作品名 作者名 カップリング
No Title 白帯侍氏 マサヒコ×アヤナ

(それ以上は・・・・言わないで)

何でだよ・・・

(はあ・・はぁ・・・ん・・・ありがと・・・)

何がだよ・・・

(今日は来て良かった・・・それじゃあね、小久保君)

これで終わりなのかよ・・・若田部・・・


目を開けると、しみがよく目立つ天井があった。
むくりと上半身だけを起こす。
普段はまた少し眠りにつくのだが、先ほど見てた夢のせいか、そんな考えは微塵もおきなかった。
(随分久しぶりだな、この夢見るの)
やはり昨夜若田部が来たせいか、とマサヒコは思った。
「それにしても・・・元気だな、お前も」
自分の下腹部に山があるのを感じて、マサヒコは苦笑した。
あんな夢だったのに・・・まだまだ俺も若いってことか。
ベッドの中で男として当然の生理現象が治まるのを待つ。
股間の怒張が静まると、マサヒコはシャワーを浴びるべく、タオルを持って浴室へと向かった。

熱いシャワーを頭からかぶる。
寝起きのだるい身体に、だんだんと熱が広がっていく。
いつもは眠気を覚ますためにやっていることなので
もう眠気がないマサヒコにとって、ただ熱い思いをするためだけの行為だった。
ほとんど惰性でやっていることに気付いたマサヒコは、自嘲気味な笑みを浮かべる。
今思えば、高校生でいた頃もある意味同じようなものだったのかもしれない。
学校に行き、勉学に励み、友人とくだらないことで笑い合い、そして疲れた身体を休めるために眠る。
毎日同じ事を繰り返す日々。

それが悪かったわけではない。
仲の良い友人もいたし、落ちぶれることもなかった。
それなりに満足できる生活をしていた。
しかし・・・・中学時代の頃を思うと、途端に高校での出来事は実に空疎なものだった。
中学の頃の1日1日は、良くも悪くも毎日満たされていた。
アイがいて、ミサキがいて、リョーコ、リンコがいて。
そして・・・・
蛇口をひねってお湯を止める。
自分の身体から汗と一緒に、夢の余韻まで流れていったような気がした。


遠い昔の記憶。
実際は3年ほどでしかないのに、マサヒコはあの時のことを思い出すときは古い映画を見ているような気分になった。
あの頃は、良かった。
こういう表現を使うと年寄りくさいなと彼は思ったが、やはりそう思わずにはいられなかった。
それなりに、いや、かなりドタバタしていて毎日疲れが溜まったが、同時に毎日が充実していた。
いつまでもあの居心地がいいあの時間が続くと思っていた。
しかし、そんなことは叶うはずもない。
人はそれぞれ違う道を歩いている。
自分たちの出会いもその道が少しの間交わっていただけにすぎない。
だから別れが来るというのは必然のことだった。
あの日の別れも、数ある別れのうちの一つだった。


あれはアヤナの渡米まであと数日、といった日であった。
「小久保君、私を抱きなさい」
部屋に入るやいなや、開口一番に少女はそう告げた。
ベッドに寝転がりながら本を読んでたマサヒコは思わずベッドから転がり落ちる。
(あいつら・・・・・)
マサヒコの脳裏に自分達の家庭教師である女性の顔が浮かぶ。
マサヒコは一度大きく息を吐いて、扉の前に仁王立ちするアヤナを見た。
「何からツッコめば言いのやら・・・」
「!! い、いきなり、突っ込むって!馬鹿っ!!」
マサヒコの言葉に勘違いした少女は顔を赤らめながら目を背ける。
「ちちちち違うっ!!そーいう意味じゃない!!」
予想外の反応にマサヒコはひどくうろたえる。
「じゃあどういう意味だっていうのよ」
自分の言葉がおかしいとは思わないのかとマサヒコは言おうとしたが、
プライドの高い彼女がこのような発言を聞けば激昂するのではと考え直し、取り合えずその言葉を飲み込んだ。
「中村先生に何言われたんだよ」
「はぁ?どうしてここでお姉様の名前が出てくるのよ」
「だっていきなりそんな・・・・」
「いきなり?じゃあ前もって私を抱け、とでも言えばよかった?」
「そういうことじゃ・・・・」
「何か文句があるならはっきり言いなさいよ」
マサヒコの気遣い空しく、アヤナはひどくご立腹だ。
そんなアヤナにマサヒコはただ閉口することしか出来なかった。


