作品名 作者名 カップリング
想いは突然に メリー氏 マサヒコ×ミサキ

その日天野ミサキは決心していた。
 幼い頃から心に抱いていたものを、ぶつけることを。
 そしてそのために相手を呼び出すことも忘れない。
 ウロウロウロ・・・・・・。
 ミサキは自室でせわしなく歩いていた。
 彼を自宅に呼ぶのは本当に久しぶりのことだった。
(いや、かつて風邪を引いた時に来たことはあったが、あれはあれ。
 というか、そもそも二人っきりですらなかったし。
 ちゃんと、明確な理由があってこの部屋に招き入れるのはある意味
 今回が最初になるのかもしれない)
 ウロウロウロ・・・・・・。
(おかしい。遅すぎるのではないか?
 確かに彼に直接渡したわけじゃないけど、下駄箱は帰る時に
 絶対通るはずだから、そこに手紙を入れてみたのに。
 そうか、場所が悪かったのか? 今時下駄箱に手紙なんていうのも
 古くなって、逆に中身すら見られずに捨てられたのだろうか?
 いやでも、ちゃんと名前は書いてるし、その可能性も彼に限って
 少なからずない・・・・・・、と思う。あんまり否定はできないけど)
 ミサキが腕を組みつつ部屋をうろうろし出して、そろそろ二十分
 以上経過しようとした時だった。
 コンコン・・・・・・。
 二度、遠慮がちにドアがノックされ、その音にミサキはビクッと体を
 すくませた。

「ど、どうぞ」
 その声に反応して、ドアはゆっくりと開かれ、そこに現れたのは
 小久保マサヒコだった。
 学校帰りに直接着たのか、制服を着て、かばんを持っていた。
「どうした天野? 急にこんな手紙よこしたりして」
 マサヒコはかばんからその手紙を取り出すと、提示してみせた。
「まあ、今日は先生も来ないし、別にいいんだけどさ」
 マサヒコは少し歩いて座りながらそう言った。
「そ、そう。それはちょうど良かった」
 なんて言ってみるが、当然調べ上げてのことだ。
 ミサキも緊張で体を強張らせながら、マサヒコの前に座った。
「んで? これに書いてる大事な用って何?」
 マサヒコはおそらく皆には聞かれたくない重要な隠し事があり、
 それを自分に相談しようとしていると思っていた。
 あながち間違ってはいないが・・・・・・。
「小久保君っ・・・・・・!」
 気迫のこもった表情に、マサヒコは驚く。
「ど、どうしたんだよ天野。今日の天野、いつもの天野らしく
 ないぞ?」
 マサヒコの困ったような顔が、ミサキを躊躇させた。
(そ、そうよね。小久保君も急に私に告白されたら困るもんね。
 それにそれが原因で嫌われても嫌だし・・・・・・)
 どんどん考えが消極的になっていく自分に、ミサキは
 せっかくの勇気を削り取られていく。
「天野は一人で何でも抱え込もうとするクセがあるから
 気をつけないとダメだぞ? 去年だってサンタクロース
 の服作るのに、誰にも相談しないで、一人で完成させよう
 ってしてたし。弱点が家庭科だって分かってて、引き受ける
 んだったら、少しくらいは周りの人に相談しないと」
 マサヒコは明るく言うが、ある意味苦い思い出でもあった。

 しかし、昔の余韻に浸っているマサヒコとは違った意味でそれを
 解釈した人がいた。
(そうね! そうよ! ここはガツンと言った方がいいのよ。
 こんなチャンスめったにないのよ。邪魔が入らない分、
 成功だってしやすいはずよ!)
 結局は何でもいいので、こじつけて自分を奮い立たせたかった
 だけたった。
 すーはーすーはー・・・・・・。
「?」
 深呼吸するミサキをマサヒコは首を傾げてみている。
「こ、小久保君っ!」
「は、はいっ!」
 思わずマサヒコは敬語で返事をしていた。それだけの迫力
 がこもっていたのだ。
「こ、小久保君、ず、ずず・・・・・・、
 ずっと、す、すす、すす・・・・・・」
 どうしても、どうしてもやはりそこから先が言えない。
 そこまで言えば、もう言わなくても分かると思うけど、
 やっぱり言葉にしないとそれは意味が無いことだと思う。
「す? 『す』がどうかしたのか?」
 朴念仁のマサヒコには分かっていないようだった。

