作品名 作者名 カップリング
『M子の悲劇』 マリリスト氏 -


「今日は先生これないって……どういうことです?」
それは突然の電話。今日はカテキョの日、アイが小久保家に訪れる予定だった。
いつものように部屋の準備をして、アイの到着を待っていたマサヒコだったが、
予定の時間、急にアイから電話がかかってきたのだ。
「うん、実は大学のレポートが急にやり直しになって……今日は友達とやらなきゃならなくなったの」
「そうですか……それじゃあ仕方ないですね」
「ごめんね、テストも近いっていうのに……」
「いや、仕方ないですよ」
そう言いながらも、マサヒコは心の中で軽くため息を吐く。
たしかにここにきてカテキョなしでの勉強は、少ししんどい。
一緒にいて掴める要領もあったが、今日はそれをひとりでこなさなくてはならない。
「じゃあ、今日はひとりでしますね」
「あ、それでねマサヒコ君。こんな大事な時期にカテキョ無しじゃキツイだろうし、
 先輩と話つけておいたから、今日は先輩とリンコちゃんと三人でお勉強してきて」
「中村先生と的山ですか?」
これはひとりで勉強するより、しんどい事態が待ちうけているとマサヒコの直感が悟る。
「うん、あれでも先輩の教え方が上手いのは、マサヒコ君も知ってるでしょ?
 時期も時期だし一緒にしておいた方が、マサヒコ君のためになるかなって思ったんだけど……」
リョーコの教え方が上手いのは、もちろん知っている。ただ、勉強が成立できるかが問題だった。
しかし、的山だってテスト前だ。こんな大事な時期におふざけ混じりの勉強はしないだろう。
「そうですね……わかりました」
「うん、ありがとう。リンコちゃんの家で待ってると思うから。本当にゴメンね」
「いえいえ、ここまで考えてくれてありがとうございます。レポート頑張ってくださいね」
電話を切ると、筆記用具・参考書ノート類と財布を持って、的山宅へと目指すマサヒコ。
だけどやっぱり少しばかり、嫌な予感はしていたのである。

「それじゃあちょっと休憩挟みましょうか」
「私、ココアもってきまーす」
勉強を始めてから1時間半が立ち、マサヒコはようやく息を抜いた。
(うん、やっぱり中村先生は教え方上手いな……効率よく覚えられた)
こりはじめの肩を慣らし、小さく息をつく。リンコはココアを作りに台所へと向かった。
「このペースなら今日中にだいたいの範囲までまとめられるわね」
「はい。中村先生のおかげですよ」
このままならたいした問題もなく、勉強を追われそうだ。
不安は杞憂に過ぎなかった……マサヒコは座ったまま肩を伸ばす。
パタパタと足音がして、扉からお盆を持ったリンコが姿を見せる。
「ココアもってきたよ〜」
「そんなに急いで、転ばないでよ。アンタドジなんだから」
「大丈夫、だいじょ、あっ!」
足を引っかけて盛大に転ぶリンコの姿と、吹っ飛ぶココアの姿を視界に捉えたとき、
やはり不安というものは的中するのだと思ったマサヒコだった。




