作品名 作者名 カップリング
「歪なスタート」 マリリスト氏 リンコ×ミサキ


どうしてこんなことになってしまったのだろう……。
きれぎれに声をあえがせながら、痺れを感じている頭の奥で、ミサキは思った。
ミサキの部屋のベッドの上、ミサキは一糸まとわぬ姿でいた。
厳密にはその身体に唯一、冷たく光る手錠だけが身に着けられている。
鍵をされて固く閉ざされた手錠は、ミサキの両手を背中で拘束していた。
「ねえ、ミサキちゃん。今日はちょっと趣向を変えてみようと思うんだけど」
無邪気な声が、ミサキの耳元に響く。
「今日はもうちょっと進んだコト、してみたいな。
 あ、大丈夫。あんまり痛くしないから! ちょっとは痛いかもしれないけどね」
「リ、リンちゃん……?」
声の主は的山リンコ。ミサキのクラスメートであり、親友である。
「えへへ……今日は色々試してみたい事があるんだ。ミサキちゃんもきっと悦ぶよ!」
「で、でもリンちゃん、わ、私……あうっ! ふあっ!!」
ミサキの部屋に響いていたのは二人の声だけではなかった。
水音……ピチャピチャという生々しい水音が鳴り響く。
「あうっ……! リ、リンちゃ、だめっ……うああっ……!」
「それにしてもミサキちゃんスゴイよね。最初は指一本でもキツキツだったのに、
 今じゃ丸々2本くわえこんでるんだもん。私だってまだ1本なのにぃ」
「あうぅ……だめぇ……そんなこと言わないで……」
身もだえしながら必死にかぶりを振るミサキ。リンコはニコニコとそれを見つめる。
ミサキの膣内に、リンコの人差し指と中指が丸々と飲み込まれていた。
リンコがその指を幾度も出し入れするたびに、ミサキの膣口は広がり、愛液を溢れさせる。
「最初はかなり痛がってたのに、すぐに感じるようになっちゃって……。
 あれからたった1ヶ月かぁ〜……ミサキちゃんの身体ってすごくエッチなんだね!」
「そ、そんなこと……あんっ!」
「だってほら、私の指こんなに締め付けちゃって、もうトロトロになってるよぉ」
そう言うと、リンコはミサキの膣内で、指を激しく動かした。
ミサキの内部が激しく蠢き、リンコの指に絡み付く。愛液が外へと飛び出していく。
「あっ、あっ、だめぇ……中で動かしちゃだめぇ……ひああっ……私おかしくなっちゃうよぉ……」
「なってもいいよ〜……ミサキちゃんがどんどんエッチになってくれたら、私どんどんミサキちゃんのこと……」
「あっ、ひあっ、ほんと、だめえっ……! も、もう、あっ、ああっ、ふああああっ!」
ミサキの膣内がキュッとすぼまると、身体を跳ねて達した。
シーツの上に、ミサキの愛液が大量に滴り落ちる。寝小便をしたかのように、盛大な染みが広がる。
「ミサキちゃん、またイッたの? 今日でもう3度目だよ? 
 まだ一時間しかいじってないのに〜……まだまだすることいっぱい残ってるからね」
ミサキはぼんやりと天井を見つめ、また思い返す。
どうしてこんな事になったのだろう。時は1ヶ月前にさかのぼる……。

それはバレンタインの翌日のことだった。
ミサキはVD前日からマサヒコのために、たどたどしいながらもチョコを手作りしていた。
それを一応、手渡す事は手渡したのだが、それ以上の進展もなく、ひとり部屋でぼやっとしていた。
「そういえばマサ君、アイ先生からもチョコをもらったって言ってたな……」
やはり二人は付き合っているのだろうか……もやもやが、ミサキの中に駆け巡った。
そんな時、天野家に来客を知らせるインターフォンが鳴った。
(そういえば今日、私ひとりだった)
急いで玄関へ向うミサキ、そこには、リンコが紙袋を持って立っていた。
「こんばんわ〜。こんな遅くにごめんね、ミサキちゃん」
「リンちゃん、どうしたの? とりあえず上がって。外寒いでしょ?」
「うん、ありがと〜」
「今、お茶いれるからね」
ニコニコとしているリンコ。何かいい事でもあったのだろうかと思ったが、後に話すだろう。




