作品名 作者名 カップリング
「if エリコとヒロキ編」 郭泰源氏 -

「おはよう、ヒロキ君」
「おはよう、エリコさん」
「………」
「やっぱまだ照れます?」
「だって昨日まで私は井戸田君って呼んでたし、あなたは三瀬さんって呼んでたし……
そんなにすぐには、慣れないよ」
「恋人になったんだから、名前で呼び合おうって昨日言ったのはエリコさんじゃないですか」
「………そうなんだけど……あは、改めてだと、その、なんだかちょっと、ね」
「でも、照れてるエリコさんも可愛いですよ」
「!!!もう、年下にそんなコト言われても、嬉しくなんかないモン」
「へへ、そんな風にちょっと怒った顔も可愛いですけど」
「……え?い、井戸田君?」
「ダメっすよ、エリコさん?名前で呼ぶって決めたんだから……だから名前で呼んで下さい」
「あん……いや……耳舐めないで……くすぐったい」
「へへ……そう言いながら?」
「あ……ダメ、そこ」
「おっぱい弱いですよね、エリコさん?ホラ、もう乳首コリコリだし」
「や……井戸田君、エロオヤジみたい、あ!やン……」
「あとここは……」
「!やッ!ダメッ!……あ、ゴメン」
「……一晩たちましたけど、やっぱり痛かったりします?」
「ゴメン……私、はじめてだったから……まだちょっとだけ、あの……違和感があるっていうか」
「謝らなくても、良いです。俺、頑張りますよ。エリコさんに気持ち良くなってもらうように」
「……出来たら他のトコロでも頑張って欲しいんだけどね、お仕事でとか」
「ぎゃふん」
「って古いよ〜〜〜、ヒロキ君」
「ははっ、やっと名前で呼んでくれましたね?」
「あ………もう、乗せるの上手なんだから……」
「昨日乗ったのは俺の方だと思うんですが」
「またオヤジギャグ〜〜〜」
「すいません……怒りました?」
「ちょっとだけね。ふふ、でもこういうのも恋人っぽくていいかな?じゃ、私ゴハン作るから」
“ちゅ”
「?ひ、ヒロキ君?」
「今日は休みだし……もう少し、このまま……」
「…………でも」
「本当は、一日中エリコさんを見てたいけど……もう少しだけ」
「………私なんて見てて、何が面白いの?全然可愛くないし、地味だし、華もないのに」
「エリコさんは可愛いですよ。それに俺の好みにバッチリだし」
「?好み?」
「癒し系のお姉さんで隠れ巨乳っていう…………イテ!」
「もう……冗談なんだか、本気なんだか分らないよ、ヒロキ君は」
「でもエリコさんのことが好きなのは、マジですから……だから、もう少し一緒にいて下さい」
「…………ウン」
小柄な三瀬のカラダをすっぽりと包み込むように抱く井戸田。
(……朝ゴハン……どうしよ?でもヒロキ君のカラダ、気持ち良い……
ふふ、でも男のひとの匂いって結構好きかも)
(エリコさんの髪………キレイだな……それに良い匂い)
そんなことを思いながら、ふたりはやがてスヤスヤと気持ちよさそうに寝息をたてはじめた。
忙しい社会人ふたりに訪れた久しぶりの休日の午前は、甘く惰眠を貪る幸せな時間になった。
どちらかが先に目を覚ますとき、恋人の寝顔を見てまた幸せに思うのだろう。
それがエリコがなのか、ヒロキなのかは分からないが。
ふたりの社内恋愛は、始まったばかり――――

END

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