作品名 |
作者名 |
カップリング |
NoTitle |
ドミンゴ氏 |
アイ×マサヒコ |
“ポキッ”
「私意外と人見知りするんですよね」
マサヒコの部屋では先程から、どこか気乗りしないような声のアイと、
「アンタねぇ そんなこと言ってるからいまだにオトコの一人もいないのよ」
手の掛かる後輩に半分説教するような中村とで、それぞれの生徒を放っぽり出してトークが白熱していた。
“ポキッ”
「やっぱり食べてるだけじゃダメですか?」
「ダメに決まってんでしょ、合コンはパスタでもケーキでもなくオトコを食べに行く場なんだから」
いつものことだが中村はスゴいことを言っている。ただ今日は“いつものこと”だとマサヒコはなぜか聞き流せなかった。
(……なんか……ムカツクんだよな……さっきから)
その“さっき”は、メンバーが揃うなりアイが言った『私合コンに誘われたんですけど』このセリフからである。
「まぁ、無理して食べろとは言わないけど 見聞を広めると思ってさ、モノは試しに行ってみたら?」
「うぅ〜〜〜〜ん …………そう……ですね、試しに……」
“ポキッ”
「小久保くん それお呪い? それともシャーペンの芯折り占いとか?」
折れに折れまくっているマサヒコのシャーペンを見ながら、リンコは目をワクワクさせていた。期待したところ悪いが、
「……別に……ただ折れただけだよ」
“カチッカチッ……カチッカチッ……カチッカチッ……”
「チッ」
盛大に折っていたので芯が切れたのか出てこない。マサヒコは舌打ちすると、新しい芯を入れようとして、
「なん……ですか」
ふと自分に部屋に居る全員の視線が集まっているのに気づいた。
中村はニヤニヤと、アイは“なんで怒ってるんだろう?”そんな顔でマサヒコを見てる。
それがまた、自分の気持ちを持て余している少年を苛立たせた。
「真面目に……授業して貰えます……」
声が堅い。アイはそれにちょっとびっくりした顔をしたが、言ったマサヒコも顔には出さないが内心驚いている。
「そんじゃま、この話はここまでにして 真面目に授業しようか、アイ」
それから授業終了の時間まではなんとなく、全員質問するとき以外は無言だった。
妙な空気に意味のわからないリンコは泣きそうな顔である。そしてそれに助け舟を出す者はいなかった。
「あ? じゃあ私合コンがありますから、今日は先帰りますね先輩」
大概は授業が終わった後も、お茶を飲みながらダベッていることが多いのだが、壁掛けの時計を見てアイは立ち上がる。
「うん? 合コンって今日だったの?」
ティーカップから口を離した中村は“チラッ”と意味ありげにマサヒコを見た。
中村の視線に気づいてはいるがあえて無視して、マサヒコはティーカップを傾けて中身を一息にあおる。
「それじゃお先に帰ります、また明日ねマサヒコくん、リンコちゃん」
「は〜〜〜〜い、また明日!!」
「……また明日」
リンコは手をブンブン振ってサービス満点に、対照的にマサヒコは顔も上げない。そんなマサヒコを見てアイは淋しそうに微笑むと、
「じゃ……」
そっとドアを閉めると、階段をトテトテと音を立てて帰っていった。
原付の排気音が静かに遠ざかっていく。マサヒコは無意識にその音を耳を澄まして聞いていた。
「いいのかね少年……」
「……なにが」
それだけでマサヒコは“ムッ”とした声を出す。お互い視線は合わせない。カップに落としたままだ。
「こんなところでブゥたれてるだけじゃ、なにも手に入らないとお姉さんは思うわけよ」
「……なに言ってんのかわかんないですよ」
普段から中村やアイとはフランクな口調でしゃべっているが、マサヒコがここまでトゲのある口の訊き方をしたことはない。
「わかり易く言ってあげようか?」
「………………」
「イジケてないでぶち当たってみろって言ってんだよ、ガキんちょくん」
「歳が違うでしょっ!!」
いきなり吼えたマサヒコに、二人がなんの話をしているのか皆目見当もつかずにぼ〜〜っと聞いていたリンコは、“ビクッ”として
お茶を零しそうになる。
「そういう言い訳をしてるのがダメダメなんだよ、よし!想像してみな アイがどこの馬の骨とも知れないオトコに食われちゃうのを」
非常にしたくないイヤな想像だ。でもマサヒコは思い浮かべてしまった。それだけで身体中の血が沸騰しそうである。
白くなるくらいに強く、拳を握り締めていた。
「さてと、偶然私はアイが合コンをやるお店で呑みたくなったんだけど、リンコ、社会勉強にお供してみる?」
「はいっ!!」
元気に答えたリンコは、そのままの勢いでマサヒコを見た。
「小久保くんも一緒にいこ」
リンコも意味はわからずとも空気は察している。マサヒコを誘わねばと自然に行動していた。
……まぁ、大勢のほうが単純に楽しいと思っただけかもしれないが。
“ガチャッ……”
「どうするの……マサヒコ」
ドアを開けると中村は決断を促す。展開が速すぎるとマサヒコは思ったが、中村は一切待ったなしだ。
