作品名 |
作者名 |
カップリング |
『浸蝕』 |
乖離氏 |
アヤナ×マサ |
放課後のひと時は、一日の中で一番楽しい時間だ
今日は小久保君たちの家庭教師の日
先生達が迎えに来るのを皆で教室で待っている
「ミサキちゃん、本当に首筋が弱点か、も一回確かめよ〜」
「ちょっと、リンちゃんやめて・・・」
天野さんが逃げ回るのを的山さんが追いかけている
「的山、そんなことしてるとお前の心にも深い傷がつくぞ〜」
「あ〜、先生に言いつけちゃうよ小久保君 ほら、ミサキちゃんキャッチ」
「リンちゃんやめて、本当にダメ、そこダメ・・・」
天野さんの首筋を的山さんが撫で回しているのを私達二人は笑いながら見ている
あと半年、何もなければこうやって皆でただ楽しく過ごすだけでも十分だったかもしれない
「お〜、みんな私の教えを忠実に守ってるね」
「先輩、まだあの話続いてるんですか・・・」
ドアが開いてお姉さまと濱中先生が小久保君たちを迎えに来た
「あんたの教えを忠実に守ったら、みんなトラウマだらけだよ」
「お〜マサ、そんなこと言うのはこの口か、こら?」
お姉さまが小久保君のほっぺたをつまんで引っ張る
「はい、そうでひゅ・・・」
「お姉さま、その辺で許してあげて」
「お〜〜、アヤナ愛いやつ愛いやつ」
小久保君のほっぺたを引っ張りながら、もう片方の手は私の頭を撫でる
何か不思議だ、この人と一緒にいるととても落ち着く気がする
天野さんと的山さんは、濱中先生と楽しそうに話している
「お〜〜し、じゃあそろそろ行こうか 今日はアンタも来る?」
「ん〜〜どうしようかな」
お姉さまの問いに天野さんは答えを逡巡している
「「来たいくせに」」
濱中先生の言葉に、私は心の中でシンクロしていた
天野さんは赤い顔をしながら必死で否定している
でも、結局行く事になったようだ
小久保君がそんな彼女を見る目はすごく温かいような気がする
校門を出ると、私は大切な人達と別れて一人家路に着いた
もうあと半年もない、皆とこうして過ごせるのは
自宅で私は一人机に向かう
今頃五人で賑やかに勉強しているのだろう
何の話をしているのだろうか
私は充電器から携帯を外すと、手に取った
待ち受け画面にあの日の画像を呼び出す
それだけでいとも容易に気分が高揚してくる
小久保君とあんなことを繰り返すうちにすっかりいやらしくなったのか
それとも元からそうだったのが発露しただけなのか
「はあ・・・・・」
上から下へ、自分の体の敏感な場所を順にまさぐっていく
張り詰めた胸の先端をほぐすように指でころがし
下着の中に手をもぐりこませ、充血した肉芽を押しつぶすように撫でる
これが彼の手だったら・・・そう思うと熱くなる感覚と同時に
またあのもしゃもしゃした嫌な感覚も同時に湧いてくる
頭の中のビジョンで彼と体を重ね絡み合うのは初めは私だったが
やがて、濱中先生に代わり、次には天野さんに替わっていた
以前は的山さんもその中に加わっていたが、この前の出来事があってから
私の妄想の舞台に彼女は登場しなくなっていた
天野さんや濱中先生は知らない、小久保君があんな表情をする事を
私だけが知ってる彼の色々な顔 もっと見たい、もっと知りたい・・・・・
あの感じ、終わりが来る前にもっと味わいたい
私は自分の体を弄ぶ様子を携帯で写し、メールに添付して送信のボタンを押していた
翌日は休日で、私は彼を自分の部屋に呼び出していた
わざわざバスに乗り一旦通り過ぎてから逆戻りしてやってきた彼を
二階の窓から意地悪い目で私は眺めていた
「久しぶりだな、若田部の家に来るの」
「どうぞ」
部屋へ通すと入れたてのコーヒーをトレイと一緒に彼の前に置く
彼を招待した以上、家族は当然夜まで不在だ
「ありがとう、いい匂いだな」
彼は借りてきた猫みたいに正座している
「かしこまってないで、楽にしていいわよ」
そう言うと、ようやく彼は足を崩して、コーヒーに口をつけた
私も彼と向かい合うように腰を下ろす