リンコを自分の部屋に入れると、煎れたての紅茶をすする。
「で、どうしたの?」
「ん、昨日これをミサキちゃんに私そびれちゃったの。どうしても渡したくて」
そういうと、紙袋の中から可愛らしい包装紙を取りだした。
「これ……チョコ?」
「うん、ミサキちゃんだけタイミングが合わなくて渡しそびれちゃったんだ」
(そっか。私マサ君にチョコ渡すために色々動いちゃったから……)
そういえばリンコは友達全員にチョコを上げていた。友情の印なのだろう。
「ありがとう。ごめんね、お返しできなくて」
「ううん、いいよ。お茶ご馳走になってるし」
「でもどうしてこんな時間に……あ、別に迷惑ってわけじゃないよ? でも明日学校でも渡せるのに」
「今日はミサキちゃんひとりだって聞いてね」
「……? まあいいや。ありがと」
「ね、食べてみて! 手作りなんだよ! 昨日アイ先生と一緒に作ったんだよ」
「へ、へぇ、アイ先生と……そうなんだ……」
その言葉に少しばかり抵抗を感じたが、友情の印に手作りとは、親友としては嬉しい限りだ。
一口食べてみる。絶妙な甘さと芳醇な香り……ほっぺたが落ちそうなクオリティ。
「美味しい……すごく……」
「ほんとに!?」
昨日、アイはこれをマサヒコに渡したのか……自分の手作りと比べれば、その差は天と地の開きである。
「はあ、ありがとう……すごく美味しいよ」
「その割には落ち込んでるね。そういえば小久保君にはチョコ渡したの?」
「え? あ、うん」
「本命?」
「……一応。リンちゃんは?」
「私も渡したよ〜本命」
「えっ!? ま、まさか」
「やだな〜、心配しなくても小久保君じゃないよ〜」
「あ、そ、そうなんだ……よかっ……」
その時、ミサキは急に全身の力が抜けていくのを感じた。
紅茶を床にこぼし、テーブルの上に突っ伏してしまう。
「はうっ……な、なに……?」
「あ、効いてきた効いてきた♪」
「リ、リンちゃん、これ、何……?」
ミサキは自分の身体の奥から、熱のようなものがこみ上げてくるのを感じた。
しかし、指一本動かす事もできずに、ただその熱に全身を飲み込まれていく。
「やっぱり効くね。さすがはリョーコ先生直伝のデラックスチョコ♪」
「リンちゃん……?」
「ミサキちゃん、私言ったでしょ。本命あげちゃったって。どうだった? 私のホ・ン・メ・イ♪」
「そ、そんな、リンちゃ……」
言い終わる前にその唇を塞がれた。




