作品名 作者名 カップリング
「熱いミルクティーが似合う秋の午後」 ピンキリ氏 -

 天高く、馬肥ゆる秋の日曜日。
黄色がかった草葉が優しい風にゆらゆらと揺れ、陽光は実に穏やかだ。
お出かけには絶好の日和と言って良い。
「あん、マサちゃん……やだぁ」
「ん、ミサキ……」
 だが、このアツアツペアはずっと屋内に篭りきりだった。
中村リョーコがその場に居合わせたら、顔をしかめて言ったことであろう。
外は秋なのにこの部屋だけ真夏か、このバカップルめ、と。
 時間は正午を少し回った辺り。
本来なら、遊園地やデパートにでもデートに行っているところだ。
しかし、マサヒコもミサキも、昨日は学校に遅くまで残って文化祭の準備をしていた。
それで疲れており、朝早く起きることが出来なかった。
とは言え、それで別々のまま家でゴロゴロする、という選択肢は二人にはない。
何せ付き合い始めて約半年、メチャクチャ楽しい時期なのだ。
「あっ……!」
「相変わらず首筋が弱いんだな、ミサキは」
 疲れている、とは言っても、男と女が二人っきりになれば、することはひとつだけ。
それに、小久保家、天野家ともに父は出張、母は町内会の日帰り旅行中。
誰にも邪魔されないし、誰にも気兼ねする必要がない。
「やぁ、あ、あっ!」
「ミサキはいやらしいな、こっちも、凄いことになってる」
「はぁ……! 嫌ぁ、そんなこと言っちゃっ、んんっ!」
 マサヒコの部屋は色々と散らかっているので、二人でイチャイチャするのは専らミサキの部屋と決まっている。
今日もそうで、十一時頃に起きた二人は携帯で連絡を取り合い、マサヒコがミサキの部屋へ御出征と相成った次第。
「はぁ、はぁ……マ、マサちゃ、ん……」
「脱がすよ、ミサキ……」
 付き合い始めて半年、こっちの方もメチャクチャ楽しい時期、なのだった。

                 ◆                     ◆

「ミサキ、これ、沸騰させただろ。ミルクティーってのは沸騰寸前で火を止めるもんじゃなかったっけ?」
「い、いいじゃない。新しい作り方よ、新しい」
「ふぅ、ふぅ……ズズッ、しかも、砂糖を入れ忘れてる」
「あう」
 白昼の睦み事が終わると、二人はシャワーで汗を流し、新しい衣服に着替えた。
一階の居間でテレビなんぞを見つつ、ミサキが作ったホットミルクティーでお茶休憩に。
実に優雅な休日の午後、のはずが、ホットミルクティーを作り損ねてしまうところが、いかにもミサキらしいと言えばミサキらしい。
「ま、いいか。飲めないわけじゃないし」
「その慰め方、ちょっと傷つくかも」
 二人は肩を寄せ合い、ミルクティーを吹いて冷ましつつ、ゆっくりと喉の奥へと流し込んでいく。
「ふふっ」
「うふふ」
 テレビからはバラエティ番組、開けられた窓からは爽やかな風。
顎に当たるホットミルクティーの湯気、肩に感じる愛しい人の体温。
「……ふ、わふ……」
「ふああ……」
 そして、同時に出るあくび。
なんと幸せな時間であることか。

 天高く、愛広がる秋の日曜日。
黄色がかった草葉が優しい風にゆらゆらと揺れ、陽光は実に穏やかだ。
ミルクティーを飲みつつ、恋人とお昼寝するには絶好の日和と言って良い。

「……」
「すぅ……すぅ……」
 ミサキはマサヒコの肩を、マサヒコはミサキの頭を枕にし、二人仲良く夢の園へ。
なんと、幸せな時間であることか―――

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