作品名 |
作者名 |
カップリング |
マサヒコの女難週間(ミサキ編) |
郭泰源氏 |
ミサキ×マサヒコ |
(も…もう嫌だ…。き、今日だけは…)
マサヒコは放課後、脱兎のごとく教室を抜け出すと、
何かから逃れるかのように走って家路を急いだ。
無理もないだろう。今週に入ってからというもの─アヤナ、リンコ、アイと
3人に迫られた挙げ句に、ことごとく3人とそうした関係になってしまったのだから。
普段は常識人でクールなマサヒコなだけに、激しい自己嫌悪に陥ったうえ、
教室ではそのアヤナとリンコが熱を帯びた目でずっと自分のことを見ているのである。
そして“正妻”ミサキの冷たく鋭い視線も、彼の精神を刻一刻と削っていたのであった。
(き、今日は…一人で…平穏に…静かに…)
ゴールが、見えてきた。我が家の玄関のドアが、これほど待ち遠しく感じたことなど、
今まであっただろうか、とマサヒコは万感の思いで自宅へと…。
「早かったんだね、小久保君」
「!#・`?あ、、あああ天野!な、なんで?」
「ちょっと体調悪くて、HR早退したんだ」
「そ、そう言えば、いなかったな、お、お前」
「…でも、小久保君てそんなにあたしのこと、関心ないんだ…」
「い、いや…今日はさ、ちょっと…早く帰りたかったっつーか」
(な…なぜだ…お、俺が…なにをした…)
天を仰ぎ、自らの不運を呪うマサヒコであったが、目の前の不幸は勿論、去ることなどない。
「ふーん…なんで、そんなに急いで帰りたかったの?」
「…その…げ、ゲーム!やりかけの、ゲームがあってさ!あと少しなんだよね…あははははは…」
その場をなんとかやりすごそうと、マサヒコは力無く笑った。
「あれ?でもそういうお前こそ…体調悪かったんだろ?なんでウチの前にいんの?」
「うん。…ちょっと、小久保君と…話したいことが…あるんだよね」
そのまま上目遣いでマサヒコを見るミサキ。
「はははは、話したいことって…なんだよ」
そして、当然のように、動揺しまくるマサヒコ。
「ここだと…話しづらいナ…」
下を向いてモジモジとする姿は、遠目から見れば少女らしい可愛らしいものなのだが…。
マサヒコにとっては、
“ワレ、部屋にさっさとあげんかい、ボケェ”
と言われているのに等しい、言外の圧迫であった。
「そ、それじゃあ…俺の部屋で…」
「いいの?ありがと、嬉しい」
(ってお前、セリフと…表情が…全くあってないんですけど…)
マサヒコが、げっそりとした思いであれほど待ち遠しかったはずの
我が家のドアに手をかけた瞬間…。
“グイッ”
「はれ?」
「あら?マサヒコお帰り」
どうやらマサヒコママが家側から玄関を回すのと同時であったらしい。
「あら、ミサキちゃん。こんにちは。あ、マサヒコ、さっき町内会の招集かかってさ〜。
夕ごはんの準備は終わってあとあっためるだけだから。7時くらいには帰るね。そんじゃね〜」
「!!!!!!」
(マザー!そりゃないぜ!あんた、今週、なんも仕事してねえええええええ!)