「あれでアイは人気あると思うよ、手つかずの掘り出しもんてヤツ? ……もしかしたら今日ついちゃうかもしれないね」
「………………」
マサヒコは立ち上がると中村に背を向ける。
「社会勉強するだけですから……」
クローゼットからコートを出す。その背中へ中村は満足したように微笑んだ。
中村引率で入店した居酒屋は“笑・〇”という名前だが、マサヒコはまるで笑えない。
さらりと自分達の分まで中村が注文したウーロンハイを、ツッコむこともなく“グビリッ”と喉に流し込む。
アルコールではなく目の前の光景に悪酔いしそうだ。
マサヒコの視線の先、三つばかり離れたボックス席では、なにがそんなに楽しいのか、アイの隣に座る照り焼きみたいにテカッてる
マッチョ野郎が盛り上げ役になってバカ騒ぎしている。
「どんな娘が来るのかと心配してたんだけどさ カワイイねぇ濱中、いやいやアイちゃんて呼んでいい?」
余程気に入ったのか会ってさほども経ってないのに、マッチョ野郎は脂ぎった顔をアイへにじり寄せると、そんなことをのたまわった。
(……いいわけねぇだろ、死ね)
酒を呑んでいる所為もあるが、いまのマサヒコはかなり思考が暴力的である。
入店してさほど経ってないのに、ウーロンハイはリンコのを奪ってもう二杯目だ。けっこうな急ピッチである。
「えっと、あの…………はい、いいですよ別に」
ドンブリを片手にマッチョに微笑む〔愛想笑いだが〕アイに、マサヒコのペースは更に上がりそうだ。
「アイちゃんって天然でしょ オレ好きなんだよねそういう娘て」
マサヒコの目が物凄く鋭くなる。
はっきり言って怖い。どのくらい怖いかといえば、こっそりウーロンハイを取り返そうとしたリンコが涙目になるほどだ。
「でさ天然の娘って年上のオトコと付き合ったほうが絶対ウマくいくんだよ、あ、オレ偶然年上なんだけどね」
(聞いてねぇよ)
“ドンッ”
テーブルに置いたジョッキはもう空になってる。リンコの目からは“だ〜〜〜〜っ”と涙が流れていた。
「オカワリ頼む?」
「え? あ!? …………うん」
中村に言われて初めてジョッキが空になったのに気づいたマサヒコは、おそらくは店に入ってからずっと観察されてたんだろうと思って
アルコール以外の理由で顔が火照ってくる。
それでも呑まないと、この場にはとてもいられそうにもなかった。
「すみませ〜〜〜〜ん」
中村が大きな声で手を上げる。店員が気づいた。そしてもう一人……アイも…………。
「あれ? マサヒコくん? それに先輩も?」
もしかしたら、いやもしかしなくても、中村の声は店員ではなくアイに気づかせる為だったんだろう。
「どうしたんですか? こんなところで?」
クエスチョンマークを大盛りで浮かべながら立ち上がったアイは、マサヒコたちのボックス席に逃げるように小走りして来た。
マサヒコとアイの目が合う。
アイに“ほにゃ”と笑いかけられると、マサヒコの顔からは一瞬で険が消えた。だが席に後数歩といったところで…………。
「待ってよアイちゃん オレと呑んでるんでしょ」
連れ戻しに来たマッチョに肩を引っ張られる。
不意打ちだったのもあるし、アイが鈍いのもあって、バランスを崩したたらを踏むと、オトコの不必要に厚い胸板に倒れこんだ。
“ブチッ”
昨今は俗に言う“キレる”若者が多いが、この場面では許されてもいいだろう。許されてもいいはずだ。
「あ……」
マサヒコは立ち上がると自分よりも背の高いアイの腕を取って、年相応よりもちょっと頼りない胸元に引き寄せ受け止める。
一瞬よろめきそうになったがなんとか踏ん張ると、とっくのとうにこのマッチョ野郎にはキテいたのだがブチキレた。
「テェメェ――――――ッ!!人の彼女〔オンナ〕に手出してんじゃねぇ〜〜〜〜〜〜ぞ!!」
マサヒコがこんなに大声を、しかも怒鳴り声を出したのは久方ぶりである。前はいつだか覚えてない。それほどの怒鳴り声だった。
店中がそれこそ“シ〜〜〜〜ン”と音が聞こえるくらいに静かになる。その静寂を破ったのは、
「ハ、ハハ……アハハハハハハハッ なに言ってんのこのガキんちょ オマエお姉さんに憧れちゃうのは勝手だけどもうお家に帰……」
人間は心に秘めた想いを土足で踏みにじられれば、後先などはチヨッコッとも考えない。
マッチョ野郎はマサヒコが殴った程度では痛くも痒くもないだろう。それでもマサヒコは拳を固めて前に……出ようとした。
「ちょ!? マサヒコくんやめなさい!!」
アイが慌てて後ろから抱きつく。この行動が優しさからのものだとわかってはいても、マサヒコは堪らないほど情けなく悔しい。
「離せっ!!」
もがいてもアイすら振り払うことが出来ないのだ。そんなマサヒコをマッチョ野郎はニヤニヤと笑ってる。
「くぅううッ!!」
悔しくて悔しくて涙が滲んできたマサヒコを、
“グイッ”
長い黒髪の女性が押し退けた。
“ドグワシャッ!!”
