少女であることを忘れさせてしまう。
「頼むよヒロ君。私だって、ユーリちゃんやカルナちゃんやヒロ君にこれ以上迷惑かけたくないんだ」
「う、うん……」
 いま既に俺に迷惑かけてるんだけど、というツッコミが井戸田の口から出てくることは無かった。
 彼自身、ずっとシホに握られたままのペニスは既にシホの手に加減良く握られる感触で興奮し、シホの手に収まりきらないほどに硬く大きく反り立っていた。この状況を誰かに見られるリスクと、シホの噛み癖が収まるメリットが頭の中で天使と悪魔の如く戦う。
「それじゃ続けるよ。わ、私だってキスもまだなのにこんなことするのホントは恥ずかしいんだからね」
「……分かった。これがシホちゃんにとっていいと思うんならその気持ちを尊重するよ。責任は俺が持つ」
(無理に反対してシホちゃんの機嫌を損ねてしまうのはよくないしな。これもマネージャーとしての仕事のうちだ、うん)
 結局、この硬くなったペニスをどうにかしたい。13歳の少女の口で射精したい、という男としての性にはとうとう井戸田も勝てなかった。
 心の中で無理やりこの状態を続けさせる理由を免罪符として作り出し、シホの頭を抑えていた手を緩め、片方の手でいとおしそうにシホの頭を撫でる。
「サンキュ、ヒロ君。

 ……噛んじゃったらごめんね♪」

 笑顔で再びヒロのペニスを咥え込むシホ。一方井戸田は、この状況で最も言われたくなかった不吉な事前の謝罪を聞いて、『もしや俺は選択を誤ったのでは…』とひそかに冷や汗を流していた。



「んく、んっ、んん〜」
 まずはペニスを限界まで大きくさせるつもりなのだろうか。シホはつたない手つきでペニスの根元や睾丸を愛撫しながら、唇を使ってペニス全体をしごき、舌を絡めて裏筋を刺激し始める。
 しかし、ほとんど痴女の如く井戸田のペニスを含んだシホだったが、当然彼女にとってフェラチオの経験などあるはずがない。その動きや舌使いはお世辞にも巧いものとは言えず、必死に口の中の物を気持ちよくさせて大きくさせようとの一心からのものであったが、
 事務所で13歳のアイドルに自分のモノをしゃぶらせているという光景と、シホの口の小ささからくる心地よい締め付けが井戸田を興奮させる。
 もう井戸田はマニュアル本など目にもくれず、ただひたすら自分の足元に跪き奉仕……いや発声練習をしているシホの姿に釘付けになっていた。
「ひゅひょひ、ひほふんほ、ほんはひほほひひ……(すごい、ヒロ君の、こんなに大きい……)」
 井戸田のは標準的なサイズとはいえ、仮にも成人男性の勃起したペニスを13歳の少女の口で頬張ろうというのだ。
 口を全開にしなければとても奉仕しきれないシホは、アゴにかかる負担と先端から出て来た先走りの液の変な味に時折顔をしかめながら口の奥まで井戸田のペニスを受け入れていた。
(そろそろ……いいかな)
 もちろんシホの目的はフェラチオで井戸田を射精に導くことではない。口の中いっぱいに男性のペニスを導き、それを噛まないように意識しながら発声練習をすることだ。
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(あ、え、い、う、え、お、あ、お)」
 大きく開けた口をさらに限界まで開けて、かろうじてできた隙間から空気を漏らし、発声練習の基本とも言えるあ行からの発音を開始する。



「うっ……!」
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(か、け、き、く、け、こ、か、こ)」
 それまでと違った快感に井戸田が思わず声を上げる。シホが発音するたびに唇が動き、違った形でペニスを包む。
 さらに発音によって動く空気がペニスの周りを絡みつくように流れ、とどめとばかりに生き物のように動き回る舌がペニスの裏側を行ったりきたりして這い回り、休むことなく新しい刺激を与え続ける。
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(さ、せ、し、す、せ、そ、さ、そ)」
(や、やばい。これは……クセになりそうだ)
 さすがに初めてで、しかもサイズが一回り違うせいかたまにシホの歯がペニスに当たってしまい、井戸田は興奮しながらもその度にヒヤリとさせられる。
 それでもシホが噛まないよう意識しているおかげか、痛みを感じるほど強く噛まれることは無い。むしろ鉄のように硬くなったペニスに、甘噛み程度の歯の刺激はまた違った快感をもたらしてくれる。
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(た、て、ち、つ、て、と、た、と)」
 行が替わるごとに、唇の動きも舌の動きも微妙に変わる。シホは意識せずして、単調にならないよう攻めるという高度なテクニックを披露していた。
 シホの舌が前後に、左右に、巻くように、滑るように、突くように、縦横無尽に休むことなく動き回り、一秒前とは違う刺激を口の中いっぱいに蹂躙し続けるペニスのあちこちへと与えていく。
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(な、ね、に、ぬ、ね、の、な、の)」
 シホの唇が縦にペニスを締め付け、横に締め付け、前に扱き、後ろに扱き、そして口をすぼめてペニス全体を締め付ける。
「うっ、あ……!!」
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(は、へ、ひ、ふ、へ、ほ、は、ほ)」
 いままでに味わったことのない快感が、ペニスから脊髄を通って全身へと駆け巡るのが分かる。
 噛まないように必死で意識しながら、ペニスを頬張る口で発声練習を続けるシホも熱に浮かされたように顔を紅潮させながら夢中で口を動かしていた。
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(ま、め、み、む、め、も、ま、も)」
 その光景は、発声練習と呼ぶにはあまりにも淫らで、しかしフェラチオかと言われるとそう呼ぶにはあまりにも奇妙で、官能小説でもないとお目にかかれないような非日常的な光景がレイ・プロの事務所の一室で繰り広げられていた。
 シホ自身、その行為に夢中になって気付いていたかどうか分からないが、彼女の下半身もまるで誰かに舐められているかのように熱く火照り、シンプルな無地のショーツにはうっすらと染みが出来ていた。
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(や、え、い、ゆ、え、よ、や、よ)」
「し、シホちゃんっ。やばい、俺もう……!」
「ふぁとふほひ! ふぁんふぁふぇ!(あと少し! がんばれ!) ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(ら、れ、り、る、れ、ろ、ら、ろ)」
 シホが一字一字発音するたびに、口の中に貯まった唾液と井戸田の液がくちゅくちゅといやらしい音をたてる。ぬるりとした唾液が舌にからまり、溶かすようにペニスにまとわりつき、その濡れた肉棒をシホの汚れを知らない唇がしごいてく。
 その高まっていく快感の渦に、井戸田の我慢は限界に達しようとしていた。
「ふぁ、ふぇ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ、ふぁ、ふぉ(わ、うぇ、うぃ、う、うぇ、を、わ、を)」
「っ! だ、ダメだシホちゃん! 出るっ!!」
「ん〜〜〜〜〜っ!!」
 最後の一文字と同時に、口の中で限界まで膨らんだ井戸田のペニスが弾けた。
 シホのアゴを外すほどの勢いで激しく震えたかと思うと、次の瞬間には大量の精液をシホの口の中へと放つ。
 喉の奥へと熱く滾った精液が勢い良く叩きつけられ、そのショックでさすがのシホも顔をしかめて顔を引く。
 唾液まみれになったペニスが口から引き抜かれ、その最後の刺激で射精は勢いを増し、苦しさと快感で紅潮したシホの顔へと容赦なく精液を振り掛ける。




