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カップリング |
「アイのカタチ」第六話目 |
ピンキリ氏 |
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晩秋の雨は今という時を溶かす。
現在だけではない。
過去も。
マサヒコは自分の部屋のベッドに腰かけ、
何をするでもなく、ぼうっと天井からぶら下がっている電灯を見上げていた。
最近、学校から帰ってくるといつもこうだ。
階下から母が「晩御飯よ」と声をかけるまで、そうしている。
心はここにない。
どこにも、ない。
電灯が白くちらちらと輝き、瞳を通って、脳内へとたどり着く。
本来なら、人に優しい、目に優しいはずの屋内用蛍光灯の光なのだが、
今のマサヒコには、どこか痛みのようなものを覚えさせる。
「……フゥ」
マサヒコはゴロン、と後ろにゆっくり倒れた。
電灯だけでなく、天井全体が視界に入ってくる。
天井もまた、白い。
「……アイ先生……ミサキ……」
小さく、ぽつりとマサヒコは呟いた。
自分にとって、大事な人たちの名前を。
つい先日、失ってしまった者たちの名前を。
ミサキ、アヤナ、リンコが去ってからの記憶を、マサヒコはよく覚えていない。
どこをどう歩いたのか、気がつけば、アイのマンションの前にずぶ濡れの状態で、二人で立っていた。
雨の冷たさに震えながら、肩を支えあうようにして階段を昇り、アイの部屋へと入った。
「……」
「……」
無言。
一言も、二人は喋らなかった。喋れなかった。何を喋っていいかわからなかった。
アイがふらふらとバスルームに行き、バスタオルを持って戻ってきた。
バスタオルがマサヒコの前に差し出されたが、その時もアイは黙っていた。
「……あり、がとう……ございます」
ここで、マサヒコはようやく声を出すことが出来た。
そして同時に驚いた。
自分自身が発した、その声の低さ、小ささに。
「あ……」
脳が急激に沸騰した。
今日これまでに起こった出来事がコマ送りのようにパ、パッと脳内で再生されていく。
震えはピタリと止まった。
寒気が一気にすっ飛んだ。
ミサキの、アヤナの、リンコの涙。
そして、目の前に立っているアイの、悲痛とも言える表情。
アイもまた、頬を濡らしていた。雨とは違う液体で。
「う、うああああっ!」
マサヒコは吠えた。
そして、アイに掴みかかった。
両の手をアイの肩に伸ばし、乱暴に床に押し倒そうとした。
「ああ、ああああっ!」
わからなかった。
温もりが欲しかった。包んで欲しかった。逃げたかった。
滅茶苦茶になりたかった。滅茶苦茶にしたかった。
だけど。
「あ、う、う……?」
次の瞬間、マサヒコの腕は空を抱えていた。アイが、身を退いたからだ。
「せん、せ……」
マサヒコはもう一度、手をアイへと伸ばした。今度は、ゆっくりと。
しかし、それは途中で止まった。
「あ、あ、ああ……」
アイの顔はくしゃくしゃだった。ドロドロだった。
悲しみ、悔い、そして怯え。
「う、うっ……くぅう……」
マサヒコの目の前で、アイはがくがくと壊れた人形のように首を左右に振り、
声を喉の奥に溜めるようにして、また泣き出した。
「マサヒコォー、お醤油が切れたのよ、ちょっちスーパー行って買ってきてくんない?」
母の大きな声がマサヒコの耳に届き、回想は中断された。
マサヒコは母に答えずに、ベッドからのっそりと体を起こした。
ジャンパーをハンガーから外し、羽織る。
「……」
目を瞑ると、あの時の光景が生々しく目蓋の裏に甦ってくる。
考えまい、思い出すまいとしても、どうしてもダメだ。
