作品名 作者名 カップリング
擬似新婚生活 お風呂編 メリー氏 ミサキ×マサヒコ

 どれくらい時間が経ったのだろうか。
 先に目を覚ましたのはマサヒコだった。
「ん・・・・・・、天野、起きろ」
 体を揺すってミサキを起こす。
「うぅ・・・・・・ん、マサヒコくん、名前・・・・・・」
 寝起きでも律儀に訂正を求める。
「あ、ごめん。ミサキ起きろ」
「ん。ちゅっ」
 ミサキは起き抜けにマサヒコにキスをした。
「な、何?」
「おはようのキス」
「そ、そうか。い、いやそれより今何時だ?」
 近くにあった時計に目をやると、夜八時を回っていた。
「お、おいもう八時だぞ! お前ん家のお母さん帰ってきてるはずだろ?
 見られたんじゃないか?」
 慌てふためくマサヒコだったが、ミサキは冷静に答えた。
「たぶんマサヒコくんのお母さんとカラオケだと思う。」
 下半身すっぽんぽんのマサヒコと裸でスカートだけのミサキ。
 珍妙な部屋の中でテンポの良い電子音が鳴った。
 スカートのポケットからケータイを取り出すミサキ。
「はい。ん・・・・・・、うん・・・・・・、そう・・・・・・、
 うん分かった。うん、じゃ・・・・・・」
 ピッ。
 通話を切って、ケータイをたたむ。
「だ、誰からだ?」
「お母さんから。案の定カラオケで遅くなるから、今日は泊まるって。
 ほら、明日休みだし」
「ああ、そっか・・・・・・。ってまったりしてる場合じゃないって!」
 急いでパンツとズボンを穿いたマサヒコは、
「一旦家に帰ったら、また来るから。部屋から出てうろうろしてるんじゃ
 ないぞ? そのまま待ってろよ」
 言うや否や、マサヒコは部屋から出て行った。


 場所は変わってマサヒコん家。
「ただいまー」
 靴を脱ぎ捨て、駆け込むようにしたマサヒコに、彼の父親が
 居間から声をかけた。
「遅かったなぁ、どこに行ってたんだ?」
「ん〜、友達ん家。それよりちょっと俺、用事が・・・・・・」
 全てを言い終わる前に、父親によって防がれた。
「母さんからさっき電話あってな、ご近所の奥さん方とカラオケしてて、
 今日はそのまま泊まるそうだ。晩御飯は適当に作って食べて欲しいと。
 それから、お前が帰ってきたら伝えておいてくれって言われたこと
 なんだが、天野さん宅のミサキちゃんが今一人なんだそうだ。
 何があるか分からんから、ミサキちゃんと一緒に留守番しろ、
 と厳命だ」
 マサヒコは是が非でもなかった。
 お墨付きでミサキの家に行けるのだ。これ以上ないことだった。
「ああ、分かった」
「あ、でもお前今用事がどうのこうのって・・・・・・」
「いやっ、そんなこと何も言ってない。
 じゃあ親父、俺天野ん家で飯食うわ。ついでに心配だし、俺も
 あっちに泊まることにするよ」
「ああ分かった。くれぐれも気をつけるんだぞ?」
 父親の言葉を背に、マサヒコは再びミサキの家に向かった。
 ちなみに父親の『気をつけろ』意味はある意味でもう遅くて、
 彼の本当に言いたかった火の取り扱いという意味では、
 マサヒコが調理してので問題はなかった。

「天野っ!」
 ドアを勢いよく開けたマサヒコの目に映り込んだのは、出て行った時の
 姿のままのミサキだった。
 てっきり自分が自宅へ帰っている間に着替えを済ませているものだと
 考えていた彼は、思わず目をそらした。
「むぅ、マサヒコくんまた天野って言ったぁ」
 ぷぅと頬を膨らませて、子供っぽく拗ねるミサキ。
 普段の彼女からは想像もつかない表情で、新鮮に感じるのだが、
 それよりも裸の方が強烈だった。
「ご、ごめん。でも何で着替えてなかったんだよ」
 あたふたとタオルか何かないかと探すが、勝手知ったる自分の部屋では
 ないので、どこに何があるのか検討もつかない。
「え、だってマサヒコくんがそのまま待ってろって・・・・・・」
 マサヒコはいつもとは違う子供っぽいミサキに内心驚いていた。
 まさかたった数時間でこうも人が変わるとは考えてもみなかったからだ。
「そのままって意味を取り違えてるって。ほら、
 シャツとか何か着てくれよ」
「でも、髪とかにまだ・・・・・・」
 そういえばそうだったと、今更マサヒコは思い出した。
 一応軽く自分の出したものは拭いたが、それで大丈夫というわけでは
 ないだろう。
「じゃあ、ほら、シャワーとか浴びて。とにかく着替えてくれっ」
 マサヒコの切なる願いだった。
 しかし、願いはむなしく消え去った。
 ミサキが彼の服のすそを小さく握って、イヤイヤと首を振ったのだ。
「一緒に入って」
「はぁ? 何言ってんだよこんな時に」
「こんな時だからだよ。今この家には私たちしかいないんだよ?」
「う、いや、そりゃそうだけど・・・・・・。男と女が一緒に風呂に
 入るなんておかしいだろ?」

