作品名 作者名 カップリング
「コイシイヒト」 郭泰源氏 ミサキ×マサヒコ

「まったく…いい加減にしてくれよな、母さんも…」
マサヒコは、強引にドアを閉めると、少し赤い顔をしてミサキの方を振り返った。
「どうする?天野…いくらなんでもふたりっきりってのはヤバいよな?」
「あ…あたしは…」
それ以上、なにも言えず、立ちすくむミサキ。
(言わなくちゃ…きちんとあたしの気持ちを…ああでも…ダメ…言葉が出てこない…)
「天野…?もしかして…怖いのか?そうだよな、最近物騒だし…。うん、わかった。
じゃあ今日はやっぱウチに泊まりなよ。…安心しろ、俺が寝ずの番でもなんでもするから」
が、ここでマサヒコがミサキの表情を誤解したのが幸いした。実は、最近この町内で
下着ドロや痴漢が出没しており、注意を促す回覧板が回ったばかりだったのだ。
「あ…ありがとう、小久保君…よろしくお願いします」
結局言いたいことを言葉に出来なかった自分がもどかしかったが─。
それ以上に、マサヒコの優しさがミサキには嬉しかった。
「ま…そんなことよりさ、夕飯食べない?俺、腹空いちゃったよ」
ふたりはマサヒコママが作っておいてくれた夕食を温めると、食卓についた。
「いただき…」「…ます」
が、こんな風にふたりっきりで食事をすることなど長い付き合いでも初めてである。
ミサキはガチガチに緊張してしまい…マサヒコはなんとなく気まずくなって…。
しばし、沈黙が続いていた。
「えっとさ…天野?」
「は、はい!」
「…別に、そんな大きな声でなくてもいいんだけど」
「あ…ごめんなさい」
「いやだから謝ることもないんだけど…まあいいや。
あのさ、今日アイ先生とも話してたけど、やっぱり天野は聖女狙いなわけ?」
「う…うん、一応志望校のひとつだけど…」
§

「そっか。多分若田部も聖女だろうし…やっぱバラバラだな、俺ら」
そう言って、ふっと少し寂しそうな顔をするマサヒコ。
その表情に、ミサキは胸が締め付けられるような思いを味わっていた。
「あのさ、天野…俺が…初詣のとき言ったこと…覚えてるか?」
「え…う、うん。確か…みんなと…ずっと仲良くいられたらいいなって…」
「あれさ、今思うとガキっぽい言い方だったかもしれないけど…あのときは本当にそう思ったんだ」
「…」
「アイ先生や若田部や天野ともせっかく仲良くなれたからそう思ったんだけど…。
でも…そうだよな、いつまでもって訳にはいかねーよな…みんな大人になって…。
それぞれの人生を生きていかなきゃならないんだもんな…いつかは離れ離れになるんだよな」
(…小久保君)
悲しかった。マサヒコがそんなことを思っていたことが。そして、自分との別離を考えていることが。
「そんなこと…ないよ。あたしとは…お隣同士なんだし…いつだって…」
「でもさ、…天野も俺も、進学したり結婚したりして、この町を出て行くかもしれないだろ?
…将来、今みたいな時間を…懐かしく思い出すことも…あるのかな」
(違うの…小久保君…あたしは…あたしは…あなたと…ずっと…いつまでも…)
いくら心でそう思っても…どうしても、口には出せないミサキ。
「はは…わりぃ、なんか俺ばっかしゃべって、暗い話になっちゃったな…メシ食おーぜ?」
しんみりとした空気になってしまったことに気付いたマサヒコは、わざと明るく言って、
陽気に料理にかぶりついた。しかし…ミサキの心は、依然晴れないままだ。
「後片付けは…あたしにさせて?」
食事が終わると、ミサキがそう切り出した。
「いいよ、今日は天野、お客さんなんだし…」
「いいの…お世話になるんだから、これくらい…」
お互い譲らず、しばしやりとりが続いたあと…。結局、ふたりで協力して食器洗いをすることになった。
「じゃ…すすぎはお願いね?」
§

「ああ。でも…いいのか?洗剤で手、荒れちゃうぞ?」
「うん…いいの」
ミサキが洗い、マサヒコに手渡す。マサヒコがすすぎ、水を切って置く。
そんなふたりの一連の共同作業が続く。
(小久保君と…結婚したら…毎日こんな感じなのかな…)
ミサキはそんなことを思いながら幸せな気持ちを味わっていた。
「天野、どうする?もう少し水温あげる?」
そして、マサヒコがときおり垣間見せる優しさが嬉しかった。全て作業を終えて…。
ふたりは、ほっと一息をついた。マサヒコは、風呂のタイマーをつけた後、言った。
「どうする?天野…せっかくだし…一緒に勉強しようか?」
「あ…ウン、そうだね…」
TVを見ようともせず、マサヒコの部屋へと移動してさっそく勉強を始めるふたり。
このあたりはさすがに受験生である。
「ごめん天野…ここのさ、体積の求め方なんだけど…」
「あ…小久保君、ここはね…」
いつもと変わらないはずの風景。
しかし、ミサキの心にはさきほどふたりで済ませた後片付けによって生まれた親近感と…。
食事中に、マサヒコが言ったことに対する寂寥感が同居していた。奇妙な感覚だった。
2時間ほどしっかりと勉強をしたあと…ふたりは、少し気を抜いて世間話をしていた。
「ありゃ…気付けば10時か。どうする?天野。風呂…」
「あの…中村先生の言うとおり、あたし…後にする…」
「気にすることないぞ?先のほうでいいんだぞ?」
「でも…」
またも譲らないふたり。
「よし、じゃあ…じゃん、けん!」
「?ぽん?」
§

