作品名 作者名 カップリング
「ハッピー(セックス)ライフ 3」 ピンキリ氏 マサ×アイ&リンコ

「あ……っ、や、やぁ……!」
 マサヒコは前歯で軽く、リンコの薄いピンク色の乳首を噛んだ。
そして、歯で挟んだまま、舌先でそっとその乳首の頂を叩く。
「くうっ……!」
 リンコが快楽にぶるぶると打ち震えた
マサヒコの舌だけではない。リンコの小さな乳房は、背後にいるアイによって優しく愛撫されている。
「あ、はぁ……! こ、小久保くぅん、い、いいよぉ……!」
 アイはただ揉んでいるだけではない。
マサヒコが弄くり易いように、ぎゅっと前へ突き出すように突き出すようにと、手を動かしているのだ。
「は、はぁ、あ……!」
 リンコの首と頭が、ガクンガクンと前後左右に揺れ動く。
快楽を与えられ、自分の身体を制御出来ていない。
「ふふ……」
 マサヒコは微笑むと、舌と歯をそっと離した。
代わりに、右手の人差し指と中指で、下着越しにリンコの敏感な部分を上下になぞった。
「きゃ、あ……!」
 連動して、アイがリンコの首筋にそっと歯を立てた。
そして乳房から手を放し、リンコの最も感じる場所である、へその辺りを優しく円を書くように擦っていく。
その動きは、マサヒコの手と見事なまでにシンクロしていた。
「ふぁ、あ、あ、ああ」
 リンコの首の揺れが一層激しくなった。
瞳は焦点を結ばず、頬や胸元は赤みを帯び、だらしなく開いた口からは、唾液が粒となって飛ぶ。
「あ、あ!」
 マサヒコとアイ、それぞれが指にかける力を増した。
リンコの鼻先から爪先まで、ピリピリとした“何か”が駆け抜け、弾けた。
「……!」
 数秒、リンコは小刻みに体を震わせた。
唇の端からつぅっと垂れた唾液が、顎を伝って落ち、秘所にあてられたマサヒコの掌に、ポトンと落ちていった。
「は、あ……」
 ガクリと体を折り、マサヒコの肩へと崩れるリンコ。
マサヒコはそっと、包むように優しく受け止め、ぎゅっと抱き締めた。
その体は、壊れるくらいに小さかったが、とても熱かった。

 今、マサヒコとアイ、リンコが体を重ねている場所は、アイのマンションの部屋だ。
マサヒコたちは最近、ここを主に使うようになっている。
マサヒコやミサキ、リンコは学校へは自宅通いなので、家には常に誰かいる可能性がある。
アヤナは学校の寮なので、そもそも男であるマサヒコはその中へは入れない。
ラブホテルという手もあるが、一対一ならともかく、三人以上の人数ではそうもいかない。
人目を気にしなければ別にいいのだろうが、やはり、ぞろぞろと何人も連れて利用するのはさすがにちょっと気がひける。
まあ、そんなこんなで、本人以外は誰も住んでいないアイの部屋が、こうして多用されることになったというわけだ。
「ふふ……リンちゃん、イっちゃったね」
 くすりと微笑むと、アイはリンコの体を放した。
ぐっとマサヒコにかかる重さが増すが、それでも男一人で支えるのにわけはない。
「的山は感じ易いですからね……」
 気を失ったリンコを、マサヒコはそっとベッドの隅に横たえた。
目蓋がピクリピクリと微妙に揺れ、唾液に塗れた口から吐かれる息は熱を持っている。
意識こそ無いものの、リンコの体はまだ快楽の余韻の中にどっぷりと浸かっているようだった。
「先生……」
「あ……」
 マサヒコはリンコの体に触れないように、そっとアイに手を伸ばすと、その肩を掴んだ。
そして、力を入れてやや乱暴に引き寄せた。
乱暴といっても、アイが傷つくようなものでは、決してない。