余裕たっぷりにマサヒコを見下ろしていたマッチョ野郎の顎に、見事な右ストレートを一閃炸裂させる。
その一撃でマッチョ野郎はもんどり打って、テーブルの上にある店のオススメ料理などを撒き散らしながら豪快にふっ飛んだ。
起き上がる気配はない。マッチョ野郎は白目を剥いてる。
「オトコを笑うんじゃねぇよゲス野郎……」
殴った方も痛かったのか、中村は手をぷらぷらさせながらも、満面の笑顔でマサヒコとアイに振り向く。
「まぁ、ってもまだ半人前くらいかな?」
そう言う中村の目はマサヒコだけでなく、“ぽか〜〜ん”とした顔でいまだ抱きついているアイも見ていた。
「二人足せばなんとかなるか……」
茶化すようにぼやくように呟きながら、中村はぐるりとゆっくり辺りを見回す。店員も含めた野次馬の人だかりが出来ていた。
奥の方からは店長らしい人間がこちらにシカメ面で歩いて来るのも見える。
「ここはいいからマサヒコ、もっと呑みたかったらアイといッてきな」
それはそれは中村は魅力的に微笑むと、アイに抱きつかれたままのマサヒコの頭を、巻き込むように引き寄せると耳打ちした。
「アンタお金あるの?」
「え? な、ないけど」
「そりゃそうか、中学生だもんね ほれっ」
マサヒコの手を取ると中村は“ポンッ”と五万円ほど握らせる。
「こ、これって」
「ご祝儀ご祝儀 サービスサービス それにホテル行って金が足んなかったらカッコ悪りぃでしょ」
「ホ、ホテルって、なに言ってんで……」
“ドンッ”
「ぐえっ!」
中村は軽くマサヒコのボディーにブローを叩き込んだ。音から想像するとちょっと軽くには聞こえないが。
「アンタねぇ これだけの証人がいる前で赤面もんの告白しといて照れんじゃないよ!」
「おえっ はぁ……告白って……」
「いいから、後は姐さんに任せて…… アイ!! マサと一緒に早く行きな」
「あ!? は、はい ……いこマサヒコくん」
「う、うん……」
二人は手こそ繋がず、腕こそ組まなかったが、寄り添うようにして店を後にした。その二人の背中を見送りながら中村は、
「……さて……どうすっぺか?……」
さっきから目をキラキラと、自分を乙女の祈りポーズで見つめるリンコに振ってみる。
「先生カッコいいです! ウーターマンみたいです!!」
「いや、まぁ………………ね」
一点の曇りも穢れもない純真そのものの瞳で絶賛されて、正直なところは中村も満更ではない。……ではないのだが……。
さっきよりも野次馬の輪が狭まった気がする。店長の顔が無言のプレッシャーを与えていた。
「…………三分経ったらジュワッチってわけにもいかないしなぁ……」
「スペシャーム光線ですよ先生!!」
教え子の期待込みのアイディアに、中村は義理で考えるフリをすると腕をクロスさせてスペシャーム光線……ではなくバツ印を作った。
(……探してたわけじゃ……ないんだけどなぁ……)
居酒屋を出てから数分、二人は行くアテもなくブラブラしていたのだが、歩くその先にはやたらと存在をアピールする看板が見える。
そこには眩いばかりに燦然と『ホテル・メジャーリーグ』の名前が輝いていた。
非常にオトコの夢と血を熱くさせるネームではあるが、挑戦するマサヒコにはまだこの状況に対する戸惑いもあれば迷いもある。
それは多分、隣りを歩いているアイも同じはずだ。
(ってかなんでホテルに行くのが既定事項になってるんだ?)
