作品名 | 作者名 | カップリング |
「ご主人様と奴隷の幸せな関係エピソード8・甘い女」 | ピンキリ氏 | リョーコ×セイジ |
「あああ、疲れた疲れた」 中村リョーコはそう言うと、ビール缶をプシュッと開け、口をつけてグビグビと飲んだ。 「ぷはー、新人でこれなんだから、これから先のこと考えるとゾッとするわ」 「……なあ」 「ウチの銀行、最低半年間は営業係で言わば修行すんのよ」 「……おい」 「で、指導の先輩がつくんだけどさ、これがまた意地の悪い奴で、いちいち嫌味を口にすんのよねぇ」 「……こら」 「挨拶の声はもっと大きく、とか、電話の応対はもっと丁寧に、とかさ。ちゃんとやってるっつーの」 「……リョーコ」 「それに今日、ATMの横のゴミ箱を片付けてたら客に尻触られたのよ。全く、腹が立つったらありゃしないっての」 「いい加減にしろおおおお!」 「何よー、愚痴くらい聞いてくれたっていいじゃないのさ」 「何で俺がお前の愚痴なんぞ逐一聞かなきゃならん! つうか、堂々と人の家に入ってビールまで飲むなあ!」 仕事帰りのリョーコが今居るところ、それは豊田セイジの家。 就職してからというもの、リョーコは週に一、二回のペースでセイジのマンションにやって来ては、 こうやって遠慮する素振りさえ見せず、ビールを飲んだり愚痴ったりしている。 セイジも、リョーコが素直に言うことを聞くわけはないとわかっていつつ、 こうやって突っ込まねば気が収まらない。何か、もはやお馴染みの光景だ。 「アンタ、人が疲れて帰ってきてるのに、労わりの言葉すら無いわけ?」 「疲れているのは俺も同じだ! 自分ひとりがシンドイって面するなー!」 「って、アンタねー、何よその言い草は?」 「お前はクーラーの効いた銀行の中にいたんだろ? 俺なんか炎天下でサッカー部の指導やってたんだぞ!」 別に結婚しているわけではない。 婚約もしているわけではない。 恋人とはっきり言えるわけではない。 友達という表現も曖昧だ。 だのに何故、リョーコがこうしてセイジの家にずかずかと上がりこんだ挙句、 主人以上に大きな顔が出来るのかと言うと――― 「ああ、うっさいうっさい! アンタは私の犬なんだから、文句言うな!」 中村リョーコ、23歳。業界大手いつつば銀行に就職したての新社会人。 豊田セイジ、27歳。市立東が丘中学に勤める英語教師。 長髪でスラリとしたスタイルのリョーコと、長身で爽やかな容姿のセイジ、 側から見れば、美女と美男、実にお似合いの取り合わせに思える。 ただし、あくまで側から見た限りであって、 実際の二人の繋がりは、400字詰め原稿用紙一枚に収まりきるような簡単なものではない。 セイジが高校生の時、中学生だったリョーコを街でナンパした。これがそもそものきっかけだ。 二人はつきあいはじめ、別れ、そして紆余曲折の果てに今の関係がある。 物凄く要点を絞って説明すると、『リョーコがご主人様で、セイジは奴隷』となる。 一般人にはなかなか理解し難いだろうが、そういうことになっちゃってるのだ。 「肩揉んで、肩。凝っちゃった」 「サロンパスでも貼っとけ」 「揉め」 「……」 セイジは大きく溜め息をつくと、リョーコの背後に回りこみ、肩を揉み始めた。 言い出したら聞かない性格なのは充分承知しているし、 それにあまり抵抗すると、キレて何をしだすかわからない。 ある程度引っ張ったところで、我侭を聞いてやるのが賢いやり方なのを、セイジは理解している。 もっとも、半分以上は諦めの気持ちが入っているが……。 結局のところ、リョーコに従わされていることに変わりはないわけで。 