「よし!天野の勝ち!ってことでお前先な」
「???あの、小久保君?」
「いいから、先に入る!」
「は、はい」
多少強引にだが、マサヒコの言うとおりにミサキは風呂へと向かった。
(はは…あいつ、不意打ちのじゃんけん、必ずグー出すんだよな…変わらねーな)
マサヒコはそんなことを思いながら小さく笑っていた。
£
(小久保君…やっぱり優しい…)
浴槽に全身を浸しながら…ミサキは、そんなことを思っていた。
(食器洗いのときも…さっきも…きっと…わざと負けてくれたんだよね)
マサヒコ君、バレてます。
(あんな風に…優しいから…あたしだけじゃなくて…アイ先生も…若田部さんも…リンちゃんも)
しかし、いつものメンバーの顔を思い出すと…少し、悲しくなってしまうミサキであった。
浴槽から出て…ふと、浴室の鏡を見るとそこには当然ながら全裸の自分が写っていた。
(おっぱいは…やっと少し…おおきくなってきたかな?おしりは…前から結構大きいほうだけど)
確認するように…体のパーツのひとつひとつを触っていくミサキ。
(こんな…貧相なカラダだけど小久保君は…好きになってくれるのかな…愛してくれるかな…)
手が、いつのまにか自然に…薄い、茂みのほうへと伸びていた。
“ぴちゃ…”
(んっ…ダメ…こんなことしたら…他人の家で…)
しかし、理性とは反対に…ミサキの中指は、自分の中を動くことを止めようとしなかった。
(ダメだよ…こ、こんなこと…小久保君に知られたら…イヤらしい子だって…思われちゃう…)
“くちゅッ…ちゃぷ”
ミサキの思いとは逆に、中は既に十分濡れきっていた。次々と蜜があふれ、
真っ白な太腿を伝ってタイルの上へと落ちていった。背徳感が、興奮を助長していた。
§

「あ…ダメ…小久保君…小久保…くぅん!…あああ!」
感極まったミサキは、びくびくっ、と体を震わせると─軽く絶頂に達した。
風呂場でオナニーをしたのは、初めてだった。虚しかった。ひどく、哀しいオナニーだった。
「…」
ミサキは、中指をそこからひきぬくと…親指の腹につけ、離した。
ねっとりとした蜜が、糸を引いていた。
(ダメ…これじゃ…ダメ…足りない…)
ひとつ、心に決めていた。今、こんな行為をしたあとだから…はっきりわかったことだった。
(あたしは…あたしのカラダは…小久保君を…欲しがってる…)
好き、というよりももっと直接的で動物的な感情だった。
(他の誰でもない…世界でたったひとり、小久保君の…マサちゃんのカラダと一緒になりたい…)
思いがあふれてきた。それはミサキにとって卑猥なことに思えなかった。自然な、感情だった。
£
「あ…あがった?天野」
「う…うん、ごちそうさまでした。いい湯だったよ…」
「じゃあ、次入るか…」
「ど、どうぞ…」
「?なあ、天野…もしかしてお湯、熱かった?」
「う…ううん。なんで?」
「いや…なんか、お前すっげえ顔赤いぞ?だから熱かったのかなって…」
(…あ、さっき…あんなことしたから…)
さきほどの行為を思い出し、更に顔を赤くするミサキ。
「あ…あのね、違うの。ウチね、お父さんもお母さんもぬるめが好きで…あたしはどっちかと言うと
熱めの方が好きなんだけど、それでいつのまにか体がぬるめに慣れちゃって…」
なんとかその場を誤魔化すミサキ。さすがにオナニーしたからとは言えない。
§