 時間が経つにつれ、ミサキの顔が赤くなっていく。
 最初は頬とかその周辺だったものが、だんだんと
 顔全体に広がり、耳や首まで赤に染まっている。
「だ、大丈夫か天野? 顔ってか、もうヤバいくらい
 色んな所が赤いぞ?」
 おろおろと慌て出すマサヒコ。こういった症状を出す女性特有の
 ものだと思ったからだ。
「え、ええと、ベッドで寝るか? それとも氷枕の方がいいか?」
 勝手知ったる我が家、というわけにはいかないが、それくらいの
 ある場所くらいは検討がつく。
 立ち上がろうとする、マサヒコの袖をミサキは掴んだ。
 普段の彼女からはとても考えられないくらいの力で。
「あ、天野?」
「小久保君聞いて。一回しか言わないから」
 うつむいていて、立ち上がったマサヒコからは
 その表情がうかがい知れない。
 ただ。ただなぜだかちゃんと聞かなくてはいけないような気だけはした。
「分かった」
 マサヒコはそう言うと、座った。さっきはあぐらだったのに、今度は
 なぜか正座だ。ミサキも正座だったからつられたのかもしれない。
 あるいは真剣な話には真剣な態度で持って
 応えようとしているのかもしれない。
「小久保君・・・・・・。ずっと、ずっと、
 小さい頃からずっと・・・・・・、ずっと好きでしたっ!」

 未練の残らないように大きな声で言い切る。その瞳は様々な
 思惑が交差していて、そして真剣な眼差しだった。
 ひざに当てた手は、ぎゅっと握り締められていて、小刻みに震えている。
 うっすらと潤んだ瞳にきつく結ばれた口元。恥ずかしさや怖さを
 押し殺した真っ赤な顔。
 その全てがマサヒコに訴えかけていた。
『答えはイエスなのかノーなのか?』
 マサヒコは息を呑んだ。
 告白とともにがらりと変わった空気、雰囲気。嫌いではないけど、
 息苦しさを感じる。
 頭の中がぐちゃぐちゃになって、思考がうまくまとまらない。
 言葉を発しようとも何を言っていいのかが分からない。
 でも、でも・・・・・・、
(ちゃんと返事しなくちゃ・・・・・・)
 機能していない頭のどこかでそう強く想った。
 人間としての理屈ではなく、マサヒコ自身の問題として。
 そして目の前に座る勇気ある少女に対して。
「・・・・・・ぁ」
 それでもようやく口に出せた言葉は、非力なものだった。
 分かっている。分かっているけど言葉に出来ない。
 そんなふがいない自分を改めて知って、マサヒコは自分を殴りたく
 なった。

 すると、目の前の少女が優しく微笑んで、
「じょ、冗談よ冗談。ほ、ほら小久保君の周りって女の子多いでしょ?
 いつこんなこと言われるか分からないから、その練習よ練習。
 備えあれば憂いなしって言うじゃない? だから、だから・・・・・・、
 だからそんなに考えこまないで・・・・・・。っうぅ・・・・・・。
 冗談だから、練習だから・・・・・・。そんなに考え込まないでぇ。
 今まで通り接してくれるだけでいいからぁ・・・・・・っえぐっ。
 ひっく・・・・・・、うぅ・・・・・・」
 徐々に笑顔が砕けていき、嗚咽交じりの泣き顔に変わっていく。
 ミサキはマサヒコがいるのもお構いなしに泣いた。
 涙を零し、その度に拭くが止まらない。鼻もすする。
 気が抜けたからか、正座がくずれた。
 そうして彼女はひとしきり泣いた。泣いて泣いて泣いた。
 目とその周りを真っ赤にして。
 マサヒコは声をかけれずにいた。
 ようやく涙も収まってきて、ミサキは無理矢理作った笑みを浮かべた。
「ご、ごめんね急に泣いちゃって。あ、そうだ、何にも出してなかったね。
 今持ってくるから、待ってて」
 ミサキはすっと立ち上がるり、マサヒコの横を通り越した。
 ドアノブに手をかけ、廊下へ出ようとした時、静かに声が響いた。
「天野待ってくれ」
 それと同時にミサキは自分の袖が引っ張られていることに気づき、
「えっ・・・・・・」
 振り返った先で、背中を丸めたマサヒコの姿を見た。
 手が離れ、やや沈黙ののち、再び静かな声がする。
「俺のこと好きだって言ってくれたの、すげー嬉しい。
 まさか天野に告白されるなんて思ってもみなかったから、
 ビックリもしてる。
 でも・・・・・・」
「でもなんて言わないでっ! 聞きたくない!」
 ミサキは耳を押さえて座り込んだ。体を丸めて完全に拒絶を意味させる。