「あ……ん、そこ……あはぁ、じょ、上手じゃない……」 「紛らわしい表現はやめてくれ」 「何よ、褒めてやってるのに」 「それでもやめてくれ」 「んん……あ、ぅ……も、もっとぉ……」 「……肩揉むのやめるぞ」 「くっ、生意気な犬ね。じゃあ、次は胸揉んで」 「アホか!」 ……喧嘩するのも仲良しのうち、とは言うが、 この二人の場合は果たしてそれが当てはまるのはどうか。 おそらく、当人同士は否定するであろう。 ◆ ◆ 「……」 「……」 「……」 「……」 揉み揉み、とセイジはかれこれ十分近くリョーコの肩を揉み続けている。 いい加減、腕がつらくなってきた。 だいたい、セイジだって疲れているのだ。 学校の先生はいいよな、夏休みが長くて……などと、 嫌味なのか何なのかよくわからない言葉を友人連中に言われたりするセイジだが、 冗談ではない、と彼は心の底から思う。 夏休みを満喫出来るのは学生だけだ。 教師は実際、そうはいかない。 クラブ活動の顧問として、練習試合の申し込みやら父兄への連絡やら、 様々な会議やら研修やら、生徒ごとの学力の課題のまとめやらと、ある意味通常の学期内より忙しい。 「……なあリョーコ、もういいだろ?」 「……」 「おい、ってば」 「……」 リョーコは答えない。 変だ、と思ったセイジは、顔をぐっと前に出し、肩口からリョーコを覗き込んだ。 と、目に入ってきたのは、口を小さく開け、目を閉じてわずかに顎を上下させているリョーコの横顔。 そして、耳に届くのは規則正しく繰り返される、静かな呼吸音。 「コ、コイツ……」 セイジは呆れかえった。 どれほど疲れているのか知らないが、人様に肩を揉ませておきながらそのまま眠ってしまうとは、 何とずうずうしいことであろうか。 「ほんと、たまらんな……うっ」 セイジはリョーコの肩口に顔を近づけたままの格好で、一瞬固まった。 さっき緩めたのだろうが、リョーコの服の胸元が少し肌蹴られ、 そこからふくよかな乳房の谷間と白いブラジャーがちらりと覗いていたのだ。 「……ふうう」 セイジは顔を離すと、首を数回左右に振った。 危ないところだった。 その色っぽさに、一瞬クラリといきかけてしまった。 「いかんいかん」 リョーコのスタイルの良さは、説明するまでもない。 巨乳というわけではないが、成人女性としては申し分の無い大きさの胸。 余分な肉のついていない腰周り。 弛みのないお尻。 引き締まった手足。 サラリとした長く豊かな黒髪。 十人に聞けば、まず八人は美人だと評する顔。 酒はかっ喰らうは夜更かしはするわ、今は止めたものの煙草だって吸っていた。 それで、どうしてここまで完璧に近いプロポーションが保てるのか。 少なくとも、セイジは学生時代にリョーコとつきあっていた時から、 彼女がそういった容姿を保つためのケアをしているところを、ほとんど見たことがない。 必死に手間隙かけずとも美容を保持出来る、 そういう生まれ持っての素質なのだ、と言ってしまえばそれまでなのだが……。 「……このままほっとくのが吉、かな」 起こさないように、そっとその体を横たえて、タオルケットでもかけて放置。 それが、今夜を平穏無事に乗り切る最善の策だろう。 そう思って、セイジはリョーコの体を横にするために、そっと肩を掴んだ。 目を覚まさないでくれよ、と心の中で念じながら。 「……つまんねー」 「ひゃあああう!?」 セイジは中腰の体勢のまま、1m程後ろへ飛び退った。 あともう少し後方にいっていたら、キッチンへと転げてしまっていたかもしれない。 「お、お前起きてたのか?」 「起きてて悪い?」 「リ、リョーコ……」 ここでセイジはハタと気づいた。 「お前、ワザとか!」 自分がからかわれていることに。 「てかさあ、無防備な姿をさらしてんだから、背後からガバッと胸に掴みかかったりしない?」 