心の中で絶叫するマサヒコだが。
「いってらっしゃ〜い!」
ミサキはこぼれんばかりの笑みでマサヒコママを送り出していた。
泣きたいような思いで…いや、実際、軽く泣いていたかもしれない。
マサヒコは、ミサキとともに、自分の部屋に入った。
「そ…そんで…天野…用って?」
「うん…ねえ、小久保君?」
可愛らしく、首を傾げながらマサヒコをじっとみつめるミサキ。
「な…なに?」
「若田部さんと…ヤった?」
「ほごっ!」
あまりのド直球に、一瞬声を失うマサヒコ。
「&な@なな“!んあなあ、な、ヤったって、なにをだよ」
「その様子だと、ヤったんだね?」
一方のミサキは取り調べを進める刑事のように冷静であった。
「だだだから。おっれ、俺はない、なにも…」
「じゃあ、リンちゃんとは?」
「?ふぁひいッ!」
言葉にならない叫び声をあげるマサヒコ。
「あらー。リンちゃんともヤったんだー?」
「!Q$い、いや。俺、的山とは、最後までは!」
「あ、じゃあやっぱり若田部さんとは最後までヤったんだ」
「!」
目の前の少女が、マサヒコには鬼に見えていた。
頭の中では、今すぐここから逃げだせと危険信号が乱れ打ちのヘヴィメタ状態なのだが…。
その意志に反し、彼の体は石と化したかのようにぴくりとも動かない。
「で…アイ先生とは?」
ミサキが、マサヒコの方へと、一歩、距離を詰めた。
「だ、だからだな、天野。俺は…」
「ヤったんだね?」
もう二歩。
「いや、だから…」
「答えて。簡単でしょ?ヤったの?ヤらなかったの?」
三歩。ここまでくれば、二人の間に、距離はほとんどない。
「あの、だから…天野?」
“ガシッ”
ミサキの右手が、マサヒコの腕を捕らえた。
その、人のものとは思えない力に、全身から血の気の引くマサヒコ。
「…や、や…」
「や?」
「や…ヤりまし…た…」
マサヒコは涙を浮かべながら、ミサキの問いに答えた。
「ふ〜ん…二人とはヤって、リンちゃんも…途中まで、か…」
「あの…でも、天野?」
「てことは…」
“バタンッ”
そのまま、マサヒコを押し倒すと、馬乗りになるミサキ。
「あ、天野?」
「あたしとは…何回、ヤってくれるのかな?」
「あ、天野。落ち着け。そんなに簡単に…もっと自分を大切に…むぐ?」
なおも何かを言おうとするマサヒコの口を、ミサキの唇が塞いだ。
そこからいったん唇離すと、修羅の表情のまま、にっこりと微笑むミサキ。
「これは若田部さんの分」
「だ、だから…うわ?」
再び唇を塞がれるマサヒコ。
「これはリンちゃんの分」
「…」
もはや抵抗する気力もなく、ぐったりとした表情を浮かべるマサヒコ。
「そしてこれが…」
「アイ先生、の分か?」
「…先に言っちゃだめだよ。なら、これはクリリンの分」
「南海キャンディーズかよ!」
やっとツッコミ役の面目躍如のマサヒコだったが…。
目の前の少女は氷点下のように冷たい表情を浮かべたまま、彼を見つめている。
「面白〜い…さすがに、マサちゃんだね」
「いや、だから天野…」
「で、これがアイ先生の分」
またも唇を塞がれるマサヒコ。
(ダメだ…このままでは…マジで殺される…)
真剣に身の危険を感じたマサヒコは、そのまま全力で後ろへと逃げた。
「た、頼む…許してくれ!ミサキ!お、俺が…悪かった!」
「ねえ、マサちゃん?」
「はひ!」
「あたしが何でこんなに怒ってるの…分かってる?」
(?そういえば…俺、何で怒られてんの?)
冷静になってみると、自分に非がないことに気付いたマサヒコ。
「その表情だと…分かってないね?」
ジリ…。再び、その距離をつめるミサキ。
「いや!その…俺が…あまりにだらしなくて…みんなに迷惑を…」
「お嫁さんに、なるの」
「はひ?」
すさまじい恐怖心に支配されながらも─ミサキの突然の脈絡のない発言に戸惑うマサヒコ。
「それから…子供はふたり。男の子と女の子。ほら、あたしたち…ひとりっこ同士でさ、
寂しいよね、兄弟欲しいよねって…よく言ってたじゃない」
「?そ、そうだっけ?」
「それでね。あたしは…マサちゃんのお母さんに料理を教わったり…お裁縫を習ったりするの」
「お、おい、天野?」
「ふふふ。マサちゃん…お母さんの前でイチャイチャしたりするのって…素敵だよね…」
そう言って微笑むミサキだが…その瞳の奥の漆黒のような暗さにマサヒコはゾッとしていた。
(こいつ…俺を見ているけど…全然…見てねーぞ…)
「天野、頼む!気を確かにもってくれ!戻ってきてくれ!