「聞いてくれ天野!」
 マサヒコは振り返ってミサキの腕を掴み、無理矢理聞かせようとした。
 ドアが背中にあたり、ミサキは下がれない。必死の抵抗を試みて、
 首を勢いよく左右に振る。ツインテールがそれに合わせて踊った。
「イヤだ! 聞きたくないっ! 何も言わないで!
 そうしてくれないと・・・・・・、わ、私・・・・・・」
 力なくうなだれるミサキからまた嗚咽が聞こえてきた。
「天野、泣かないでくれ。お前に泣かれると俺もすげー悲しくなる」
「だ、だっでぇ〜・・・・・・」
 肩を上下させながら答える。
「違うんだ天野。最後まで聞いてくれ。
 先生が家庭教師になってから俺の周りに妙に女の子と例外二人が
 増えた。
 俺バカだからさ、変なこと言っててもやっぱりそういうのって
 嬉しかった。
 だから俺女の人の扱いには慣れてるって勝手なこと思ってた。
 そのせいで俺は天野の気持ちに気づいてやれなかった。
 ホントのバカだな俺。
 好きだって告白してくれた女の子泣かせるなんて。
 同情してるとかって思わないで欲しい。今更なんて言わないで欲しい。
 俺は・・・・・・、小久保マサヒコは・・・・・・、

ずっとずっと、天野ミサキのことが好きだった。

                                」

 真剣な瞳。柔和な表情。自分自身を責めていると思わせる瞳の漆黒。
「ほ、本当? えぐっ・・・・・・」
「ああ、本当だ。
 俺はぬるま湯から出るのを恐れてたんだ。誰かと付き合うことに
 なったら世界がガラリと変わる。それよりだったら今のまま、
 ぬるま湯に浸かって楽しみたい。俺はそんな弱虫なんだ。
 それでも俺のことまだ好きか?」
 自虐的な微笑み。ミサキは心が痛んだ。
 自分が告白さえしなければ、彼はここまで苦しむ必要がなかったのに。
 自分が告白さえしなければ、彼はここまで自分を責めなかったのに。
 自分さえ我慢していれば、全てが、少なくとも彼は幸せだったのに。
 そう思うと、ミサキの心は張り裂けそうだった。
「っひく、ごめんねぇ・・・・・・ごめんねぇ小久保君
 ・・・・・・っえぐ。
 私が、私がいらないことしたばっかりに・・・・・・ぅぅ」
 マサヒコが緩めた手から、自由になった手で顔を隠しながら
 ミサキは謝った。
「そんなことない。お前の告白がなかったら俺はずっと弱虫の
 ままだったんだ。ありがとう天野。
 俺はお前のことが好きだ」
 マサヒコはもう一度言った。

「わ、私も好きぃ! ずっとずっと好きだったのぉ〜! 子供の頃から
 ずっとずっとぉ・・・・・・」
 ミサキは涙を流しながらマサヒコに抱きついた。その涙が、
 悲しさからくるものではなく、嬉しさからくる涙だったので、
 マサヒコの心が温かくなっていく。
「ありがとう天野。もう離さないから」
 ミサキをしっかりと抱きしめ、優しく言った。
「う、うん・・・・・・」
 愛しの彼の顔を確認するために自身の顔を目の前に持ってきた。
「天野・・・・・・」
「小久保君・・・・・・」
 二人の距離はゆっくりと縮まって、唇が重なり合った。
 短いようで、長いような時間を二人は共有しあった。
 離れる時も、愛おしむように時間をかけて離れる。
「天野」
「小久保君」
 見つめ合うと二人は微笑んだ。
 心から通じ合ったと思う瞬間だった。