「あのときのミサキちゃんってば、裸にされちゃったとき恥ずかしくて全身真っ赤にしてたよね。
 あんまり可愛かったから思わず写メ撮っちゃったんだけど、今でもプライベートフォルダに眠ってるんだよ♪」
あくまで笑顔でそれを口にするリンコ。しかしミサキにとっては羞恥プレイ以外の何物でもない。
「そろそろ指がつかれちゃったなあ……」
リンコは指に付着したミサキの愛液を舐めとる。
「ん、おいしい……」
「リ、リンちゃん、今日はもう……」
息を切らして懇願するミサキだったが、リンコはそれを聞き流し、バッグをあさぐる。
「あった……ミサキちゃん、これ好きだったよね」
「あっ……や、やだ、これいやぁ……」
「え〜? だってこの間ミサキちゃん、これ使ったとき『もっと、もっと』って言ってたよ?」
「そ、それは……そんなこと……」
「本当だよ。携帯のムービーで撮ってあるもん。あ、誰にも見せてないから安心して。私だけのモノだからね♪」
そういうリンコは、バッグから取り出したバイブを、ミサキの膣口にあてがう。
足を閉じようとしたミサキだったが、いともたやすく開かれてしまった。
「それじゃ、いきまーす」
バイブがずぶずぶと、ミサキの膣内に侵入する。スイッチを入れると、不規則な律動を始める。
「ああ……リンちゃん、抜いてぇっ……これだめ、気持ち悪いよぉ……」
「でもいっぱいおツユ出てきてるよ。遠慮しないでいいよっ、ミサキちゃん!」
リンコはミサキのおでこに口付けると、頬、鼻、そして唇に可愛らしくキスしていく。
「はあ……ミサキちゃん、やっぱり大好き……ミサキちゃんは私だけのモノ……」
「リンちゃん……うああ……ひあっ……!」
「ほら、やっぱり感じてる♪」
リンコが携帯で撮ったムービー。
初めてバイブで犯されたとき、数時間にわたる快感に、そのときのミサキの理性は飛んでいた。
そして今、同じように感じてきた。膣内で蠢くバイブの刺激が、ミサキを容赦なく襲う。
それから2回、ミサキは達したところでようやくバイブを抜いてもらえた。
ミサキはすでに抵抗を止めていた。素直に快感を受け止めていればじきに終わる。そう考えていた。
「それじゃね、ミサキちゃん、今度は……」
「えっ、わわっ!」
無理やり四つんばいにされたミサキ。真っ白な尻をリンコに突き出す形になった。
「やだ、恥ずかしいよ、リンちゃぁん……」
「やっぱりミサキちゃんのお尻って、いつ見ても、真っ白で、柔らかそう……」
「リ、リンちゃん、そこだけはやめて……。まだ慣れてないから痛いの……」
リンコは人差し指に愛液を塗ると、ミサキのアナルへと、ゆっくりと指を差し入れる。
「あうう……うあっ、あああ……」
尻の中に感じる異物感に、うめき声をあげたミサキ。
少し前に同じことされたが、快感などは感じず、痛さと異物感だけが残る結果となった。
「う〜ん、ここが気持ちよくなるのはまだまだ先なのかなあ。でも前よりも入りやすくなってるよ」
「お願い、そこはダメなの……。恥ずかしいよぉ……」
「そっかぁ、残ね……ん?」
リンコの眼前にあるミサキの尻。リンコは思いつく。
「ホントはお尻の穴のあとにやるつもりだったけど、ちょうどいいから一緒にしちゃうね」
「え?」



そういうと、リンコはミサキの尻を軽くはたいた。パシッという音が部屋に響く。
「痛っ! な、なに? リンちゃんどうしたの?」
「何って、スパンキングだよ? ミサキちゃんMっ気があるから、悦ぶかなと思って」
「そんな、ダメだよ、そんなの痛いに決まってるじゃない……痛っ、痛い、痛い!」
リンコは聞かずに、ミサキの尻を平手で軽く叩く。ミサキの真っ白な尻に、紅葉のような赤みがつく。
「ひあっ、痛いよぉ! やめて、リンコちゃん、やめて!」
リンコは平手の動きを止めた。それから、赤みかかったミサキの尻に舌を這わせる。
「ふああっ!? ひぃっ!」
軽く叩かれていた尻は、多少の刺激に敏感になっていた。
痛みの後に舌による生ぬるみのある愛撫が、ミサキの尻に、妙なこそばゆさを与えていた。
「まだだよ、ミサキちゃん。大丈夫、赤みもすぐ消えるし、痕が残らないようにするからね」
「や、やだっ、リンちゃん、痛ぁっ!」
アナルに指を入れられたまま、尻を平手ではたかれ、尻を舐められる、指を這わされるなどの飴と鞭を同時に味わうミサキ。
そんなことが幾度も続くうちに、ミサキの身体は痛みと快感の境目がわからなくなってきた。
「あうっ、うああっ、お尻、熱いよぉ……」
「ミサキちゃん、自分でお尻振ってる。まさか本当に叩かれて感じてきちゃうなんて……」
「えっ? やあっ!!」
「恥ずかしがらなくていいよ。気持ちいいんだよね? 叩かれて感じてきちゃうんだよね?
 知ってる? アヤナちゃん、お尻の穴でイケるようになったんだって。リョーコ先生が言ってた」
「え、えっ!?」
「アヤナちゃんもMっ気があるんだって。リョーコ先生に調教されるうちに、目覚めちゃったみたい」
「そ、そんな、若田部さんが……」
アヤナもまた、自分と同じようなことになっていたとは……。学校で挨拶を交わすときは、そんな素振りはみせないのに。
「だから、ミサキちゃんももうちょっとだよ」
ミサキの尻を再びはたく。小さな尻はぷるんと震え、紅葉がまた一枚増えてゆく。
「いやあっ! 私そんなんじゃないよぉ!」
「え〜そんなことないよお。私はもうミサキちゃんの身体を隅々まで知ってるんだよ?
 ミサキちゃんはぁ、私にお尻を叩かれて気持ちよくなっちゃう女の子なんだよ。
 ミサキちゃんはもう全部、私のものなんだよ。他の人じゃミサキちゃんをここまで気持ちよくできないんだよ?」
「そんなことない、私は、私は」
「あのね、ミサキちゃん。この間のバレンタイン、私、アイ先生と一緒にチョコ作ったって言ったよね?」
「……え?」
「あのときアイ先生が作ったのは私と同じスペシャルチョコだったんだけど、
 実はアイ先生のチョコも、小久保君宛ての本命チョコだったんだよね。」
「……!!」
「でね、小久保君も前々からまんざらじゃなかったみたい。そんな二人があんなチョコ食べたら、もうわかるよね?」
「あ、あ……」
ミサキの身体が震える。耳を塞ぎたくなったが、両手は手錠で拘束されている。
「あれから二人とも、毎日エッチしてるみたい。かな〜りラブラブだよ。こっちが真っ赤になっちゃう」
「そんな……そんな……」
ミサキはポロポロと涙を零す。そんな事実を、自分だけ1ヶ月も知らずにいたとは……。
「ひどいよね。こんなに想ってくれている女の子に気付いてあげられないなんて。小久保君って最低」
「うう……うう〜……」
「ミサキちゃんのこと全部知ってるのは、世界で私だけだよ」
「うう……ぐずっ……」