「もう!はっきりしないわね」
マサヒコの煮え切らない態度に怒ったアヤナは、上着に手を掛けようとした。
はっとしたマサヒコは、慌てて立上がりその手を掴んだ。
「ちょっ、何してんだよ!?」
「何よ!男のくせに意気地ないわね!」
「む・・・」
なんとか彼女を宥めようとしていたマサヒコだが、流石にちょっとカチンときた。
大体何故いきなりこんなことになったんだ?
自分はこの少女に罵られなければいけないんだ?
理不尽だと思う気持ちが身体を熱くした。
「きゃっ!」
マサヒコはアヤナの肩をつかみ、壁の方へ押し付けた。
アヤナはマサヒコの手から逃れようとするが、男の力に敵うはずもない。
少しでも自分が男で、こんなことも出来るということを思い知らせてやりたかった。
マサヒコは一度大きく息を吐く。今度はこっちが問い詰める番だ。
「お前な・・・」
のど元まで言葉が上がってくる。
が、その言葉は舌の上で転がって、外に出ることなくそこで消えた。
マサヒコは今日初めてまともに見た彼女の瞳を見た。呼吸が無意識に止まる。
マサヒコの動悸は、少しずつ高くなっていった。
「若田部・・・」
(それがさっきあんなこと言ってたやつの目かよ・・・)
複雑な思いが入り混じっている目だった。
不安、哀愁、怯え、懇願。
いつも彼女の目に宿っている力強さは見る影もなかった。
「ごめん・・・」
マサヒコはどうしようもない罪悪感に苛まれ、アヤナの肩を放した。
やたらと胸が痛む。この場にいるのが苦しい。
アヤナは怒鳴ることもなく、泣き喚くこともなく、ただ彼を弱々しい眼差しでにらみ続けていた。


シャワーを浴び終えたマサヒコは、腰にバスタオルを巻いて居間へ入っていった。
誰も部屋にはいないのだが、隠すところは隠さないのと落ち着かない。
冷蔵庫から半分程中身が残っているミネラルウォーターを取り出して、一気に呷る。
火照った身体に、キンキンに冷えた水が流れ込んだ。
喉を通っていく冷たさが心地いい。
マサヒコはペットボトルはあっという間に空になった。
そこらに放り捨てようかとしたが、止めた。折角掃除したのだからいきなりそれは無い。


仕方ないので、ペットボトル専用のゴミ袋があるキッチンに向かうことにした。
ついでに朝食のパンをトースターに突っ込む。
キッチンに来ると、ふと、昨日使われたコーヒーカップが目に入ってきた。
カップの数は二つ。
それを一つ手にとって眺める。
改めて、昨日アヤナがこの部屋に居たのだということを実感した。
もしかしたらアレも夢の中の一場面なんじゃないか、という気持ちも心の何処かにあった。
昨夜のことが夢ではないことを確認して思わず胸をなでおろした。
あれが夢だったら。未だに彼女の夢を見ていたとしたら・・・・滑稽すぎるから。

当時マサヒコはアヤナに対して、密かに友情とは違った特別な感情を抱いていた。
最初はアヤナに正直良い印象を持っていなかった。
プライドが高い、何かと対抗意識を燃やす(これはミサキに対してだが)、よく殴る。
何かと自分に問題が降りかかってくるので、事なかれ主義のマサヒコにとってはまさに天敵だった。
しかし時間が経つにつれ、アヤナの様々な顔を見ることができた。
どこか抜けてるところもあって、意外と面倒見がよくて、何事も一生懸命取り組んで。
最初はよそよそしかった態度も少しずつ解れていって
ただのクラスメイトから大切な友人に関係も変化していった。

