作品名 作者名 カップリング
「ハッピー(セックス)ライフ 2」 ピンキリ氏 マサヒコ×ミサキ・アヤナ

 太陽が西の空に傾き、建物の側面を赤く、逆側を影で黒く塗りつぶしていく。
丁度、会社帰りの社会人やクラブ帰りの学生などで午後の電車が一番込む辺りの時間だ。
 東が丘の一角にある天野邸の二階、
天野ミサキの部屋はカーテンがかかっており、外からは中が見えないようになっていた。
それ自体は別段不思議なことではない。
しかし、もし若干開いたカーテンの隙間から中を覗くことが出来る者がいたとしたら、
その人間は次の瞬間に間違いなく絶句することだろう。
灯りも点けられていないその部屋では、三人の男女が代わる代わる、濃厚なディープキスを交わしているからだ。
窓とカーテンを通して部屋に差し込む、夕焼けの朱を身体に受けながら。

「はむ……っ、ちゅ……っ」
「ん……ぷ……ふぅ、んん……」
「……あはぁ、はぁ……っ、むぅっ……」
 ベッドの上に、栗色の髪の少女と紅茶色の髪の少女が、黒い髪の少年を挟んで座っており、
それぞれがキスをせがんでいた。
少年、小久保マサヒコはそれに応え、
栗色の髪の少女、天野ミサキと、紅茶色の髪の少女、若田部アヤナに、
三十秒ぐらいの間隔で交互に口づけをし、舌を差し込んでいく。
「はあ、はあ……マサちゃあん……」
「小久保君、速くぅ……ふむぅ、はんっ……」
 それ以外にマサヒコは何もしていない。
二人の胸も秘部も、全く触れてはいなかった。
だが、すでにミサキとアヤナの目は潤んで蕩けており、
キスだけでかなりのエクスタシーを感じているようだった。
 その行為を、三人はもうかれこれ三十分近く繰り返しているのだが、
驚くべきは少年の口技と、その自制心だ。
マサヒコは二人の少女と同じ17歳、高校二年生なのだが、その歳にしてこの落ち着きぶり。
他の17歳男児なら、二人を前にしてとっくに衣服を脱ぎ、襲い掛かっていただろう。
「……ミサキも若田部も……すごくかわいい……」
「マサちゃん……」
「小久保くぅん……」
 実はマサヒコは決めていたのだ。
今日は、二人を焦らしに焦らし、はしたない言葉を言わせるまでは絶対に直接手は触れない、と。
愛しい彼女たちにちょっと悪さをしたい、そんなイジワル心によるものだったが、
少女たちからしてみれば、これは一種の拷問といえた。
何故、マサヒコは服を脱がないのか。そして、服を脱がせてくれないのか。
ミサキとアヤナは戸惑いながらも、マサヒコの卓絶した口技の前に、ただただ酔っていった。
精神的な快楽が層を重ねて積もっていき、心のダムを圧迫して決壊させようとする。
「んん、マサちゃ、ん……どうして……?」
 ついに、ミサキが我慢出来なくなった。
右手をマサヒコの服のボタンにかけ、外そうとする。
だが、それはマサヒコによって防がれた。
「ミサキ、まだ……」
「え……そんなぁ」
 マサヒコはミサキの右腕を押さえつつ、次にアヤナの右手首を掴んだ。
アヤナがスカートの中に自分の右手を潜りこませ、自慰を始めようとしたからだ。
「若田部も、ダメだよ……」
「やだ、やだぁ……何でよ……私、私……」
「ダメったらダメだって」
 マサヒコはそう言うと、アヤナの唇に吸い付いた。
アヤナの手から力が一気に抜けてゆく。
「……」
「……ぅ」
 マサヒコの舌先が、アヤナの前歯をまるでくすぐるかのように撫でた。
アヤナの唇の端からあふれた唾液がすっと一筋、線を描いて顎の下から首へと流れ落ちていく。
それが、カーテンの隙間から入る今日最後の太陽の光を反射し、てらてらと妖しく輝いた。


