作品名 作者名 カップリング
「水入らずの夜」 トマソン氏 マサパパxマサママ


「それじゃ、行ってきます」
 ある夏休みの早朝。大きなバッグを抱えた小久保マサヒコは、自宅を出て、若田部
家の別荘で行われる合宿へ向かった。
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
 マサママはいつものように暖かく彼を送り出した。ドアの向こうに姿を消した息子の
背中を、その父親である夫の若かりし頃とつい比べてしまう。
(あのコも、だんだん男らしくなってきたかしらねえ……)


 玄関のドアが閉じ、息子の足音が遠ざかっていくと、入れ替わりのように、彼女の
夫が起き出してきた。
「おはようございます、父さん」
「おはよう母さん」
 朝食の席についたマサパパは食卓を見渡す。並ぶのはトーストにベーコンエッグ、
簡単なサラダにコーヒー。あたりにうまそうな香りが漂っている。
 えてして単純な料理ほど、腕の差が出るものだ。
……いつもながら、妻の料理はうまい……。
 満足そうに朝食を味わう夫に、マサママが話しかけた。
「今日はマサヒコが合宿で泊まりなの」
「ふーん、遊びじゃなかったのか。ま、成績は上がっているし、いいんだが……。
あいつは妙に女の子に囲まれているし、おかしな事件を起こさなきゃいいが」
 夫の言葉に、マサママが悪戯っぽい目で夫を見つめた。
「あら、うらやましいの?」
「ごふっ。ば、馬鹿を言うなよ」
 思わずコーヒーにむせるマサパパであった。
「うふふ……ねえあなた、今夜はマサヒコは外泊……」
 マサママ、超色っぽい目を発動。いつのまにか呼び方も『父さん』が『あなた』に
なっている。
「だから、今夜は早く帰ってらして」
 その誘うような瞳と艶やかな微笑みに、マサパパは思わず背中がぞくっとした。妻か
ら視線を離せず、ゴクリと唾を飲み込む。その咽喉の動きをマサママは見て取った。
「あ……今、生唾を飲んだわね。うふふ」
「……かなわんな、母さんには……」
 朝食が済むと、洗顔と身づくろいを済ませ、ワイシャツ姿のマサパパはカバンを手に
立ち上がった。その後に従い、マサママも玄関へ見送りに出る。
 息子が居る日はさすがにしないが、いない日は……。
「それじゃ行ってくるよ」
 靴を履いたマサパパが振り向いた刹那、軽く二人の唇が接触した。
「……行ってらっしゃい」
 最寄りの駅に向かうマサパパ、かすかに顔を赤らめているのはご愛嬌である。




 日も暮れたころ。そろそろ気の早い秋の虫が鳴き始めたようだ。
(ふう……今日はそれほどきつくなくて良かった)
 マサパパは彼としては早い時間に自宅に帰りついたところだった。多忙なサラリー
マン生活だが、仕事のペースに多少の自由は効く。少しは体力を残して帰宅できる幸運
に感謝しつつ、玄関の戸を開けた。
(今夜は夫婦水入らずか。女房が妙な格好をしてなきゃいいが……)
 この不安は見事に的中した。
「ただいま〜」
 家に入り、ドアを閉めて家の中を向いたところで、マサパパは固まってしまった。

「お帰りなさいませ、ご主人様」
 玄関で彼を迎えたのは、メイド服に身を包み、頭には可愛らしいカチューシャまで
つけた、愛する妻。
「あ〜……た、ただいま……」
 フリフリのエプロンドレス姿に見とれ、思わず声がかすれたりして。
「お食事になさいますか? お風呂の用意も整っておりますが」
「……おまえ……えーと……は後にして……まず風呂に入ってそれからメシにしよう」
「承知いたしました、ご主人様」
 おかしな格好をたしなめるつもりだったが、所詮、口ではかなわないことは分かって
いる。妻のノリに調子を合わせた結果、なにやら誤解されそうな答えになったが、とも
あれリカバリーは成功だ。
 それにしても、『おまえ』の一言に、メイド服に身を包んだマサママが嬉しそうな
表情を見せたように見えたのは気のせいだろうか。