「そっか。ならいいんだけど…あ、客間に布団敷いといたから…。
俺に遠慮しないで、先に寝ててくれよ?じゃ、入ってくるな」
(小久保君…)
嬉しかった。いつも、マサヒコはさりげなく…押し付けがましくなく、優しかった。
胸の中が幸せでいっぱいになるミサキ。そして髪を梳かそうと櫛をとりだそうとしたとき…
“♪♭”
突然小久保家の電話が鳴り出した。驚いて、電話に出ると…。
「あ?おばさま?ええ、ご飯はいただきました…はい、小久保君なら今お風呂に…」
£
“ざぶ〜ん”
(はあ…しっかし…母さんも父さんもなに考えてんだか…)
一人っ子のわりに、自分は結構甘やかされずに…放任主義で育てられてきたと思う。
まあ、あの母親であるから「放任」というより「適当」に育てられたというのが正確なところだが。
(でもな…今回はさすがに後で文句言っとかねーと…いくら天野とはいえ、女の子なんだから…)
マサヒコはそう思いながら…さきほどの湯上りのミサキの姿を思い浮かべていた。
元々色白だった肌は赤く上気し、目元も心なしか潤んでいたように見えた。
いつものツインテールではなく、ストレートロングに下ろされた姿は、別人のようだった。
そんなパジャマ姿の彼女に、正直、マサヒコは少し戸惑っていたのだ。
(…あいつも…いつの間にか…)
最近もはやネタ状態の貧乳だが、腰周りや腕といったあたりは確実に少女から
大人の女性へと成長しようとしている肉付きを感じさせた。
そして─マサヒコは、気付いてしまった。
(って?もしかして…いやもしかしなくても…この湯船に…天野が…)
なにもしていないにもかかわらず、自分がひどくいやらしいことをしているような気がして、
慌ててそこから飛び出てしまうマサヒコ。なんとか気を落ち着かせようとシャンプーをするも…。
(うわ…ダメだ…俺の…)
§

思春期の悲しさ。想像上のミサキの裸体が頭から消え去らずギンギンに勃起してしまっていた。
(お願いだ、落ち着け俺。相手は…天野だぞ?ちっちゃい頃から…一緒の…)
そう自分に言い聞かせ、なんとか静めようとするものの…マサヒコの頭には、
小さい頃から今までのミサキの様々な姿が浮かんできて、完全に逆効果となっていた。
笑顔の、ミサキ。怒った、ミサキ。悲しそうな、ミサキ。
─どの表情も、今までにそう感じたことはなかったが─可愛かった。
当然である。冷静に見れば、ミサキは標準以上の美少女なのである。
マサヒコは…やむをえず、自分の勃起しきったペニスに右手を添えた。
(ダメだ…ぜんっぜん、おさまんねー…このまま外に出て…天野に見られるよりは…)
風呂場でオナニーをするのは、マサヒコも初めてだった。
“しゅ…ず…”
マサヒコは、一心不乱に自分のペニスを擦った。無論頭の中には、ミサキのあられもない裸体。
(天野…天野…ごめんな、天野…)
想像の中のミサキを、マサヒコは犯していた。なにしろさきほどしっかりと湯上り姿を見たばかりだ。
ひどく現実的で…具体的な姿だった。想像上のミサキは、白い肌を真っ赤にして…
マサヒコの愛撫を受け入れ、挿入に淫らに反応していた。今、すぐ近くの部屋に彼女がいて─。
そして、ついさっき目の前の湯船の中に、彼女の肉体が存在していた─。
そんな事実が、マサヒコを罪の意識と快楽のふたつの渦の中にひきこんでいた。
(あ、まの…ごめん…俺…俺…うッ…)
“びゅ…どふっ…びゅ”
閉じていた両目の前で火花が弾ける。マサヒコは、思いっきり射精していた。
(ああ…ゴメン、ゴメンな天野…)
射精は一回で終わらなかった。大量の精液を撒き散らして…三回目の波でやっと、終わった。
心の中で、マサヒコは何度もしつこいくらいにミサキに謝っていた。
(俺は…俺は…なにやってんだ…)
§

軽い自己嫌悪に陥るマサヒコ。今までに彼女のことをそういう対象で見たことが、
一度もなかったと言えば嘘になる。しかし…こんな思いになるのは初めてだった。
(まあ…仕方がないか…とにかく…今日は…眠ろう…)
ぐったりと疲れたマサヒコはペニスをお湯で丁寧に洗い、そして全身をもう一回くまなく洗った。
脱衣場に出て、タオルで体を拭いてパジャマを着た。
そのまま気だるい気持ちに包まれながら風呂場をあとにした。
£
(?客間…電気消えてるな、天野…もう寝たのか…)
戸締りとガスを確認して電気を順に消すと…マサヒコは、自分の部屋へと向かった。
(ま…とにかく…寝よう、今日は…もうお終い…ん?)
廊下の電気も消してしまったため、真っ暗な自分の部屋だが…。
誰かいることに気付いた。目が、次第に闇に慣れてきた。
「…天野?」
ミサキだった。マサヒコのベッドの上に、例の牛柄パジャマ姿でちょこんと正座していた。
「?どうしたの?天野」
電気を灯ける。ミサキの顔色は、蛍光灯に反射していつも以上に真っ白だった。
「ねえ…小久保君…さっきの話なんだけど…」
「?さっきの話って?」
「…あたしと…別々の人生を生きるかもしれないって…」
「ああ。でもそうだろ?天野も将来、なにかやりたいこととか出来て…。
その仕事に就いてさ、結婚したり…子供を生んだりするんじゃないか?」
「…小久保君は?」
「?」
「小久保君は…どうなの?将来、結婚とか…家庭を持つこととか…」
「ん…今はさ、そんなこと…全然考えられないけど。そうなることもあるのかな…」
「その…将来に…あたしは…いないの?」
§