「……あ」
 その一種幻想的な光景を見て、ミサキは何の前触れも理由もなく、マサヒコの真意を理解した。
いや、理解したつもりになったのかもしれない。
羞恥心を包んでいた壁が欲求に耐え切れずに崩壊してしまった。
むしろ、そっちの方が真実に近いだろう。
ともかく、ミサキはマサヒコの耳元に顔を寄せると、恥ずかしさに顔を真っ赤に染めながら口を開いた。
「マサちゃん……もう私も若田部さんも我慢出来ないよぉ……お願い……」
 熱い息とともにその言葉がマサヒコの耳に入り、脳へと届く。
マサヒコはアヤナとのキスを中断し、ミサキに振り向くと問い返した。
「お願いはいいけど、ミサキはどうして欲しい?」
「あの……その……」
 最後に残った理性の欠片が、ミサキを躊躇させた。
だが、その一瞬の間に、アヤナも同じく羞恥心の衣を脱ぎ捨てた。それも、ミサキよりも思い切りよく。
「小久保君、小久保君……っ、私、私は小久保君に抱かれたい、いやらしいことされたい……!」
 マサヒコは満足そうに頷き、微笑んだ。
この辺り、双方の性格の違いが如実に出ていて、それがおもしろかったのだ。
最後の最後で優柔不断な面があるミサキと、一度決めたら即行動のアヤナと、その差が。
「あ、あっ、わ、私も。私もマサちゃんにいやらしいことされたい」
 慌ててミサキも続いた。
アヤナに先を越されてしまったという思いと、卑猥な言葉を言ってしまったという思いが混ざり、
頬だけでなく額や耳までが真っ赤になるミサキ。
「いやらしいなー、二人とも……」
 自分がそうするように仕向けておいていやらしいも何も無いものだが、マサヒコとしてはまずは成功だった。
マサヒコは腕をミサキとアヤナの肩にそれぞれ回し、ぎゅっと引き寄せた。
「それで、具体的にどうして欲しい?」
 恥ずかしさを押さえて、求めの言葉を口にしてくれた彼女たちに優しく報いたいとマサヒコは思ったが、
もう少しだけイジワルを続けようと考えた。
まあぶっちゃけた話、単にミサキとアヤナにもっと淫らな言葉を言って欲しかっただけなのだが。
「あ……え、と……」
「…………」
 二人は俯き、黙り込んだ。
すぐには思いつかない、といった感じだ。
だが、それも長くはなかった。
「あの……胸……」
 ここでも、先を制したのはアヤナだった。
「おっぱい……触って欲しい……」
 聞こえるか聞こえないかぐらい小さな声で、アヤナは乳房への愛撫を求めた。
ミサキも、「あ、わ、私も……」とこれまた蚊の泣くような声で呟く。
「へえ、胸を……」
 マサヒコはやや拍子抜けした。
あれだけ焦らしに焦らしたのだから、もっと極端な要求が二人の口から出ると思っていたからだ。
だが同時に、まだまだ恥じらいを捨てきれないその態度に、むしょうに愛しさを覚えた。
「いいよ……じゃあ、二人とも服の前を開いて……」
「あ……」
「う、うん」
 マサヒコはベッドの中央に移動すると、そこに胡坐をかいた。
それに対し、ミサキとアヤナはマサヒコの正面に来るように、ちょこんと可愛らしく正座の形で座った。
「……」
「……」
 二人は、順番に上のボタンから外していく。
やや指が震えているのは、やはり恥ずかしいからだろうか。
今までに何度も身体を重ねているとはいっても、そこはそれ、というやつだ。
「あ……!」
「や……っ!」
 最後のボタンが外されたその瞬間、マサヒコの手がすっと伸びた。
右の手はアヤナの右の胸を、左の手はミサキの左の胸を。
ブラジャーの上から、包み込むように揉みしだき始める。
時には激しく、時には優しく。
マサヒコの掌と指は、変幻自在に二人の右胸と左胸の上で踊っていく。