 マサパパは疲れた体を風呂で癒した。湯気が漂う風呂場で体を洗い、なみなみとたた
えられた湯に身を沈めると、ザアーッとバスタブからお湯があふれる。
(ふう……いい湯だ……それにしても、今日のあいつは異様に艶っぽいんだが……)
 脳裏に浮かぶのは、やはりメイド服姿の妻のこと。これから来る夜のことを考えると、
下半身が勝手に蠢動を始めてしまう。マサパパもまだまだ若い。
 そのとき、すりガラスの向こうに白いエプロンと思しき姿が映った。お湯につかる夫
に、風呂場のドア越しに妻からの声がかかる。
「お湯加減はいかがでしょうか?」
「ああ、いい湯だ」
「よろしければ、お背中をお流し」
「!? あ、いや、その……」
 風呂につかりながら鼻血が出そうになるマサパパであった。
「うふふ……では、お食事を整えますね、着替えはこちらに置いておきますので」
 清潔な下着と浴衣を残して、妻は脱衣所を出て行く。
(いくらなんでもこりゃ、たまらないんだが……でも、惜しいことをしたかな?)
 ちょっと後悔するマサパパであった。




 風呂から上がり、妻の心づくしの料理に舌鼓を打って夕食を済ませたマサパパ。
 小さな事件は、夫が晩酌にビールを頼んだときに起こった。
 シュパッ!
 勢い良く瓶の蓋を開け、お盆にコップとビール瓶を載せて、しずしずと食卓に歩いて
きたマサママ。がっしりした木製の椅子の脚に、不運にも足の指を軽くぶつけた。
たいした痛みではないが、体がわずかによろめく。
「あっ……」
 お盆に立てたビール瓶が傾き、泡だらけの褐色の液体が夫の浴衣の肩にかかった。
「冷たっ……」
「あ、あああっ! 申し訳ありません、ご主人様……」
 急いで、布巾でわずかに濡れた浴衣の肩をぬぐう。
「あの、お召し変えを……」
「いや構わん、それより、怪我はないか?」
 ぶつけた妻のつま先を見る夫の目は、相方の女性を真剣に気遣う目だった。妻は心配
してくれる夫に嬉しくなったが、さすがというべきか、役を忘れはしない。
「ご主人様、お気遣いは嬉しゅうございます……でも、どうかこの粗相に罰をお与え
くださいませ」
 マサママ、なりきってます。
「いや、その……」
 たまらず、たしなめようと妻の方を向くマサパパだったが、潤んだ瞳に心を鷲掴みに
され、止める言葉も言い出せなくなってしまった。
「ご主人様……」
 メイド姿の女が、心底罰を望んでいるかのような瞳で男の目を見つめる。
 その瞳に魅入られた男に、悪魔のささやきが舞い降りた。罰を思いついたのだ。
「……よし。それなら後で罰をくれてやる。今は晩酌の相手をしてくれ」
「はい、ご主人様」
 妻は夫の隣に淑やかに座った。ビールがなくなってゆくにつれ、二人の顔がほんのり
と染まってゆくのは、アルコールのせいか、それともこの後への期待のせいだろうか?
「それにしても、いいメイドぶりだな」
「ありがとうございます、ご主人様のしつけのお陰でございます」
 マサパパ、思わず地の感想が出る。
「……いや、しつけも何も、母さんが自ら……」
 マサママがぎゅっとマサパパの尻をつねった。
「いてっ!」
「嫌ですわご主人様、そんなことおっしゃらないでくださいまし」
 役者ぶりはやはり、マサママが一枚上手のようだ。





 晩酌も済んだところで、洗い物をしている妻を片目に、マサパパは洗面所に行って
何かを用意した。続いて寝室へ向かい、綺麗にベッドメイクされたベッドに腰掛けて
妻を待つ。
 やがて、メイド服姿の妻がしずしずと部屋に入ってきた。
「ご主人様、お待たせいたしました」
 マサパパも気分が乗ってきた、というよりもうノリノリだ。
「……まず、粗相の罰だったな」
「はい、ご主人様……」
 ベッドに腰掛けた夫は、嘗めるような視線で前に立ち尽くす妻を見つめる。審判を
待って、体を硬くする妻。その目はかすかにおびえをたたえている。が、それ以上の
期待を含んでいるように見えるのは気のせいだろうか。

