作品名 作者名 カップリング
「若田部アヤナの長い夏の午後」 カノ@@氏 -

「若田部アヤナの長い夏の午後」

”夏。”
蜃気楼さえ見えそうな湯だったアスファルトを乗り越えて、やっと学校から自宅に帰りつけた私は真っ先に居間のクーラーを付けた。
広い居間は涼しくなるまでに時間がかかるので、そのうちにシャワーを浴びよう。
まったく、いやになるほどの暑さだ。汗で制服がぴっとりと肌にくっついている。
私は脱衣所に移動して服を脱ぎかけてあることに気がついた。
──はっ!
お姉さまが言ってた、夏の男はすべて透けブラを見ていやらしい想像をするものだ、って。
汗で透けた制服越しにブラの線を見て楽しむ、という例のアレを私もされたのだろうか?
夏の制服は生地が薄くて、背中側だと簡単に透けて見えてしまう。
私は頭を振って身震いした、今日道ですれ違った男性全員が私の透けたブラを見ていたのかと思うと寒気がする!
お姉さまの中村リョーコ先生(クラスメイトの的山リンコさんの家庭教師)のはいろいろなことを教えてくれる。
いままであまり考えたこともなかったが、男はみなケダモノだそうだ。
小久保君も私のブラジャーの線を見て喜ぶのだろうか……
クラスメイトの男子、小久保マサヒコの顔が脳裏に浮かぶ。のほほんとした無害そうな男子だけども……どうなのだろう。
なんだか頬が熱くなる、私は考えすぎないようにブンブンと頭を振って小久保君のことは振り払った。
風邪を引かないうちにシャワーを浴びなきゃ。
制服を脱いで下着だけになったときに、ふと違和感を感じた。
なんだろう?
その答えは鏡の中にあった。全身が見える大きな鏡に映っているのほ、──私。
最近また胸が大きくなってきている、それにお尻も大きくなってきている気がする。
私は自分の下着姿をみて赤面してしまい、ドキドキと心臓の音が高鳴る。鏡に映る自分の姿から目が離せないまま、ゆっくりと下着を脱いでいった。
そして全裸の自分をあらためて見て、はっ、と息を飲む。
中学生にしては大きな乳房、下半身の黒い陰り、くびれはじめた腰、太く張ったふともも。
── 女になった。
一言で言うと、そういうことだ。
少し前までは私は背ばかり高いヒョロヒョロした子供だったのに、いつのまにか女としての丸みを身につけるようになっていたのだ。
自分自身の裸など毎日見ているはずなのに、なぜ今まで気づかなかったのだろう……でもたしかにジロジロと自分の裸をみるなんてことはなかったと思う。
胸を持ってみるとズシリと重い手ごたえがする、まだ熱い体温、それに汗で濡れてヌラヌラとした感触。
自分の年齢では大きな胸だという自覚はあった、そして級友の中でも群を抜くこの大きな胸はコンプレックスでもある。
お椀型の乳房の頂点には大きめで色の濃い乳輪がある、そして乳首も大きく色が濃いかった。まるで大人の女性のような胸だと、自分でも思う。
いままであまり性的なものとして自分の乳房を見た事もなかったけれど、こうして鏡で見ると……なんだかいやらしい。
心臓のドキドキがとまらない、身体が熱い。
乳房の触り方をお姉さまから聞いたことがる、下から持ち上げるように全体をマッサージし、時々乳首に触れる……
こわごわと教わった通りにやってみる、汗で濡れた乳房は思いのほか触り心地がよく、なんだか気持ちよい。
「あぁっ」
乳首に触れた瞬間、思いがけないほどの衝撃が身体を走り、声が出てしまった。
背が反り、乳首が天井を向く。
がまんできずにキュッ、と先端を指でつまんでみた。
「くぅっ」
乳首を弄る快感を覚えた私は、掌で乳房を揉みつつ、乳首を指先でつまんで転がした。私の大きめの乳首は今かぎりなく敏感で、その快感で体がピクピクと動くのは止められない。
脳天に生じた快感が脊髄を通って、じんじんと下半身が熱くうずく、ジュンッ、と体の奥からいやらしい液が出てきているのが自分でわかる。
女性はいやらしいことを考えたり、好きな人のことを考えると股間が濡れる──お姉さまの言っていた通りだ。
私は知らず知らずのうちに、腰をゆっくりグラインドさせていたようで、鏡の自分をみて愕然とした。
胸に手を当てて腰をくねらせる全裸の女子中学生、そんな鏡の中の自分がとてもいやらしい生き物に見える。

「あわわっ」
あわてて胸から手を離して鏡から目を反らした。
心臓のドキドキがひどく大きく聞こえる、いつのまにか呼吸も荒くなっていた。
チラリ、こわごわと鏡を見る。
全身ピンク色に上気した全裸の女──乳首はピンピンに固まり、陰部を濡らして、瞳をウルウルとさせたいやらしい肢体がそこにあった。
「いやっ」
こんなの自分じゃない!
ブンブンと首を振るが、いやらしい考えは頭から去らない。
いやらしいことが頭から離れないなんて、まるで……まるで……男のようだ。
ケダモノの男と同じ、いやらしい自分、私はもう一生いやらしいことしか考えられないのだろうか……
──そうだ!こんどお姉さまに相談してみよう。
こんなこと相談できる相手は、中村のお姉さましかいない。お姉さまは経験も知識も豊富な方だ。きっとこんな私の相談にものってくれるだろう。
すこし気が晴れた気がする。
私はよろめきながらバスルームに向かって、これでもかと冷水を浴びる、冷水のおかげで乳首はさらに硬くしこったが、体の火照りはおさまった。

シャワーを終えた私は、できるだけ鏡を見ないように着替えて、冷房の効いた居間のソファにうつ伏せに倒れこんだ。
下着の上にTシャツだけの格好だけど、いまの時間は家族はだれもいないので気兼ねはなかった。
心地よい涼しさ。
しかし私の乳首がソファのクッションに押し付けられて、その存在を主張していた。
ピンピンにしこった私の大きな乳首は、いつもはその存在も忘れているのに、いまは気になってしかたがない。意識を逸らすことができない。
「んっ」
ほんの少し身じろぎするだけど、乳首が擦れる。気持ちよかったので何度か身じろぎしてみると、乳首はより硬くなり、下半身も熱くなった。
──いけない!
せっかく冷水シャワーでほてりを冷ましたのに、これでは脱衣所の二の舞だ。
「オナニー……」
さっきから頭のなかにある単語を言葉にだしていってみた。
ダメだ!ブンブンと頭をふってその考えを外に追いやる。
いまオナニーをしてしまったら収拾がつかなくなる!……ような気がする。お姉さまに相談するまで我慢するんだ、お姉さまならきっとなんとかしてくれる。
うつ伏せなのがイケナイと思い、ソファに仰向け寝転がった。するとピンピンになった乳首がブラとTシャツを突き上げてはっきりと尖って見えた。
──いやらしい。
私はゴクリと生唾を飲み込んだ。視線を乳首からずらすとTシャツからニョッキリとつき出た生足が見えた。
いまの私には自分の生足さえもいやらしくみえる、女の体はいやらしい部分ばっかりだ!

私はこの日、いやらしい考えが頭から離れず(しかしけっしてオナニーはしないと心に決めた)、悶々とした長い長い夏の午後を過ごした。

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