「小久保君、私とエッチして」
「えっ?」
 マサヒコは突然の申し出に情けない声を漏らした。
 見詰め合う二人に、何のわだかまりもないが、一線を越える
 というのは、少なくともマサヒコの頭の中にはなかった。
 ミサキがゆっくりと体を離し、ベッドに腰掛けた。
「来て、小久保君」
 魅惑の微笑みを浮かべて両手を差し伸べる。
 引き寄せられるようにふらふらと、マサヒコはミサキの前に立つ。
「天野、本当にいいのか?」
 マサヒコにはそれが最後の質問だった。これでもしダメだと言われれば
 なんとか自分を抑える自信はあった。だが、これにもし応えられれば、
 もはや自分にはどうすることもできない。そんな確信めいた考えが、
 頭をよぎった。
「お願い、小久保君。いいよ・・・・・・」
 マサヒコは動いた。
 ベッドにミサキを寝かせ、自分はその上にかぶさった。
「天野・・・・・・ちゅ、くちゅ、ん、ふぁ・・・・・・」
 ミサキの口を塞ぎ、舌と舌を絡ませる。
「っん、んんぁ、んちゅっ・・・・・・、こ、小久保君・・・・・・」
 口と口を唾液の糸が引き、ミサキは切なげな声を上げた。
「え、と、次は・・・・・・」
 知識自体も乏しいマサヒコには次は何をしたらいいのか分からなかった。
「胸・・・・・・、小久保君。私の胸、触って」
 ミサキは上着のボタンを自分で外し、白くて柔らかそうな肌を
 露出させる。

「わ、私胸小さいから・・・・・・。小久保君は大きい人の
 方が好きでしょ?」
 ブラジャーが残っているが、ミサキは手をクロスさせて隠そうとした。
「そんなことないよ。天野の胸が大きくても小さくても俺は」
「そう、良かったぁ」
 そう言うとミサキは白いブラジャーを外した。中から小ぶりな胸が
 こぼれる。
 マサヒコは数少ない知識で持って、右の胸をおそるおそる揉み、
 左の胸の先端を吸った。
「はあぁぁん!」
 ミサキは背中を仰け反らせながら喘いだ。
「ご、ごめん。大丈夫か?」
 パッと手と口を胸から離す。
「ん、大丈夫。嬉しくて気持ち良かっただけ」
 ミサキは腕を伸ばしてマサヒコの首に巻きつけて引き寄せた。
「お願い、もう一回。ね?」
「う、うん」
 リードされながら、マサヒコは胸を揉み、吸った。
「はあぁっ、んんっ! ふあっ・・・・・・ああぁっ!」
 マサヒコが吸ったり、揉んだりする度にミサキは快感に声を出した。
「さ、先っぽ噛んだり、引っ張ったりして、はあん!」
 ミサキに言われるがままマサヒコは甘噛みし、硬くなった先端を
 こね、少し引っ張る。
 マサヒコの手に導かれるままにミサキの胸は伸び、指を離すと
 プリンのように揺れて戻った。

「あ! んっ! き、気持ち良いよ小久保君・・・・・・」
 潤んだ瞳が艶っぽくマサヒコを見つめていた。
「あん、の、残ってる手で、ひんっ、んぁっ、わ、私のアソコ
 触って、はあぁ、くれる?」
 ミサキはマサヒコの遊んでいる手を誘導して、スカートの中に
 導いた。
「天野のここ、すっごく濡れてる。パンツの上からなのに、
 俺の指濡れてる」
「小久保君に、んっ、触られてるだけで、はぁ、こうなっちゃうの。
 パ、パンツの中に手を入れて、優しくいじって。ふあっ!」
 マサヒコの指がぎこちなくパンツの上を這うだけで、ミサキは
 気持ちよさそうに上げる。
「わ、分かった」
 言われた通りに指をパンツの中に進めると、すぐに指全体が湿った。
「はあぁあ! あああっ! あんっ!」
 何も動かさない間に、ミサキは何度も感じる。
「ああ、ゆ、指を、っん、い、入れて、ひゃんっ、
 欲しいの、んにゅ・・・・・・」
 ツプ・・・・・・。
 指の先端が二本、ほんの少し入っただけで、ぬめりのある音が二人の
 耳に届いた。
 ツプ・・・・・・、ツプププ・・・・・・。
 奥へ指が入っていく度に音が大きくなっていく。
「あん!! ひゃあんっ! んああ!」
「あ、天野のここ、すげー温かい。柔らかいくて、すんごい俺の
 指に絡まってきてる」
「ゆ、ゆっくり、きゃふっ! うご、動かしてっんん!」
 ジュブ・・・・・・。
「はああぁぁぁんん!」
 一掻きしただけでミサキは快感に悶えた。