 夫は妻にシェービングクリームと剃刀を示した。
「罰として……お前のあそこの毛を剃る」

 マサママはたまらず息を飲んだ。
「ご、ご主人様、それは……恥ずかしゅうございます……」
「お前自身の粗相に対する罰だ。おとなしく言うことを聞きなさい」
「ああ……は、はい……」
「さあ、下半身だけ脱いで、ベッドに大の字になるんだ」
 そう言ってマサパパはベッドサイドの椅子に移った。
「……はい、ご主人様……」
 彼女はスカートの下には、太腿までの純白のストッキングとこれまた純白のショーツ
を着けていた。マサママは顔を赤らめつつも、夫の視線を意識しながらストッキングを
脱ぐ。じらすようにゆっくりと、ちらちらと太腿が覗くように、しかしその上までは
見えないくらいに動きを調節するあたりは女の芸だ。
 ストッキングを抜き取ると、続いてスカートの中に手を差し込んでショーツをゆっく
りと降ろした。白い布切れを足首まで下ろしてしまうと、またしても太腿までは見える
ように、その上は見えないように右足を上げ、ショーツから足首を抜く。ついで左足を
同様に抜いてしまうと、脱ぎたてのショーツを夫に示し、サイドテーブルにそっと置く。
 マサママはおずおずとベッドに乗り、夫に下半身を向けて横になった。
「ああ……」
 羞恥をこめてひとつ息をつくと、手足を広げ、大の字になった。
 見た目はストッキングを脱いだだけの普通のメイド服姿だが、あとは膝下までを隠す
スカートをめくれば、女の下半身を隠すものは何もなくなる。





 無防備に大の字に横たわった妻の姿を、夫はとっくりと眺めた。
「うむ、いい姿だ。自分でめくってみなさい」
「で、でもご主人様……恥ずかしゅうございます……」
「男の手にめくられるほうが良いのかい?」
「あああっ……自分で……いたします……」
 蚊の鳴くような声で、妻が答える。
「よし。ゆっくり、ゆっくりな……」
「ああ……」
 そっと女の手がスカートの裾をつまんだ。羞恥に身を固くし、顔を赤らめた女が、
自らじわじわと紺色の布地を持ち上げていく。
 左右に開かれた脚が、膝、太腿と、次第々々に素肌を現していった。
 食い入るように見つめる夫の息も、少しづつ荒くなっていく。
 真っ白な肌をかすかに上気させた、むっちりと締まった太腿がだんだんと上まで明ら
かになっていく。太腿の内側は羞恥に震えていた。それがやがて付け根まで覗いたが、
それでも夫は手を止めることを許さない。スカートがさらに持ち上げられていくと、
ついに成熟した女の秘奥が、夫の視線に晒され始めた。
「おっ、見えてきたぞ……」
「あああ……ご主人様、どうかご勘弁を……」
「まだまだ、もっと持ち上げて……そうだ、そのまま持っていろよ」
「ああ……」
 とうとう、かわいらしい臍が見えるほどまでスカートがすっかりめくり上げられると、
マサパパは蠱惑的な眺めをしばらく楽しんだ。恥ずかしさに震える女を小気味よげに
眺める。
「……よしよし、いい眺めだ……」
 すらりと伸びた両脚は左右に大きく開かれ、ベッドの上に投げ出されている。その
付け根に息づく愛する妻のそこは、漆黒の恥毛と白磁の太腿が見事なコントラストを
形成し、下ばえの下には薄い褐色の媚肉がひそやかに息づいていた。
 見事なまでに自分の精を吸い取って生い茂る、漆黒の縮れた毛。これを剃り落とした
ら、一体どんな眺めになるだろう?
「ああ……ご主人様、恥ずかしい……どうか、早く……」
「そうか、早く剃ってほしいか」
「えっ……ああっ、そうでは……」
 夫はシェービングクリームと剃刀を手に、妻に近づいていった。