「ん〜ん。夫婦ならするもん」
「ふ、夫婦っ!」
 声の裏返るマサヒコ。
「だって有効なんでしょ?」
「だ、だからそれは高校卒業したらの話で・・・・・・」
「だから明日までの擬似新婚生活しよ?」
「ぎ、擬似新婚生活?」
 マサヒコはミサキの変な提案に首を傾げた。
 確かに今のミサキは子供っぽい仕草をしているが、それでいて同時に
 それよりに大人としての知識もある。
 無邪気と理屈で押し切られては、マサヒコは言い訳すら出せなかった。
「そう。だから最初は一緒にお風呂に入るの。ダメ?」
 涙声で、目を潤ませて訊くミサキ。
「う、うぅ・・・・・・」
 断れなかった。マサヒコにはその提案を断ることが出来なかった。
「分かった。もう何でもいいから体と頭と顔洗ってくれ」
 マサヒコの言った場所は、自分のソレがかかった場所だった。
「ん。じゃあお姫様だっこ」
「はああぁぁっ!」
 さすがのマサヒコも驚いた。
 どんな流れと理由があって彼女の中でお姫様だっこなどという単語が
 出てきたのか、全く理解できかったからだ。
「だ、だって、今私立ったら、あ、溢れてきちゃうんだもん・・・・・・」
 顔を赤くして恥ずかしげにうつむくミサキ。
 溢れてくる? 何が? どこから?
「あっ、ああ! ああっ!」
 ナニが溢れるのか気づいたマサヒコは妙に納得して声を上げた。
 今ミサキは寝転んでいるに近い格好で、体だけを起こしている。
 溢れてくる分には拭いたが、さすがに中まではどうしようもなかった。
 だからもし今ミサキが立ち上がると、中に残っていた分が・・・・・・。

「おわーっ! ストーップ! ストップ! 起きるなっ! 分かった。
 分かったからそのまま横になってろ!」
 慌てて声を大にするマサヒコに、ミサキは素直に従った。こういう所は
 不幸中の幸いだったのかもしれない。
 ミサキが素直に横になり、マサヒコをじーっと見ている。
 深呼吸をしてマサヒコは決意したようにしゃがんで腕を差し出した。
 首と膝の下に腕を入れ、一気に力を込めて持ち上げる。
 ふわっ、と持ち上がった身体。
「意外と軽いなお前」
「む、意外は余計」
 ミサキは腕をマサヒコの首に回すと、必要以上に身体を密着させた。
 マサヒコは女性特有の柔らかさにドキマギしてしまう。
「そ、そんなにくっつくなよ」
「でも落ちちゃうし」
 拗ねの入った言い方をされて、マサヒコは口ごもった。
 もはやこの状況を解決させるには、有無を言わず移動し、任務を遂行
 することだけだった。

 さすがに風呂場のある場所は知っていたマサヒコは、着くなりドアを
 開け、ミサキを下ろした。
 すると、彼女の言っていた通りの現象が起こった。
「あぅ、垂れちゃった」
 太ももの内側を伝う感触に、ミサキはビクリと震えた。
「ほら、さっさとスカート脱いで。シャワーのお湯出して。髪とか洗って」
 誰もいないと頭で分かっていても、やはりこういう状況で二人っきりと
 いう状況は、今のマサヒコには耐えられなかった。
「ん、分かった」
 あってないような物だったスカートを脱いで、完璧に生まれた時と
 同じ姿のミサキを見て、マサヒコは顔を赤らめて逸らした。
 手渡されたスカートを受け取り、風呂場の外へ放り出し、ついでに
 自分も出てドアを閉めた。しかも鍵まで閉めた。
「あ・・・・・・」
 トントンとドアが内側からノックされるが、マサヒコは鍵を開けようと
 しなかった。
「洗うとこ洗って、暖まったら開けてやるから」
 ドアの外でそう言うと、ノックする音が止んだ。
 納得してくれたか、と安堵の息を吐く間もなく、事態は一転した。
 中からすすり泣く声が聞こえてきたのである。
 ドア越しの体が震えていて、顔らしき所に手を持っていっているのが
 分かった。
「ひっく・・・・・・、うぅ、ぅえぇ・・・・・・」
「ちょっ、何で泣くんだよ!」
 これにはビビッたマサヒコは鍵とドアを開けた。
 やはりミサキは泣いていたのだ。
「だ、だって、っぅく、マ、マサヒコくん、ひっく、一緒に入って、
 く、くれるって、うう、言ったのに・・・・・・」
 他人様の家の風呂場で、裸の少女が泣いている。
 あまりにも異常な光景。