思えば、もうその頃からアヤナに淡い想いを抱いていたのかもしれない。
ミサキやリンコも大切な友人であったが、アヤナへの想いは、それらとは何かが違っていた。
ふと向けられる微笑や髪を掻き揚げる仕草を見ると、不意に胸にもやもやしたものが生まれた。
しかし恋愛に疎かったマサヒコ。
これが恋だということに初めて気付いたのは、アヤナが訪問してきたときだった。
アヤナの言葉に何故あれほど心動かされたのか。
鈍感な少年はこの時やっと自分の想いに気付いたのだ。
彼女に抱いているもの。
それは友情などではない。
あんなにも荒々しくて、こんなにも胸が痛むあの気持ちが、友情のはずないではないか、と。

「俺、前とそんなことするのが嫌ってわけじゃないんだ。むしろ‥‥嬉しいかもしれない」
最初に沈黙を破ったのはマサヒコだった。
アヤナは何も答えない。ただマサヒコをまっすぐ見据えている。
彼はこれはチャンスだと思い、マサヒコは一度大きく深呼吸を取り、真っ直ぐ彼女を見つめた。


「でも女の初めてってのは・・・その、大事なものだろ?
大体俺じゃあお前と全然釣り合わないし・・・・もう一回考えてみろよ」
彼女のことを気遣って言ってみたものの、なんとも情けない台詞だった。
アヤナに意気地がないと言われたのも当然だ。
しかしマサヒコはそれにめげることなく、言葉を紡ぐ。
「安易にそんなことして、お前にさ、後悔して欲しくないんだ。だって俺・・・」
(そこで止まるなよ。一気にいけ!)
臆病な自分に発破をかける。
「だって俺、お前のことがっ」
「小久保君・・・」
「っ!?」
アヤナの小さな声。しかし彼女の言葉は彼を止めるには十分すぎた。
「それ以上は・・・・言わないで」
「若田部・・・」
「辛く・・・・・なるから」
独り言のように呟くアヤナ。彼女に似合わない悲痛な響きだった。
「もう一回考えろ?何も考えてないはず・・・ないじゃない。もう何回も考えたわ」
言葉こそいつもの彼女のそれだが、口調には悲壮感が漂っていた。
「私、あと少しで日本から離れるけど・・・・・
初めては・・・・小久保君がいいと思ったのよ。他の誰でもない、あなたが。
後悔なんてするわけないじゃない。あなたとの思い出、作っていきたいの。
私の最後のわがまま、聞いてくれる?」
声自体はあまり大きくなかったが、そこに込められた想いは紛れもなく本物であった。
マサヒコは何も言わないでアヤナを抱きしめた。何度も何度も髪をすくように撫でた。
(放っておけるわけ・・・ないじゃないかよ)
今の彼女はか弱すぎる。それこそ、放っておいたら折れてしまうほど。
アヤナは抱きしめられたことに初めは戸惑ったが、それからマサヒコの肩に顔を押し付け、彼の背中に手を廻した。
じんわりと肩の辺りが湿ってきたのを感じる。
マサヒコは女ってこんなに細いんだな、と心の中で思いながらずっと彼女の髪を撫で続けた。

「もういいか?」
「・・・・ええ」
少女の控えめな声で少年は振り返る。
ベッドには纏わぬ姿でアヤナは横たわっていた。
マサヒコは思わず息を呑む。
今まで何かに見惚れるということなどなかった。
しかし彼は今、目の前にいる少女の裸身に目を奪われていた。
肌は陶器のように滑らかで、触れるのが躊躇われてしまうほどで。
服越しからでも強調されていた二つの果実は、大きさだけではなく、しっかりとした弾力があることを感じさせた。
肉付きも丁度良く、正に理想のプロポーションというのに相応しかった。


