作品名 作者名 カップリング
「的山リンコの場合」 カノ@@氏 -

「的山リンコの場合」


”夏。”

はぁ〜、はぁ〜、あまりの暑さに家まで帰り着けないかと思ったよ。
あたしはノブまで熱い玄関のドアを開けて、お母さんを探してみた。
「あっつ〜い、おか〜さ〜ん」
返事はない、誰もいないみたい。
食卓の上には『リンコへ、母は遊びに行く、一人で生き残れ   母より』とわけのわからないメモが置いてあった。
やれやれ、われながら変なお母さんだな〜ってときどき思う。

とにかくシャワーをあびて着替えよう!汗かきすぎて気持ち悪い!
あたしは着ているものをすべて脱いで脱衣所のカゴにいれて、すばやくシャワーを浴びた。
冷たい水が気持ちいい♪
ふー、しゅっきりしゅっきり。
シャワーを浴びてすっきりしたあたしは、全裸のまま2階の自分の部屋に向う。
なぜ全裸なのかというと着替えを用意しておくのを忘れたからだ、エッヘン。
いまは誰も家にいないし、全裸だと涼しいから一石二鳥だね。あたしってアッタマい〜。

部屋に入ると、すぐに窓を全快にしてドアも開け放し、風通りを良くした。
そして全裸のままでベットに倒れこむ。
「ふ〜、きっもちい〜」
控えめな風がそよそよと通る程度だけど、シャワー上がりのむき出しの肌には心地良く涼しかった。
窓の外は快晴だ、どこまでも続くこい青色の空と絵の具のような白い雲。
「そうだ!どこかに風鈴があったはず!」
思いつて起き上がり、ダンボールの宝物箱を探ると去年買ってもらった金魚柄の風鈴を発見した。
「へっへ〜♪」
上機嫌で開け放した窓に近づき、背伸びをして風鈴を取り付けた。
──チリンチリン
思ったとおり、良い音がする。
「ふ〜りゅ〜ふ〜りゅ〜♪」

風鈴を取り付けるときに気付いたが、窓の近くはより風がよく通っていて涼しかった。
しばらく外を眺めてみた、夏の住宅地、道路と家と電信柱、セミの鳴き声がやや遠くに聞こえる。
そういえばお隣の家には浪人生が住んでいたはず、お隣の2階の窓はあたしの部屋から近いけど、いつもカーテンを閉めている。いまもカーテンは閉まっていた。ときどきカーテンの隙間からなにかレンズのようなものがキラッ光って見えるけど、あれはなんなのだろうね。
へんなの、2階の窓どうして会話するってのにちょと憧れてるけど、まだやったことはなかった。


「あっ、やばいやばい」
そういえばあたしは全裸なのだった。
窓の近くにいてはご近所じゅうにこの貧弱な身体を披露することになってしまう。
ベットに座って、あたしはすこし落ち込んだ。
そう、あたしの体は貧弱だ。
いままであまり気にしたこともなかったが、家庭教師の中村リョーコ先生の指摘で気がついたのだ。
『でも気にすること無いのよ。あなたのその特殊体型はかつてはニッチなニーズとして虐げられていたけれど、今では一大ジャンルを形成しているからね。リンコにもストーカーの一人や二人いてもおかしくないんじゃない?』とリョーコ先生は言っていた。
……リョーコ先生の言うことはときどき難しくてよくわからない。

部屋の全身が映る鏡の前に立ってみた、小さなおっぱいにずんどう体型、ぽっこりと膨らんだお腹、ちっちゃなお尻、見事な幼児体型だとリョーコ先生に褒められたことがある。
う〜ん、アヤナちゃんはあんなにおっぱい大きいのに、どうしてあたしはこんなに小さいのだろう。
「えい!」
ドン、と小さなおっぱいを叩いてみたが痛いだけだ、大きくするにはどうしたらいいんだろう。
今度の授業の時にリョーコ先生に聞いてみようか。……でもリョーコ先生なら「いきなり人に頼るんじゃなくまず自分で努力しなさい」って言いそうだなぁ。
そうだ!ミサキちゃんに相談してみよう、ミサキちゃんもあたしと同じような体型しているけど、最近少しずつ成長しているのをあたしは見逃していないのさ。
ど〜やって、成長させてるのかな〜。あたしはちっともサイズが変わらないのにな。ひょっとしてマサヒコ君に手伝ってもらってるのかも!
自分で揉むより人に揉んでもらうほうが効果あるって聞いたような気もするし、きっとそうに違いない。あたしも負けてられないぞ、今度あたしもマサヒコ君にたのんでみよう。ミサキちゃん怒るかな?
それにあたしは知っている、ミサキちゃんはちゃんと毛が生えてるってことを。みんなで温泉に入った時に確かめたの、あたしはまだ全然生えてないのにミサキちゃんは薄いながらもしっかりと股間に毛が生えてたの。ちょっとショックだった……
もちろんリョーコ先生もアイ先生も大人だから黒々とした茂みを自慢そうに生やしてたし、アヤナちゃんは大人の先生たちより濃くてもじゃもじゃだったよ!アヤナちゃんスゴイ!。

なんだか一杯考えちゃった。
──ピンポーン。
あれ、誰かきた……
「あー、今日は家庭教師の日だった!わ〜す〜れ〜て〜た〜」
あたしはドタドタと部屋の片づけをして、玄関までリョーコ先生を迎えにいった。
「いらっしゃい、リョーコ先生」
「……あんた、なんで素っ裸なの?」
そういえば服を着るのを忘れてた、てへっ。

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