マサヒコのパーカーとズボンが、見事にココアでビショビショになった。
それだけに留まらず、巨大な茶色い染みで残念なほどに汚れてしまった。
「ごめんね、小久保君」
「いや、いいよ、うん……」
「なんか着替えを用意しないとね。リン、アンタなんか持ってる?」
「男の人にもはまりそうなのは……これしか」
リンコがごそごそとクローゼットから取り出したのは、ひらひらと可愛いフリルのついたピンクのスカート、
それにまたしてもひらひらフリルのついた上着だった。少女趣味爆発である。
「趣味で作ったんです」
リョーコの眼がキラリと光る。何か面白いものを見つけたときの瞳の輝きだった。
「あら、ちょうど良いじゃない。マサ、観念してこれを来なさい」
「いえ、俺は汚れたままでいいんで……」
「汚れたんだったら最後まで汚れなさい。そんな格好のままじゃ面白くないでしょ」
「面白くないってなんすか」
「着たくないんだったら私が無理やり着させてやる。リン、ちょっとコイツ押さえな」
「ラジャ!」
「えっ、ちょっ、やめ……的山!」
「リンは性別の垣根を問題としない(ジェンダーフリー)ようなところがあるから、乗り気だよ」
「いやぁぁぁ」
師弟の見事なスピードとコンビネーションにより、パンツ1枚にまで身包みを剥がされ、
ひらひらを着せられたマサヒコ。犯された女のように、自分の肩を抱いていた。
「あら……思いのほか似合う似合う」
「ほんとだ〜。小久保君かわいいよ」
「うう……ひどい。ひどすぎる」
リンコはクローゼットの奥から、金色のウィッグを取り出す。
「これも勉強用に買ったやつです」
それを、マサヒコの頭にかぶせる。マサヒコはもう抵抗を忘れていた。
「これは……ちょっとヤバいわね」
「きゃあ! 小久保君カワイイ〜!」
姿見を見るマサヒコ。そこにはれっきとしたひとりの美少女が映っていた。
「何これ……これが俺?」
「自分でもびっくりでしょ。もともと女顔みたいなところあったしねぇ」
「うう……ハマりすぎて自分でも気持ち悪い」
「『気持ち悪いわ』でしょうが、マサヒ子ちゃん」
マサヒ子。なんだか死刑宣告のような響きだった。
「マサヒ子ちゃん。お化粧してもいい?」
(もう好きにしてくれ)
ガンジーばりの無抵抗主義を貫くマサヒ子をいいことに、リンコは母親の化粧道具を持ち出して、
マサヒ子の顔にちょっと本格的なメイクを施していく。リンコは真剣そのものだった。
「できた……カワイイ!」
「もう完全に女の子じゃないの。化けたわねマサヒ子ちゃん」
メイクアップにより、ますます女性らしさを光らせるマサヒ子。
ただ、この時間が早く過ぎればと願っていた。




「さて、リン、マサ、勉強再開するよ」
「このままでですか……」
何かを言えばドツボにはまるかもしれない。帰る時には着替えさせてもらえるだろう。
そう思ってマサヒ子は、今の自分の情けない姿を忘れて勉強に取り組むことにした。
「う〜ん……」
「どうしたんですか? 中村先生」
「う〜ん……」
「的山まで……」
二人の視線は、マサヒ子へと注がれている。
「やっぱりここまで着たからには」
「下着も変えちゃおっか、マサヒ子ちゃん」
マサヒ子が逃げるよりも早く、リンコとリョーコは超速でその姿を捕えた。
ベッドの上に寝かされたマサヒ子。リョーコが股の間に割って入り、リンコが両手を押さえている。
「ちょ、下着はマジで勘弁して……」
「観念しなさいマサヒ子ちゃん。それに言葉遣いが荒いわよ」
「まずはブラジャーからだね〜」
リンコは自分のブラを持ってきた。サイズ的にも安心なのだろう。
リョーコの指が、マサヒ子の上着をゆっくりとめくっていく。まるでレイプだった。
「マサヒ子ちゃん、肌白いね〜。本当は女の子なんじゃないの?」
「そんなわけないでしょう!」
とは言っても、その痴態は少女そのものだった。
「どれ、こっちのほうは女の子してるのかしら?」
そう言うと、リョーコはマサヒ子の胸板に顔を沈めた。
「な、何してんすか!?」
「ちょっと味見」
リョーコの舌が、マサヒ子の左乳首をちろりと舐め上げた。
右乳首の方は、指によってくりくりといじられている。
「ちょっ、それは、や、やめ……」
思いのほか簡単に、マサヒ子の身体が反応を示した。
「あうっ、な、中村せんせ……!」
もちろん乳首を舐められた経験などないマサヒ子。
リョーコのテクにより、マサヒ子の身体に初めての快感が走る。
こそばゆいのと気持ち良いのとが混ざり合い、マサヒ子はくねくねと身をよじる。
「男だって乳首は気持ち良いのよね。マサヒ子ちゃんはまだ知らなかったかな?」
「で、でもホントに……んっ、シャレになりませんって……」
リョーコはもちろん、舌による愛撫を止めない。
二人を振り払おうと、最初は抵抗の意志を見せていたマサヒ子だったが、
乳首を重点的に責められていくうちに、徐々に身体から力が抜けていった。
「や、やめ……んっ! ああっ、あっ、くぅ、ふぅ……」
「すごい! マサヒ子ちゃん、女の子みたいな声だしてるね!」
無邪気に喜ぶリンコだった。
マサヒ子にももう、自分の本来の性別を把握して対応するための自我が薄れてゆきつつあった。
まるで自分が本当に、女の子になって悪戯をされているような気分になってきた。
「やっぱりマサヒ子ちゃん、女の子……んっ?」
リョーコはマサヒ子のスカートが、妙に出っ張っていることに気付いた。
「……マサヒ子ちゃん? これはなんなのかな? 女の子らしからぬものだわね」
リョーコの手が『でっぱり』をスカート越しから握ると、マサヒ子の身体は大きく反応を示した。
「あっ、うああっ……!」
「女の子はこんなのついてないわよねえ、あん?」
なぜかちょいキレ気味のリョーコは、マサヒ子のその部分をスカート越しに揉んでいる。
「はあっ、そこは、だめっ……! 中村センセ、そこはマジで……!」
「女の子がそんなことじゃダメじゃない。私がヌいて小さくしてあげるわ。
 リン、アンタかわりに乳首を舐めといて。マサヒ子ちゃんを気持ちよくしてあげるわよ」
「ラジャーです先生!」