「あんまりじろじろ見てないで!早くきてよ・・・」
「あっ・・・わ、悪いっ」
アヤナの恥ずかしそうな声を聞いてマサヒコの意識が戻ってきた。
マサヒコはベッドの上に上がってアヤナと向かい合う。
が、向き合ってみたもののこういう事は初めての二人。
黙って向かい合うのも恥ずかしくて、お互い目線を逸らす。
「何からすればいいんだ?」
「わ、分からないわよ!あなたがしたいこと、したらいいでしょ・・・」
(誘っておいてその言い草かよ・・・)
恥ずかしながりながらも、いつもの語気が彼女に戻っていることに気付いたマサヒコは苦笑を浮かべた。
ようやくマサヒコ自身もいつものペースを取り戻す。
(したいこと、か・・・)
少し思考を巡らせると、それは案外すぐに思いついた。
「 !!? 」
マサヒコは身を乗り出して、彼女の唇に自分のそれを重ねる。
想像していたよりもずっと柔らかい彼女の唇にマサヒコは軽い驚きと感動を覚えた。
マサヒコはそれに何度も自分の唇を落とす。
顔を離すと、さっき見たときよりも遥かに赤くなっているアヤナの顔があった。
「い、いきなり何してるのよっ・・・!」
「やりたいこと。キスもしてないのにいきなり本番なんてないだろ」
マサヒコの言葉にアヤナの顔は更に朱に染まった。
自分の言葉や行動で動揺している彼女を見ると、心の奥から止め処ない愛しさが湧き上がってきた。
「ならせめて・・・んっ!・・・」
言葉を途中で遮って唇を塞ぐ。
舌を口内に入れ、執拗に彼女の逃げる舌を追う。
最初は抵抗を見せていた彼女だが、途中でそれを諦め、自らも彼の舌に自分のそれを絡ませてきた。
「ふぅん・・・・はぁ・・・・・んっ!」
カーテンを閉め切った薄暗い部屋に、濃厚な口付けから紡がれるピチャピチャという濡れた音と
時折洩れる荒い息遣いが響く。
「っはぁ・・・・せめて、何?」
唇をもぎ離して、マサヒコは意地の悪い笑みを浮かべた。
「もう・・いいわよ・・・馬鹿ぁ・・・」
荒い息をつく少女は焦点の合ってない視線を彼に向けて悪態をついた。


マサヒコは次に、目の前にある大きな乳房に手を這わせた。
「・・んん・・・」
(うわ・・・何だこの柔らかさ・・・しかも・・・)
マサヒコは少女の乳房の柔らかさと、手にとても収まりきらない大きさに驚きを隠せなかった。
弾力もある彼女の果実は、いくら形を変えようと力を込めるのを止めれば
元の形に戻ろうと彼の掌を押し返してきた。
彼女の胸に夢中になったマサヒコはもう片方の乳房にしゃぶりついた。
「ふぁああっ!!」
アヤナはマサヒコの突然の行動に一際高い声を上げる。
淡いピンク色をした突起に舌を這わせるたびにアヤナは陸に上げられた魚のように身を跳ねさせた。
「こく・・あぁっ!・・ぼ・・くん・・・もう・・おかしく・・なるぅ・・」
目元にうっすらと涙を浮かべるアヤナ。その雫をマサヒコは舌で舐め取った。
「じゃあ止めようか」
「え・・・?」
マサヒコはそう言って、手で乳房を弄ぶのを止める。彼女の顔が一気に翳った。
(こういう若田部見るのも楽しいな)
アヤナの普段だったら絶対に人に見せない表情。
それを自分しか見ることができないだと思うと、妙に気持ちが高ぶった。
「嘘だよ。そんな顔するな。次はこっち」
マサヒコはそう言うと、茂みの下にある花弁に指を這わせた。
「もうこんなに濡れてるぞ。胸苛められて感じたのか?」
「そ、そんなこと・・・ひゃあっ!!」
強がる彼女の裂け目に指を一本入れ、中を探るように中で動かした。
「すっげぇな・・・・この中・・・・」
彼女の中は、愛液で潤い、マサヒコの指をすぐさま濡らした。
「ふぁぁあ・・・・んん・・・・あぁぁあっ!!そこは・・・・だめっ」
マサヒコの愛撫にアヤナは実に素直に反応する。
優しく弄ると快感を我慢するように低い声を漏らし、少し刺激を加えると一際高い声を上げて身を震わせる。
(可愛すぎるって・・・)
アヤナの快感に身を捩じらせる姿はひどく扇情的で。
それは、まだ冷静だったマサヒコの感情を大きく煽った。
自分の股間が、熱と硬さを帯びている感じは随分前からあったが、そろそろ限界だった。
「若田部・・・・そろそろいいか?」
「え・・・?」
顔を上気させている彼女は掠れた声を出して首を傾げる。
「これ」
マサヒコはパンツ越しからでも分かるくらい怒張している自分の分身を、指差してみせた。
「・・・・うん。小久保君のも、見せて」
マサヒコは立ち上がってパンツを脱いで、それをベッドの下へと捨てる。
天に向かって屹立するマサヒコの男根がアヤナの前に露わになった。
アヤナは目を逸らさずじ〜っとそれを見つめた。
「あんまりじろじろ見るなよ」
「ごめんなさい。でも・・・」
そう言うが彼女は尚も目線を逸らさない。