嫉妬という形の怒りが消えた所為かもしれない。マサヒコの思考がいつものように、小憎らしいくらい冷たく冴えてきた。
(大体あのバカマッチョのセリフじゃないけど、先生だって勝手に憧れられて、その上ドサクサ紛れに告られちゃ迷惑だよな……)
ただそれは自分の未熟ささえも客観的に見えてしまう。背伸びをしても身長すらアイを追い越せないのだ。
「ふぅ」
女の子〔と言うのは失礼か?〕と二人っきりで夜の街を歩いているというのに、マサヒコの口からは青少年の苦悩のため息が洩れる。
でもそれが話すきっかけになったのか、
「……さっきは……びっくりした…………」
アイがポツリと呟いた。
ホテルの看板しか見ていなかったマサヒコは弾かれたように、少しだけ目線が高い家庭教師の顔を見る。
「まさかマサヒコくんがいるとは思わなかったなぁ……」
(もしかしたらオレ……一人で突っ走って余計なことをしたのかな?)
アイの表情からも、そして声からも、未熟な少年には先生が怒っているのか困っているのか、どう思っているのか窺い知れない。
「……すいません」
けっきょくマサヒコの口からは、アホな子でも言える定番のセリフしか出てこなかった。
「どうしてマサヒコくんがあやまるの?」
不思議そうにアイが、子供っぽい可愛い仕草で首を傾げる。
「いや……楽しくやってたのに……ごめん……」
本当に申し訳なさそうに、そして恥じ入るようにガックリと顔を伏せるマサヒコにアイは優しく微笑んだ。
マサヒコは顔を伏せてるので気づいてはいないが、その微笑みはいつもの“カワイイ弟”にするような笑みとは種類の違うものである。
「……マサヒコくんの顔見たときね…………ホッとした 大声で“彼女”って言ってくれたとき…………嬉しかった」
アイの言葉が耳から鼓膜を通り脳に達して理解すると、“パァ――ッ”と純情可憐な乙女のようにマサヒコの頬に紅い華が咲いた。
「………………!?」
照れ隠しなのかマサヒコの歩調が速くなりそうになったが、すぐになにかに気づいて逆に歩調を遅くする。
まだ遠いと思っていたメジャーリーグはもう目の前だ。
(え、え、ええ!? こ、心の準備が……いやそれよりもアイ先生嬉しいって言っただけだし……ちょっと待てよオイ!!)
誰に待ってもらおうというのか、マサヒコの頭の中は意味のわからない言葉の羅列でグルングルンしている。混乱しまくっていた。
「マサヒコくん」
「え?」
“チュッ……”
小鳥が啄ばむような優しい音。唇には柔らかい感触。アイはそっと唇を離すと、
「……彼女が彼氏にキスするのは……可笑しいことじゃないよね?」
こちらもマサヒコに負けないほどの大輪の華を頬に咲かせている。もちろん彼女が彼氏にキスするのは全然可笑しくない。
そして彼氏が彼女をホテルに誘ったって、
(……全然……可笑しくない…………よな?)
“ゴクッ”
無意識で生唾を飲み込み、アイの手を震えながら“キュッ”と握る。アイもマサヒコの手を“キュッ”と握り返してきた。
(OK……OKだよな?な、な、な)
さっきからやたら疑問文の多い思考でマサヒコは切り出す。
「ア、アイしぇんしぇい……」
呂律が回ってないのも許してやって欲しい。“にっこり”笑ってアイは許してくれた。
「なに? マサヒコくん」
マサヒコの次に言うセリフは、いくら男女の機微に疎いアイでも容易に想像できる。その証拠にアイの手もぷるぷると震えていた。
「い、一緒にメジャーに挑戦してくだしゃい!!」
ここだけを事情を知らない人に見られたら“なにトチ狂ってんだこのガキ?”と思われても仕方がない。
もっともアイ以外の人間にどう思われようとマサヒコは一向に構わなかった。
「どこでも……マサヒコくんの行くとこなら…………迷惑じゃなければ私はついて行くから……」
感極まっているのか、アイはマサヒコを“ギュ〜〜ッ”と抱きしめる。その目は零れそうになる涙で潤んでいた。
(なんか今まで生きてきた中で一番嬉しい………………嬉しいんだけども…………)
メダリストのようなセリフを心中で言いながらも、マサヒコの腰は引けていた。もっと言えば腰だけが引けていた。
二人の身長は頭一つ分くらい違う。そのまま抱き合えば、一方の顔の辺りに胸元が来るわけで……。
だからぴょっこりお尻を突き出しているマサヒコを許してやってほしい。
ロマンチックな場面でもこうなるのが、オトコという悲しい生き物の生態である。
微笑ましくもかなり情けない形で、マサヒコは一人前のオトコへと一歩を踏み出した。……まぁ、そんなたいそうなもんでもないが。
鍵穴に差し込んでキーを回すと“カチャリッ”と音がしてロックが解除される。
(いいんですよね?)