「随分まわりくどいルートでやってきたのね」
「そりゃあ、な」
ちょっと決まり悪そうに彼が答える
「天野さんにバレるのがそんなに怖い?」
「別に、そんなことないよ」
「どうだか・・・」
いちいち突っ掛かる様な言い方についなってしまう
別に他意は無いのだけれど
彼はそんな事は分かってくれている筈だ
少なくとも気にはしていないと思う
「あ、これこの前借りた本、面白かったよ」
カバンから彼がハードカバーの本を取り出す
あまり読書をしない彼に貸した本
本当に気に入ってくれたのだろうか
「あ、ひょっとして言い訳用?」
家に私の家族がいた時は、近くに来たのでついでに本を返しに
とか言うつもりだったのだろう
「そんな事ないよ ちゃんと読んだ」
「あら、相変わらずちゃんとカバーしてるのね」
「また叩かないでくれよ そもそもあの時はメガネが本をすりかえるから・・」
「どうだった? 昨日は」
本の話題は打ち切って意地悪く尋ねてみる
「今日は、どんなことしてほしい? 小久保君」
「え・・・いいよ、別に」
「相変わらず欲が無いのね でも、そのくせこうやって私の部屋までやって来てるけど」
「それはお前が・・・」
「私が、何なのかしら?」
彼がためらいながら何か言うときは、指が何とはなしに動く
その仕草も何かかわいい感じがする
「俺が言う事聞かないと、若田部がまた何かおかしなこと始めるんじゃないかって」
「ふ〜〜ん、つまり私の為に来てくれてるんだ」
「いや、その・・・そんな恩着せがましい事じゃなくて、心配だから」
「やさしいんだ、小久保君」
「いや、その・・・」
こうやって話しているだけでぞくぞくする
彼の言葉が、表情が、仕草が私をおかしくする
「嘘つきね 私の体でいやらしい事いっぱいしたいから、来たくせに」
私の言葉に彼は一瞬呆気にとられたような顔をした
「私はあなたに弱みを握られてるから言う事聞くしかないもの」
「何言ってんだ・・・」
「こんな写真を撮られて」
傍らにあった携帯を手に取り彼の方に突きつける
「それはお前が」
「所構わずにいやらしい事させられたし」
「それもお前が」
「ううん、あなたにさせられたのよ 写真で脅されて」
「違うだろ、それは・・」
「違わない、あなたがさせたの」
彼は黙ってしまった
私の言う事に筋が通ってないのに何を言っても無駄だと思ったのだろう
「小久保君には昔から色々いやらしい事されたしね」
彼は黙ったままだ
私はベッドから下りて彼の方に歩み寄った
「たとえば、ほら大雪の時・・・」
語り掛けながら、彼の両肩に手を置くと、そのまま彼の方に倒れこむ
「お、おい・・・わか・・」
彼が全部言い終わらないうちに、私は彼を組み敷くように押し倒していた
「こうやって私のこと押し倒したじゃない 忘れたの?」
「あの時は・・・」
私の下で、彼が横を向いて目をそらす
何か、猫が獲物を捕まえたような気分だ
これからどうしてあげようか、それだけでわくわくする
「あの時は・・何よ?」
彼の首筋や頬を撫でてみる
何か品定めでもしてるみたいよね、これって
「よせよ、よせってば」
「小久保君の肌って気持ちいいわね 」
そのまま顔を近づけて、彼の首筋に唇を押し当てる
唇に彼の感触がつたわり、かすかな彼の汗の匂いもする
「んっ・・ふう・・」
彼の首筋から頬まで、確かめるように口付ける
言い訳できないくらいの跡をつけてあげたい衝動を、私は何とか抑えていた
「唇はどんな感じかしらね」
「よせってば・・・」
彼は横を向いたままで、私の方に向こうとしない
「ふ〜ん、そういう態度をとるんだ 私とキスするのがそんなにいやなのね」
思わず彼の手をとって、自分の口元まで持ってくる
「やっぱりきれいよね、小久保君の手」
彼はなんと答えていいのか複雑な表情だった
この手も、指も私をどきどきさせる要素にはどのみち変わりはないけれど
ちゅぷ・・・・・
人差し指と中指を口に含んでみる
この前、これで私の中を掻き回したのよね