いつものしっかりもののお前なら、こんなことは絶対に…」
「そういうの、もうやめたんだ」
「ふぃへ?」
「だって…我慢ばっかりしてたってさ…このまま、結局マサちゃんをさ、
他の子に取られちゃったりしたら…。あたし…そんな思いしたくないんだもん」
「と、取られるって…」
「あたしは…ちっちゃい頃から…ずっと…マサちゃんのことだけを…見てきたんだから」
「あ、天野…」
「好きだったんだよ、あたし…ずっと、ずっと…。中学生になって…やっと、また
喋れるようになって…このまま、恋人になれたらって…そう思ってたのに…」
「…天野」
確かに錯乱気味ではあるが、これはミサキの本心の吐露でもあった。
ふたりはじっとお互いを見つめたまま、─しばらく、無言でいた。何分ほどが過ぎただろうか。
ゆっくりと、ミサキの双眸から涙が溢れ、一筋の光となって、マサヒコの額へと落ちた。
「天野…本当に、ゴメン。俺、お前の気持ちに気づけなくて…」
「マサちゃん…」
「俺はさ、お前のこと…兄姉みたいに思ってたっつーか…一番、頼れる友達っつーか…
だから…今まで…そんな風に思えなかったっつーか…」
「…ズルいよ、マサちゃんは」
「え?」
「だってさ…あたしのこと、嫌いなら嫌いで無視してくれればいいのに…。
中途半端に優しくして…。それに、若田部さんや、リンちゃんにも優しくして…。
結局、本当は誰のことが好きなのか…。わかんないんだもん」
「だ、だから…俺にもわからなかったんだ。俺、鈍いっつーか…。お前らのことをそんな風には…」
「でも…若田部さんとも、リンちゃんとも、アイ先生とも…したんでしょ」
「う…でもそれはさ、無理矢理っつーか」
「無理矢理でも…したんじゃない。ねえ、マサちゃん」
「な、なに?」
「あたしのこと、好きなの?嫌いなの?」
「…多分…」
不安げに、マサヒコの目を見つめるミサキ。
「好き、だと思う」
「!」
「あのさ、天野。今更そんなことをって思われるかもしれねーけど…」
「うん…」
「天野に言われて気付いたんだけど…なんかさ、お前となら、なんとなくだけど、想像できるんだ」
「なにが?」
「ふたりで…結婚してさ、なんつーか…家庭を持っている姿が…」
「!!!」
マサヒコは、顔を真っ赤にして自らの思いを告白していた。
「他の…若田部や、的山や…アイ先生とだと…うまく想像できないんだ。でも…お前となら…」
「マサちゃん…」
ミサキは、ボロボロ涙をこぼしながら、マサヒコの話を聞いていた。
「俺…多分、今までの良い関係を壊したくなかったから…。お前に言われたみたいな、
中途半端な付き合いかたになってたのかもしれないけど…。お前が俺のこと、
好きだってのも周りの連中が言ってたりして、なんとなく気付いてたけど…でも。
それを…あえて意識しないようにしてたってゆーか…」
「それはさ、マサちゃんが優しいから。でも…その優しさが…辛かったんだ」
そう言って、ミサキは崩れ落ちるようにしてマサヒコに抱きついた。
マサヒコはもう抵抗しようとはしなかった。まだ躊躇し、弱々しくではあるが…。
そっとミサキの体を抱きしめていた。
「…」
「…」
再び、無言のまま、ふたりは抱き合っていた。お互いの体温を感じ、お互いの思いを感じ…。
そして、ふたりがこれまでに一緒に過ごしてきた時間を思いながら。
「天野…」
「…昔みたいに…名前で呼んでよ」
「んっと…それは」
“クスッ”
涙で頬は濡れたままだが…なぜか、ミサキは小さく笑った。
「?なんで、笑うんだ?」
「さっきさ、気付いてなかったかもしれないけど…」
「あ、ああ…」
「マサちゃん、あたしのこと、『ミサキ』って1回呼んでたよ」
