作品名 作者名 カップリング
「雨に濡れても」 郭泰源氏 -

「ふう…しかし…やられたな…」
豊田セージは、雨空を見上げて思わず呟いていた。
6月は東が丘中学の家庭訪問月間である。訪問そのものは順調に進み、
最後に残すのは小久保家と天野家のみとなったのだが…。
運悪く、小久保家まであと少しというところで突然の夕立に遭遇してしまったというわけである。
慌てて近くの軒先を借りた豊田だが、雨脚はなかなか弱りそうにない。
「…このままあまやどりしてても仕方ないか。小久保の家はすぐのはずだし…それっ…」
意を決した豊田は、雨の中を飛び出した。
“ざああああ…”
雨の降りしきる中、豊田が走る。脚力には自信があったが、
小久保邸の前に着く頃にはさすがにみずびたしになってしまっていた。
(とほほ…小久保ん家の親御さんには、悪かったかな…)
ずぶぬれの自分の姿を見て、少々情けなくなる豊田であった。
(ま、いいか…ちゃっちゃと終わらして、傘借りて…向かいの天野の家でラストだ)
気を取り直し、ドアチャイムを鳴らす。
“ポ〜〜〜ン”
「あのー、すいません小久保さん、担任の豊田と申しますが…」
「あ、先生ですか?どうぞどうぞ、入ってください…」
“ガチャ”
「こんなカッコですいません、雨に降られちゃって…え?」
登場したマサヒコママを見て、軽く驚く豊田。
(???この人が…小久保の…母親?)
若い。どう見ても自分より少し年上、30前後ぐらいにしか見えない。そのうえ…。
(キレイな…ひとだな)
いままで会ってきた母親の中でも群を抜いて美人と言って良いだろう。しばし見とれる豊田。
「あらら…傘忘れちゃったんですね?ちょっと待っててください…」
§

マサヒコママは豊田のずぶ濡れの姿を見ると、急いで奥の部屋へと消えた。
(リョーコほどじゃないけど背も結構高くて…スタイルも…いいな)
その後ろ姿をぼんやりと見つめる豊田。
(天野や的山が、『小久保君ちのお母さんはびっくりするくらいキレイな人ですよー』
って言ってたけど…。なるほど、確かに…しかし、いくつのときに小久保を生んだんだ?)
ふと、豊田の頭を小さな疑問がよぎった。
「はい、先生…」
「あ…悪いですね、はは…俺って天気予報とかあんま見ないんですよ…」
マサヒコママが持ってきたタオルで全身を軽く拭きながら、少し言い訳がましく豊田が言った。
「いいんですよ…ささ、どうぞ…マサヒコはいませんけど…」
「あ、はあ…じゃ、お願いします…」
拭き終わり、豊田は客間へと通された。
£
「マサヒコ君は多少教科によってバラツキはありますけど、成績そのものは順調に伸びてますね」
「ははは、ウチは優秀な家庭教師がいてくれますから」
「英稜高校志望らしいですが…もう少し頑張れば、上の高校も狙えると思うんですよ」
「でも家から近いし校風も自分に合いそうだから、本人は英稜を第一志望でいきたいみたいで」
「う〜ん、そこなんですよね、マサヒコ君は…性格も温厚で真面目ですし、
課題を与えられれば集中力を発揮するんですが、どこか受け身といいますか…」
「ああ…現代っ子気質なんですよね、ウチの息子」
「まあ、まだ時間はありますしね。私立も含めていろいろ考えていただければ…」
「はい。そうですね…」
進路指導に生活態度と、内容は多岐に及んだが豊田の話は丁寧だった。
マサヒコママもその熱心さに引き込まれるように話に集中していた。
「ああ…もうこんな時間ですか…」
「そうですね。お茶のおかわりとお茶菓子でも持ってきますので、待ってて下さいね?」
§

「あ…そんな、もうおいとましますよ」
「いえいえ、久しぶりなんですもの…もう少し」
マサヒコママはそう言うと、キッチンへと姿を消した。
(でもやっぱり美人だな…それに…どこかで…会ったことがあるような???)
その後ろ姿を見つめながら、豊田は物思いにふけっていた。
「はい、先生。どうぞ」
「ああ…すいません」
出されたケーキとお茶をありがたくいただく豊田。
(しかし…さっきから…あの…)
が、お茶に口をつけながらも…豊田は目のやり場に困っていた。
戻ってきたマサヒコママは薄手のワイシャツのボタンが上からふたつめまで外され―。
豊かな胸の谷間が、正面の豊田から丸見えだったのである。
(暑かったのかな?でも…ええと…まさかボタンをかけてくれとも言えないし…)
戸惑う豊田だが、そんな彼の思いも知らずマサヒコママはニコニコと彼を見つめていた。
「あら…先生、お茶を…」
「あ、どうも…」
上体を伸ばし、お茶を注ごうとするマサヒコママ。豊田にとってさらに都合の悪いことに…。
軽くかがんだ姿勢になったため、今度は至近距離で胸元が見えてしまっていた。
おまけにふわり、と爽やかなシトラスミントの香りが豊田の鼻腔をくすぐっていた。
(?!うむむ…イカン…)
実は昨晩『実母のふともも』というAVをレンタルして何回か自家発電してしまっていた豊田。
「万が一妙なことになってしまっても、前日のうちに免疫をつけておけば…」と考えたのだが、
幸い(?)これまでの訪問先の母親は皆、そんなことになりそうもない―。
失礼な言い方をすれば、女性として現役を既に引退してしまったような母親ばかりだった。
だが、最後の最後でトラップが待っていた。美人、スタイル抜群、おまけに若いと
三拍子そろったマサヒコママが無防備な姿で近づいてきているのだ。
§