「若田部・・・・」
ちゅぷ・・ちゅぱ・・・
音を立てて彼の指を玩具のようにしゃぶってみる
私の口元からはしたなく唾液が漏れて彼の指をたっぷりと濡らす
「はあ・・・」
口を離すと、私の唾でぬらぬらとしている彼の指を見つめる
「この前はこの指で散々いやらしいことしたくせに」
「あれはお前が」
「それなのに、私とキスするのはいやなんだ? 天野さんじゃないといやなの?」
「そういうことじゃなくて」
ぐい・・・・
私は彼の脚の間に自分の右足を割り込ませる
太股が彼のズボンの股間に当たるようにしながら彼の目を意地悪く見つめる
「何よ、こんないやらしいもの付けて、頭の中もいやらしいことでいっぱいのくせに」
「よせって よせってば・・・」
何か言ってるセリフにも芸が無いわね、今日の小久保君
「キスがいやなら、じゃあこうしてあげる たっぷり味わってね」
「あ・・んっ?」
彼が何か言おうとしたその口に、さっきまで私の口の中だった彼の指を咥えさせる
「ほら、どう? 間接キスよね、これ 」
そのまま、一緒に添えた私の指も合わせて、四本の指を彼の口の中にねじり込んだ
「ん・・ん・・・」
ちょっと苦しそうだけど許してあげない 拒んだあなたが悪いんだから
彼の手を動かすのに合わせて、太股をズボン越しに彼の股間にこすりつける
ただ我慢してるだけで、彼ははねのけようとも、抵抗もしない
「こんな事されてすごい大きくしちゃってるのね 」
ぐいぐいと押し付ける脚に、彼のカラダの反応が伝わってくる
彼の上で体を動かす私も、傍から見れば同類だろうけど
「私の事変態みたいに思ってるかもしれないけど、小久保君だって同じよね、ほら」
私はこんな事をしたくて彼を呼んだわけじゃない
でも、当初の目的とは違っても彼の表情は間違いなく私の嗜好を刺激するものだった
「どんな気分? 何とか言ってみて・・・って言えるわけ無いわね」
彼の耳元に口を近づけてささやくと、その瞬間に彼の体がびくっと震える
びくん・・びくん・・・・・
私の脚に、ズボンの中で激しく脈打つ感覚が伝わってきた
あ・・・こんなのでいっちゃうんだ? 小久保君
「すごいわね・・・どくどくっていっぱい出てるわよ 今までで一番出たんじゃないの?」
彼の表情、どんな顔したらいいか困ってるみたい
こういうのもいいかな
少しあの青臭い匂いも伝わってきたような気がする
脈打つのが止むまで、私は彼の股間に脚を押し付けるのをやめなかった
私が彼の上から退くと、彼はばつが悪そうに体を起こす
「なあ、これで気が済んだか?」
「何よ、その言い方 あんな事されていっぱい出しちゃったくせに」
我ながら芸も品も無いセリフだと思う
でも、彼の言葉にはなぜかストレートに答えてしまいたくなる
彼は少しうつむいた表情で居心地悪そうに座っている
「ねえ、私達のしてる事、誰かに見られてたらどうする?」
「何だよ、それ」
ズボンの中がどろどろなのを気にしながら彼が答える
「クローゼットの中に的山さんが隠れてるって言ったら?」
「あのな・・」
「的山さんが、さっきからずっとその中で覗いてるのよ」
「嘘だよな・・・」
ばっ・・・・
彼が慌ててクローゼットに駆け寄り、勢いよく扉を開ける
もちろん、中には私の服が入っているだけだ
「・・・あは・・あはは・・・」
思わず笑ってしまった
だって、彼の泡を食ったような表情がとても可笑しかったから
「もういいだろ・・・? 俺帰るよ」
「そのままじゃ匂いでバスにも乗れないわね 」
「いいよ、歩いて帰るから」
「下着取り替える? 兄さんのを持ってくるわよ 何なら私のでもいいけど」
私がからかうのを無視するように彼が聞き返してきた
「なあ、的山まで巻き込むつもりじゃないよな?」
「え・・」
私が答えるのを待たず、彼はこちらを振り向かずにそのまま部屋を出て行った
呼び止めるつもりはなかった
本当に彼はまだ全然気がついてないんだ、的山さんが知ってる事を
「馬鹿・・・・」
ばんっ!