「え?そ、そうだっけ?」
「ふふふ。必死であたしを止めようとして…知らないうちに、言っちゃったんだね」
「ああ。さっきはだって、なにしろ必死だったから…」
「少し…嬉しかったな」
「…み、ミ、ミサキ」
「ま、マサちゃん?」
「好き、だ…」
「マサちゃん…」
見つめ合ったあと…。ふたりは唇を重ね、そのまましばらく動こうとしなかった。
そしてゆっくりと、名残惜しげに…。体を離した。
“クスッ”
しかし、今回はマサヒコの方が小さく笑っていた。
「…マサちゃん?どうしたの?もしかして…あたしのキス、あんまり、良くなかった?」
不安げな表情でマサヒコの笑顔を見つめるミサキ。
「いや。違うんだ。ミサキ、お前…泣きすぎだよ」
「え?」
「さっきのキス…しょっぱかった。ミサキの…涙の味がした」
「!え!やだ…ゴメンね、マサちゃん…」
「お前が…謝ること、ないよ…泣かせちゃったの、俺だからな」
そう言って、マサヒコは半身を起こすと…優しくミサキを抱きしめた。
「俺の」
「え?」
「俺の…大事なひとだ、ミサキ」
そのまま、マサヒコはミサキの涙の跡にゆっくりと舌を這わせた。
「きゃん…マサちゃん?」
“ちゅ…ちゅッつ”
マサヒコは、ミサキの瞼に、頬に、舌を伸ばし、キスをしていた。
その感触に、くすぐったさと甘やかな陶酔感を感じ、うっとりとした表情を浮かべるミサキ。
“かぷっ”
突然、マサヒコはミサキの鼻を軽く甘噛みした。
「!ま、マサちゃん?」
「可愛い…ミサキ」
そのまま、マサヒコはミサキを再び抱きしめた。が、それ以上の行動はおこそうとせず…。
何かを考えるような表情を浮かべたまま、黙り込んでいた。
「あの…マサちゃん?あたし…いいよ?もっと…しても?」
「しかしでも…やっぱ…納得いかねー」
「?なにが?」
「いや…あのさ、ミサキ。このまま…だと、その…そういう流れになるよな?」
「う…うん。でもね、マサちゃん。あたし…いいよ?して、欲しい」
顔を赤くしてマサヒコに求めるミサキだが。マサヒコはなおも続けた。
「いやな、それはいいんだけど…いや、その、それはお、俺だってしたんだけど…。
このままいったら、中村の思うツボなんだよな?」
「え?」
「だから…その…なんか、微妙にムカツクんだよな。奴のいいようになるのが…うわ?」
ミサキは、マサヒコが最後まで言い終わるのを待たずにマサヒコを再び押し倒した。
「いいじゃん、マサちゃん。誰の思うツボでも」
「でもな。なんか奴の手のひらの上状態ってのが…」
「どんなきっかけでも…マサちゃんがあたしのこと好きだって言ってくれたのにはさ、
変わりないんだもん」
「う…」
「それにね…マサちゃん?」
「なんだよ?」
「あたし、今、すっごくマサちゃんが、欲しい」
「?!え?」
「すっごく…マサちゃんと、Hしたい。若田部さんとしたとか…リンちゃんとしたから、
負けたくないってだけじゃなくて…。マサちゃんと、したい」
普段の優等生な彼女の発言とは思えない大胆発言である。しかしミサキは耳たぶまで赤く染め、
真剣に─マサヒコの目をしっかりと見ながら、臆することなく一言一言をはっきりとそう言いきった。
「ミ、ミサキ?」
「ねえ、マサちゃん?マサちゃんって…オナニー、する?」
「!はああ?¥・?」
あまりにすっとんだミサキの発言に呆気にとられながら…そう言えば、アイ先生にもこんなことを
質問されたなあ、とそこだけ妙に冷静にマサヒコは思い出していた。
「あたしはね…してるんだ。それも毎日…。マサちゃんのことを、思って」
「!?!」
「それでね…イッたあと…無茶苦茶、悲しくなるんだ。ねえ、マサちゃん?
