作品名 |
作者名 |
カップリング |
『溶融』 |
乖離氏 |
アヤナ×マサ |
「以上で、僕の発表を終わらせてもらいます」
社会の課題の発表、今日は小久保君の日だ
課題は「この5年間の社会環境の変遷」ジャンルは自由
彼のテーマは「2002年を挟んでの日本サッカー界の変化」だった
「なかなか良かったぞ しっかりと調べてあるな」
久慈先生の印象も意外といいみたいね
図書館ではちゃんと調べなかったくせに
「どうだったかな?」
席に戻った彼が周りに尋ねている
「うん、良かったと思う」
天野さんがすかさず答える
さすがに小久保君に関する事への反応は早いのね
「私も良かったと思うわよ」
私は素直に感想を口にした
「そうか? まあ葛西が阪神をテーマにするって聞いて、アイディアを正直拝借したんだけどな」
肝心の本家本元の葛西君は、四連敗で魂が抜けたようになってるのはちょっと気の毒だけど
「図書館でちゃんと調べたものね」
「あ、うん・・・」
彼の表情が決まり悪そうになった
的山さんは、聞こえたはずなのに何食わぬ顔をしている
やっぱり役者が違うみたいね
「よくできました」
そう言いながら彼女は小久保君の頭を撫でる
周りからは笑いがもれる
「エライ、エライ」
ああ、そう言えば濱中先生が、以前はこうやって彼の頭を撫でたりしていたらしい
子供扱いされて小久保君がむっとしていたって、的山さんから聞いたっけ
「お〜、誉めてもらって羨ましいな、小久保」
「俺も撫でてもらいてえ」
最近は彼が冷やかされる事が多いかな
だったらもっと冷やかされるようにしてあげよう
「よくできました」
「お、おい」
私も尻馬に乗って彼の頭を撫でてみる
こうすればきっと彼女も・・・
「よ、よくできました〜 エライ、エライ」
「お、お前まで?」
天野さんが張り合う様に小久保君の頭を撫でる
「今日も熱いな〜委員長」
「マサ君を若田部に取られないように、今日も燃えてるぞ」
今日も冷やかしにムキになって天野さんは反論している
誰が見てもバレバレなのにね
「お前たち、まだ授業中だ 」
久慈先生も苦笑いだ
天野さんの分かり易さに、怒る気になれないのかもしれない
「お父さんがまず先に向こうに行って、私とお母さんが後から行くわ」
「ふ〜ん、で学校は?」
「日本人学校ってそんなにあるわけじゃないし、現地の学校に行って週末は補習校かな」
「色々大変だね」
放課後、また皆でしばらくだべっている
向こうへ行ったらかあ・・・何か他人の事みたいだ
「早かったね、中学に入ってから」
「でも、楽しかったわよ」
「うん」
そう、何もそれだけで良かったはずだった
でも今はもう、それだけでは済まない
的山さんがこっちを見ている
やっぱり、私が何を考えているのか気付いているのだろうか
決めてもらおう、彼女に
私の心の中に冷酷な感情にも似た衝動がまた首をもたげてきた
二人が帰った後、私は彼を呼び出した
「おい、またここか・・・?」
私は4階の女子トイレのドアを思わせぶりに見ると、そのまま通り過ぎた
そこから更に屋上に通じる階段を上る
屋上への入り口は普段は施錠されているので、誰もここには来ない
確かに滅多に人は来ないけど、もし誰か来たら・・・
隠れる場所も無い、逃げられない、トイレよりも危ない場所って事よね
彼より先に階段を上り、真ん中の折り返しの踊り場で振り返る
「あなたも来なさいよ」
先にそのまま一番上の踊り場まで上り、彼が上がって来るのを待つ
彼も折り返しの踊り場まで来ると、ゆっくり一段一段上ってくる
「ストップ!」
彼の目線が私の膝くらいの所まで来たところで止まるように指差して命じる
「何だよ、人のこと犬みたいに」
「いいからそのままね」
彼を見下ろす視点で、にっこりと微笑んだ
「何だよ、何するつもりだよ」
「おあずけを食らった気分かしら? ひょっとして」
「だから、犬みたいな言い方するなよ」
「いいじゃない、ご馳走は我慢した後の方が美味しいかもよ」
そう言うと、私はゆっくりとスカートの裾を摘んで持ち上げた
彼の唖然とした顔・・・・やっぱりそうなるわね
「若田部、お前・・・・」
「久しぶりでしょ、じかに見るの?」
今日は午後からショーツを付けていない
久しぶりのこの感じ、やっぱりいいかもね
外の空気と彼の目線に晒されるのはやっぱりぞくぞくする
「お前、もうそう言う事はしないって約束したろ」
あ、ひょっとして怒ってるのかな