あの日、マサヒコはミサキという幼馴染を裏切った。
そして、自分自身の過ちの大きさに打ちのめされ、アイの体に逃避しようとして拒絶された。
あのまま、力ずくでアイを抱いていたら、と思うこともある。
滅茶苦茶に犯し、心の澱みを全て吐き出してしまっていたら。
「……ふぅ」
マサヒコは部屋のドアを開けると、階段を一段ずつゆっくりと降りた。
「何よ、返事くらいしなさい。お金は後で払うから、とっとと行ってきてよ」
「……うん」
玄関でスニーカーを掃き、傘を手に取った。
「あ、傘はいらないわよ?もうやんでるから」
「え?」
玄関のノブに手をかけたところで、母が背中から声をかけた。
「さっきまであんなに降ってたのに……?」
マサヒコは表に出た。
母の言う通りだった。
空はまだどんよりと曇っているが、雨粒は落ちてきていなかった。
「……」
雨がやんだことすらもわからなかったのか、と思い、マサヒコは顔を歪めた。
苦笑したつもりだったのだが、上手くいかなかった。
「……じゃ、行ってくるよ」
「ちんたらしてるんじゃないわよ?」
母の姿と声が玄関の向こう側に消えた。
ここ数日、やたらと母はマサヒコに頼みごとをしてくる。
鋭敏な母のことだ、状況をある程度は知り、あえてマサヒコに色々申し付けているのかもしれない。
ミサキの母から何かしら事情を聞いた可能性もある。
「……」
マサヒコは首を軽く振った。
そうだとすれば、思い切り怒鳴りつけてほしいと思う。
叱って叱って、叱り倒してくれればいいと思う。
幼馴染の好意を知りながらも、自分の気持ちを伝えることなく、別の女性と交際していた、そんな自分を。
無論、それで傷口がふさがるわけはない。
マサヒコが自分を責める代わりに、他人に叱責してもらったとして、それが何になるのだろう?
それもまた、無責任な逃げでしかない。
マサヒコも、それは十分わかっている。
わかっているのだが。
「……」
マサヒコは門を出ると、向かいにある家に目をやった。正確には、その二階にある部屋の窓を。
そこは、カーテンがかけられていた。
「……くっ……」
マサヒコは顔を下に向けた。
そして、逃げるように足早で歩き出した。
……歩き出したのだが、すぐに立ち止まった。
行く手を、一人の少女が遮ったからだ。
「……出かけるところなの?丁度良かった、訪問する手間が省けたってもんだわ」
その少女は。
「小久保君……ちょっと話があるんだけど」
深い紅茶色の髪。
大きなツリ気味の目。
容赦の無い口調。
「わか……た、べ」
「少しつきあいなさい。いいわね」
その少女は、若田部アヤナだった。
◆ ◆
晩秋の風は身を凍えさせる。
身体だけではない。
心も。
アイは自分の部屋のクッションに腰かけ、
何をするでもなく、灯りのついていない部屋でぼうっとしていた。
最近、大学から帰ってくるといつもこうだ。
ご飯もろくに喉を通らない。浅くしか眠ることが出来ない。
心はここにない。
どこにも、ない。
テレビの上のピエロの形の置時計が、ポロロンと四回音をたてた。
続いて軽快な音楽が鳴り、ピエロがいかにも機械仕掛けという感じで踊り出す。
「……ハァ」
アイはクッションの上に座ったままの格好で、トスンと横にゆっくり倒れた。
ピエロが真横になり、コミカルなはずの動きが急にギクシャクとしたものに見える。
「……マサヒコ君……ミサキちゃん……」
小さく、ぽつりとアイは呟いた。
自分にとって、大事な人たちの名前を。
つい先日、裏切ってしまった者たちの名前を。
ミサキ、アヤナ、リンコが去ってからの出来事を、アイはよく記憶していない。
どこをどう歩いたのか、何時の間にか、アイのマンションの前にずぶ濡れの状態で、二人で立っていた。