「え?」
「あたしと…一緒の人生を送ることって…全然、考えられない?小久保君」
「?…!あ、天野…それって…」
いくら激鈍のマサヒコでも、ミサキが言わんとしていることにさすがに気付いた。
驚いて彼女の方をみるマサヒコだが…ミサキは、顔を赤くしながらも─。
マサヒコから視線を逸らそうとしなかった。
「あたしは…あたしは…ずっと、ずっと思ってた。小久保君と…ふたりで…ずっといたいって」
「天野…」
「小さい頃の約束。小久保君はもう忘れちゃったかもしれないけど…あたしはね、覚えてるんだ」
「…なに?」
「あたしは…小久保君の…マサちゃんの、お嫁さんに…なるの」
「!」
「他には…なににもなりたくない。あなたと…一緒の人生を送っていきたい…」
「…」
ミサキの突然の告白に、マサヒコは戸惑っていた。
マサヒコにとって、ミサキは幼馴染であり、一番の親友だった。少なくとも、彼はそう思っていた。
さきほど想像の中で散々弄んだばかりだったが…その思いに変わりはなかった。
しかし─目の前の少女は、はっきりと自分に対して思いをぶつけてきていた。
「天野…俺、ずっとお前のこと…兄妹みたいな存在で…一番の友達だと思ってたんだ」
「…」
「それで…お前がそんなことを思ってたって聞かされて…正直、どうしていいのか…」
「…あたしじゃ…ダメなの?」
「違う。それは、違う。俺も…天野のことは好きだし、大事だと思ってる。
でも…それが…本当に、異性として好きなのか…友達として好きなのか…分からないんだ」
「…異性として?」
§

「変な言い方だけど…俺たち、付き合いが長いだろ?
確かにさ、俺は…天野に悲しい思いをして欲しくない。出来たら幸せになって欲しい。
でも…それが…その感情が…どこから来ているのか…分からないんだ」
マサヒコとて、自分の思いを全て的確に表現できるほど能弁な人間ではない。
だが…だからこそ…その訥々とした言葉は、重くミサキの心に響いていた。
「あたしは…あたしは…」
ミサキは言葉を失って…ぽろぽろと涙をこぼしていた。
「お、おい…天野…」
マサヒコは、思わずミサキの元に駆け寄っていた。
「ごめん…ゴメンね…でも…好きなのに…こんなに…好きなのに」
ミサキはマサヒコの肩に頭を預ける状態のまま…泣き続けていた。
大粒の涙が、両頬をいくつもいくつも伝って膝元に落ちた。
「天野…」
マサヒコは、呆然としていた。次のひとことがどうしても出てこなかった。
「分かった…小久保君は…あたしを…好きに…ならなくても…いい」
「え?」
「お願い………あたしを…抱いて。それで…忘れられるから」
「!」
「もう…あなたの…重石にならない。好きだなんて…言わない。だから…」
涙を拭うと…マサヒコのことを見て、ミサキはそう言った。
強い、しっかりとした視線だった。自暴自棄になっているのでもなかった。
「あなたの…手で…あたしを…女にして下さい。それが最初で…最後でいいから」
ミサキはそう言うと…マサヒコに覆いかぶさり、唇を重ねた。
悲しかった。ふたりで交わすキスが、こんなに悲しいものだとは思わなかった。
(天野…)
そして…その悲しさは、マサヒコにも伝わってきていた。
§

“すっ…”
マサヒコは、ミサキから唇を離すと、ミサキの目を見た。
「天野…頼むから…そんなことは…言わないでくれ」
「だって…だって…」
「…さっきお前の泣いてる姿を見て…その後の…言葉を聞いて…やっと、思ったことがあるんだ」
「…なに?」
「俺は…お前が、好きだ」
「!」
「多分…近すぎて意識してなかったけど…俺が好きなのは、お前だ」
「マサちゃん…」
「お前が泣くと…俺も泣きたくなる。お前が悲しそうにしてると…俺も悲しくなる。
だから…そんなことは、言わないでくれ。俺が…大事にする。…約束は、守るから…」
マサヒコは、ミサキの両肩をしっかりと手に取り…。ミサキの体を引き寄せた。
「ミサキ」
「は…はい」
「まだずっと…先のことかもしれないけど…俺の…お嫁さんに…なってくれ」
「は、はい!」
「それで…ふたりで…幸せになろう。俺も努力するし…お前も…協力してくれ」
「はい!」
涙でぐしゃぐしゃの顔のまま…精一杯の笑顔をつくるミサキ。
「可愛い…ミサキ」
そう言うと、マサヒコはミサキと唇を重ねた。優しい、キスだった。
動作はさきほどと違わないはずなのに─さっきの悲しすぎるキスとは全く違った。
(マサちゃん…マサちゃんが…いる…いてくれる…)
ミサキはミルクを飲む子犬のように…マサヒコとのキスに没頭していた。
“ちゅぷん”
§

