作品名 作者名 カップリング
No Title ピンキリ氏 一応マサヒコ×ミサキ

 カーテンによって陽光が遮られた部屋で、一組の男女が愛を交し合っていた。
ギシ、ギシと一定のリズムで軋むベッドの音が、何とも卑猥な感じに部屋の中に響く。
その軋みの音に、男の荒い息と、女の喘ぎ声が重なり、より一層、部屋を淫らな空間へと染め変えていく。
「マサ、ちゃん、マサちゃあん……っ!」
「ミサキ、ミサキ……!」
 男と女と言っても、まだ二人とも高校一年生、16歳になったばかりだ。
少年と少女と呼ぶ方が、似つかわしい。
キスや前戯もそこそこに、本番に突入してからかれこれ三十分程経っている。
余裕が無いと言うか、経験が薄いと言うか、まあ、まだ若いのだ。青い性欲を制御しきれていない。
もう少し、交合の何たるかを自得すれば、恋人同士としての、さらに新しい性の世界に踏み込むことが出来るだろうが。
「う、くっ……ミ、ミサ、キッ!」
 少年、小久保マサヒコが腰使いをやや乱暴なものにした。
勢いをつけて、少女、天野ミサキの奥へ奥へと、自身のモノを送り込む。
限界が近いことを、それは意味していた。
「ああっ、あ、あ、あぁ……マサ、マサちゃん……!」
 ミサキはマサヒコの背に回す腕に力を込めた。
脚も、挿入を誘い込むかのように、マサヒコの腰の絡めていく。
「くっ……!」
 マサヒコの背筋がピンと伸びた。
熱くて白い欲望の証が、コンドームの中へと放出される。
「あっ、マサちゃん、マサ……ちゃ……」
 ミサキは絶頂を迎えなかったが、薄いゴム地越しに、マサヒコの精を感じ取り、身体を震わせた。
達しなかったとはいえ、愛する人が自分の身体で気持ち良くなってくれたという事実が、ミサキを酔わせる。
「……ゴメン、ミサキ。先にイッちゃった」
 精を吐き出してから十数秒後、マサヒコは腰を引きながらミサキに謝った。
ミサキはマサヒコの頬にそっと手を伸ばし、つたう汗を指で拭いながら優しく微笑んだ。
「……ううん、いいよ。さっきは私が先にイッたんだし、これでおあいこだよ」
 この場に他者がいたら、何がどうおあいこだ、と突っ込んでいたかもしれない。
だが、これも恋人という間柄においては不思議でも何でもない。理屈じゃないのだ。
「ね、マサちゃん……」
 コンドームを片付けるマサヒコに、ミサキは声をかけた。
「ん?」
「その、あの、もう一回……しない?」
「え、も、もう一回?」
 恥ずかしさのあまり、ミサキは顔を真っ赤にして俯いた。
マサヒコも頭をポリポリとかきつつ、天井に目をやっている。
「え、えとね……その、ね……次は、一緒にイキたいな、って……」
「ミ、ミサキ……」
 耳まで朱に染め、下を向く二人。
さっきまで激しく身体を重ねていたというのに、恥ずかしがる必要もないのだが、これも恋であり愛だ。
はしたないとわかっていながら、求める。もっともっと感じたい、もっともっと愛する人と気持ちよくなりたい。
純真と言うか、無垢と言うか、恐れ知らずと言うか。
「い、いいよ」
 もとより、マサヒコにも拒む理由もない。
出したばかりだと言うのに、ミサキの求めに、すでにモノは硬さを取り戻しつつある。
仙人だのEDだのと言われていたが、やはりマサヒコも歳相応の男のコなのだ。
「あ、でも、もうコンドームが無い……」
「え……」
 数秒の静寂が二人の間に流れたが、ミサキは意を決したように頷くと、マサヒコの股間へと顔を寄せた。
「え、あ、ミ、ミサキ?」
「……キレイにしてあげるから、その……な、生で入れて……」
「え、ええ? で、でも」
 マサヒコは躊躇った。
中村リョーコから、その辺りは詳しくレクチャーを受けている。
例え、中に出さなくても、生で挿入する以上は、常に妊娠の可能性がつきまとう。
確率がいくら低くても、デキてしまう時はデキてしまうのだ。


