作品名 |
作者名 |
カップリング |
「おかしな二人 第二話 三日月の憂鬱」 |
ペピトーン氏 |
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前回からしばらく経ったある日の夜−
リョーコはいつもの様にセイジを自分の部屋に呼び出しSMプレーを楽しんだ。セイジは金を借りたうえにその金で
イメクラに行ったという負い目がある以上断れるはずも無かった。ようやくプレーから解放されてセイジは今
シャワーを浴びている。するとセイジの携帯が鳴った。
(ん、誰だろう)
リョーコはセイジの背広のポケットから携帯を取り出し着信をのぞいた。するとメモリーには、
12/10 22:34
マリリン
とあった。
(セ、セイジの奴…)
そしてメモリーを更に調べると、結構履歴が残っていた。どうやらこの女に入れあげているようである。
大方、どこかの飲み屋かなんかのホステスであろう。セイジは懲りもせずリョーコを騙していたのである。
それにしても二股掛けているなら履歴ぐらい消去しておくべきだと思うのだが。
そんな事とは露知らずセイジがシャワーから上がってきた。リョーコはその場は努めて平静を装った。
そしてセイジが帰った後、
「ふっ、ふっ、見てろよセイジ」
不気味な笑みを浮かべるリョーコ。さて、嵐の吹き荒れる予感がする。
一週間くらい後−
セイジは学校に出勤してきた。
「おはようございます」
「あっ、豊田先生、校長先生が呼んでますよ」
と同僚に言われたので早速セイジは校長室に行った。
「失礼します」
セイジは校長室に入る。
「豊田先生、今朝来たらこんなメッセージが入っていたんだけどね」
校長は留守電を再生させる。
「アッ、セイジサン、お電話ありがとう、私、マリリンよ。」
セイジは一気に顔から血の気が引いた。
「豊田先生、これは一体どういう事かね?」
「あ、その、それは…」
セイジはしどろもどろになっている。
「君は校長室で外国人ホステスを口説いていたのかね?」
なおも校長は詰め寄る。
「こ、これは何かの間違いですよ」
「この事は二人だけの秘密だ、って念を押しましたよね?」
何と、クラブには校長と一緒に行っていたのである。校長は椅子から立ち上がり、横にあったガラス製の
灰皿を手にして灰皿の角でセイジを殴る。ボコッという鈍い音がした。
「君は、私の言った事を忘れたのかね?二人だけの秘密だと何度も念を押したはずですよ」
「い、痛い、やめてくださいよぉ、これは何かの間違いですよぉ」
情けない声を出しながら言い訳するセイジ。
「もし教育委員会に知られたら私の立場が危うくなるでしょうが。バレたら君も道連れですよ?」
行動といい、言動といい全く校長のやる事とは思えない。
ほうほうの体で校長室を後にするセイジ。頭から出血している。とりあえず頭に絆創膏を二枚貼って血を止める。
何とも間抜けな姿である。その姿を見て、同僚たちは誰もセイジに話しかけなかった。とてもそんな雰囲気ではない。
セイジは頭の痛みに耐えながら考える。
(しかし、一体誰が?)
言うまでも無く犯人はリョーコなのだが、なぜこんな事になったのか。
リョーコはセイジが帰った後、女の元に電話をかけ、女が一体何者かを調べた。すると、外国人クラブ「レイノソ」の
ホステスである事が分かった。さらに話していくうちにセイジ一人だけではなく、年配の人物と一緒に来ている事が分かった。
勘のいいリョーコは大方校長か教頭だろうと推測した。セイジの給料ではそうそう外国人クラブになど通えないからである。
そして今度はマサヒコを無理やり呼び出し、夜中に学校に入ったのである。学校に入る理由はどうにでもなる。
そしてマサヒコにセイジのふりをさせて女のもとに電話をさせ、校長の留守番電話につながるように連絡させた、
というのが事の真相である。
セイジは不思議がりながら机の引き出しを開ける。すると、中から一枚のメモが出てきた。
それはリョーコの字で書かれていた。
12/10 22:34
マリリン
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ふざけるな
第二話 おわり