次の瞬間、私は彼が返した本を壁に投げ付けていた
こういう行動って我ながらみっともないとは思う
ばさっ
跳ね返った本は私の傍まで戻ってきてページを広げた
挟んだ覚えの無い栞が最後のページに挟まっている
一応ちゃんと読んだんだ・・・
彼が一口だけ口を付けたコーヒーのカップを手に取る
そのまま傾けると中の褐色の液体が本にふりかかった
褐色の流れは少しだけ本に染み込み、残りはカーペットの上に流れていく
「あはは・・・」
ごとっ・・・・
空になったカップが指から滑り落ち、鈍い音を立ててカーペットの上に落ちる
褐色のしみがじわじわと広がっていくのを見ながら、まだ私は笑っていた
休み明けの授業の一コマが自習時間になった
三年ともなると真面目に自習している人が多い
中には堂々と居眠りをしている者もいるけれど
「で、後三年の役で生き残って奥州藤原氏の初代となったのは?」
「え〜と、藤原鎌足・・・じゃないよね 純友さん?」
「的山、この前は道長って言ってたよな? 何かますます正解から離れてきたぞ」
彼と的山さんは同じ志望校だから、という事だろうか
二人で問題を出し合っている
何やかやで、結構いい組み合わせかもしれない
来年も二人は一緒の高校に通える・・・同じ場所と時間を共有できる
「若田部さん、この前の問題なんだけど」
天野さんがノートを開きながら話しかけてきた
ちょうど欠席で空いていた私の前の席に彼女は腰を下ろす
「ああ、この前解けなかった入試問題ね 中百舌学園の」
彼女と向かい合う形で、私もノートに視線を落とす
「うん、ネットで調べてみたの 解き方分かったよ」
彼女は何事も一生懸命だ
そこにはあざとさもなければ打算も無い
こういう事一つとってもそれはあてはまる
私が男の子だったら、彼女に好意を持つだろうきっと
そして、それは小久保君も多分同じなんだ
でもね、あなたが見た事のない小久保君を私は知ってる
私だけが知っている
「で、ここはこうするの 気が付かなかったな」
私は生返事をしながら、彼女の唇が動くのを見ている
あなたの唇、小久保君の体に触れた事あるのかしら
私はあるわよ、どんな感じか今ここで教えてあげましょうか
「このサイトで調べたの アドレスを控えておいたから、きっと役に立つよ」
メモに彼女がアドレスを書き込むのを見つめる
可愛い指・・・
絆創膏が一つ貼られてるのは、彼の為の料理の練習で傷をつけたのかしら
23 名前:乖離[sage] 投稿日:2005/10/18(火) 00:38:48 ID:l40Bo/++ -->
ぐい・・・
彼女の手をとると目線の高さまで持ち上げる
「わ、若田部さん?」
驚いてる表情も可愛いわね、天野さん
でも、この指も彼に触れた事はあるのかしら?