 さすがに泣かれるとは思っていなかったマサヒコは慌てて取り繕う。
「いや、だって、あれは、そう言わないとお前、動こうとしなかった
 からで、あー、もうっ、何で本気で泣いてんだよ・・・・・・」
 マサヒコが何か言う度にミサキは泣いた。
「分かった入る入るっ! だからもう泣くな。なっ?」
「うぅ、うん・・・・・・」
 もう完全にマサヒコは観念した。敵うわけがない。有利は相手に働いて
 いるのだ。
 脱力しながらもマサヒコは服とズボン、シャツとパンツを脱いだ。
 訂正してもう一度言おう。
 他人様の家の風呂場で、お互い一糸纏わぬ姿の男女(中学生)。
 あきらかに何かがおかしい状況だった。
 こうなったらマサヒコにはこの状況をさっさと終わらせることしか
 出来ない。
 シャワーのお湯をちょうど良い温度に設定し、ミサキを座らせた。
「目、閉じて」
「洗ってくれるの?」
「ああ。いくぞ」
 シャワーから昇る湯気。何本もの湯がミサキの頭に降りかかる。
 ある程度湿らせた所で、マサヒコはシャンプー液を普段どれを
 使っているのか訊き、指定されて物でミサキの髪を無造作に洗った。
 洗われている間のミサキは大人しくて、嬉しそうに微笑んでいた。
「泡、流すからな」
 言ってからマサヒコはシャワーのお湯でミサキの頭に乗った泡を
 全て洗い流していく。表面のを落とし終わっても、内部に残っている
 泡があるので、優しい手つきで髪を混ぜながら泡を落としていった。
「ほら、顔と体ぐらいは自分で洗えるだろ?」
 そう言うと、ミサキは素直に顔を洗った。
 が、したのはそれだけだった。

「? おい、体も洗えよ」
 振り返って、
「洗って」
「バッ! 馬鹿なこと言うな。今この状況でもおかしいってのに、
 これ以上おかしくするな!」
 まあ、おかしいのは言っている本人の股間だったりするわけですが。
 裸の女性と一緒で自制しろというのは無茶な注文で、それでも彼は
 必死に我慢はしているのだ。
「ヤダ。洗って」
 もはやミサキはただの子供だった。いや、ただの子供の方がまだ可愛げ
 があるというものだ。
 いかんせん体は成長しているだけあって、マサヒコの欲望を刺激すること
 は十二分以上にしていた。
 だが、マサヒコも学習していた。
 もし断ってみようものなら、泣かれてまた何か言われるのだ。
 それに対していちいち反応するのにも疲れた。
「分かった。ただし、大人しくしてろよ」
 言うと、スポンジを泡立てて、ミサキの背中から洗い始めた。
 背中全体が終わると、首やその周り。次は左右の腕と脇。
 その辺までいくと、ミサキも変な声を出し始めた。
「はぁん・・・・・・はぁ、はふぅ・・・・・・」
 後ろから洗える所は全て洗った。なんたって洗いながら何度も確認もした
 のだから。
「ほら、後ろはやったから。前くらい自分で・・・・・・ってぇ!」
 ミサキとマサヒコはいつの間にか向かい合っていた。
 顔だけでなく、耳や首まで赤くしたミサキがマサヒコの前にいた。
 胸やその色づいた先端や、女性特有の割れた場所がはっきりくっきり
 見える。
 一度見ているとはいえ、こうも惜しげもなく見せ付けられると
 恥ずかしい。
 見せている本人ですら恥ずかしがっているくらいだし。