確認を取るようにアイを見るとコクリッと頷いてくれた。マサヒコもそれに頷き返してドアを開ける。
こんなホテルに入るのは、当たり前だが中学生のマサヒコは初めてだ。
心臓バクバクで部屋を見る。そして初めてなのはアイも一緒で、マサヒコの肩口からひょっこり首だけ出して、好奇心一杯で覗き込む。
『うわぁ〜〜〜〜』
二人の声はばっちりハモッた。多分おそらく絶対心でもハモッた。
パネルを見たときからそんな雰囲気はあったが、ズバリこの部屋のテーマは昭和だろう。それもかなり安っぽい。
まず二人を出迎えてくれたのはピンクの照明。ミラーボールが目に眩しい。
バスルームの壁はガラス張りで外からは丸見え、ベッドは“回ります”と、宣言しているかのように怪しさ大爆発。
ご丁寧にも周りは360度ミラーワールド。ここまで胡散臭いといっそ清々しいくらいだ。
「なんだか…………スゴいね」
名称に“ラブ”などと付いているホテルには、入ったことなどないアイはちょっと面食らっている。
それはもちろんマサヒコもそうなのだが、
「でもなんか…………あまり現実感のない部屋ですね」
まるでテレビ番組で見るコントのセットみたいに感じられた。むしろ部屋より余程リアルに、それでいて夢心地に感じられるのは、
“くにゅ……むにゅん………”
部屋のタッチパネルを押してからここまで、アイの身体が動くたびに、ずっと組んでいる腕にオトコの身体には在りえない柔らかさが
心地よい圧迫を加えてくる。
カップルが恥ずかしげもなく、街中だろうが人前だろうが腕を組んでいるのはなぜなのか? マサヒコにはわかった気がした。
この柔らかい魅力にオトコが抵抗するのはとても難しい。というよりも抵抗する気が起きない。
「立っててもしょうがないし、……中に入ろ」
さほど強い力で引っ張られたわけではないのだが、離れていくアイの柔らかさを追いかけるように、マサヒコも部屋の中に踏み入る。
「え〜〜〜〜っと…………」
とはいえ、これからどうしたらいいのかマサヒコにはわからない。
この部屋における最終目的地ははっきりと、なるだけ見ないようにしながらも目の端にに映っているのだが、そこへいきなり行っても
いいのかどうか? もっとムードを盛り上げてからロマンチックに誘うべきなのか? じゃそのロマンチックな誘い方はどうやるのか?
中学生のチェリーくんにいくら考えてもいい考えは出てきそうになかった。
「……どう……しようか?…………」
そしてそれは家庭教師も同じのようである。
目線はチラチラと答えを赤い顔で見てはいるのだが、そこに辿り着く公式がとんとわからない。
自分がわからないものは当然だが、カワイイ生徒にも教えようがなかった。
ただ生徒のほうはこれで結構物覚えもよければ、要領も存外にいいほうである。
わからない問題はとりあえず後回し、なんでもいいから解答欄を埋めろ、白紙はダメよ、というテストの鉄則を守る事にした。
まぁ、これはテストではなく本番なわけだが……。
「あの……お風呂…………入ったらどうかと……思ったりしたんですけど…………その………」
これが答案用紙に書かれたなら、非常に自信も力もない文字になっていただろう。でも答えはとりあえず、
「そ、そうだ……ね」
マルだ。花マルにはかなり程遠く、なんだかすごく頼りないが、一応は正解である。
アイはトテトテとその場から、マサヒコから逃げるように、さして広くもない部屋を真っ赤な顔で脱衣所へと小走りしていく。
そしてその場に“ポツンッ”と残されたマサヒコの顔も、負けず劣らず思いっきし赤かった。
まぁ、それはそれとして、いつまでも“ぼけら〜〜〜〜”と立っているわけにもいかないので、マサヒコは改めて部屋をキョトキョト
して座れそうな場所を探す。
ベッドに座って待ってるといかにも盛っているように見えるので、備え付けのテレビの前にあるソファーに腰を降ろした。
落ち着かない気持ちを何とかしようとリモコンを手に取ると、
「あ、あの……ね、マサヒコくん」
「ん?」
マサヒコが振り向くと、そこにはこの部屋に入ったときのように、顔だけを覗かせたアイがはにかんだような笑顔を浮かべてる。
ちょっとだけ見えている生肌の肩、それだけでマサヒコの心臓はボルテージを上げていた。
「なん……ですか……」
「あのね、その、え〜〜っと、ね ……先輩が言ってたんだけど」
マサヒコの心臓のギヤが期待でまたまた上がる。
今日ほど“中村”というキーワードに期待したことはない。そしてその“教え”にはもっと期待したこともない。
「……男の人は……一緒にお風呂に入りたがるって言うんだけど…………マサヒコくんも…………そうだったりするのかな?」
これがいつものマサヒコならしなかったろう。でも今日はいつものEDマサヒコではない。
勢いよく“ブンブン……”アホな子みたいに頷きまくっていた。情けないがこれが、極めて健全な男子中学生の反応である。
「…………一緒に…………………入る?」