雨の冷たさに震えながら、互いを庇いあうようにして階段を昇り、アイの部屋へと入った。
「……」
「……」
無言。
一言も、二人は喋らなかった。喋れなかった。何を喋っていいかわからなかった。
アイはふらふらとバスルームに行き、バスタオルを取り出し、マサヒコに差し出した。
マサヒコは受け取らなかった。ただ、玄関で服から水を滴らせて立っていた。
「……あり、がとう……ございます」
ここで、マサヒコはようやく言葉を発した。
アイは驚いた。
その声はあまりに低くて弱く、過去に一度もアイが聞いたことのないものだった。
背筋が急激に氷結した。
今日これまでに起こった出来事がコマ送りのようにパ、パッと脳内で再生されていく。
震えがより酷くなった。
周囲の空間が凍りついたかのように思えた。
ミサキの、アヤナの、リンコの涙。
そして、目の前に立っているマサヒコの、悲愴とも言える表情。
マサヒコもまた、頬を濡らしていた。雨とは違う液体で。
「う、うああああっ!」
マサヒコが吠えた。
そして、掴みかかってきた。
両の手がこちらに伸ばされてきた。
その動きは勢いがあったはずなのだが、アイにはビデオのスローモーションのようにゆっくりとしたものに見えた。
「いや、ああああっ!」
わからなかった。
怖かった。恐ろしかった。逃げたかった。
無茶苦茶にされると思った。無茶苦茶にされたくないと思った。
そして。
「あ、あ、あ……?」
次の瞬間、アイの床に尻餅をついていた。
思い切り、身を退いたからだ。
「マサ、ヒ……」
マサヒコがもう一度、手をアイへと伸ばしてきた。今度は、ゆっくりと。
だけど、それは途中で止まった。
「あ、あ、ああ……」
マサヒコの顔はくしゃくしゃだった。ドロドロだった。
悲しみ、悔い、自棄。
「う、うっ……くぁあ……」
アイの目前で、マサヒコはペタンと力無くしゃがみ込み、
声を食いしばった歯の裏で止めるようにして、また泣き出した。
“ピンポーン、ピンポーン”
玄関のチャイムのけたたましい音がアイの耳に届き、回想は中断された。
アイはそっと体を起こした。
時計は四時二十分辺りを指していた。
「……」
目を瞑ると、あの時の光景が生々しく目蓋の裏に甦ってくる。
考えまい、思い出すまいとしても、どうしてもダメだ。
あの日、アイはミサキという大事な年下の友達を傷つけた。
そして、自分が犯した過ちの大きさに慄き、同時にマサヒコを恐れ、拒絶した。
あのまま、マサヒコに抱かれていたら、と思うこともある。
マサヒコの破滅的な性欲を受け入れ、それで終わりに出来ていたら。
「……ふぅ」
アイは立ち上がると、力無い足取りで玄関へと向かった。
ここのところ、訪問者は新聞の勧誘や宅配便以外に誰も無い。
“ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン”
「……何だろう」
アイはノブに指をかけて、少し躊躇い、一度腕を引いた。
マサヒコではないか、と思ったからだ。
「まさか……」
あれ以来、マサヒコとは会っていない。
電話も、メールもしていない。
それ以前に、怖くて携帯電話を手に取ることが出来ない。
“ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン”
チャイムはしつこいくらいに何度も何度も鳴り響く。
アイは震える手で再びノブを握った。
その心の奥には、『マサヒコはこんなに執拗にチャイムを鳴らすような人間じゃない』という、
逃げにも似た思い、身勝手な解釈があった。
「……」
ガチャリ、という音をたて、玄関のドアが開いていく。