私はあるわよ・・・・いっぱい
「ねえ、どうしたの?・・・・何か、顔赤いし具合でも悪いの?」
天野さんは手を握られたままで怪訝そうに尋ねてくる
具合は悪くないわよ
ただ、ちょっとおかしいだけ・・・
「若田部、具合悪いんなら付いてってやるよ保健室に ほら、委員だしさ」
彼が慌てて私の方に声をかけてきた
私が何を考えていたのか気づいたのだろうか
「小久保、水泳の時みたいにまた役得かよ?」
「俺もそうやってエスコートしてみてえよなあ」
男子の何人かが気づいて冷やかしの声をかける
いつもなら何か言い返しそうなものだけど、今日はそんな余裕が無いみたい
「私も一緒にいくよ 心配だし」
天野さんが続いて口を開く
いつでも他人に気を使って心配してくれる
彼女のこういうところは好きだ
そういう彼女が今の私の心のうちを知ったら、一体どんな反応をするだろう
「お〜、委員長が若田部と張り合ってるぞ」
「そうだよなあ、マサ君をとられないように見張ってないと」
男子の冷やかしに拍車がかかる
天野さんはムキになって否定している
本当に分かりやすい子だ
「私が連れて行きます 皆さんは自習を続けるように」
皆を制するように的山さんが立ち上がって口を開く
しかし、その口調とは裏腹のあまりの威厳の無さに皆の口から笑いがもれる
それを無視するように彼女は私の手を引いて保健室へ連れて行く
小久保君は、天野さんの手前もあるのかついては来なかった
廊下をゆっくりと私たちは歩いた
「ありがとう 悪いわね」
「ねえ、アヤナちゃん・・・・ホントは具合なんか悪くないんでしょ」
しっかり見てるのね 油断ならない子だ
「ええ・・・私が何を考えてたかも分かっていたのかしら」
「ミサキちゃんに、あの事言うつもりだったの?」
くすっ・・・・
思わず笑い声が漏れてしまった
「何が可笑しいの?」
「ううん・・的山さん、あなた普段は猫かぶってるのかしら」
「なんで?」
「あなたの言う通りよ あの時全部教えてあげたくてたまらなくなったの」
ぎゅ・・・・・
彼女は私の手を握り締めてきた
「だめ、だめだよ 絶対だめ」
「嘘よ 冗談に決まってるでしょ」
「ううん、アヤナちゃん本当に言おうとしてた きっとそう」
「すごいわね 私の心の中までわかるようになったんだ」
正直に言うと自分でもよく分からない
邪魔が入らなかったら本当に洗いざらい話していたのだろうか
ただ、そう考えただけでぞくぞくしていたのは確かだった
「ミサキちゃんにだけはだめ 絶対だめ」
「言わないわよ 安心して」
「でも今のアヤナちゃん、きっとミサキちゃんに言っちゃうような気がして」
「信用無いのね、私 嘘なんか言わないわよ」
「でも、この前は・・・」
ああ、そうか
図書館で私に騙されたことを気にしてるんだ
「的山さん、この前言ってたわね 」
「何を?」
「私と同じ側に来てみれば、って」
「うん・・・・」
今日はとぼける気は無いようだ
私は彼女が逡巡するのも構わず続けた
「その気があるなら呼ぶわね」
「うん・・・」
ぎゅう・・・・
私の手を握る彼女の手に更に力がこもった
結局彼の言うように、私は的山さんを巻き込むつもりなんだろうか
でも、私の心を止めようもない衝動が覆っていく
自分でもこれからどう転がるのかは分からない
ただ、漠然としていた期待が、しっかりとした形になっていく
高揚感が私の心の中の澱みを流し去っていく
「待ってるわね」
そう、このわくわくする感じ
何かを犠牲にしてもこの感じを私は味わいたいんだ
的山さんの私を見る目に浮かんだ怯えに似た色に
思わず口元がゆるむのが自分でも分かった・・・・