 マサパパはスプレー式のシェービングクリームを手のひらに出すと、目の前にこれで
もかと広がった女の翳に、そっと塗りつけていった。
「ああ……あっ……」
 微妙に冷たいぬめりが、陰毛にまとわりついていく。普段から無駄毛の手入れはして
あるので、剃り落とすのは秘めやかに息づく割れ目の上と周囲だけだ。そのあたり一帯
に男の指がクリームを塗りつけ、縮れた毛を撫で付けて揃える。

 女の腰の下にタオルを敷くと、男の手が剃刀を持った。
「動くなよ。暴れると、大事なところに傷がつくぞ」
サリッ。サリッ。
 剃刀がゆっくりと慎重に動くにつれ、そこを頼りなげに覆う縮れた毛は失われていき、
クリームと共にあるものは剃刀に貼り付き、あるものはタオルの上に落ちていった。
「ああああっ……」
 あまりの羞恥と喪失感に、女がたまらず声を上げる。物心ついて以来、頼りなげでは
あってもずっとそこを守ってくれていた女らしい黒みを、今まさに剃り落とされている
のだ。それも、愛する夫の手によって。

 もう残りはわずかだ。じっくり丁寧に剃るべく、夫はそこに顔を近づける。黒いかぎ
ろいをほとんど失ったそこに男の吐息がかかり、妙な涼しさに妻は身を震わせた。
「ううっ……ご主人様、早く……」
 夫はそっと、注意深く剃刀を動かし続けた。とうとう周囲の産毛までが綺麗に剃られ
てしまうと、そこにはもう、幼女のように可愛らしい、それでいて熟れた女の柔肉が
あるばかりだった。
 至近距離に顔を近づけ、じっくりと目を楽しませる。
「……あの、ご主人様、お済み……ですか?」
 マサパパははっとなった。剃りたてのそこをかぶりつきで眺めて、思わず陶然と
なっていたのだ。今にも指を伸ばして触れるところだった。
「うむ、済んだよ」
 ごくりと熱いつばを飲み込み、そこから離れた。たっぷり目を楽しませはしたし、
もう股間は熱くいきり立っていたが、この女体を味わうのはもう少し後のことだ。

 夫はタオルと剃刀を持って脚の間から離れた。妻は恥ずかしそうに脚を固く閉じ合わ
せたが、陰毛を失った今、閉じ合わせるだけでは割れ目を隠せなかった。スカートを
下ろし、初めて大きく息をつく。
「ああ……恥ずかしゅうございました、ご主人様……」
「よし、よく頑張ったな……」
「……はい、罰していただき、ありがとうございます……」
 身を起こし、ベッドに座ってペコリと頭を下げる妻がたまらなく愛しくなり、夫は
その隣に座った。
「罰は終わった。次の仕事は……」
「……? はい、なんなりと……」
「夜伽だ。二人で一緒に気持ちよくなるんだぞ」
「……はい……喜んで……」




 マサパパはそっと、隣に座る妻の肩を抱いた。顔をこちらに向かせ、そっと唇を合わ
せる。
「ん……」
 たっぷりと時間をかけてのバードキス。
 そうしている間にも、妻の体に回った男の腕は肩口を優しく撫でている。もう一方の
腕は、エプロンドレス越しに豊かな乳房の量感を楽しんでいた。
 マサママの腕もまた夫の腰に回り、その背中をそっと撫で回していた。それが浴衣越
しに絶妙な愛撫となり、男の背中をぞくぞくさせた。
 やがて二人は唇を離した。
「向こうを向いて……」
 マサパパは妻に背中を向けさせると、メイド服の背中のファスナーをゆっくりと下ろ
した。開いた隙間から、遠慮なく腕を侵入させると、わきの下を回ってブラジャーの
カップに両腕が回る。
「ん、ああっ……」
 マサママは逆らわなかった。両腕をだらんとたらして、目を閉じ、背後から愛撫を
加えてくる夫のなすがままに乳房を任せ、時折甘い声を漏らす。
 カップ越しに豊かな肉を揉んでいた掌が、やがてそっとカップを上にずらすと、
メイド服の中で、乳房がぷるんとはじけ出た。夫の手が、柔らかく張った隆起をじかに
揉みしだき始める。
「あんっ……」
 メイド服の胸の中に蠢く夫の手が、はっきりとその輪郭を布地に浮き上がらせている。
男の手が、今度は優しく乳首を指で嬲り回した。指先にまとわりつく、なんとなく
どろっとした液体は、もちろん母乳である。
(あとでじっくり、この母乳を味わってやろう……)
 マサパパはいくら乳房を攻めても飽きなかった。