初めて見るかも、こんな小久保君
「だって、最近小久保君が脅迫してくれないから・・・」
「何だよ、またおかしな事言うなよ」
横を向いて彼が目線を逸らす
だめよ、こっちを向きなさい
「物足りなくって仕方ないって事」
「だからって・・・お前、約束破るのかよ」
「見て・・・でないと、私またおかしな事しちゃいそう」
「見たら、もうしないか・・?」
「少なくとも、見てくれないと先の事は約束できないかも」
彼がまた正面に向き直る
「どうなってるか言ってみて・・・」
「どうって、その・・・正直、すごいいやらしいと思う・・・」
「表現力が貧困ね 濱中先生がっかりするわよ、そんなんじゃ」
「関係ないだろ、先生は・・・」
こういうときに、天野さんや濱中先生の名前を口にされるのは嫌みたいね
「こういう事して本当に楽しいのか、若田部」
「気持ちいいわよ 少なくともそれは嘘じゃないし」
「恥ずかしくないのか? いまさらだけど」
「恥ずかしいから気持ちいいのよ 」
彼が口籠もる
いつもならここで黙ってしまうけれど、更に彼は続けた
「どうして俺なんだ?」
「あなたが脅してさせてるんじゃない、いやらしい事」
「だから、それは違うだろ」
「どうしてもいやなら別にいいわよ、私一人でやりたいようにやるから」
「・・・・・・」
結局彼は黙ってしまった
分からないのかな、あなたじゃなきゃ駄目だってこと
「舐めて・・・」
「舐めてって・・・・」
「決まってるじゃない、あなたが」
返事はしないまま、彼は私の一段手前まで上ると、私の足元にしゃがみこむ
「もうおあずけはおしまいね」
彼はやはり答えない
ただ顔を近づけてじっと見ている
彼の息がかかるのをはっきりと感じる
「どうしたの、早くして」
「わかったよ・・・」
意を決したように彼が顔を私の脚の間に埋める
彼の鼻先が私の恥毛を掻き分けるように触れて、じょりっとした卑猥な感触が伝わる
ちゅく・・・・
彼の舌先が、私の一番敏感なところに触れる
「うん、そこ・・・」
ぬめった生暖かい感触が私の恥ずかしい部分に触れて
肉の裂け目を覆って埋めるように往復する
ちゅぷ・・・くちゅ・・・
彼の唾液と、私がこぼす露が溶け合って音を立てる
犬じゃないぞ、って言ってたのに本当に犬みたい
「こんな姿、人には見せられないわよね」
ふぁさ・・・・
彼の頭の上にスカートを被せる
彼の視界には私の下半身しか入らなくなった
ぴちゃぴちゃ・・・・・
卑猥な水音と、彼の呼吸の音だけが聞こえる
だんだん速く、荒くなってくる息
「はあ・・・・あ・・・・」
空いた指を咥えて、声をあげないようにする
階段の下にいる人影に目線を落としながら私は彼の舌の蠢動を味わっていた
私と彼の息、そして舌の立てる卑猥な音だけが聞こえていた
それはおそらく階段の下の彼女にも
次の日の放課後、また私は彼を呼び出した
「おい、どこ行くんだ?」
「分からない? 同じところよ」
「おい・・」
折り返しの踊り場まで来て、彼はようやく気づいたみたい
「ほら、先客がいるわよ・・・」
上の踊り場には的山さんが立っていた
彼の驚いた顔って・・・ こんな面白い見ものってないわね
「ま、的山・・・何してるんだ、こんなとこで?」
どうだろう、この大根ぶりは
何で彼女がここにいるのか、いい加減分かるわよね
往生際も相当に悪いんだから
「昨日、彼女に課題を出したのよ」
「何だよ、課題って」
「課題 昨日の場所で私と同じ事ができますか? ってね」
「若田部、お前・・」
小久保君の問いかけを無視して、私は上を見る
「それで的山さん、あなたの返事は?」
彼女は微かに口を開いて、うんと言ったようにも聞こえたけれど
結局どっちかはよくわからなかった
言葉で意思表示する代わりに、彼女はスカートの裾をつまんで持ち上げた
「的山・・・・」
彼女の何も身に付けていないスカートの中を見て
小久保君もようやく彼女の決心の意味を理解したようだ
私たちの前に晒された彼女のカラダを見ながら、私は自分の姿をそこに重ねていた
そう、この感じ、やっぱり期待通りだった
私は彼をその場に残して一人階段を上った
スカートを持ち上げたままの彼女の隣に立つ
よく見るとちょっと震えてるんだ
「アヤナちゃん・・・」
「よくできました・・・」
そっと彼女の頭をなでる
待ち望んだことがまた一つ結実するのを目の当たりにして
自分の中の秘めた物が、殻を割って剥き出しになっていく感覚を私は味わっていた