「む……」
「あ、ふ……ぅ」
 引き寄せた勢いそのままに、顔を近づけ、アイの唇を奪った。
互いの前歯が少しだけぶつかり、小さくカチリと音をたてる。
「……っ」
「ちゅ……ふ……」
 二人が唇に吸い付きあう度に、鼻と鼻が、頬と頬が、額と額が柔らかく触れ合う。
二人は、その格好で息が苦しくなるまで、唇と舌を貪りあった。
「あ……!」
 唇が離れ、呼吸を整える間もなく、マサヒコは次の責め手に進んだ。
ベッドの端に腰掛けると、アイのお尻に手を回してその体を浮かせ、自分の太股の上に、跨ぐように座らせる。
「マサヒコくぅん……」
 うっとりとした口調でアイは呟くと、両腕をマサヒコの首に回し、その耳の辺りに頬を摺り寄せた。
アイの髪とマサヒコの髪が、摺る動きに合わせてゆっくりと絡み合っていく。
「……先生」
「マサヒコ君のが、お腹に……」
 マサヒコのモノが、猛々しくそそり立ち、アイのおへそ辺りにコツコツと当たっていた。
早くアイはそれを体内で感じたかったが、あえて急かさず、そのままの体勢でマサヒコを抱き締め、体を揺らした。
固いながらも弾力のあるマサヒコのそれが、アイのお腹を叩く度に、熱が波紋のようにアイの全身に広がっていく。
同時に、ギシギシとベッドの軋む音が、耳と肌を通じて、アイの淫らな気持ちを上へ上へと押し上げる。
「的山も感じ易いですけれど……先生も、そうですね」
 アイの耳元で、小さくぽそりと囁くマサヒコ。
マサヒコは、ベッドの軋みに、何か濡れたものが擦れあうペチャペチャという音が混ざり合っているのに気づいていた。
それは、アイとマサヒコの太股の間で鳴っている音だった。
そう、直接は触れていないのに、先程からのこの行為で、アイは秘所を潤わせていたのだ。
「マサヒコく、ん……何か、すごいの……触られてないのに、おへそにマサヒコ君が当たってるだけなのに……」
「……?」
 とくとくと零れたその液が、アイの太股を濡らし、マサヒコの太股も濡らしていく。
「すごく、すごく……感じてきちゃって……あ、あ、な、何か、もう、イッちゃいそう……」
 トロンとした目で、アイはマサヒコを見た。
マサヒコも、じっとその目を見つめ返す。
「ダメですよ先生……まだ、入れてないのに……」
 そう言うと、マサヒコは両腕に力を込めた。
アイの体を、壊れ物を扱うように、優しく上へと浮かす。
「あ……」
「本当に感じあうのは、これからですよ」
「あ、あ、あ!」
 ぐっとアイの体を、密着するように寄せ、マサヒコは自身のモノをアイの秘所へとあてがった。
直に見なくても、どの辺りにアイの入り口があるかはわかる。
何度も、何度も、体を重ねてきたのだから。
「いきますよ……!」
 両腕の力を、マサヒコは一気に抜いた。
それに伴い、マサヒコの怒張はアイを勢いよく貫いた。
「あーっ!」
 アイは顎を上げ、背中を思い切り反らした。
すでに濡れていた、受け入れる準備は整っていたとは言え、いきなりの挿入に、感覚が追いついていかない。
快感というよりは熱さ、ただ熱さが、アイの膣内に広がり、子宮を叩き、そして全身を焦がしていく。
「あ……か……」
 ぱくぱく、とアイは口を何度も開閉させた。
唾液があふれるだけで、言葉が喉の奥から出てこない。
「先生、先生……!」
 頂点寸前まで、一瞬にして連れて行かれたアイ。
そのアイを、さっきまでの優しい動きと打って変わって、マサヒコは容赦なく突き上げた。
マサヒコも、我慢が出来なくなっていたのだ。
あの母の血を受け継ぎ、いくらその筋に才能があると言え、マサヒコはまだ十七歳の高校生だ。
性技の巧みさ、相手を感じさせる術は確かに同年齢の男子に比べれば長けている。
だが、感情のコントロールまで、完璧に制御出来るわけではない。


「あく、くぅ、はぅ……!」
 アイは半ば無意識に、マサヒコの首と肩を強く抱き締めた。
アイの中で上下する、マサヒコの分身。
それが、アイから快楽を除いた全てを奪い去っていく。
「は、か、うっ……く! マ、サヒコ……くっ……んぁ!」
「せんせ、い、先生……っ!」
 密着した胸や腹で、混ざり合う汗。
絡み合う熱い息。
ベッドの軋む音。
体がぶつかりあう音。
淫らな液体が弾けあう音。
それらが、混然一体となって爆発し、マサヒコとアイを悦びの最上段へと放り上げる。
「あく、うく、う……む……!?」
 突然、アイは唇を何かに塞がれた。
「む、むー……!」
 マサヒコは動きを緩めず、顔を少し傾けて、アイにキスをした者の顔を見た。
それは、さっき気を失ったリンコだった。
どれだけリンコにぶつからないようにしても、これだけ動きが激しければ、リンコも気を取り戻そうというものだ。
「ぷは……ぅ、アイ先生、すっごく、いやらしい顔してますよぅ……」
 一度アイの唇を解放し、そしてまた吸いつく。
マサヒコの肩越しに行われる、女同士の、深くて熱い口づけのラリー。
「あ、あ、ちゅ、むぅ……っ……! く、はぁ、ああ!」
 アイの声が、一段と高くなった。
それは、アイの限界が至近にある証拠だ。
「せ、先生……! お、俺、も……!」
 限界が近いのは、マサヒコもまた同じだった。
腰を突き出すスピードをさらに上げ、欲望を突っ走らせる。
「あ、あ、ああ、ああ……っ、……く……ぅう!」
「あ……!」
 ぎゅ、とアイはマサヒコを締め付けた。
ずん、とマサヒコはアイを貫いた。 
爆発は、同時に訪れた。
「は……ぅ……」
「……」
 マサヒコの欲望の証が、アイのお腹の最奥に勢いよく、長く、叩きつけられていく。
体の中にマサヒコ君が流れ込んでくる。
アイは、薄れゆく意識の中で、そう思った。
魂まで吸い上げられていきそうだ。
途切れそうになる思考の中で、マサヒコはそう感じた。
「ああ、んん……!」
 斜め後ろにゆっくりと倒れていく二人に重なるように、リンコも体を折った。
マサヒコたちの動きにあわせて、手自慰をしていたのだ。
二人に遅れること僅か一、二秒で、リンコもまた頂点に達した。
「……」
「……く、ぅ……」
「あぁ……」
 三人は残された体力と意識を総動員して、ぴったりと体を寄せ合った。
激しく動き、汗を流し、体が熱を持っているというのに、肌が重なりあった部分は奇妙に冷たかった。
あまりに快楽を感じ過ぎたがために、神経が少し狂ってしまったのだろうか。
感覚の逆転現象、とでも言うべきかもしれない。
だが、そんなことはどうでもよかった。
その冷たさは、過ぎるくらいに心地良かった。