昨晩の熟女AVを思い出し、目の前のマサヒコママと重ねてしまう豊田。
心臓は激しく動悸を打ち続け、モノは既にむくり、と目を覚ましはじめていた。
“カシャン”
「あ…すいません!先生!」
ボーッとしていた豊田をさらに悲劇が襲う。マサヒコママが手を滑らせ、ティーカップの中身を
彼の膝元にこぼしてしまったのだ。中身は半分程度だったので被害はさほどでもなかったのだが…。
「ああ…あたしったら…本当にすいません、先生…」
マサヒコママは慌てて豊田のそこを布巾で拭っていた。当然ながらさきほどよりさらに密着し、
急角度状態で前かがみになったマサヒコママの胸元からは―。
(!?@?%?&?ちょ…え?ノーブラ?)
可愛らしい乳首がちょこん、と顔をのぞかせていた。さすがに完全に勃ってしまう豊田。
(ヤバイ…ヤバ過ぎる…)
焦るものの、モノは全くおさまってくれる様子もない。
「ああ…もうびしょ濡れ。先生、スラックスを脱いでください。乾かしますから…」
「え?!い、いいです!それは…とにかく…いいです!」
今の股間の状態をマサヒコママにさらしてしまえば、変態教師扱いは確定である。
下手をすれば失職にもつながりかねない。逃げるように後ずさる豊田だが…。
「そんなこと言わずに…早くしないと…染みになっちゃいますよ?」
マサヒコママは彼を逃すまいと近づいてくる。
「@+!あの、本当に!け、結構ですので!」
声を裏返らせる豊田を気にするでもなく、マサヒコママはさらにぴったりと体を密着させてきた。
(ああ、もうダメだ…?でも…なんだか?この香り…覚えが?)
一瞬バレたと観念した豊田だったが…。
「クスッ…」
マサヒコママは小さく…忍ぶような笑い声をあげ、そのまま豊田の耳元に口を寄せた。
「ゴメンね、セージ君。久しぶりだってのにからかっちゃって…」
§

「へ?」
“パシャッ!パシャッ!”
頭の中が真っ白になった豊田だが、次の瞬間、閃光が走り、鋭い音がして―。
「よっす、セージ。いい顔してたね〜ばっちり激写させてもらったよん♪」
「りりりりりり*&%リョーコ?」
扉の向こうから天敵、中村リョーコ登場。
「いやあ〜お母様、熱演でした。正にグッジョブです」
「はははは…あたしも途中からマジモード入っちゃって。いや、楽しかったわ、リョーコちゃん」
呆然とそのやりとりを見つめる豊田。マサヒコママは少し気の毒そうに言った。
「はは…ほんとゴメンね、セージ君。でも全然気付いてくれないんだもん。ちょっと…寂しかったぞ?」
「はへ?」
「あ〜ら、まだ思い出せないの?昔はプロポーズまでしてくれた仲だっていうのに…」
「あ…もしかして?お隣さんだった…吹石さん家のお姉さん?」
「あったりー。ふふ…セージ君ゴメンね、15年も待てなくて…」
「あ…あの…それは…その…」
思い出した。小学生になる前くらいの頃、隣の家に美人のうえ性格の良い、
近所でも評判のお姉さんがいて―。そのお姉さんと良く遊んでもらっていて大好きだった豊田は、
隣の家が引っ越しするときに泣きながら彼女にプロポーズしたのだった。
「『あと15年待ってください…必ずボクがお嫁さんにしてあげるから』だったよね、セージ君?」
「…はい」
完全に虚脱状態の豊田。中村はそんな彼の様子をニヤニヤと見つめている。
「ふふ…安心しときな、セージ。マサや学校関係者には絶対この写真見せたりしないから…。
ちなみにお母様、駅前に新しいシダックスが出来たとかで歌い放題二時間500円らしいんですけど?」
「あ〜ら、悪いわねえ、セージ君?じゃ天野さんちが終わったら天野さんも誘って…」
「はい…もうお好きなように」
がっくりとうなだれた豊田は、真っ白に燃え尽きた表情でふたりを見上げるのだった―。


                                  END

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