アイの声が鼓膜から脳へとすべり込み『一緒に入る一緒に入る一緒に入る一緒に入る……』エコーが掛かると、マサヒコは“カクカク”
と膝が笑っている足で立ち上がると、
「は、はは、入りゅ……!?」
(なんでキマんないんだろうなオレは……)
マサヒコの目尻からは、己の情けなさにちょっぴし涙が滲んでいた。これがサムライの生きてる時代なら、切腹していたかもしれない。
でもアイにも元服前の少年を労わってやる余裕などはなかった。こちらも髪結い前である。
「……うん…………来て…………」
それだけを言うのが精一杯で、すぐに恥じ入るように首を引っ込めてしまった。
(カ、カワイイ……)
年上に“カワイイ”が褒め言葉なのかどうなのかはわからないが、素直なこれがマサヒコの想いである。
ズボンをその場で脱ごうとしたマサヒコだが、毎日毎日しているその作業に、指先が期待と興奮に震えてえらく手間取ってしまった。
それにこういうときは男の子の場合、大きくなってしまった“ナニ”かが引っかかるのも原因の一端である。
服をあっちこっちに散らばせて全部脱ぎ終えあると、マサヒコは“いざ出陣!!”と思ったかどうかは知らないが、両手で覆っても
隠し切れなくなっている“ブツ”を押さえながら脱衣所の扉を開けた。
「あれ!?」
そこにはてっきりマサヒコはもう、アイが生まれたままの姿で待っていると思ったのだが、
「!?」
教え子の股間を、その手からはみ出してしまっている勃起を見てしまい、ササッと視線を逸らす家庭教師はバスタオルを纏っている。
「……あ!?」
そんな反応をされると勢い込んで浴室に入ってきたマサヒコも、急に気恥ずかしくなってしまい、“回れ右”で後ろを向いてしまった。
ちなみにちょっと内股である。
「す、すいません!!」
脳内麻薬が多量に出まくっていたマサヒコは、“腰にタオルくらいは巻くべきだった”と、いまさらだが暴走気味の自分に後悔した。
そのまま出ていこうとする。
だがオカマちゃん歩きのマサヒコに、アイは待ったを掛けてくれた。
「どこいくのマサヒコくん?」
その怒っているわけではない優しい声の響きに、マサヒコはホッと胸を撫で下ろしながら首だけで振り返る。
アイはスポンジを手にして、鏡の前にある真ん中の、ちょうど手が通せそうに凹んだイスの後ろに、正座をして待っていた。
誰を? もちろんマサヒコをだ。
「背中流してあげる …………座って」
言ってアイは顔をうつむかせる。
スポンジにはもうソープが垂らされているのか、緊張の為だろう、アイがキュッキュッと握り込むたびに泡立って、それがなんだか
ひどくマサヒコにはイヤらしく見えた。
「……座って…………お願い」
「こ、こちらこそ よ、よろしくお願いします」
ここまで言われては断れない。断りたくない。なるだけ前を見せないようにしながら、凹んだイスに腰を降ろした。
ただ背中を流してもらうにしては、マサヒコの姿勢はずいぶんと前屈みである。
「あの、マサヒコくん、それだと背中流しずらいんだけど」
ごもっともな意見だ。仕方なくマサヒコは背筋を伸ばそうとするが、目の前にある鏡からはこの部屋の製作者の意図が透けて見えた。
普通の家にある鏡よりもあきらかに縦に長い。
座ってみてわかったのだが、ちょうど股間までがすっぽり収まる長さなのだ。
そういう目的のホテル、そういう目的の部屋なのだから、むしろ“GJ!!”と褒めるべきなのかもしれないが、
(余計なお世話だ……)
心の底はともかく、表面上はこう思うしかないのが、桜よりも鮮やかな色に染まっているチェリーボーイの単純複雑な感想だった。
「マサヒコくん」
上体を起こしてくれないマサヒコに、アイはちょっと困ったように声を掛ける。“ピトッ”と背中に手を触れると、
「…………お願い……」
再度、お願いしてみた。
マサヒコは知る由もないことではあるが、アイはここでも中村の教え〔入れ知恵〕を実践している。
異性に頼みごとをするときは『心持ち弱々しくスキンシップを取りながら』これで断られることはまずない…………らしい。
中村の言葉を信頼しながらも“ハラハラ”とアイはマサヒコの背中を見ていたが、
「…………あ……」
効果は覿面だったようだ。股間を手で押さえながらも、ゆっくりとマサヒコは上半身を起こす。
「ありがとね、マサヒコくん」
礼を言うアイに、
「うん……」
鏡に映ったマサヒコは短く返事を寄越した。その目は固く閉じられている。
頬が赤く火照っているのは、浴室の熱気に当てられた…………わけではないだろう。間違いなくテンパッてる。
「こちらこそ……その…………よろしく…………お願いします…………」
「はい♪」
逆にアイはというと、誰でもそうなのかはわからないが、パニクッた相手がいると返って自分は冷静、というか余裕が生まれるものだ。
ボディーソープと優しさで泡立てたスポンジで背中を丁寧にこする。少年のあまり広くない背中はすぐに泡で覆われた。
そしてそれに比例するように、
(せ、背中洗ってもらってるだけなのに………て、オレのこんなにデカかったけ?)