が、キスに夢中になっているミサキから、マサヒコは突然唇を離した。
「ミサキ?」
「マサちゃん?」
なぜかお互いに疑問形で名前を呼び合うふたり。
「あのさ、ミサキ…確認なんだけど」
「う…うん」
「これ…ファーストじゃないよな、俺ら?」
「え?」
「昔…お前の唇に触れた覚えがある。感触を…覚えてる。すっげえガキのころだけど」
「あ…ふふ、そうだよ?ちっちゃいころに…おままごとで…したこと、あるよ?」
「だよな?なんか今思い出してさ」
そう言うと…ふたりは、微笑みあって、またキスをした。二回、三回…。
唇を、重ねるたびに一緒に過ごしてきた時間を思い起こし…距離が、縮まっていった。
「ねえ…マサちゃん。あの…」
何度目かのキスの後、ミサキは少しためらいつつも─マサヒコの手をとり、自分の胸へと導いた。
「!?お、おいミサキ?」
「あの…こんな貧相なカラダだけど…お願いします」
頬を赤く染め、ミサキが訴えるようなまなざしでマサヒコを見る。
「だ…だけどさ、まだいいだろ?俺らはあの…まだ…」
「さっき…あたしの言ったこと、覚えてる?」
「?…えっと、どれ?」
「あたしを、女に…して下さいって」
「あ、ああ。でもさ、今はもう…」
「もう一回言います…お願いします。あたしは…マサちゃん以外の人に、されたくない。
あたしの…からだにさわっていいのはあなただけなの。あなたを…忘れないように…。
あなただけのための、からだになりたい。だから…してください」
§

真剣な目で、ミサキはマサヒコを見ていた。いやらしさをほとんど感じさせない目だった。
「でも…やっぱりダメだよ。だってさ…お前は、ミサキんちの両親からウチが預かった、
お客さんなんだぞ?偶然ウチの両親がいなくなったからって、そういうことするのは…」
「…」
なんとか説得しようとするマサヒコだが…ミサキは無言のまま枕を指差した。
「?枕がどうした、ミサキ?」
「枕の…下」
「?」
首をひねりながらも…マサヒコは、ミサキの指差す枕の下を手探りすると…。
なにか小さな包みらしき感触を見つけた。
「?なんだコレ…?って?!‘#!」
はい、皆さんの期待通り…コンドーム登場。
「み*み@みみみ、ミサキ!お前…」
「くすッ…そんなに慌てなくても…あたしじゃ、ないよ?」
「じゃ、じゃあ誰がこんなもんを…」
「あのね、さっき…マサちゃんのお母さんから電話があったの」
ぞくり、と嫌な予感がするマサヒコ。
「そういう事態になったら遠慮なく使いなさい、そのために準備しといたから。
ちなみにラブホでも大体枕もと周辺にあることが多いから、覚えておくようにって…」
「あああああ、あの人は…」
「あとね…マサちゃん」
「こ、今度はなんだ…」
「マサちゃんち泊まりにいく前に、お母さんにね、これ…渡されたの」
ミサキの手のひらには…リボンでキレイに包装された小さな包み。
(これも…多分…)
がっくりとうなだれるマサヒコ。どうやら両家では今回のことは既定事項のようだ。
§

「ねえ…マサちゃん、そんなにあたしとするの…イヤ?」
「嫌とかじゃなくて!」
「それとも…EDって本当なの?」
「…お前なあ…」
冗談抜きに心配そうなミサキの表情にげんなりとなるマサヒコ。
「じゃあ…あたしみたいな幼児体型だと…ダメってこと?」
「ち、違うって、その…」
まさかそのミサキの裸体を思い浮かべて先ほど風呂場でオナニーしてしまったとは言えない。
「マサちゃん…もしかしてあたし、変なのかな?」
「は?」
「あたし、毎日エッチなこと考えちゃうんだ」
「ひ?」
「マサちゃんに触られたらどんなかな、とか…。
マサちゃんはどんな風にあたしのこと愛してくれるのかな、とか…。
勉強が手につかなくなっちゃうときもあるんだ…ねえ…あたし…変なのかな?」
(…おんなのこでもそうなるんだ…)
なぜか感心してしまうマサヒコであった。
「そういうのって、えっと…少なくとも、男なら普通だと思うけど」
「でも…マサちゃんはそんなこと、しないんでしょ?」
「…白状します。さっき、風呂場でミサキが入ってたのを想像して…エッチなことしました!」
「!マサちゃん?」
「ミサキの裸が頭ん中から離れなくなって、もう止まんなくなって。ごめんなさい!」
真っ赤になって頭を下げるマサヒコ。
「…あのね、マサちゃん…本当はね、あたしも…お風呂に入ったとき、
マサちゃんのこと思い浮かべて…しちゃったの」
「ふ?」
§