アイは、腕を動かしながら、目を瞑った。
その向こうでチャイムを鳴らしていた人物が誰か、ここまできて確かめることが怖かったのだ。
もし、マサヒコだったらと思うと、怖かったのだ。
会いたいけど、会えない。一度拒んでしまった自分は、会うことは出来ない。
「は……い、濱中です、け……」
最後まで、アイは喋れなかった。
バァン、と勢いよくドアを引っ張られたからだ。
とと、という感じに体が前のめりになり、アイは二歩程、宙を踏んだ。
「え、え、ええ?」
アイは体勢を立て直すと、顔をあげた。
そして、そこに立っている人間を見た。
「アンタねぇ、チャイムが聞こえたんなら、すぐに出なさい」
その人物は。
「まったく……。アイ、元気にしてた?」
腰まで届く長い髪。
眼鏡の奥で輝く切れ長の目。
遠慮の無い口調。
「せん……ぱ、い」
「元気に……って、そんなわけ、ないか」
その人物は、中村リョーコだった。
◆ ◆
晩秋の夕陽は想いを煽る。
想いだけではない。
悩みも。
ミサキはバスの最後尾の椅子に座り、
後ろへと通り過ぎていく街の景色を、ただぼうっと見ていた。
手の中の文庫本は、バスに乗ってから一度もまだ開かれていない。
ただ持っているだけ、読もうという気になれない。
心はここにない。
どこにも、ない。
“……次は、コミュニティセンター前、コミュニティセンター前、バスを降りられる方はボタンを……”
バスはキキ、とバス亭の前で止まり、数人の乗降があった後、また発車する。
「……ハァ」
ミサキはコトン、と窓に顔を預けた。
バスの振動に合わせ、顔が揺れ、視界の中の風景も小刻みに震える。
「……マサ君……アイ先生……」
小さく、ぽつりとミサキは呟いた。
自分にとって、大事な人たちの名前を。
つい先日、背を向けてしまった者たちの名前を。
マサヒコとアイの前から逃げ出した直後の記憶が、ミサキには無い。
気づけば、駅の裏の小さな公園で、ずぶ濡れの状態でアヤナに抱き締められていた。
背中に感じる雨の冷たさ、顔と胸に感じるアヤナの体の温かさ。
後から追いついてきたリンコが、どこで手に入れてきたのか、折り畳みの傘を開いてそっとさしてくれた。
「……」
「……」
「……」
無言。
一言も、三人は喋らなかった。喋れなかった。何を喋っていいかわからなかった。
小さな折り畳み傘に、ミサキを中心に三人が収まり、ただ黙って歩き、一時間程かけてアヤナの家に着いた。
「……シャワー、浴びてきなさいよ」
最初に口を開いたのはアヤナだった。
ミサキは首を横に振った。
びしょ濡れになっているのはミサキだけではない、アヤナも、リンコもそうなのだ。
ここはアヤナの家であるから、一番最初に入る権利はアヤナにあるはずだった。
「……バカ言わないで。あなたが、一番冷えてるじゃない……」
目の前に立っているアヤナとリンコの、沈痛とも言える表情。
二人ともまた、頬を濡らしていた。雨とは違う液体で。
「ほら、ミサキちゃん……」
二人に押し込められるようにして、ミサキはバスルームへ入った。
シャワーの栓を捻り、熱い、熱い湯を全身に浴びた。
雨が洗い流され、体の表面が温かくなっていき、それに伴い、足から力が抜けていった。
「ミサキちゃん……」
「え?」
へたり込みそうになった時、不意に背後から声をかけられ、ミサキは振り向いた。
バスルームの入り口、そこに自分と同じように一糸まとわぬ姿で、リンコが立っていた。
そのすぐ後ろにはアヤナも。
「やっぱり……一緒に入ろ?」
ミサキは全身がカッと熱くなるのがわかった。
友達の裸を見たからではない。自分の裸を見られたからでもない。
マサヒコとアイの二人に会った時とはまた別の感情が、体の奥から駆け上っていった。