マサヒ子の『でっぱり』を握るリョーコの手が、リズミカルに上下し始めた。
同時にリンコの小さな舌が、マサヒ子の乳首を舐め出す。
「あうっ、ふあっ! くっ、やめ……あう……」
乳首と陰部、両方からの刺激を受け、甘い声を漏らしながら身体を大きく揺らしている。
「いい声だすじゃないの、マサヒ子ちゃん」
「マサヒ子ちゃん、もう本当に女の子なっちゃいなよ!」
「そん、な……! あうっ、あっ、はあっ……!」
否定しているものの、身体はすっかり快感の虜になり、精神の方は安定を失ってきた。
刺激と同時に催眠術のように聞こえてくる『女の子』という言葉が、マサヒ子を壊していく。
マサヒ子のほうは、すでに限界が近づいていた。このまま絶頂に達しようとした。
「あっ、ふあっ、お、俺、もう出……!」
「おっと、危ない」
リョーコはそこで、手の動きを止めた。リンコの舌による愛撫も、同時にストップする。
「あっ、えっ……?」
「ねえマサヒ子ちゃん、イキたい?」
「えっ、は、はいっ……」
快感を受け損ねた『少女』は、切羽詰った様子で答える。
「じゃあ、言いなさい。『イかせてください、お姉様』と」
「え、や、やだ……」
「言いなさい。でないと、ここでもう終わりにするわよ」
「マサヒ子ちゃん、言いなさーい!」
リンコが叫ぶ。
その瞬間、マサヒ子の最後の理性が吹き飛んだ。
「あ・・・・・・イ、イかせてください、お姉様!」
「はい、『マサヒ子は淫らな女の子です!』」
「マサヒ子は淫らな女の子ですぅ!」
「はい、『ごきげんよう』」
「ごきげんようぅ!」
リョーコの手が、また律動を始める。しかも先程よりも早いスピードで、『でっぱり』をしごいていく。
「あっ、ふあっ、うあ、出、出るっ! うああああっ!」
マサヒ子は身体をぴんと伸ばすと、スカートの中で大量の精を放った。
ピンクのひらひらフリルスカートに、精液による染みが広がっていく。
身体をぶるぶると震わせ、快感の余韻に浸るマサヒ子。リョーコの手の中の『でっぱり』が、徐々に萎れていった。
「イッっちゃったのね、マサヒ子ちゃん。とっても可愛かったわよ」
「可愛かったよ、マサヒ子ちゃん!」
マサヒ子は何も考えず、ただぼーっと天井を眺めていた。

それからのこと。
マサヒコの部屋のクローゼットの奥には、誰にもバレないようにあるものが隠されていた。
それは年齢に応じた『エロ本』などではなく、女性用の衣装とウィッグである。
とはいってもその用途は、エロ本と何も変わりはなかった。
マサヒコも立派な『男の子』である。一人で性欲を処理することもある。
もっとも、その瞬間マサヒコは女性用衣装とウィッグを着けた『女の子』になるのだが……。
マサヒコはあの日から、オナニーの際に女装をすることで比べ様のない快感を得られることを発見してしまったのだ。
それが病みつきになってしまったマサヒコは、あの日のことを思い出しながら自慰をしてしまうようになった。
今夜もマサヒコはマサヒ子になり、ひとりの『女の子』は淫らな夜を過ごしていく……。

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