 ミサキは今とても気持ちよくて、とても幸せだった。
 いつも心に描いていた人の指が自分の中で動いている。それが
 信じられないことだった。
 自分の指をいつも見立てて触っていたのが、今では本物がそれを
 してくれている。
 この上なく心が満たされていた。
 指が動かされる。刺激が快感となって体を震わせる。
 音がいやらしいまでに聞こえてくる。それがさらに自分を
 奮わせた。
「はんっ! あぁ! ぅあんっ! ふあああぁぁぁぁっ!」
 ビクンと体を反らせて、ミサキは絶頂を迎えた。
「はぁ、はぁ、はぁ、っん、はぁ、ぁはぁ・・・・・・」
「イ、イッたのか? そ、その気持ち良かったってことか?」
 不安なのか、マサヒコは場違いな質問をする。
「そうだよ小久保君。私、気持ち良かったよ」
「そ、そうか」
 なぜだかマサヒコは頷いた。
「小久保君、変わろっか」
「えっ?」
 情けない声を出した頃には、
 マサヒコとミサキの上下は入れ替わっていた。
「私だけ気持ち良くなったから。そのお礼」
「ちょ、あ、天野!」
 ミサキは体を下へ移動させ、顔をマサヒコの膨れ上がったそこで止めた。
 ズボンとパンツを下ろすと、大きくなったマサヒコの分身がミサキの
 眼前に現れる。
「小久保君の大きい・・・・・・」
「そ、そうなのか?」
「ん、私にも分からないけど、そんな気がした。
 小久保君、私のこと耳年増って思ってるでしょ?」
 ミサキは魅惑の笑みで訊いた。

 ビクンッとソレが振るえた。
「そ、それはその・・・・・・」
 口をもごもごさせて明確に答えない。
「ふふっ、いいの、本当のことだし。だからこんなことも知ってるよ?」
 そう言うと右手でマサヒコの硬くなった部分を掴み、左手でその下の
 部分にある袋を弄ぶ。そして舌をチロリと出し、硬くなった先端を
 愛おしげに舐めた。
「あ、天野っ・・・・・・、
 そこ、汚いからっ、っ、や、止めろ・・・・・・」
 マサヒコはそう言いながらも快感に身が逆らえず、ミサキが舐める度に
 快感の声を出す。
「ん・・・・・・ちゅ、くちゅ、ペロ、んっ。
 っぷはぁ、んちゅ・・・・・・」
 何度も舐め、右手を妙になれた手つきで上下させる。
 時には口に含むが、ミサキの口にはソレは収まりきらなかった。
「うあっ! あ、天野っ! ダ、ダメだ。で、出るっ!」
 同時にマサヒコの先端から白濁した液体がほとばしり、ミサキの
 顔や髪、口の中へ飛び散った。
「ご、ごめん天野!」
 起き上がってミサキの肩を掴む。
「んくっ、んっ・・・・・・ゴクンッ」
 口の中に入った分をミサキは呑み込んだ。
「き、汚いだろ天野! い、今拭いてやるから」
 そう言って近くのティッシュ箱へ手を伸ばそうとした。
「ん、大丈夫」
 ミサキは言いながら顔にかかった分の液を指で集めて、口へ運んだ。
「だ、だから汚いって言ってるだろ!」
「ううん。小久保君のだから汚くないよ・・・・・・」
「な、なな・・・・・・」
 マサヒコはそう言いながらも、なぜか分身を元気にさせていた。


「小久保君、私の中に入れて・・・・・・」
「で、でも・・・・・・」
 躊躇するマサヒコ。
「いいの。私の初めてを小久保君にもらって欲しいの」
 ミサキはパンツを下ろし、マサヒコを押し倒した。
 ゆっくりと腰を下ろし、自分とマサヒコを繋いでいく。
「あ・・・・・・くっ、い、痛いぃ・・・・・・」
 悲痛な声をミサキは上げるが、それでも腰を下ろすのは止めなかった。
「あ、天野。痛いんだろ? や、止めろって」
 自分の分身がミサキの中で締め付けられ、それで気持ちよくなっている
 のが、彼には信じられなかった。
 痛い思いをさせているのに、自分が気持ちよくなるなんて。
 そんな思いわきおこる。
「こ、小久保君の私の奥まで届いているよ。ぁぁ、んふぅ・・・・・・」
 マサヒコの体とミサキの体が完全繋がった。
 しかしマサヒコはシーツに広がる赤い染みに罪悪感を覚えた。
「あ、天野痛いんだろ?」
「だ、大丈夫。平気だよ」
「で、でも天野・・・・・・」
「小久保君、二人で居る時くらいは名前で呼んで。んんっ!
 わ、私も『マサヒコ』って呼ぶから、ああ!」
 動いていないとはいえ、マサヒコの分身はミサキの中で快楽で震える。
 それが微弱な振動としてミサキに伝わった。
「ミ、ミサキ・・・・・・。本当に大丈夫なのか?」
「ん。マサヒコくん、一つ訊いていい?」
「な、何?」