Hな女の子は、嫌い?あたしのこと…軽蔑する?」
「き、嫌いじゃ…ないよ」
(ってゆーか…世の男のほとんどは…好きだと思います)
「じゃあ…して」
「あ、あのさ…ミサキ、いいのか?こんな…なんつーか…中村にハメられたみたいな、初体験で」
「いいの。さっきも言ったけど…きっかけはともかく、あたしは、マサちゃんと、したい」
そのまま、ミサキはマサヒコの唇に自らの唇を重ねた。
今日何度目かの行為だが…。それは、とても優しく、ふわりとした感触をマサヒコに与えた。
(ミサキ…多分、今は、大丈夫だな。自分を…見失ってこんなこと言ってるわけじゃない)
ふたりは、手をつないで立ち上がると、ベッドに腰掛け、見つめ合った。
“ちゅっ・ちゅッ…”
啄むように…ときに激しく貪り合うように…ふたりは、キスを交わした。
「んん…ねえ、マサちゃん?」
「なに?」
「上手に…なったね、さすがに…今週、いっぱいしただけあって」
「?…う、それは…言わんでくれ」
「憶えてるかな?幼稚園ぐらいの頃さ」
「?10年くらい、前か」
「うん…そんとき、おままごとしててさ…夫婦ごっこしててさ…き、キスしたの」
「!?!え?し、したっけ、俺?」
「あー、やっぱり…憶えてないな。もう。あれが…あたしたちの、ファーストキスなんだから」
そう言って、頬を膨らませるミサキだったが…真剣に怒っているのではなく、
マサヒコとの甘い思い出に浸り、冗談めかして言っているのであり、
その仕草は女の子らしい可愛らしいものであった。
「ご、ゴメン…ミサキ。でもさ、てことは…俺のファーストは、やっぱ、ミサキとだったんだな?」
「そ・う・だ・よ。若田部さんでも…リンちゃんでも…アイ先生でもなくて、あたしだもん」
そう言って、顔を見合わせると…なぜか、ふたりは、同時に微笑み合っていた。
「ミサキ…」
「マサちゃん…」
お互いの名を確認するように呼び合うと…マサヒコは、ミサキの体をベッドに横たえた。
“っちゅッ…”
柔らかくキスをしながら…。ゆっくりと、マサヒコはミサキの胸にブラウスの上から触れた。
「あの…マサちゃん?」
「あ…ゴメン、ミサキ、恥ずかしい?」
「う、ううん。そうじゃなくて…あの、がっかりしないでね」
「?なにが?」
「あの…若田部さんや…アイ先生みたく…あたし、おっぱいおっきくないから…。
ちっちゃいから…。だから…うんと…」
毎日バストアップ運動をしていても、なかなか大きくならない自分の胸をひどく気にし、
コンプレックスに思っているミサキである。ことここに至って─彼女は、不安になってしまっていた。
「…でっかけりゃ、いいってもんじゃないだろ?」
「だって…男の人はさ、やっぱりおっきいほうが、好きなんでしょ?
漫画雑誌のグラビアとかも、そうじゃない…」
「だからって、俺が胸のでっかい女の子が好きとは限らんだろ?」
「でも…あのふたりのあと、あたしのおっぱい見ちゃうと…多分…」
「…それっ!」
マサヒコは、それ以上ミサキが言葉を継ごうとするのを許さず、覆い被さった。
「ま、マサちゃん?」
驚くミサキを無視して、マサヒコはブラウスを剥ぐと…彼女の背中に手を回し、ブラのホックを外した。
“パチン”
「あ…ダメ…」
マサヒコが素早くブラを取ろうとするのを、恥ずかしさから必死で抑えようとするミサキだったが…。
間一髪、間に合わず、両腕を押さえ込まれ、マサヒコの目の前に裸の胸をさらしていた。
「恥ずかしいよ…ダメ、見ないでよ…マサちゃん」
「…可愛いぞ、ミサキ」
「え?」
「可愛くて…真っ白で…透き通るみたいだ…きれいだぞ」
そう言うと、マサヒコはミサキの胸に唇を寄せた。
“つ〜〜〜〜〜”
弧を描くように─舌先で、ミサキの胸を辿るマサヒコ。
「んん…あっ…はあ…」
抵抗することを忘れ、その感触に思わず声をあげるミサキ。
“ちろ…”
そのまま、マサヒコはミサキの桃色の乳首に舌を這わせた。
「ん…」
“ぐい…”
左右の乳首にひととおり舌を這わすのを終えると…マサヒコは、ミサキの手を握り、
そのふくらみかけの谷間に顔を押しつけた。