リンコはミサキを背中から抱きしめた。耳元でそっと囁く。
「ミサキちゃんがこんなにエッチな女の子だってことも、叩かれて感じるような女の子だってことも、
 誰かを一途に想いつづけることをできる女の子だってことも、私は全部知ってるんだよ?」
「リンちゃん……リンちゃ……」
「言って、ミサキちゃん。マサヒコ君よりも、私のことが好きだって。
 そうすれば小久保君よりもっと幸せに、もっと気持ちよくしてあげるから」
「わ、私……」
「ミサキちゃんは誰が好きなの?」
「わ、私は……」
長く受けつづけた恥辱と快感、そして急激な失恋の重みと、寂しさの上に重なるリンコの優しさ。
それらが混沌とした感情は、ミサキの中で激しく流転していた。
「私は、マサ君より……」
「小久保君より?」
「リンコちゃんのほうが、優しいリンコちゃんのほうが、好き……」
「……よくできました♪」

数時間後、すべてを終えた二人はベッドに並んで横になっていた。
「ねえ、ミサキちゃん」
「……なに? リンコちゃん」
「アヤナちゃん、幸せみたい」
「……そうだよね。憧れの中村先生と一緒になれたんだもんね」
「自分の好きな人と一緒になれるなんて、幸せだよね。たとえどんな始まりでも、どんな形でも
 好きな人と一緒になりたくても、なれない人がいっぱいいるもんね。私達は、幸せだね」
「うん……そうだね」
「ね、ミサキちゃん、日曜空いてる?」
「どうして?」
「今度の日曜、リョーコ先生が四人でどうだって」
「よ、四人で!?」
ミサキはがばっと身を起こす。 
「そんな、イヤだよ、恥ずかしいよ……四人だなんて」
「ミサキちゃんはいやなの? 四人でカラオケ」
「カ、カラオケ……?」
「……ミサキちゃん、今何考えてたの? あ、さてはイヤらしいことだ!」
「ななっ……! そ、そんなことないよぉ!」
「やっぱりミサキちゃんはエッチだ!」
「んな……ちょ、超卑猥!」
「それはミサキちゃんのほうだよぉ」
ミサキは頬を真っ赤にしながらも、笑う。リンコも少しだけ、寂しそうに笑った。

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