                 ◆                     ◆



 マサヒコはムクリ、と体を起こした。
窓の外が夕焼けで赤く染まっているところからして、
疲れと冷たさに身を任せて眠りについてから、まだ二時間とは経っていないようだった。
アイであろうとリンコであろうと誰であろうと、セックスの後の眠りで、一番最初に目を覚ますのは常にマサヒコだ。
多人数を相手にし、分割した命とも言うべき精を放っているのだから、本来なら最も疲れているのはマサヒコのはずだ。
だが、それでもマサヒコは、女性陣より先に意識が戻る。
若さのせいでもあるし、男ゆえの体力のせいでもあるだろう。
いや、もしかすると、マサヒコが与える快楽というのは、
自身が思っているより、アイたちには大きなものなのかもしれなかった。
深く幸せな疲労の淵へと誘う程に、大きな。
「ん……?」
 マサヒコは顔を上げた。
脱ぎ捨てた服のポケットが、かすかに発光し、震動している。
どうやら、携帯電話に着信があるようだった。
「……」
 マサヒコは躊躇ったが、結局携帯を取らなかった。
だいたいの見当はついている。
今日は休日だが、ミサキとアヤナは学校に委員会とクラブで用事があったのだ。
それゆえ、マサヒコはアイとリンコの二人を相手にするだけで良かったのだが―――
ほぼ間違いなく、今の着信はミサキかアヤナのどちらかのものだろう。
時間的にも、丁度それぞれの所用が終わる頃合だ。
「やれやれ」
 マサヒコは二人を起こさないようにベッドから降りると、トランクスを穿き、キッチンへと向かった。
冷蔵庫から飲料水のペットボトルを取り出すと、直に口をつけるような真似はせずに、ちゃんとコップに移してから飲んだ。
自分のものだったら直接飲んでいただろうが、これはアイのだから、マナーは守らなければならない。
あれだけいやらしいことをしたのにマナーも何も無いのだが、
その辺りはきちんと守らなければならないものだと、マサヒコは考えていた。
「……ふぅ」
 返信が無ければ無いで構わず、おそらく、発信した人物はここへやってくるだろう。
そうすれば、また愛を持って相手をしてあげなければならない。
マサヒコや彼女たちが望んだ関係とはいえ、これはこれで中々骨が折れるものだった。
もっとも、マサヒコは決して嫌がったりはしない。
複数の女性を相手にしようとも、その間にあるのは純粋な愛であり恋だ。
マサヒコはそう考えているし、信じていた。
例え他人からどれほど糾弾されようとも、その思いを変えるつもりはない。
将来のことは正直わからないし、ぼんやりとも見えてこない。
愛だけでは、間違いなく乗り切ってはいけないだろう。
だが、皆とならきっといい方法が見つかると、マサヒコはそうも信じていた。
「……」
 マサヒコはもう一杯、水を飲むと、また寝室へと戻った。
アイとリンコは、目を覚ますことなく、抱き合うような格好で眠っている。
そんな二人に、マサヒコはそっと毛布をかけてあげた。
夏に近づき、気温が上がってきたとはいえ、夕方から夜はまだ涼しい日が続いている。
汗をかいた後でもあり、体全身を長く冷やすのは健康に良くない。
「よっと」
 マサヒコは上着のシャツを手に取ると、ポケットから携帯を取り出した。
「……はは」
 苦笑するような感じで、マサヒコは笑った。
最新の着信履歴、そこには、僅か数秒の差で、天野ミサキと若田部アヤナの名前があった。
そして、内容もまったく同じだった。
『すぐ行きます』と、メールに短く書かれていた、その一言。
「ははっ」
 もう一度、マサヒコは笑った。
さっきより、明るく、大きく、優しげに。


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