「ああっ……ご、ご主人様……これでは、私だけ気持ちよくなってしまいます……」
「いいんだ、しばらく私の愛撫を受けてくれ」
「は、はい……」
「腕から服を抜いて、上半身を脱ぐんだ」
「……はい……」
 露出の少ない、腕までを覆い隠したエプロンドレスは、女の協力なしに脱がすのは一
苦労だ。夫は一旦ドレスから腕を抜き、妻に脱ぐように命じた。
 背中のファスナーはもう全開だったが、マサママは恥じらいを失わず、おずおずと
腕を片方ずつドレスから抜く。ブラのカップはもう隆起からは外されてしまっていたが、
背中に手を回してブラジャーのホックをプチンと外し、そっと肩から抜いて、傍らの
ベッドに上に置く。、
 あとは胸を覆う布地を下に落とせば上半身は裸だが、そこでマサママはじらすように、
しばらく躊躇ってみせる。顔を上気させ、恥ずかしげに夫の顔を上目使いで見つめた。
 夫のほうがたまらなくなり、手を伸ばして胸にまとわりつくエプロンドレスの布地を
思い切り下に引きずり降ろした。胸の盛り上がりに引っかかっていた、紺色と白の布が
腹部にまで落ち、豊かな乳房がはじけ出た。
「あっ……」
 たまらず、両腕で胸を隠す。そこでついに、マサパパは妻をベッドに押し倒した。





「あ……」
 押し倒された女の体に、夫がそっとのしかかる。もう一度唇を合わせ、もう何の遠慮
もなしに舌を差し入れた。ぴちゃぴちゃと、二人の舌が絡む音が響く。
「むーっ……んんっ……」
 そうしているうちに、両の乳房を覆い隠した妻の腕を、優しく夫の腕がどかせ、バン
ザイのように首の左右に置いた。隠すものを失った乳房に、再び激しい愛撫を加える。
 吸い付くような肌を楽しみつつ、掌で撫でまわす。全体を揉みしだき、弾力を楽しむ。
ついで指先で先端に息づく薄い色の乳首をつつき、転がし、嬲った。
「んーっ……」
 ディープキスの最中とあって妻は甘い声も出せず、愛撫を受け止め続けた。

 ようやく口を離した二人の唇の間に、唾液が糸を引いた。
「はぁ、はぁ、あ、あん……」
 ようやく自由になったマサママの唇は、大きく息をついて、甘い声を漏らし始めた。
 夫の唇は、髪の毛に隠れた妻の耳たぶを探り出した。舌を伸ばして耳たぶの縁をなめ
てやる。柔らかい耳たぶを軽く噛んでやると、軽く目を閉じた妻の口から、思わず声が
漏れた。
「あっ……ご主人様……あっ……」
 続いて夫の唇は妻の首筋に移った。ところ構わずキスの雨を降らせ、弱そうなところ
に舌を伸ばしてちょろちょろとくすぐってやる。いやいやをするように体をよじり、
ますます甘い息を漏らす妻の反応に、マサパパの興奮はさらに高まっていった。

 体を少し下にずらすと、マサパパの視界に妻の乳房が一杯に広がった。この量感で
この年齢になってもいささかも垂れていない、それどころか、仰向けに寝ていても
ほとんど扁平になったと感じさせない、魔法のような豊かな隆起である。たっぷりと
揉まれ桜色に上気した柔らかい膨らみと、散々嬲られてつんと立った可愛らしい乳首。
 たまらずマサパパは、先端に息づく可愛らしい乳首にむしゃぶりついた。舌でつつき、
舐ったかと思うと、一旦退却し、舌を乳首の周りに円を描いて滑らせ、じらしながら
乳首に近づく、そうかと思えば突然しゃぶりつき、激しく乳首を吸う。
 長男を生んで十五年、妻は、なんという素晴らしい乳房を保っていることか!
「あっ、あっ……はぁん……」
 夫は妻が漏らす甘い声を楽しみつつ、分泌されてきたどろっとした白い液体を一滴も
こぼすまいと舌で嘗めとった。
(十五年ほど前は子供専用の飲み物だったが、今は……今は、俺のものだ……)
 夫は妻の母乳をたっぷりと味わった。