マサヒコの股間は手で覆いきれなくなるほど大きくなっていく。
イヤになるくらい見慣れたものもののはずなのに、こんな隠し玉が用意していたとは、マサヒコ本人にとっても新鮮な驚きだった。
そしてメジャーのマウンドは驚きの連続。
“むにゅん…………”
「はい?」
柔らかいものが背中に押し当てられる。スポンジではない。そんな無機質なものではなく、もっとまろやかな温かさを感じる。
そこへさらに驚きを提供するのが、世話好きのくせにおっちょこちょいな家庭教師の息遣い。
マサヒコの首筋に腕を廻して抱きしめながら、肩に小さな顔を“ちょこん”と乗せている。熱くて甘い吐息が掛かってくすぐったい。
背中にしなだれかかるように身体を預けてるので、若く張りのある乳房は圧力に耐え切れずに淫らに歪んでいた。
「!?」
そのままアイはマサヒコの背中に乳房を密着させながら身体を上下に揺する。清楚な乳房の頂点にある蕾は、もう固くしこっていた。
「ど、どうかなぁ こんなのは……その………気持ちいいかなぁ?」
上ずった声で自分のするはしたない行為に、マサヒコの評価を求めるアイ。そんなのは決まっているではないか。
「その………気持ちいい…………です……………」
わかりきった問題を正解するでけでも、いまのマサヒコには一苦労だ。その上でなんの捻りもない模範的すぎる回答に顔が赤くなる。
もちろん家庭教師はそんな気の利いた答えを期待してるわけではないのだろうが、なにかと格好つけたいお年頃なのだ。
特に好きな人の前では…………。
「よかった………こういうのよくわからないから………立場が逆になっちゃったね……いつもと…………」
「んッ、……は、はい」
頬をピトリとくっつけたアイの声は音としてではなく、マサヒコには息遣いとして感じられる。ゾクゾクしたものが背中を走った。
「じゃ、じゃあさ………ここも………ちゃんと……………」
“にゅる…………”
「!?」
左右に忙しく動いていたマサヒコの目が、驚愕に大きく開かれて真下を見る。
いつの間にか腋の下をくぐていたアイの細く長い爪まで綺麗な指先が、グロテスクな牡器官を優しく包んでいた。
「教えてね………………」
普段からは想像できないほどに色っぽくかすれた声。
期待に張ち切れそうになっている勃起の形を確かめるように蠢かせた。
「こうして欲しい……て思ったら……言ってね…………」
「……う、うん………」
「それじゃ……少しずつイクからね?」
ソープを付けてヌルヌルになった手が牡器官をゆっくりとこすり上げる。
「んンッ!?」
襲ってくる快感の荒波。
マサヒコは洩れそうになる声を奥歯を噛み必死に喉で殺した。
声を洩らしてしまうとその度にアイの手の動きが心配するように止まってしまう。それは健康なオトコにとっては拷問に近かかった。
“ハァハァ……ハァハァ………ハァハァ……………………”
もっとも呼吸が荒くなってしまうのはいかんともしがたい。ただ、興奮しているのはなにもマサヒコだけではなかった。
アイは背中から抱きつくような格好なので、二人の間で潰れている豊かな胸のはしたない変化もすぐにマサヒコに伝わってしまう。
マサヒコの背中に擦りつけることで昂ぶったのか、双丘の頂の硬度はどんどんと増していった。
その事実がまた若い牡の身体と自尊心を激しく刺激して、マサヒコの快楽中枢にダイレクトに訴えてくる。
「先生……もっと強く……もっと強く動かして」
「え、でも…………だいじょうぶ………なの?」
「だいじょうぶだから…………お願い…………」
でも快感に勝てずお願いしちゃうのが、オトコとしてまだまだ半人前“現在修行中”の悲しさだった。
アイとしてはなにしろ自分には付いていない器官だけに細心の注意を払っているのだが、持ち主であるマサヒコにお願いされては否応
もない。
“ちゅるん・じゅく・じゅるる………………”
牡本能による射精への渇望。
「ぐぅッ………んッ…………うぁッ……………んンッ………」
すでに快感を堪えているのか、それともただ苦しいだけなのかマサヒコにはよくわからなくなってきた。
そんなマサヒコの苦痛を取り去ろうとするように、アイの勃起をしごく指先の動きも性急になる。
ソープだけではなくマサヒコの先走りの液の助けもあって、その動きは覚えたてとは思えないほど非常に滑らかなものだ。
「出したいなら……出していいよ…………」