「ひひかほりだ」
「な、なに?マサちゃん」
「いい、香りだって…そう言った。ミサキ?」
「はい…」
「裸に、するよ?」
「はい…お、お願いします」
マサヒコはミサキの腰に後ろから手を回すと…ゆっくりと、スカートを下ろしていった。
“ちゅ…”
乳房の陰に…腹に…臍に…。舌を這わせながら、同時に下着を下ろしていくマサヒコ。
ミサキの全ての着衣を脱がせると…。マサヒコはミサキと手をつないだままの状態で、
ミサキの裸体をじっくりと眺めた。ミサキは恥ずかしさと期待感から、目を閉じたままだ。
(キレイだ…)
心の中で簡単の声をあげるマサヒコ。
アヤナやアイの裸体はボリューム感のある、女性らしいものだったが…。
ミサキのそれは、いかにも少女然とした、清楚な雰囲気を漂わせたものだった。
マサヒコは、ミサキの太股をゆっくりと開けていった。
“きゅっ…”
マサヒコの手を、強く握ると─。
「マサちゃん…」
一言、愛する人の名を呟くミサキ。
「ミサキ…好きだよ、本当に…」
その呟きに、答えるマサヒコ。
“とろ…”
すると、マサヒコが触れてもいないにもかかわらず…。ミサキの茂みからは、蜜が溢れ出て…。
ゆっくりと、その裂け目は開いていった。
(開いていく…ミサキのが…開いてく…)
その刺激的な姿に、興奮するマサヒコ。
“りゅちゅ…”
マサヒコは、高ぶる気持ちを抑えきれず、ミサキの裂け目に、人差し指を入れていた。
「は…はぁッ…」
マサヒコの行為に、荒い息を吐いて応えるミサキ。
(す、吸い込まれるみてえ…)
ミサキのそこも、マサヒコの指を受け入れるかのように、蠢いていた。
“とろぉ〜”
少しずつ…しかし絶え間なく…ミサキのそこからは、蜜が溢れ続けていた。
「マサちゃん…マサちゃあん…好きぃ…」
ミサキは、マサヒコの肩に…胸板に…キスをしていった。そのキスは…。
マサヒコの体を、徐々に、徐々に下降していった。
「み、ミサキ?」
初めはミサキの為されるがままの状態だったマサヒコだが…。このままいけば、彼女のキスが
どこへ向かおうとするかに気付き、思わず焦ったような声をあげた。
「今度は…あたしの番だよ、マサちゃん」
「で、でも…汚いって、そんなの」
「あたしには…ああいうことしといて、自分は許さないなんて、ダメだよ、マサちゃん」
「う…」
やはり素に戻った状態のミサキでは、マサヒコは適わないようだ。
反論することができず、黙り込んでしまったマサヒコを、少し楽しげに見遣りながら…。
ミサキは、マサヒコの体へのキスを再開させた。そして下降した先にあったそれへと
唇を突き出すと─マサヒコのペニスに口づけをした。
“ちゅ…ちゅく…”
「くううぅっ…」
襲い来る快感に、堪え忍ぶかのような声をあげるマサヒコ。
“ちゅぷ…ちゅぷ…”
ミサキは口の中に亀頭を含むと、目を閉じ、それを愛おしそうに口の中で転がした。
「み、みみ、ミサキ…き、気持ち、良いんだけど…」
「?へろ?」
口にペニスを含んだままなので、うまく発音できないミサキ。
「あ、あの…お前、鼻息が…荒くて…その、くすぐったい…」
「!う゛ーッつ、ほんらころ、いわえらってぇ〜」
「ぐぐぐぐはあああ!無理して話そうとするな!逆に気持ち良いっ!」
「!結局、気持ち良いんじゃない!」
口からペニスを離し、ツッコミを入れるミサキ。これでは普段と立場が逆である。
「はあああ〜危なかった…」
しかし、マサヒコは口内での発射をようやく免れ、安心してマヌケな声をあげるのであった。
その姿に、何故か少し不満顔のミサキ。
「ご、ゴメン、ミサキ…あの、あんまりにも…気持ち良かったんで…」
「もう…じゃ、お返しに、あたしを気持ち良くしてよ、マサちゃん」
「う、ウン…俺、頑張ってみるわ」
そう言った後、マサヒコはミサキの髪へと手を伸ばした。
「ま、マサちゃん?」
「いいから…任せて」
“しゅるっ…”
マサヒコはミサキの髪留めのゴムを外した。お下げ髪から、ストレートへと髪を下ろされたミサキ。
「ちっちゃい頃から…その髪型だったよね?ミサキ」
「う…ウン」