「???」
だんだんと恥ずかしさより訝しく思う気持ちが生まれてきた。
「でも、なんだよ?」
「・・・・本当は大きくなるんだな〜、って」
「は?」
「前にお姉様が『マサはアソコが大きくならない病気なのよ』って泣いてたから・・・・」
そういうとアヤナは恥ずかしそうに目を逸らした。
(あの眼鏡は脳が腐ってるんじゃないか?)
フツフツと怒りが湧き上がってくる。あとで仕返し決定だな、とマサヒコは密かに決意した。
「あんな人の言うことなんか信用するな。大体・・・」
「大体?」
「もしそんな病気でもさ。今のお前見たらそんなの関係なくこうなる」
我ながらなんて恥ずかしい台詞だと思った。
言われた張本人なんてもう茹蛸だ。
(コホン・・・気を取り直して)
「じゃあ、いくぞ」
「うん・・・・」
アヤナの返事を聞いて、マサヒコはアヤナの入り口に自分の陰茎をあてがう。
「あっ・・・・」
そして、ゆっくりとマスヒコはアヤナの中へ腰を沈めた。
「っ!!・・・くぅ・・・・」
男のモノの侵入を拒むようにアヤナの内部は強くマサヒコの男根を締め付ける。
何とか根元まで自分のモノを挿入したマサヒコはアヤナの唇にキスを落とした。
「大丈夫か?」
「ん・・・・はあ・・・・へ・・・いき・・・」
アヤナは唇をきつくかみ締めて、辛そうに顔を歪めていた。
予想以上の痛みだったのだろう。頬には涙が伝っている。
「ちょっとの間の我慢だ。そんなに・・・・時間かからないと思うから」
アヤナの締め付けは処女特有の非常に強いもので、マサヒコに予想だにしなかった快感を与えていた。
マサヒコはアヤナを気遣うように、ゆっくりと腰を動かし始める。
腰を引くたび彼女の柔らかい肉壁が、マサヒコの男根を引きちぎるくらいの強さで締め付けてきた。
「く・・・・んんっ・・・・ふぁあ・・・」
アヤナはマサヒコの動くたびに、痛みからくる呻き声を漏らす。
痛みに耐える彼女のいじらしさに、マサヒコの興奮は更に高まっていく。
彼女を気遣っていたマサヒコの動きも、次第に激しくなっていって、腰を打ち付ける音が響くようになった。
(やべぇ・・・・)
まだ入れて少しの時間しか経っていないというのに、マサヒコはすでに自分の限界を感じ始めた。
「わかたべ・・・・・俺、もう・・・・駄目かも」
「んぁあ!・・・・いい・・・よ・・・・はぁ・・・きて・・・・」
アヤナはうっすらと目を開けてマサヒコを見つめる。
辛そうな顔を浮かべて、マサヒコの首に腕を廻した。