 ようやくにして乳房に満足したか、マサパパは体を起こして、長々と横たわった妻の
下半身に目をやった。
 彼女が纏うエプロンドレスは上半身はすっかり落ち、腰の周りにまとわりつくばかり
だった。下半身は普通にスカートに覆われているが、その中の下着は既になく、今は
サイドテーブルの上に置いてある。そして、その奥をひそやかに覆って息づいていた
黒い翳は、先ほど自らの手で丁寧に剃り落としたところだった。
 妻は激しい愛撫が止まったことに、目を開け、訴えるような瞳で夫を見ている。
「そのまま、そのまま……」
 夫は妻の膝辺りの隣に腰を下ろすと、そっと手を伸ばし、スカートの裾をつまんだ。
「あ……」
 なにをされるか、悟った妻が羞恥のあまり身もだえしたが、構わずにゆっくりとめく
り上げていく。
 ついさっきも女自身の手でめくらせ、何もかも見たのだったが、改めて自分の手で
スカートをまくり上げ、ぴっちりと閉じた太腿が少しずつあらわになっていくさまは、
また新たな色気が匂い立つようでたまらなく扇情的だった。
 じっくりと時間をかけて、裾が持ち上げられていく。やがて眼前に、茂みを失った
女の媚肉が現れ、夫は歓声を上げた。
「おお……」
「ああ……恥ずかしい……」
 あまりの羞恥に、妻は顔を両手で隠してしまった。
 陰りのないそこは、ぴっちりと脚を閉じていても、もう縦の筋がはっきり見て取れる。
 マサパパは無理に脚を開かせようとはせず、つややかな膝小僧をそっと撫でる。
ついで吸い付くような肌を楽しみつつ、妻の太腿を撫で上げていった。
「あ……あっ……」
 そしてついに女の秘裂に到達するかというところで、じらすように退却し、再び太腿
を撫で回す。そしてまた近づく。
「あん、あっ……」
 愛撫を受け止める太腿がぴくぴくと震えた。
 白磁の太腿の間に息づく、まだ縦筋一本にしか見えない花びら。マサパパはやはり
そこに視線を吸い寄せられた。一指も触れていない箇所だったが、その中身はもう
とろとろに溶けているに違いなかった。