こちらもまた真っ赤になってしまうミサキ。
「うん…だから…あたしも…エッチなことを…」
「ぷっ…はははははっはっは」
が、マサヒコはいきなり大爆笑しはじめた。
「あはは…なんだかさ、俺ら…お似合いだよな」
「え?」
「だってどっちもあんなとこでエッチなことしちゃって、
それをこんな風に深刻そうに告白しあってさ。あはは…考えると超おかしくね?」
「…ひどいよ、マサちゃん…でも…確かにそうかも…」
「だろ?よし!わかった、ミサキ。俺らはエッチな恋人だ。するぞ!」
「…あの、マサちゃん…それ…全然ロマンチックじゃない…」
「なに言ってるんだ、お互い浴場で欲情した仲じゃないか!」
「…マサちゃん、オヤジ入ってる…」
「はい、オヤジです!では…します!」
元気よくそう宣言すると自らのパジャマをさっさと脱ぎ捨ててトランクス一枚になり、
そのままミサキの牛柄パジャマに手をかけて脱がそうとするマサヒコ。
「もう!あたし…はじめてのときは…もう少しムードが欲しかったな…」
「はは、悪い…パジャマのときはブラしてないんだ、ミサキ?」
「…いきなり真剣な顔になってそんなこと言わないでよ…恥ずかしい…」
「きれいだよ…すっごく」
「ウソ。絶対ちっちゃいとか思ってるくせに」
「いや、マジだって。お前貧乳とか幼児体型とか洗濯板とか大平原とか言ってるけど…いて!」
怒り顔になって殴るミサキ…そりゃそうだって。
「最後まで聞けって。思ったより…全然あるじゃん」
「ほ、ほんと?」
「うん。殴られたんで思い出したけど…昔一緒に風呂入った頃より…いて!だから殴るなって!」
§

「それって幼稚園ぐらいの頃じゃない!その頃のまんまな訳無いでしょ!」
「ははは…わりい」
怒ったままのミサキだが、マサヒコは楽しそうに…ミサキのパジャマを脱がすと、
ゆっくりと薄桃色の乳首に口をつけた。
“ちゅッ”
「あん…」
そしてすぐに反応してしまうミサキ。
「敏感なんだね…色っぽいよ、ミサキ」
「もう…ズルい…んっ…あ…」
マサヒコはそのまま、ミサキのふくらみかけの青い果実のような乳房を優しく撫でながら…。
乳首を舐め、口に含み、軽く噛んで…たっぷりと愛した。
「あッ…ああん…ん…ま、マサちゃん…あ…」
「なあ、ミサキ?お願いが、あるんだけど」
「な、なに?」
「ミサキの…ここもさ、ちっちゃい頃からどんくらいおとなになったか、見せてくれないかな?」
そう言って、パジャマ越しにミサキのそこを触るマサヒコ。
「え!だって…そんなの…恥ずかしいよ…」
「頼む!お願い!俺もさ、初めてだし…当たり前だけど今まで女の子のここなんて、
ミサキ以外、見たことないんだ。どんな風なのか見てみたいんだよ。これは男の願望なんだって」
「…でも…そんなに、きれいなもんじゃないよ?むしろ…結構変かも」
「ミサキのあそこだ。可愛いに決まってる!だから…頼む!」
真剣に拝み倒すように両手をあわせるマサヒコ。
「そ…そんなに、見たいの?」
「見たい!」
「変とか…汚いとか…言わない?」
「言わない!誓う!」
§

「もう…じゃ…仕方ないな…でも、マサちゃんが脱がしてね?」
「うん、ありがとうミサキ!」
なぜか思いっきり爽やかな笑顔で言うマサヒコ。ある意味漢っぽいと言えなくも…ないな。
ミサキの首筋に右手を添え、ベッドの上に寝かせてあおむけの体勢をとらせると―。
マサヒコは、ミサキのパジャマに手をかけ、ゆっくりとおろしていった。
―純白のパンティが顔を出した。それは部屋の灯りにほのかに反射し、
ミサキの真っ白な肌とほとんど一体化したかのような錯覚をマサヒコに覚えさせていた。
(ここ…が…おんなのこの…)
先ほどからふざけたようなことばかり言っているマサヒコだが、
実はガチガチに緊張していた。なにせ彼も初めて、完全な若葉マークである。
照れ隠しで、普段のキャラらしくない発言を繰り返したものの、
さすがにこの瞬間は頭の中が真っ白になってしまっていた。
(ええい…覚悟を決めろ、小久保マサヒコ!)
己を鼓舞して、勢いよくミサキの下着をおろしたマサヒコだが…。
「あの、ミサキ?足開いてくんないと……見えないんだけど…」
膝は閉じられ、しっかりガードされてしまっていた。
「ゴメン…マサちゃん…でも…やっぱり」
「よっと…ゴメン!ミサキ」
両脚に手をかけると、マサヒコは強引にそれを左右に割った。
「きゃ!だめ…ダメえ!」
抵抗して手のひらでそこを隠そうとするミサキだが、一瞬マサヒコが早かった。
顔を思いっきり太ももの中までつっこみ、ミサキのガードも強行突破した。
(これが…)
目の前には、幼い頃の記憶とは当然のように姿を変えたそれがあった。
「毛、薄いんだね?ミサキ」
「やだ…恥ずかしい…変?」
§