「似合ってるけど…その髪型以外のミサキも、俺、見てみたいな、って思ってたんだ」
「…ど、どう?変?」
「ううん…思った通り…いや、思った以上に…可愛いよ」
ジゴロマサヒコ、本領発揮。女の子の髪型を誉めるのはかなりのポイントである。
そして、セオリーどおり、ミサキは顔を赤くしてその賛辞にうっとりとした表情を浮かべていた。
「う…嬉しい、マサちゃん」
“かぷっつ”
マサヒコはミサキのその言葉を聞いた後、ミサキのうなじを甘噛みした。
「あん…」
今までに感じたことのない快感に、思わず声をあげるミサキ。
「なあ、ミサキ…」
「はい…」
「俺さ、今までに…したことのないこと、してみたいんだけど…いいかな?」
「う、うん…マサちゃんのしたいようにしていいよ?」
「じゃあ、ミサキ…お尻を…こっちに…向けて…」
「!?え?…ん…は、はい」
恥ずかしさで真っ赤になりながらも…マサヒコと交わした言葉を思い出し、
言うとおりに白桃のようなお尻を突き出すミサキ。細かく震えている姿はしかし、
逆にマサヒコの劣情を煽るのであった。
“つる…”
「!ひゃんっ!」
ミサキの菊穴を、マサヒコの舌先が嬲っていた。
「マ、マサちゃん?ダメだよ、そんなの、汚いよぉ…」
その愛撫から、逃れようとミサキは腰を引こうとするが…。マサヒコは強引に、ミサキのお尻を
引き寄せると、そのまま薄茶色の菊穴周辺を舐め続けた。
“ちゅ…ちゅるん…”
「ふ…ふわあああ…」
今まで感じたことのない感触に肩の力が抜け、呆けたような声をあげるミサキ。
“つ〜…ちゅっ”
マサヒコの舌は、そのまま下降してミサキの裂け目へと移動していった。
(うわあああ…すげえ…ミサキの…ピンク色で…膨らんだみたいに…なってるよ)
後ろからの光景に、再び興奮するマサヒコ。
“じゅ…じゅる…”
舌を入れ、その中から溢れ出る蜜を、吸い出すマサヒコ。
「あッ…あああ…ふぁん…」
ミサキはシーツを必死に掴み、マサヒコの口戯に耐えていたが…。
「あッ…ああ!」
びくん、とミサキの体が一度大きく波打ち、力が抜けていくのがマサヒコにはわかった。
「ミサキ?」
「はあ…はふ…」
まだマサヒコの問いに答えることができないほどに、ミサキは脱力していた。
「もしかして…イったの?ミサキ…」
「う…うん…オナニーのときより…すっごく…気持ちよかった…」
小刻みに体を震わせながらも…正直にそう答えるミサキ。
“ぐいっ”
マサヒコは、ミサキのお尻を軽く寄せると、それを掴み、左右に引いた。
「じゃ…じゃあ…いくよ?ミサキ?」
「…は、はい…」
処女喪失への恐怖感と期待感─その二つの感情が入り交じりつつも、
今、愛するマサヒコに貫かれようとしていることに、ミサキは気持ちを高ぶらせながら─。
恥ずかしさに堪えながら─。自らのお尻を、高く突き上げた。
“ずッ…ぷじゅッ…”
「あッ…あああああ…!!!」
マサヒコのペニスが、ゆっくりとミサキの中へと入っていった。
“ぷち…”
(何かが…弾けて…切れた感じがした?)
「痛い…よな?ミサキ」
「い…痛くない。痛くなんか…ないよ」
「いや、だから…そんな我慢しなくても…」
「今までの…心の痛さに比べたら…それに…ねえ、マサちゃん?」
「な、なに?」
「やっと…マサちゃんとあたし、つながったんだよね?今…一緒になってるんだよね?」
「う…ウン、いっしょに…なってるよ」
「嬉しいもん…今、あたし…嬉しい…」
「ミサキ…」
涙声で、シーツを必死に掴みながら…。そう告げる少女の健気な姿に、マサヒコは愛おしさを
感じつつも…。彼女を蹂躙しているのが他ならぬ自分だということに、ひどく興奮していた。
「ミサキ…それじゃ…いくよ?」
「は…はい」
“ずっ…ずぷっ…ぷちッ…”
初めはゆっくりと…そして徐々に徐々に、動きを強くしていった。
「はっ…!!くっ…!!」
そして荒い息を吐いてその動きに応えるミサキ。
“ぬる…じゅっ…ぷぢゅっ…”
(ああ…すげえ…ミサキの中…狭くて…熱くて…動いてて…脈打ってるみてえ…)