 二人とも、もうたまらなくなっていた。
「ご、ご主人様……もう駄目です……お願いです、私にもご奉仕させてください……」
「そうだな……よし、服を脱いで、横になれ」
「はい、ご主人様……」
 マサママは体のほてりに耐えて立ち上がった。ベルトをゆるめると、腰の周りにまと
わりついていたエプロンドレスがストンと落ちる。彼女はとうとう、一糸まとわぬ全裸
になった。
 マサパパもまた浴衣を脱ぎ、天を向いて屹立した男のシンボルを苦心してかわしつつ、
トランクスを下ろした。
 妻がその体をベッドに横たえるのを確認し、マサパパは、体の向きを逆にしてのしか
かり、妻の股間に顔を近づけた。
「あっ……」
 ちょうどシックスナインの体勢で妻を組み敷くと、優しく両腕で妻の脚を押し開く。
目の前に、陰毛を失って覆うものとてない、女の秘奥が一杯に広がった。
「赤ん坊みたいだ……可愛い」
 軽く言葉で攻めてやると、今まで触れなかったそこに、ゆっくりと指を伸ばした。
「これだけ可愛がったから、ここはもうトロトロになっているんじゃないか?」
 縦に走る溝を優しくなぞる。
「あああっ……」
 やはりその中はもう、熱く溶けていた。
 指が蠢くにつれ、あっという間に褐色の大陰唇が開き、赤く熟した中身があらわに
なった。中に溜まっていた樹液が溢れ、つーっと垂れていく。
 何をしても敏感な反応を返してくる熟れた女の体にマサパパはうっとりとなり、指を
侵入させようとしたそのとき、妻が反撃に移った。目の前にある夫の男根を手で握り、
舌を伸ばす。この体勢だと、舌を出してちろちろと嘗めれば、そこが裏筋だった。
「うっ……」
「ご主人様……ご主人様も、気持ちよくなってくださいまし」
 妻は顔を起こすと、怒張して血管を浮かび上がらせている目の前の男のシンボルに
むしゃぶりついた。
「う、うおっ……」
 柔らかい女の舌が、男のそれを嘗め回した。カリの内側、裏筋、ところ構わず激しい
愛撫がマサパパの一物を襲う。
(ううっ……負けていられるか……)
 マサパパは目の前に広がる女体を指で押し開いた。股間から体に流れる電流に必死に
耐えつつ、そっと舌を伸ばす。
 女の体がビクッと震える。男の舌が体内に侵入し、襞々を嘗め回してゆく。
 クリトリスをそっと指で舐られ、女の体が跳ね上がった。
「むうーっ!」
 男根を口に含んでいてはくぐもった声しか出せないが、ピクンと体を震わせる激しい
反応が、女体に流れる電流を物語っていた。
 マサママも負けじと、舌で男の先端の割れ目をなぞりまわした。
「うおっ……」
 マサパパもまた体に流れる電流に昇天しそうになったが、なんとかこらえて、皮を
剥いたクリトリスにそっと舌を伸ばす。
「むうーっ!」
「うううっ!」
 二人のくぐもった声が同時に響いた。




 二人はどちらからともなく、シックスナインの体勢での攻め合いを止めた。この熱い
夜には、口淫では物足りない。
 体を起こしたマサパパは荒い息をつきつつ体の向きを変えた。サイドテープルに用意
したコンドームを手にすると、マサママがそれを止める。
「……ご主人様……今日はまず安全な日でございます……どうかつけずに……」
「いや、でも……」
「それに、出来たら出来たでようございます……」
 顔を真っ赤にして、生でと訴えかける女に、男が逆らえるはずもなかった。
「……そうだな、おいしい母乳も十分に出るしな」
 マサパパはつんと妻の乳首をつついた。
「あん……いやですわ、ご主人様……」
 夫は妻の両脚を割って腰を落ち着けると、改めて女体にのしかかっていった。
「……行くよ……」
「ご主人様……どうか、お情けをくださいまし……」
 もうどちらの体もすっかり上気していた。男の一物は、ピンと天を向いて屹立した
うえ、女の唾液を塗りつけられててらてらと光っていた。先端からはもう先走り汁が
漏れている。
 女の花弁は恥ずかしく開いて、赤く熟れた襞々を覗かせている。愛液は溢れ、男の
唾液と混じってシーツまでぬめりを垂らしていた。
「あ、あああーっ……」
 男の肉棒が熟れた女の体に突き立てられ、ずぶずぶと挿入されていく。待ち望んで
いた結合に、妻の口から悦びの声がほとばしった。

 二人はお互いの体に腕を回し、全身を密着させた。それをさらに強めるかのように、
力をこめて抱きしめ合う。
「おおおうっ……」
 女の体を熱く燃えたペニスで奥まで貫いたところで、男の腰はようやく前進を止めた。
ついで欲望のままに前後運動を開始する。子宮まで届けとばかり力強く突いては、
ゆっくりと引いて膣の内側をカリで思う存分にこすり、女の激しい反応を引き出した。
 女の体もまた熱く溶け、咥え込んだ肉棒を吸い付くかのように締め付けていた。男の
突きを受け止めては息も絶え絶えに体を震わせ、それが引かれる時には、逃がすまいと
襞々が絡みつく。段差に内側をこすられ、体を流れる電流。さらなる快感を求め、女は
自ら腰を動かし始めた。
 全身から汗を吹き出しながら、二人は快感のままに腰を振った。
 腰と腰がぶつかり合う音、粘膜が絡み合う淫靡な音が部屋に響く。