「……ね?」
リンコは近寄ってくると、この小さい体のどこにこんな力があるのかと思えるくらい、ガシッと抱きついてきた。
「ね、ミサキちゃん……」
「リンちゃん……」
そして、ミサキとリンコを覆うように、アヤナが手を回してきた。
「あ、あ、ああ……」
二人とも顔はくしゃくしゃだった。ドロドロだった。
やり切れなさ、切なさ、言い様の無い辛さ。
「う、うっ……くぁあ……あ、あ、ああ!」
三人は抱き締めあったまま、声を振り絞って、また泣き出した。
“……次は、東が丘三丁目、東が丘三丁目、バスを降りられる方はボタンを……”
降りるべきバス亭の案内が耳に入り、回想は中断された。
ミサキは定期券を取り出すと、『次、降ります』のボタンを押し、鞄を膝の上に乗せた。
「……」
目を瞑ると、あの時の光景が生々しく目蓋の裏に甦ってくる。
考えまい、思い出すまいとしても、どうしてもダメだ。
あの日、ミサキはマサヒコという想い人の前から逃げ出した。
動かしがたい現実をつきつけられ、全てがわからなくなった。どうでもよくなった。
もし、マサヒコを好きにならなかったら、ただの幼馴染のままだったらと思うこともある。
普通の異性の友達として付き合えていたのなら。
「……ふぅ」
ミサキは席を立つと、、吊り革を伝うようにバスの昇降口へと向かった。
ここで降りる乗客は、そう多くは無い。
“東が丘三丁目、東が丘三丁目、降りられる方は、足元にご注意を……”
ミサキは定期券を運転手に見せて、バスを降りた。
西の空はまだ太陽の影響下にあるが、東の空はすでに薄暗くなっている。
「……」
ミサキはバス亭に降り立つと、キョロキョロと周囲を見回した。
それは、癖だ。高校に入ってからの。
バス亭の前で、同じく帰宅途中のマサヒコとばったり会うことが何度かあったのだ。
もっとも、今はその可能性はほぼゼロと言っていい。
何故なら、マサヒコに会うのが怖い、という理由で、
ミサキが意図的に一本、乗るバスを遅らせているからだ。
だがそれでも、ミサキは癖で周囲を確かめてしまう。
「……私は……」
マサヒコに会いたいのか、会いたくないのか。それすらもよくわからない。
会おうと思えば、実際すぐに会える。
何と言っても、家が向かいにあるのだ。徹底的に避ける方が難しいくらいだ。
「は……ぁ……」
軽くため息を吐き、ミサキは歩き出した。
と、その時、不意に後ろから肩を叩かれた。
「え、え、ええ?」
ミサキは驚き、歩みを止めた。
そして、ゆっくりと振り向いた。
「おかえり、ミサキちゃん」
そこにいたのは。
「遅かったね……ちょっと、待っちゃった」
眼鏡の向こう側の、くりくりとした大きな目。
小学校高学年と身間違えられても不思議の無い童顔。
可愛らしい、ほわわんとした声。
「リン……ちゃん」
「……ね、ミサキちゃん、ちょっと、時間ある?」
それは、的山リンコだった。
◆ ◆
晩秋の星は語りかけてくる。
逃げるな、と。
「そこの公園まで、ね。小久保君に聞きたいことがあるの」
「……俺、に?」
晩秋の星は語りかけてくる。
向き合え、と。
「入ってもいい?話、したくてさ」
「私に、ですか……?」
晩秋の星は語りかけてくる。
乗り越えろ、と。
「近くの喫茶店でいいから、お話しない?」
「え、う、うん……」
晩秋の星は語りかけてくる。
「小久保君、あなた……天野さんをどうするの?」
晩秋の星は語りかけてくる。
「アイ、あんた……マサのこと、どれくらい好きなの?」
晩秋の星は語りかけてくる。
「ミサキちゃん、ミサキちゃんは……小久保君のこと、まだ想ってる?」
晩秋の星は語りかけてくる。
あなたは、誰を愛してるのか、と。