「ミサキ、それは、でも」
「……うん、わかってる」
 ミサキも、その危険性は知っている。
「で、でもね、最近、生でシテないし」
「いや、そういう問題でも」
「う、うん。でも、でも」
「……ミサキ」
「きょ、今日は大丈夫だと思うし、そ、それに……じ、直にマサちゃんを感じたいの……」
 リンゴかイチゴか、と見紛うくらいにミサキは真っ赤になった。
いやらしいことを言っているという事実。心からの欲求。
だが、それがまたミサキを焚き付ける。
「……わ、わかった」
 マサヒコはあっさりと寄り切られた。
ミサキが結構、素でエッチな女の子であるということは、付き合ってすぐにわかったが、
こう一直線に来られると、やはり堪らない。愛しくて、可愛くて、いやらしい。
マサヒコの“男の部分”へと、ビンビンと訴えかけてくる。どうにも我慢が効かない。
「マ、マサちゃん……」
「ミ、ミサキ……」
 やはり若い、若過ぎるくらいに二人は若い。
先のことを考えていないと言えばそれまでだが、この見境の無い暴走は、ある意味特権だ。
無論、それには往々にして後悔がのっそりと後から着いてくるが、
少なくとも、今この瞬間においては、二人の間には愛と欲以外の何物も存在しない。
「……マサ、ちゃ、ん……んっ」
「ミサ、キぃ……」
 マサヒコとミサキは唇を重ねた。
一分程、そうやって唇を、舌を、口内を、むさぼりあう。
「……はぁ」
「ふぅ……」
 キスを止めると、ミサキは、ゆっくりとマサヒコの下腹部へと顔を移動させた。
マサヒコは、ミサキの栗色の髪に、そっと指を絡め、その動きを助けた。





「おー、おーおー、若いってホント良いわねー……」
 ドアの隙間から中を窺いつつ、マサヒコの母な感慨深げに頷いた。
「しかし、私と父さんが家にいるってことに気づかないってのは、本当若いと言うか迂闊と言うか」
「母さん……またマサヒコの部屋の前で、何をやってるんだ?」
「シッ! 静かにしてよ父さん、これからがいいところなんだから」
「はぁ?」
 マサヒコの父は首を傾げた。
最近、妻が息子の部屋の前にいることが多いが、いったい何をしているのだろう。
そう疑問を持ってもおかしくない。
だが、やはりマサヒコの父と言うか何と言うか。
決定的なところで鈍感だ。
「父さん、あのね」
「?」
「また、子ども作らない?」
「はぁー?」
「しーっ! 大きな声を出さないで、ってば!」
 不可解な行動に、不可解にな要求。
思わず声も大きくなっても、まあ、無理はないだろう。
「何を突然……」
「いや、孫と子が同じ歳、ってのは世間的にも珍しくておもしろくていいかなー、なんて思って」
「……何を訳のわからないことを……マサヒコが結婚して子が出来るとしても、まだ十年はかかるだろ」
「あー、いいからいいから。あ、お茶持ってきてくれない?」
「……また?」
「いいから、早く」
「……」
 溜め息をひとつつくと、階段を降りる父。
そして、デバガメを続ける母。

「くっ……ミサキ、そこは……っ」
「あむ、はむ……マサひゃ、んは……こふぉが、ひいの……ちゅる」
 

「うーん、こりゃ本当に孫を見る日も近いかも……しかし、三十代でお祖母ちゃんてのも嫌かも」

「…孫とか子とか、さっぱりわからん」


 かくて、今日も幸せで平和な小久保家―――

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