 散々前戯を楽しんだ末の挿入、おまけに久しぶりの生である。挿入前に既に絶頂寸前
だった二人は、あっという間に昇り詰めていった。
 最後の一撃とばかりに男が突き出した熱い男根が、女の体に最後の大波を引き起こす。
「あ、あっ、あああああーっ!」
「お、おおうっ……」
 二人の体が硬直した。女の体に突き立てられたそれが断末魔のように蠢動し、ピュッ
ピュッと白濁した液体が噴き出す。
 妻は闇のなかをどこまでも落ちていくような感覚の中、熱い男の精が体内の一番奥に
ぶちまけられたことをはっきり感じていた。





 どさりと、夫の体が妻の体の横に仰向けになった。隣に横たわる妻の肩を軽く抱いて
やると、あとは荒い息をついて脱力する。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
 妻もまた、荒い息をついて体から力を抜いていた。二人はたった今達した絶頂からの
緩やかな回復に身を任せ、余韻に浸った。

(……それにしても……)
 妻の体内にあらん限りの精を注ぎ込んだ男は、隣に横たわっている妻に目を向けた。
 目の前の妻は……俺が愛する女性は、どうしてこう若々しいのだろう?
 もう三十台も後半に入ったのだが、ストレートのセミロングの黒髪はしっとりと輝き、
体のラインもほとんど崩れていない。肌にしても、家事をこなす両手の肌はさすがに
多少荒れているが、それ以外の部位はあくまでもすべすべの、肌理の細かい肌だ。
 腕を妻の腰に回し、そっと脇腹を撫でると、吸い付くような手触りが返ってくる。
 マサパパは感に堪えぬようにつぶやいた。
「……お前は……いくつになっても、若々しいな……」
「あん……ありがとうございます、ご主人様……その秘訣は……」
 マサママはまだ上気した顔に艶やかな笑顔を浮かべ、夫を見つめた。
「恋をすること、ですわ」
「……恋?」
「左様でございます。『誰に』なんて野暮なこと、聞かないくださいましね?」
 妻は体を起こすと、そっと夫の体に覆いかぶさった。トロンとした瞳が、至近距離
から愛する夫の目を覗き込む。豊かな乳房は男の胸に押し付けられ、弾力が男の触覚を
くすぐった。甘い吐息がマサパパの顔にかかり、女の片手が頬を優しく弄ぶように撫で
回す。もう一方の手はようやく静まったばかりの男根に伸び、まさぐり始めた。
「うっ……」
 ついさっき爆発してしおれたペニスに愛撫を加えられ、マサパパの口からたまらず
声が漏れる。加えて、熱くほてった熟れた女の肌が、今度は女が上に乗って、男の汗ば
んだ全身に密着した。
「さっきは、私ばかり気持ち良くなってしまいました」
「いや、俺も……ううっ……」
 だんだんと股間をまさぐる妻の手が攻勢を強め、マサパパの言葉は最後まで続かない。
「ですから、今度は私にご奉仕させてくださいましね……」
「いやでも、明日も……うっ……」
「明日は土曜日ですわ……」
 絶妙な愛撫に、たまらず夫の下半身がむくりと鎌口をもたげる。
 それが二回戦開始の合図となった。

 二人は再び愛欲の淵に身を投げ、どこまでも沈んでいった。





 翌日の朝。さわやかな日差しが窓から食卓にふりそそぐ。
 朝食を囲むのは、艶やかな、輝くような肌をした幸せそうなマサママと、少々やつれ
た感じのマサパパである。
「夕べは燃えたわね〜……でも父さん、本当に剃るなんて、びっくりしたわ……」
「嫌がらなかった癖に……それに、恥ずかしがるお前も、可愛らしかったぞ」
 マサパパはやつれてはいても、昨夜のプレイを満喫した満足感を感じていた。
「いやだ、そんなこと……」
 真っ赤になったマサママ。本当に可愛い。
「……ところで、あ・な・た」
「ん?」
 いきなりあなたと呼ばれたマサパパ。妻の艶っぽい笑顔と妖しい視線に、またしても
背筋がぞくっとした。
「スースーして、妙に涼しいの……今夜も、暖めてね?」

 ……ということはもしかして、生えそろうまで毎晩なのか。
(……俺の体、もつかな……)
 嬉しくも不安なマサパパであった。


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