(もうちょっと我慢してくれよ)
もう限界というのは男としては情けない、と思う気持ちもあったが、
マサヒコは今回に限っては早く情事を終えられることに安心した。
彼女の辛い思いをするのは、マサヒコにとっても同じくらい辛い。
頭の片隅でそんなことを考えながら、快感の最後の階段を上りつめるため、腰の動きを速める。
肉と肉が擦り合い、クチュクチュと濡れた音が大きくなる。
「ああっ・・・・あぁあ・・・んあぁ・・・・!」
「若田部っ・・・・あ、ああっ!!」
アヤナを最後に深く貫いて、マサヒコは白い欲望を一気に吐き出した。
「中に・・・・小久保君、のが・・・・出てる・・・・」
アヤナは荒く息をつきながら、独り言のようにうっとりと呟いた。
マサヒコはそのままアヤナの上に倒れこむ。そうして彼女と何回目かのキスを交わした。
「はあ・・はぁ・・・ん・・・ありがと・・・」
アヤナからもマサヒコに唇を重ねる。彼女の目元にはまた泪が浮かんでいた。
二人は繋がったまま、しばらくの間抱きしめ合った。
離れ離れになる前に出来るだけ、相手の温もりを感じていたかった。

「っつ〜〜・・・・・」
情事の後、服を着て帰る仕度をしていたアヤナは苦痛に顔を歪めた。
「大丈夫か?」
「まだ少し痛むけど・・・・・平気」
無理に作られた笑顔がマサヒコに向けられる。少し痛む程度とは到底見えなかった。
が、マサヒコは彼女の気持ちを汲んで一言、そうか、とだけ呟いた。
「漫画か何かで見たけどやっぱり嘘ね。最初は痛いだけ」
「う・・・・・ごめん」
「小久保君が謝ることじゃないわよ」
「いや、もっとうまくやれてれば少し違ったかもしれないし」
ばつが悪そうにマサヒコは頬を掻く。
彼女の初めてがこのようなものだったことに、少なからず罪悪感を感じる。
アヤナはマサヒコに苦笑いを浮かべて彼に近づき、額にちゅっと唇を押し当てる。
「若田部・・・・」
「こういう初めての方が記憶に残るわよ。いかにも二人とも若かった、って感じじゃない?」
アヤナの穏やかな微笑みにマサヒコはなんとか笑みを作ってみせた。
(もうそんな切り替えもできるのか)
やっぱりアヤナは強いな、と思った。いや、女が強いと言うべきべきか。
「じゃあそろそろ帰るわ。あ、見送りはいいから」
アヤナは振り向いてドアの方に向かおうとする。
マサヒコは咄嗟に手を出そうとしたが、彼女の手をつかむ直前に止めた。
今のマサヒコには、彼女を黙って見送ることしか出来なかった。
彼女はドアを開けて、部屋を出て行く。扉を閉める前にマサヒコにもう一度微笑んでみせた。
「今日は来て良かった・・・それじゃあね、小久保君」


・・・・バタン

静かな音を立てて、扉が閉められた。
マサヒコはしばらくそのドアを見つめる。そして窓際に立って、家の外を見やった。
家から、アヤナが出て行くのが見えた。
彼女はそれから一度も振り返らないできびきびと歩いている。
彼女の足元から、夕日に照らされて出来た長い影が伸びていた。
毅然としてアヤナは歩いているというのに、影はとても心許ないように見える。
マサヒコはただぼんやりと、その影を見えなくなるまで眺め続けていた。


数日後のアヤナの送別会の日。
アヤナはその場に現れることはなかった。
皆がアヤナがやって来るのを待っていた時、彼女から一人一人へ別れの言葉が綴られたメールが送られてきた。
マサヒコには『いろいろ迷惑かけてごめんなさい』とだけ書かれたメールが来た。

あまりにも突然なことだったので、ミサキとリンコはそのことをひどく悲しがった。
しかし、マサヒコはこのことに少しは驚いたが、ある意味彼女らしいなと心の中で思った。
彼女は、みんなが思っている程、強くはない。
きっと別れ際の自分の姿を見せたくなかったのだろう。