「エッチな女は嫌い?」
 マサヒコは心が静まっていくのを感じた。
 この子の前で決意したはずだったのに、まだまだ弱虫だった。
 そのことを考えると、なぜか自分が恥ずかしくなった。
 マサヒコは真剣に応えた。
「ミサキがエッチでもエッチじゃなくても
 俺はミサキを嫌いにはならないよ」
「そう。良かった」
 ミサキは自ら動いた。ゆっくりと上下に
「あっ、あっ、あっ、んあっ、ふっ、はっ・・・・・・」
 徐々に動くスピードが速まる。ただの上下ではなく、体を反らしたり、
 前に倒したり。本能の赴くままに動いていく。
 グチャグチャと淫靡な音のリズムに合わせ、ミサキの声も艶を増し、
 大きくなっていく。
 お互いがお互いを求め、お互いがお互いそれに応えていく。
 一つになるということがこれほどまでに気持ちのいいことだとは、
 どちらも思っていなかった。
 人を本気で好きなると、ここまで気持ちのいいことがあるのだと、
 初めて知った。
「ミ、ミサキ・・・・・・、お、俺もうダメだ。出る・・・・・・」
「はぁ、わ、私ももうイッちゃう!」
「うっ、あ・・・・・・」
「ひゃう、あっ! マ、マサヒコくん。イク時は一緒だよ?」

「あ、ああ・・・・・・くぅ」
「も、もうダメぇ〜」
「うあっ! で、出るっ!」
「イ、イッちゃうぅ!」
 二人はともに声をあげ、絶頂を迎えた。
 マサヒコの液体が、ミサキの中に注がれる。
 ミサキがマサヒコの上に重なるように倒れる。相手の呼吸が
 耳元に聞こえる。
「ごめん。中に出しちゃった」
「ん〜ん。平気、マサヒコくんのだし。もし子供が出来ても気にしない」
「そ、それはちょっと俺が困るような・・・・・・?」
「マサヒコくんは私の子供欲しくないの?」
「そ、そりゃ俺だっていつかは子供は欲しいけど・・・・・・」
「大丈夫だよ、初めての時だと妊娠しないって言うし」
「それって、ただの迷信だろ?」
「そうだけど、私はどっちでもいいもん」
 拗ねの入った言葉にマサヒコは気恥ずかしくなった。
「頼むよホントに」
 なんだか違った意味でグッタリとしたマサヒコだった。
 何気ない会話だったけど、それが二人には幸せなことだった。
 片方は関係を壊したくなくて十何年も自分の想いを秘めて生活してきた。
 片方はそんな想いに気づいてやれなくて、とてもさびしい想いをさせた。
 どちらともなく、それの壁が消えつつあることを自覚していた。

「マサヒコくん。好き、大好き」
「俺もミサキのことが好きだ」
 ポツリとどちらかが言うと、それに対してどちらかが返す。
 二、三応答を繰り返すと、
「マサヒコくん。昔した約束覚えてる?」
「約束? どんなだったっけ?」
「覚えてないの?」
 ムッとした表情をミサキはし、申し訳なさそうな表情をマサヒコはした。
「ご、ごめん・・・・・・」
「将来、私のことお嫁さんにしてくれるって」
「し、したのかそんな約束」
「うんしたよ。ねえ、それって今でも有効?」
「・・・・・・・・・・・・・」
 マサヒコは何と答えればいいのか困る。
「ねえ、どうなの?」
「分かった、有効。ただし高校は卒業させて」
「ん、分かった」
 そしてお互い静かに目を閉じた。
 安らかな寝息が二つ、仲良さそうに聞こえてきたのだった。

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