耳元で囁かれる。それがマサヒコの自制心の壁を決壊させた。堪えに堪えた勃起の先端が大きく膨らみ跳ねる。
“びゅッ・びちゅッ!・びゅぐぅんッ!!”…………”
強烈な射精欲を無理に抑えていただけに勢いは凄まじく、精液が白い尾を引いて迸り、鏡に映るアイの顔にぶつかって弾けた。
“ハァハァ……ハァハァ………ハァハァ……………………”
呼吸を整えながらマサヒコは顔を俯かせる。アイの指によって熱い塊を吐き出した解放感。
自慰などでは決して味わうことの出来ない甘美な痺れが腰の裏辺りにあった。 ただそれでも………………。
「ここは……こういうものなの?」
放出した後も白濁液を塗り込めるように、アイの指先は硬いままのマサヒコの勃起を包み蠢いている。
「いや……もうちょっと、その…………大人しくなる…………はずなんだけど…………」
そうなのだ。マサヒコの勃起はまるで硬直を解く気配がない。いまだにカチカチだった。
それが愛ゆえの業なのか、単純にヤリたい盛りの中学生の若さなのかはわからない。
だがとりあえずロングリリーフが可能だということだ。そしてここからはマサヒコの裏の攻撃である。打順はクリーンナップだ。
「先生…………今度は……今度はオレが先生を洗ってあげるよ…………」
立ち上がる。出すもの出して吹っ切れたのかもしれない。鏡の前で堂々と立つ姿はとても男らしかった。
クルッと振り向くと、雄々しいばかりに起立しているマサヒコの牡器官は、決して狙ったわけではないのだが、
「!?」
ちょうどアイの目のド真ん前である。思わず家庭教師は身体を仰け反らせた。
それにちょこっとだけ顔を赤くさせたマサヒコだが、ここで隠したりしたらカッコ悪さが二乗されてしまうので、そのまま構わずに
アイの手を引く。
凹んでいる椅子に座らせた。
そのときお尻から“ムッチリ”という音が聞こえたのは、多分マサヒコの耳が思春期イヤーだからだろう。
(なんとかなんなんないのかな……こういうの…………)
マサヒコは頭を抱えたくなったが、それは言っても栓ないことで、残念ながらどうにもこうにもならない。それが思春期クオリティ。
とまぁ、そんなお年頃のチェリーくんのお悩みは置いといて、いまはこちらもいまだ思春期継続中のアイだ。
人には身体を起こせと言っておきながら、自分はしっかりとコーナーに追い詰められたボクサーみたいに丸まっている。
だがマサヒコにはそれについて別段の不満はない。
なぜならそのディフェンスは一見非常に強固だが、盛っている中学生にとっては色んな意味でヤル気を刺激する効果しかないからだ。
“にゅるん…………”
「あッ!?」
その上ボディーソープというスペシャルお助けアイテムもある。
スルリと物凄くなめらかに、それよりも更になめらかな肌を滑って、マサヒコの両手がアイの乳房を鷲掴みした。
さして力を込めたわけでもないのに、指先があっさりとめり込んで深く沈む。そのくせに、
“にゅむ・にゅむ…………”
「んッ、ちょッ、マ、マサ、ん、んぅッ、待っ……くぅんッ………んンッ………あッ……ふぅッ………はぁんッ………」
揉み込むと指先を跳ね返そうとする強い弾力があって、制止するアイの声も聞こえずマサヒコは乳房の不思議な柔らかさに没頭する。
ただアイのほうにしても初めこそはガッついた教え子のワイルドな変貌に驚いたが、この手荒な愛撫が意外に満更でもないらしい。
「うッ…うッ…んあッ……あッ…はぁんッ……ふぁッ、あッ…んぅッ…んッ……ふぁッ……あ……やッ……はぁッ……んふぁ……」
艶やかな声を上げながら、悩ましげに身をくねらせる。
勃起を擦りつけて犬のように覆い被さりながら、羞恥と快感に震えるアイ、それを確認してマサヒコの手が、女性が最も守らなくては
いけない部位にのばされた。
“クチュ…………”
「んぅううッ!!」
ヌメっている。
そうであって欲しいとは思っていたが、アイの身体は、その秘唇は、マサヒコの指先に纏わりついてあきらかにヌメっていた。
まるで少女のように可愛らしくピタリと閉じていた唇は、どこかで聴いた歌のように刹那で娼婦に化ける。
「うぁッ…は……ああッ……あ…………ふぅ……うぅ…あ、ひッ……うはぁぁッ!!」
そんなアイの嬌声に促されて〔勝手に解釈して〕、マサヒコは中指を秘裂の奥へと挿し入れた。
処女なのに、羞恥で真っ赤に染めていた顔を更に上塗りするほどヌレヌレのアイは、なんの苦もなくマサヒコの指を迎え入れる。