マサヒコはあの時見上げた空を今でもよく覚えている。
あの日の空は、どこまでも高く、どこまでも青かった。


チーーーーンッ
トースターが出来上がった音で、現実に意識が戻された。
マサヒコはカップを置いて、まだ捨てていなかったペットボトルをゴミ箱へと投げ捨てた。
マサヒコはトースターから少し焦げた食パンを取り出し、それにガブリと噛み付く。
口の中でパンを咀嚼する。美味くも不味くもない。いつもの朝の味だ。
マサヒコはパンを味わいながら、アヤナのことを思った。
突然のアヤナの帰国。そして再会。
月日は確かに自分たちを変えた。
マサヒコ自身はもちろん、アヤナも数年前とは醸し出している雰囲気というのが違う。
が、昨日この場にあった雰囲気は・・・・あの頃のままのようだった。
懐かしさ・・・・とはまた少し違う気がする。
空白の年月を感じさせない、どこまでも自然な時間だった。


アヤナは、また来ると言っていた。
もしかしたら・・・・あの時止めてしまった時間が、また動き出そうとしているのかもしれない。
次に彼女が来たら、自分はどんな顔で彼女に会うのだろうか・・・・

ピンポ〜〜ン

思考はその間抜けな響きに中断された。
(・・・・・誰だよ)
マサヒコは大きく息をついて椅子に腰を降ろした。
とてもじゃないが出る気にはなれない。
(まぁそのうち帰るだろ)
ここは寝ていると思わせることにしようと決め、マサヒコは残りのパンを一気に口の中につめた。

ピンポ〜〜ン
(んぐんぐんぐ・・・・)
ピンポ〜〜ン
(んぐ・・・・)
ピンポ〜〜ン ピンポ〜〜ン
(ふ〜〜〜〜・・・・・)
ピンポピンポピンポ〜〜〜ン
「うるせぇ・・・・・」

マサヒコは悟った。こいつは俺が出るまで絶対に帰ってくれない。
深いため息を一度ついて、マサヒコは渋々玄関のほうに向かった。
(ったく・・・・誰だよ。こんな朝早くから・・・・)
マサヒコはドアの前に立った。チャイムは未だに鳴り続けている。
下らない勧誘だったらガツンと言ってやろうと心に決めた。
マサヒコは勢いよくドアのノブを引いた。
「こんな朝から一体・・・」
「遅いっっ!!!」
「〜〜〜〜っ!!」
咆哮一喝。
文句を言おうとしたが、凄まじい剣幕に逆に返り討ちにあった。
ドアの向こうには、不機嫌な様子を露にしている女が、腕を組んで仁王立ちしていた。


「・・・・・朝から何だ、若田部」
「また来るって言ったでしょ?」
「昨日の今日だぞ。普通こんなにすぐ来るか?」
「いつ来ようが私の勝手でしょ・・・・・・それと」
「あ?」

スパーーーン!!

マサヒは頬にいきなり熱さを感じる。
なんとも気持ちの良い音を立て、アヤナのスナップの効いた平手がマサヒコの頬を打った。
「〜〜〜っってぇぇ!!何するんだよいきなり!?」
「さっさと着替えてきなさい。まさか私の目の前で着替えるつもり?」
ズキズキする頬を押さえて、自分の今の格好を確認する。
腰にはバスタオルが一枚。それ以外の衣服を着ている感じがしない。
つまりマサヒコはほとんど裸でアヤナに向かい合っていたわけで。
「早くしてよ。あと5秒で部屋に戻らなかったらコレで・・・」
「今すぐ着替えてきますっ!!」
バッグから取り出された黒光りするスタンガンを確認するや否や、マサヒコは部屋の中にすぐさま引き返していった。
急いで下着を引っ張り出して足を通す。適当なシャツに腕を通し、ジャージを穿く。
ドアの前に立ってもう一度自分の格好を確認する。
・・・・・・よし。取り合えず殴られる心配はなさそうだ。
「次に来たら、ってか・・・・何も変わんないっての・・・」
そう、何も変わらない。今ここにいるのは、あの頃のままの関係の2人だった。
それを喜んでいいのか残念に思えばいいのか分からない。
分かるのは、取り合えず気性の荒いお嬢様の相手をしなければいけないということだけだ。
マサヒコはドアを開けて首だけ外へ出す。
そして、なるべく素っ気無く、外で待つアヤナへと言葉を投げかけた。
「入れよ。不味いコーヒーなら、出してやる」

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