「いや、お前が恥ずかしがるからさ、もっとグロいもんかと思ってたけど…結構…へえ…」
しみじみと感心してしまうマサヒコ。ミサキのそこは薄い恥毛が上部に申し訳程度に生え、
ピンク色の両唇がほんの少し裂け目から顔をのぞかせていた。
「あの…ど、どう?」
「いや…ガキの頃のスジ一本とは違うけど…可愛いもんだな…治りかけの傷口みたいな…」
“ぐにゅ…”
そう言いながらマサヒコは両の人差し指でミサキの裂け目を広げた。
「あ…やっぱり…恥ずかしいよお…」
羞恥の声をあげるミサキだが、それは逆にマサヒコの劣情を駆り立ててしまっていた。
“ちゅ…れろ…”
マサヒコは、ゆっくりと裂け目へと口をつけ、舌をそこにこじ入れた
オナニーのあとよほど丁寧に洗ったのか、無味無臭だった。
「ん…あん…あ…」
(処女のココは…臭うとか言うけど…ミサキのは、大丈夫だな…)
マサヒコは、勢いにのってそこを舐め続けた。
“ぴちゃ…ぴちゃ”
「あん…いい…あ…き…きもちいいよ…マサちゃん…」
マサヒコが舌を動かすたびにミサキの身体は小刻みに震え、
こぶりな蜜穴からは次第に濃く濁り始めた蜜が次々とあふれだしてくる。
(次は…ココかな…)
マサヒコは裂け目の上にある、ちいさな肉の芽に舌先を這わせ、吸った。
“つ…ちゅう”
「?!はッ…はぁあん!」
すっかり膨れあがったそこを包皮ごと舌でつつくと、ミサキは今までになく鋭い声をあげた。
「おっきくなってるね、ミサキ?おんなのこも…勃起するんだ?」
「嫌だ…あああ…ん…変なこと言わないで…」
§

「ちょっと…我慢してね、ミサキ」
「え?…え?きゃああ!」
半分ほど顔を出していた肉芽に唾液をつけ、マサヒコは慎重にそれを剥いた。
“にゅ”
ひときわピンク色に輝く、その突起にまず唇をつけると…。
指を軽くのせ、くすぐるように…弾くように、愛撫を加えた。
「あ…だめ…ああ…いいよぉ…マサちゃん、すごい…変になっちゃいそう…ああ」
「うわ…すっげえ濡れてきてるよ、ミサキ。これなら…ごめん、ちょっと入れてみるよ?」
“ずぬぶぅ…”
「ひゃ!ふああ!」
唾液と蜜とでべとべとになったそこはマサヒコの中指をたやすく呑み込んだ。
浅めに挿入した指先でミサキの中を傷つけぬよう、気をつけてかき混ぜ、
指を軽く折ってみたりして反応をうかがった。
「あ…ああ…あッ!そこ…いい…ああ…すごい…中が…全部きもちいい…」
そして徐々にミサキの反応も激しくなっていった。
「なあ?ミサキ…」
突然ぴたり、とマサヒコは愛撫を止めた。
「あのさ…お前って…結構反応良いよな?敏感だし。割とオナニーってするほう?」
「え…うん…普通どれくらいなのかわからないけど…日に、一回くらいかな…」
「毎日すんの?ああ、それでこんな…」
再び肉芽に舌をつけ、指を中に入れるマサヒコ。
「あ!うん。ああん!」
「感じちゃうんだな…よし…じゃ、そろそろ…いいか?ミサキ」
「は…はい」
マサヒコはトランクスを脱ぎ捨てると、枕の脇に置かれたままになっていたコンドームの封を破り、
自分のモノへとあてがった。が、そこは初心者の悲しさ。なかなか装着できず…少し焦る。
§

「あの……マサちゃん?大丈夫?」
「ゴメン、ミサキ…う…途中で空気が入ったりして、これがけっこう難しくて」
だが、ようやく準備完了。思わず安堵のため息をひとつつくマサヒコ。
「じゃ…ミサキ」
「う、うん。わあ…すごい…本当におっきい…子供の頃見たのと全然…色もかたちも違う」
「あの…さっきミサキも言ったとおり…あの頃のままだと困るんですが…」
「そうだけど…でも…入るかな…これ…壊れそう…」
「こんだけ濡れてるから…大丈夫だと思うけど」
少し不安げになるふたりだが、マサヒコは入り口に軽くペニスの先を押し当てると、
ミサキとからだを重ね合わせた。お互いの体温が伝わってきた。少し、汗ばんでいた。
「あの…ミサキ?俺も初めてでよくわかんねーけど…もう少し力抜いたほうが痛くないと思うぞ?」
「う…うん」
「ゆっくり…ゆっくりいくから…安心して。痛かったら、遠慮無く言って…」
「はい…マサちゃん…きて…」
唇を重ね、舌を絡め合いながら密着させていく。
“ぐ…ぐぐぅ…”
先端が、ミサキの中に入った。
“…ぷち…ぷち”
「あンンッ!」
「…ゴメン、ミサキ…やっぱダメか?」
「う…ううん…大丈夫…一瞬痛かったけど…けど…今でも少し圧迫感はあるけど…」
「無理すんな、今日じゃなくてもいいんだし…」
「大丈夫…あぐうっッ…お願い…来て…」
ミサキの反応は気になったが、マサヒコは先端だけの挿入にもかかわらず、
凄まじい快感に溺れそうになっていた。
狭いそこは、ペニスを呑み込むと締め上げ、そしてぬるぬるとして…気持ちよかった。
§