「あ……くぅ……!」
「……ああ、あん……!」
 ミサキとアヤナは、まるで操り人形のように上半身をくねくねと動かした。
直に肌に触られていないのに、凄まじいまでの快楽が胸から身体の奥へと浸透していく。
「かわいい、二人ともとてもかわいいよ……」
 マサヒコの賛辞に、ミサキとアヤナは蕩けきった笑顔を返した。
 かつて、二人は共に自分の胸にコンプレックスを持っていた。
ミサキは年齢に比べ小さいことに、アヤナは逆に大きいことに。
だが、今ではそんなコンプレックスは消え去っている。
マサヒコがそのどちらをも好きだと言ってくれたからだ。
ミサキはミサキのおっぱいで好きだし、若田部のは若田部ので好きだ。
大きい小さいじゃなくて、ミサキはミサキだから、若田部は若田部だから好きなんだ。
その言葉を聞いた時、二人の心に長い間燻っていたコンプレックスは雲散した。
「ああ……っ!」
「小久保君、こく、ぼくぅ……んっ」
 何というテクニックか、マサヒコは二人を感じさせつつ、ブラジャーを何時の間にか剥ぎ取っていた。
ミサキの小振りな胸が、アヤナの大きめの胸が、マサヒコの掌の中で形をふにふにと変える。
「ホント、やらしいんだな二人とも……ここもすっかり硬くなって……」
 マサヒコは人差し指と親指で、それぞれのピンク色の可愛らしい乳首を摘んだ。
「あーっ!」
「は……あ!」
 電気を流されたように、ミサキとアヤナはぶるぶると震えた。
実際、二人の身体には電気が流れていた。快感という名の電気が。
摘まれた乳首の先から、頭のてっぺん、そして爪先へとその電気が伝わっていく。
「あ……あ……」
「うう……あ……」
 ミサキとアヤナは、前に身体を傾げ、マサヒコの肩に額を乗せた。軽くだがイッたのだ。
だが、二人にその余韻に浸る余裕をマサヒコは与えなかった。
「……っく、きゃああ!」
「あーっ!」
 胸にやった手をさっと下に降ろし、それぞれのスカートの中へと移動させたのだ。
キスと胸の愛撫によって、じっとりと濡れ始めていた秘部を、
ショーツの上からトントンとノックするように指先で叩く。
「あ、あ、あ、あ、あ!」
「……っ!」
 ミサキとアヤナは勢いよく身体を跳ね上げた。
正座の体勢から、膝立ちの格好になる。
その激しい動きによって、二人の顔から涙と唾液が飛び、マサヒコの髪に少しだけ当たった。
「……どうして欲しい?ミサキも若田部も言ってみてよ」
 マサヒコは二人に聞いた。
もちろん、二人がまともに答えられるはずがない。
マサヒコもそこら辺をわかって聞いているのだが。
「ほら、二人とも」
「あ……そこ、そこ……ぉ!」
「ダメ、ダメ、ダメぇ……いい、よ、ぉ……!」
 会話にならなかった。
マサヒコは苦笑すると、指をショーツの中へと潜り込ませた。
ねっとりとした液体、熱くて柔らかい肉、そしてざらっとした陰毛がマサヒコの指先に絡みついていく。
「ひ、うぅ!」
「……やぁあ!」
 恥ずかしい言葉を言わせるのを、マサヒコは諦めた。
緩急をつけ、ちょっとづつイジワルをして楽しむつもりでいたのだが、どうも失敗したようだった。
焦らせ過ぎた上に急ぎ過ぎたということだ。
リョーコの指南を受け、技術的には相当なものを身につけたマサヒコだったが、
まだまだ修行が足りないということなのだろう。
「仕様がないな……と言うより、俺が悪いのか……。ゴメンな、二人とも」


 マサヒコはより一層指を激しく動かした。
「あああっ、マサちゃん、マサちゃあん……!」
「小久保君、そこぉ……良すぎるよぉ……っ!」
 膝立ちの状態で、快楽に蕩けた表情で、身体を揺らすミサキとアヤナ。
操り人形と言えば、確かに操り人形なのかもしれなかった。
マサヒコが指を微妙に動かすだけで、二人は身体を動かすのだから。
「はぁ、はぁはぁ……すごいよお……マサちゃあん……」
「ダメぇ、また、またイッちゃうぅ……」
「まあ……これはこれで、恥ずかしい言葉と言えなくもないかなあ」
 マサヒコは困ったような表情で微笑んだ。
そして、また「ゴメンな」と謝った。二人には届いていないだろうが、それでも謝った。
自分が聞きたかったのが第一だが、
ミサキとアヤナにも恥ずかしがってもらって、それで感じて欲しかった。
「ゴメンな……次はもっと、上手くやるから……」
 一度イカせてあげて、それからいつものように優しく抱いてあげよう。
困らせた分、焦らしまくった分、しっかりと気持ち良くなってもらおう。
そう決めて、マサヒコはさらに指を動かす勢いを強くした。
「あ、あ、あ、ああああーっ!」
「う、うっ、あ、んんーっ!」
 ミサキとアヤナは、ぐいっと身体を反らした。
その体勢のまま、肌を真っ赤に染め、全身を微細に震動させる。
一秒、二秒、三秒。
ミサキとアヤナの身体から、力がふっと抜けた。
反り返っていた上半身が、今度は逆に曲がり、そして、マサヒコの方へとゆっくりと倒れ掛かった。
「悪かった。ゴメン、ゴメンな」
 そう言いながら、マサヒコは肩と胸で、二人の身体を受け止めた。

 マサヒコは二人をベッドの上に寝かせ、自分はそこから降りた。
二人が気づくまで、数分はかかるだろう。
「やれやれ……」
 マサヒコは頬を人差し指でかいた。
余裕を持ったつもりで二人をイジメていたつもりが、結局自分も余裕が無かったということを知ったからだ。
マサヒコは電灯のスイッチを入れ、灯りを点けた。
夕陽はとっくに沈みきっており、部屋が暗くなっていたのだ。
―――マサヒコが気づかないうちに。


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