「くぁっ……! ごめんシホちゃん!」
 ペニスを握ったまま止まっているシホの右手を自分の左手でつかむと、井戸田はシホの手ごと自分の手を動かし、最後の一滴まで搾り取らんばかりに強く自分のペニスをしごかせる。
 半ば放心状態のシホの顔へと、二度、三度と精液が降り注ぎ、無垢な(そう思っている人間はシホ自身以外にはいないのだが)少女の顔を白く汚していく。
 長い射精を終え、シホの顔がまるでパックのように白く塗りたくられてやっと落ち着いた二人は、どちらも荒い呼吸のまま呆然と相手の顔を見る。
「……」
 目の近くにかけられた精液を、目に入らないようにシホは指で掬い取る。その白い塊を目の前に持ってくると、強烈な匂いがした。初めて嗅ぐ、オスの匂いだった。そして何を思ったか、ぺろり、とシホはその精液を無言で舐め取る。
「……まじゅい」
 口元をおさえ、涙目で震えるシホ。現実は小説のように、『プロデューサーの精液、美味しいです』とはいかなかったようだ。
「わーっ、と、とりあえずこのコーヒーで口直しして!」
 シホが来る前に井戸田が飲んでいた、今はすっかりぬるくなってしまったコーヒーをシホに渡す。まだ顔中に精液が付着したまま慌ててコーヒーを飲むシホ。飲み干したあと、
「……ヒロ君のミルク入りコーヒー?」
 とボケるのもお約束だった。



 その後、よりによって顔が命のアイドルにマネージャー自らが盛大に顔射して汚してしまったことを必死に詫びた井戸田に対し、
『たった一週でイっちゃうなんて早いよヒロ君! せめて同じ行を五週はしないと練習にならないのに』と見当違いのことでシホが怒ったり早漏扱いされて井戸田がけっこう落ち込んだりしたのだが、それは長くなるので省く。

「それで、効果はあった?」
「まだまだだよ。あ行からわ行までたった一周しか出来ないんじゃ、すぐに効果が出るわけないって」
「……勘弁してくれよ。男としてあれでイクなって方が無理だって」
「そんなによかったの? ……やっぱヒロ君ってロリコン?」
 顔を洗い、香水でなんとか匂いもごまかして後始末を終えた二人はコーヒーを飲みながら反省会を行っていた。
 内心『バレたらクビじゃ済まないな……』などと改めて事の重大さを認識しはじめた井戸田。
 そもそもシホがうっかりユーリやカルナあたりに今日のことを喋ってしまう可能性が飯田シホという少女のことを考えれば十分ありえることであって、冷静に考えれば考えるほど自分の首に時限爆弾付きの首輪が付けられたような気分になっていく。

「ま、そういうわけでヒロ君……」
「ん?」
「効果がハッキリ出るまで、また練習付き合ってね」
 井戸田を信頼しきった満面の笑みでシホが下から井戸田の顔を覗き込む。そこにいたのは、少々下ネタが多くても、夢に向かって突き進もうという強い意志を持った可愛らしい13歳の少女であった。
「……」
 果たしてシホの噛み癖が直るのが先か、はたまたシホがこの練習に効果がないと自覚して終わるのが先か、それともこのことがバレて人生が終わるのが先か。
 どちらにせよ、井戸田にはこれっきりで終わるなどという選択肢は用意されてはいなかった。
 頑張れ井戸田。飯田シホのアイドルへの道、そしてトリプルブッキングのスターへの道は君にかかっている。のかもしれない。

 おわり

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