マサヒコは勢いをつけて奥まで突いた。
“ぎゅち…ぬる…ばり…”
なにかを、突き抜けた音を確かにマサヒコは聞いた。
「入ってる…ミサキの中…」
「ほ、本当?」
「うん…あったかくて…なんだか優しい感じだ…すげえ…気持ちいい…」
「嬉しい…マサちゃんが…あたしの中に…いる」
「全部入ったんだ…入ったんだよ。いくよ?ミサキ」
「は…はい」
“じゅぷ…ぐりゅう…”
ミサキの身体を気遣い、ゆっくりと動くマサヒコだが…早くも、波がやってきた。
腰の裏あたりに鈍い感触が、先ほどから疼きはじめていた。
(@!$…やば…いくらなんでも、はえーだろ、俺…ガマンしろ、耐えろ…でも…ああ…)
一回目の射精がマサヒコを襲う。
“どぷ…ぷ…ぴゅ…”
(ああ…ダメだ…)
「マサちゃん?」
ぐったりとした表情になったマサヒコを心配そうに見るミサキ。
「あの…ゴメン…」
「もしかして…もう、イッたの?」
「う…うん。ゴメン…ミサキん中…気持ちよすぎて…」
「え…ありがとう」
そこは怒ってもいいところです、ミサキさん。
「で…でも…このままいけそうな感じだから…その…続けるよ?」
「は…はい」
さすがは若いふたり。
§

“ぐしゅッ…ごぷ”
(…さすがに…二度目は…さっきよりは…持つな…)
マサヒコは、ゆっくりとミサキの中でピストン運動を続けた。
一回果てたあとだけあって、今回は先ほどのようにいきなりの予感が襲うことはなかった。
「あ…んはあ…ふあ…」
そしてミサキも、破瓜の痛みを過ぎた後はしっかりとマサヒコの動きに反応していた。
「マサちゃん…ああ…お願い。もっと…マサちゃんの…ものになりたい…うんッ…もっと」
「ミサキ…」
たまらなく愛おしくなったマサヒコは、目の前にあった汗ばんだミサキの肩に思わず軽く歯を立てた。
「?きゃあっ!」
「ミサキ…俺の…俺のもんだ、ミサキ…」
「ああ…だめえ…噛まないで…噛まないで…マサちゃん…」
興奮していたマサヒコはそんな言葉も聞かず―肩に、胸に、首筋に―甘噛みを繰り返した。
拒絶の言葉を口にしながら、ミサキもその行為にひどく興奮していた。その証拠に、
マサヒコに噛まれるたびにペニスをきゅうきゅうと締め上げ、彼の背中に爪を立てていた。
「ミサキ…すげえ気持ちいいッ!挟まれて、すげえよ。お前も…気持ちいいの?」
「わかんない…でも…ああッ!…身体が…勝手に」
ミサキの意志とは別人格を持ったかのように、そこは激しい収縮運動を繰り返していた。
「マサちゃん…あ…お願い…もっと…もっと…好き…好きぃ!」
その声に呼応するかのようにマサヒコはミサキの奥深くまで、えぐるように突いた。
「あああ!マサちゃん…マサちゃあん!」
「み、ミサキ…俺…もう…」
「あ、あたしも…ああ」
「ミサキ…うッ…ミサキ!ミサキ!」
「マサちゃん…来て…きてえ!あたしの…中で…マサちゃん!」
“ぴゅ…どぷう…びゅ!”
§

完全に、絶頂に達したふたり。
マサヒコは二度目の射精にもかかわらず一度目より更に強い快感に動けぬまま―。
そしてミサキはマサヒコを逃すまいとするかのように両脚をからめ、搾り取るようにしがみついて―。
射精が終わっても、離れようとしなかった。
£
「…マサちゃん?起きてる?」
どれくらいの時が経ったのだろう。ミサキは、横で荒い息を吐いたままのマサヒコに声をかけた。
「うん…起きてる」
「…あたし…どうだった?」
「気持ちよかった…でも…それ以上に…」
「な、なに?」
「俺…ミサキがたいせつで…大事で…とにかく…すげえ…いとしい」
「マサちゃん…あたしも…すごく…こいしい」
ふたりは顔を見合わせた。ミサキは泣き笑いの表情で…。
マサヒコは、少し疲れたような―しかし満足そうな表情で。
「あーあ。あたし…高校なんて行きたくないな…」
「?いきなりなんだそりゃ」
「中学卒業したら、すぐに…マサちゃんのお嫁さんになりたいな。おばさまにお料理習ったり、
部屋のお掃除したり。でね、マサちゃんが高校から帰ってきたら笑顔でお迎えしたり…」
「…お前の成績でそれは…」
「そんなの関係ないもん!ダメかなあ…」
子供のように、ワガママを言うミサキ。可愛いと思いつつ、ちょっと先が思いやられるマサヒコであった。

END

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