「するかあ!」 そんなことすれば、リョーコの思うツボだ。 「連日の仕事で疲れた男、心にモヤモヤしたものが澱んでたゆたってる」 「……」 「そんな時に目の前にガードの甘い女がいる。そこでバーッと襲う気にならない?」 「なるかあー!」 発散も何もあったものではない。 ますます疲労が溜まるばかりではないか。 「だからそこがつまんねーっての! 私がこうやってその気にさせる格好してるってのに」 「ややや、やっぱりワザとかあ!」 「どうしてもその気になんないなら、こうだ!」 リョーコは物凄いスピードで、ババッと上着のボタンを外した。 はらりと前がはだけ、ブラジャーが外気にさらされる。 「なっ、なななな」 「さあさあさあ、ストレッチ体操で疲労回復、疲労回復!」 「リョリョリョ、リョーコぉぉぉお……ふぐわあ」 セイジが制止する暇もなかった。 高速でリョーコはセイジに飛び掛ると、ボタンのジッパーを下ろし、 その中に指を突っ込んでモノを取り出した。 「えい、パク。ちゅちゅっ」 「うわああああああ……」 そう、セイジはリョーコの奴隷。 いくら抵抗しようとも、最後はリョーコの思うがまま――― ◆ ◆ 「あ……んんっ、いいよセイジ……ィ」 「う、リョー……コ」 「……はぁ……っ、もっと……」 「……っ」 セイジはリョーコに求められるまま、激しく腰を打ちつけた。 パン、パンと言う渇いた音と、グチュグチュという湿った音が交互に部屋に鳴り響く。 「セイジ……」 「リョーコ……」 リョーコが両の腕をセイジの首に回し、ぎゅっと引き寄せた。 互いに下半身の動きは止めず、顔を寄せて唇を貪るように擦り付けあう。 「む……ぅ! は、んむ……」 「……ふ……っ、うぅ」 リョーコがセイジのモノにかぶりついてから小一時間が経とうとしているが、 彼女はセイジを解放しようとしなかった。 居間でまずフェラチオで一発、寝室に移動してから今度はパイズリで一発。 小休止のあと、たっぷりと前戯を行い、本格的に突入開始。 「くう……っ! セイジ、いいよ……!」 「リョーコ、リョーコ……!」 セイジはテクニック的には結構なものを持っている。 何せ相手がリョーコなのだ。 そりゃ指も舌も下半身も、技術が向上しようてなもんである。 一旦別れてからブランクがあったとは言え、何度身体を重ねあったかわからない。 それに、リョーコが感じるポイントは、ほぼ全て頭の中に叩き込まれてある。 「あん……!」 セイジはキスをやめると、目の前で揺れるリョーコの乳房に、両の掌を這わせた。 腰を突き出すタイミングにあわせ、下から持ち上げるように優しく胸を揉む。 「あは……肩揉んでもらう……より、キモチイイ……かも」 「……バカヤロ」 「じゃ、ツボ押して……くうっ!」 リョーコの言葉が終わらぬうちに、セイジは人差し指と親指で桜色の突起を摘み上げた。 さらに引っ張り、擦り、押し込む。 「んんっ……!」 リョーコは頭の下に敷いた枕を掴むと、ぎゅうと絞るように頬の横へ押し付けた。 同時に、その首筋が乳首と同じように桜色に染まっていく。 それは、頂点が近い証拠だった。 「リョーコ……!」 同様にセイジも、限界を感じていた。 手を乳房から離すと、リョーコの脇の下に差込み、今まで以上の激しさで腰を突き込み始める。 「あっ、あ、あ、ああ……!」 リョーコの声のトーンが、加速度的に上がっていく。 「あ……はぁ……!」 リョーコの目蓋が、ピクリピクリと小刻みに震える。 今日一番の締め付けを、セイジは感じた。 「あ……くうっ!」 腰の奥から快楽が駆け上っていくのを覚え、セイジは残された理性を総動員して、 モノをリョーコから抜くために腰を引いた。 