「・・・・・・はああぁぁ」
 大きくて深いため息を吐いてから、マサヒコは前も洗うことにした。
 ゴシゴシゴシ・・・・・・。
「はあっ、あっ! ん、ひゃうっ、はうぅ・・・・・・」
 前に残っているのは敏感な部分だけで、そこを擦る度にミサキは甘い
 吐息を吐く。
 情けない気持ちになりながらも、マサヒコはしっかりと反応していた。
 胸、腹、太もも、ふくらはぎ、足。
 最後の最後に女性の一番敏感で、自分を一度入れた場所が残った。
「・・・・・・・・・・・・・」
 覚悟を決めてマサヒコはそこも丁寧に優しく洗うことにした。
「ぁうっ、っあ、はぁあっ、ふぅ・・・・・・、んんっ、んあっ、くぅ」
 ミサキはトロンとした目で愛おしげにマサヒコを見つめた。
 ドキッとしたマサヒコは手を止める。
「わ、私もマサヒコくんを、洗ってあげるね?」
 するとマサヒコの視界は一転した。
 気づいた時には背中と後頭部に痛みを覚え、自分の体が金縛りにあった
 かのように動かなくて少し重く、なぜか天井を見ていた。
「あ、天野?」
「また天野って呼んだ。ぐすっ、マ、マサヒコくん、実は私のこと嫌い?」
 天井と自分の顔の間に突如として現れたミサキの顔に少なからず驚き、
 しかし刺激しないように慎重に冷静に答えた。
「嫌いじゃない。本当に。絶対。ただ突然だと言い慣れてる方が出るだけ。
 今度からは気をつける。誓う」
 妙に片言っぽいのはやはり冷静でない証拠だった。
「分かった。気をつけてね」
「ああ」
 マサヒコが頷くと、ミサキは欲しかった玩具を買ってもらった
 子供のように笑った。

「じゃあ、洗うね・・・・・・っんん、はあ、ふっ!」
 ミサキはマサヒコの身体の上を滑り始めた。
 泡のおかげで、摩擦が少なく、むしろ逆にミサキの身体の形を正確に
 感じ取れていた。
 胸がマサヒコの胸元を擦れる。ただし違和感がある。硬い何かが
 言ったり来たりしているのだ。
 しかもミサキはそれによって自身も気持ちよくなっているようだった。
 まあいい。これは妥協しようじゃないか。
 だいぶこの状態のミサキの取り扱い方の分かってきたマサヒコ。
 心の中で自分に言い聞かせるようにして頷いた。
 だがしかし、自分を刺激するものもあった。
 ちょうど良い感じで収まりのある自分の分身が、
 上下に擦られているのだ。
 マサヒコとミサキの身長を考えると、何がナニを挟んでいるのかがすぐに
 分かった。
 うむ、日々勉強していたおかげだ。
 などと現実逃避する余裕さえ今のマサヒコにはあったが、出るものは
 出る。
「くっ、あっ、ミ、ミサキ・・・・・・」
 快楽の刺激には抵抗が出来ない。
 現実逃避さえあっという間に引き戻される。
「ああっ、はあ、うんっ」
 ミサキの動きが激しさを増す。
「うあっ! ダ、ダメだミサキっ! で、出るっ!」
 その声と同時に、二人にマサヒコの性が飛び散った。
「はぁ、はぁ、はぁ、ま、また汚れちゃったね」
 おそらく自分も同時に達したのだろう。潤んだ瞳のミサキがそう言った。
「・・・・・・ああ、そうだな」
 投げやりに返事を返すと、ミサキをどけてシャワーからお湯を出した。
 自分の身体に付いた泡と自分の性を流し落とす。
 余韻からから、まだ脈打っている自分の分身を見て、
 情けなさが倍増した。

「ほら、立って」
 手を差し伸べるとミサキはすぐに立ち上がり、マサヒコはもはや自分で
 やれとは言わず、ミサキの分も洗い流した。
 体を一周させて、全て落とし終えると、ミサキの顔が正面にあった。
「マサヒコくん、ちゅっ」
 とふいにキスされた。
 だが、もう慌てない。というか他のことの方が印象的過ぎて、慌てる
 のが、バカらしくなった。
「どうも。ほら、上がって体拭いて」
 促されるままミサキはドアの外に出て、
 その後ろをマサヒコはついて行った。
 用意されていたタオルで体や髪を拭き、マサヒコは着替えた。
「あ、着替え持ってきてないよ?」
 言われてマサヒコも気づいた。
 あの時はまだ慌てるということを覚えていたので、
 気が動転して着替えを用意するのを忘れていたのだ。
「どうしよう。俺が取ってくればいい?」
 まさかタオル一枚で家を歩かせるわけにもいかない。
 が、
「ううん。呼んだからキッチンに来て」
 なぜにキッチン?
 と思ったが、すぐに腹の減っていることに気づき、晩飯のことを
 意味していると考えた。
「分かった」
 マサヒコの返事を聞いて、ミサキはタオル一枚でマサヒコの前から
 いなくなった。

 やっと、マサヒコに心休まる時間がやってきた。
 疲れとかそんなものを超越した何かがマサヒコを襲っていた。
 しかしマサヒコは気づいていなかった。いや、気づく由もなかった。
 これから先もっともっともっと更にそう思うことに。
 しかもそう遠くない時間で。
「マサヒコく〜ん」
 そして天使の声で悪魔のような時間が切って落とされたのだった。

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