今まで体験したアイとアヤナの二人のそれとは違う感触─だが、その感触は、
何か生まれた頃からそこに納まることが決まっていたかのような─。
ひどく、ぴったりとはまったような─、そんな感触だった。
“ずっ…ぢゅぶ…”
(溶ける…溶けるよ…俺のが…ミサキん中で…溶けちゃうよ…)
そして、ミサキも─。
(あああ…すごい…すごいよお…マサちゃん…)
破瓜の痛みを通り過ぎると─。マサヒコのものが、自分の中で踊っているような…。
そして、知らずにそれが自分の中を埋めていくような…。そして、震えて、痺れていくような…。
幾重にも絡み合った感触を味わっていた。
“ひく…ひく…”
(?わ?わわ…ミサキ…お、お前…自分から…腰を…動かして…。うわ…気持ち…イイ)
「あ…あン…くうんっ…ま、マサちゃん?」
「な、なに?ミサキ?」
「あ、あたしの…ふうう…中…気持ち…くん。いい?」
「あ、ああ…すごいよ。きゅうって…吸い付いて…俺のを…離してくんないみたいだ…」
「多分…うン…あたしの…からだごとね、マサちゃんの…う──ッ、ことを…欲しがってたんだよ」
「ん…ミサキ…お前って…ホント…」
「な、なに?」
「可愛い…それに…耳年増なだけじゃなくて…すっげえ…エッチだったんだな?」
「あ…ン、ひどいよ、そんな言い方…あたしは…ただマサちゃんが好きな…だけだもん」
「いや…俺も、好きだよ…ミサキ」
「あ…あたしも…マサちゃあん…あッ…」
鋭い声をあげ、体の力を抜くミサキ。だがマサヒコはまだミサキの中で動いていた。
“ぐぶ…ちゃぐ…”
マサヒコは、さらに突く勢いを強めた。そして─自分が絶頂に達しようとしていることを、感じていた。
「み、ミサキ…ゴメン…もう、俺」
「いいよ…も、もう…ホントはね、あたし」
「?」
「さっき、もう…一回、イっちゃったんだ…だから…いいよ?」
「あ…ゴメン…俺、夢中で…全然…気付かなかった…」
「だ、大丈夫…このまま…もう一回…イける感じなの、あたし…」
「うん…じゃあ…いくぞ?ミサキ…」
「う、うん…」
“ずじゅ…ずぐぅッ…”
一緒に達することができなかったことに少し失望しながらも…。
マサヒコは、ミサキの中で動くことを再開した。
(ああ…もう…でも…俺も…ダメだ…)
「み、ミサキ…出すよ?」
「あ…はい」
“ずるっ…”
マサヒコは、ペニスを中から引き抜くと…ミサキのお尻の上にそれをのせ、思いっきり射精した。
“どっぷっ…びゅっ…”
マサヒコの、青白い精液が─ミサキの、真っ白なお尻を伝い、背中へと流れていった。
ひどく、卑猥な風景だった。
「はあっ…はあ…」
ふたりは、しばらく荒い息を吐いていた。マサヒコは、ミサキの背中に付着した自分の精液を
ティッシュで拭うと、後ろからミサキを抱きしめたまま、一言も発しなかった。
「…」
しばし、ミサキも無言でいたが─ふらり、と立ち上がり、自分の股間を目にしたあと─。
鮮血で染まったそこを、ゆっくりとティッシュで拭った。
「あ…ゴメン、ミサキ、それ…」
「だ、大丈夫だよ、マサちゃん」
「でも…&%?うわ?」
そこを拭き終わると、ミサキはそのままマサヒコのペニスに口を付けた。
「みみみみ、ミサキ?」
「んふ。い・い・の。あとしまつ。キレイに…してあげるね?マサちゃん」
そう言われても、しかし、そこは若く元気なマサヒコのペニスである。
啄むように先端を刺激してくるミサキの唇の感触に、早くもムクムクと大きくなり始めていた。
「うわあ…。すごいよお、マサちゃん。もうこんなにおっきく…」
「う…あの、だから…ミサキ…」
「そう言えば…まだ、6時にもなってないんだね、マサちゃん」
「?そうみたいだな?」
「てことは…お母さんが帰ってくるまで、まだ、時間あるね、マサちゃん」
「そうだね…ってオイ、ミサキ、お前?…ま、まさか?」
「えへへへへ…言ったでしょ?あたし…マサちゃんが…思ってた以上に…エッチなんだから」
“カ〜〜〜ン…”
2回戦開始のゴングが鳴った。連戦のマサヒコは、
(体持つかな…俺…)
と思いながら、リングに立つのであった…・
ミサキ編 END