だが。 「……あ……っ」 リョーコの脚が自身の腰に絡みついており、それを成すことが出来なかった。 本来、リョーコのお腹や胸の上に放出するはずだった、熱い精を、 セイジは思い切り中で放ってしまった。 「……っ」 煮えきった脳みその奥で、セイジはしまった、と思った。 今日はリョーコの勢いに乗せられるままにコトに及んでしまったために、ゴムをつけていない。 「あ……」 快感の波から解放されたリョーコも気づいた。 自身の子宮にぶつけられた、熱いセイジの滾りを。 「……あは、やっちゃった……ね」 「……」 リョーコが事前にナマでと望んだ時以外、二人は必ずゴムをつけてする。 だがしかし、今日という日に限って、なし崩し的に本番に入ってしまった。 「リョーコ……その……」 セイジは体力を使いきり、重たくなった体を動かして、リョーコから離れた。 モノが抜けきったリョーコの秘部から、愛液に混じって白い精液がトロトロと零れていく。 「わ、悪い……」 「……ヒドイ奴ね、あんだけやる気ないとか言っておきながら、中に出すなんてさ」 「や、そ、その……」 「ま、いいわ」 「へ?」 やけにあっさりとリョーコが言ったので、セイジは思わず自分の耳を疑った。 「最後、脚動かしてアンタが抜き易いようにするつもりだったんだけど……」 「……はあ」 「動かなくてさ。ちょーっと、キモチ良すぎちゃって、力入らなくて」 「や、その……そんな簡単な話では」 よいしょ、と年寄り臭い台詞とともに、リョーコは体を起こすと、ベッドに腰掛けた。 「だって、仕方ないじゃない。やっちゃったものはさ」 「そりゃ、その……」 「こんなんだったら、脚もマッサージしてもらえば良かったわ」 「へ?」 「今日立ってる時間が長かったから、ちょっと脚に疲れがあったのよね」 「……アホか」 セイジは首を振ると、小さく肩を落とした。 もし、この一発でデキてしまったらと考えると、とてもリョーコのようにサバサバと振舞えない。 「何肩落としてるのよ、だから仕方ないじゃない」 「でもさ……」 「ま、もしデキちゃったら、責任取ってもらうけどね」 「ぐはあ!」 セイジは仰け反った。その言葉の意味するとことはひとつだ。 ドサリ、とベッドから転げ落ち、床でしたたかに後頭部を打ち付けるセイジ。 「なんつーリアクションを……そんなに嫌か、この犬は」 リョーコは立ち上がると、目を回しているセイジを上から覗き込む。 まだ脚に力が入らないのか、若干上体がふらついていたりなんかするのが、何とも。 「……勢いにまかせて、私が着けさせなかったのも悪かったけど」 小さく、リョーコは呟いた。 リョーコにしては、珍しいミスと言えるだろう。 家庭教師の頃、教え子たちにナマでやることの危険性をよく口にしていた彼女としては。 「……詰めのミスと言うか油断というか、ちょっと甘かったわね」 リョーコはお腹の上に右の掌を当てた。 まだ、奥の方がじわじわと熱い。掌に、その熱さが伝わってくるようだった。 「……いざとなったら、首輪に加えてさらに鎖までつけなきゃならない……か?」 浴室へと、リョーコは歩を進めた。 ニ、散歩で足を止め、後ろをそっと振り返る。 「気を失う程仰天しやがって。ムカツくわね……」 まだ、セイジは床の上で仰向けに寝そべっていた。 モノもすっかり萎えて垂れ下がっており、何ともマヌケな格好だ。 「……バカな奴」 はあっ、とリョーコは大きく息を吐くと、シャワーを浴びるために、改めて浴室へと向かった。 掌でお腹を押さえたまま、ペタペタと足音を立てて。 F I N
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