作品名 作者名 カップリング
ワンサイドゲーム ドミンゴ氏 中村×マサヒコ


“ガチャッ”
 ノックもなしにいきなりマサヒコの部屋のドアが開けられる。
「オ〜〜ス、マサヒコ て、あれリンコは?」
 勝手知ったる人の部屋、中村は慣れた感じでバッグを肩から降ろすと、マサヒコにまず入ってすぐ思った疑問をぶつけてきた。
「はぁ なんだか家の事情で早退してましたから、今日は来ないんじゃないですか?」
「あれまぁ アイも補習で今日は来れないよ」
 そうすると、今日マサヒコは中村に教わることになるんだろうか?
 いつの間にかこの部屋で合同勉強会が当たり前になっていたが、中村はあくまでリンコの家庭教師、マサヒコに教える義務はない。
「ふぅ〜〜ん まぁ、たまには相手を変えるのも悪くないわね」
 ただ、中村はこれで以外に義理堅い。
「それにスワップみた……」
「さぁ 授業始めましょう 中村先生」
 これさえなければ、非常に大人な女性だと思う。
「ちぇッ マサ切り替えすの早ぇよ ちゃんと最後までイカせてくんなきゃ」
「ハイハイ わかりましたから、始めましょ」
「ノリ悪りぃ〜〜」
 言葉だけ聞いてれば、中村はブ〜たれてるように思える。でもマサヒコはそのとき参考書しか見てなかった。
 だから気づかない。その目が笑ってるのに……。

“カリカリ……カリ……カリ……”
 中村の授業は予想外にごくごく普通だった。初めのうちは……
「あの……先生」
「だから、この文法はコッチに掛かってんだよ」
 中村は身体をグッと乗り出して、参考書の上に指先を滑らせる。
「いや、そうじゃなくて」
「まぁ日本のテキスト英語なんて攻略法がわかりゃどうって事ないから」
 二人の距離はいま、限りなくゼロに近い。
 最初は自然な距離で座っていたのだが、いつの間にか二人は寄り添うような形になって肩をくっつけあっていた。
「せん……中村先生」
「ん? なんだね」
 中村はマサヒコを覗き込むように顔を近づけてくる。
「あ……」
 甘い匂いがする吐息が唇に掛かって、童貞少年をドキリとさせた。
 それに香水だろうか?
 ブランドまで中学生のマサヒコにはわからないが、微かな体臭と混じり合って普段は感じない大人の女性を意識してしまう。
 それこそ、ほぼ毎日顔を合わせる相手だが、マサヒコは急に気恥ずかしくなって目を逸らした。
「マサ……」
 頬にそっと、細くて長いキレイな指が添えられる。
「人と話しをするときは……目を見ろって教わらなかった」
 たしかに人と話すとき、特に目上に対して失礼ではあるが、なんだかさっきよりも吐息が近い。

「マサ……」
 かすれたような声で名を呼ばれるだけで、思春期の心臓が早鐘を打つ。
「マ・サ・ヒ・コ」
 もう三度目だ。仕方なくマサヒコが目を向けると、うっすらとリップを塗った唇が迫っていた。
「んンッ!!」
 突然、唇を奪われたマサヒコは、驚きのあまり目をいっぱいに見開いたままどうすることもできない。
 その初々しい反応に目の端でニッと笑うと、中村は白い歯並びを押し割ってマサヒコの口内に舌を挿し入れる。
「んむッ……ふぅ……んンッ……んぅ……」
 捕食者の前の小動物のように縮こまっているマサヒコの舌を、中村の舌は貪欲に絡め取り吸い上げた。
 中村は左手でマサヒコの肩を抱き寄せると、上から覆いかぶさるように、さらに強く深く唇を押しつける。
 完全に押し倒す体勢になると、ようやく中村は唇を離した。
 二人の間を銀色の糸が繋ぎ、プツリッと切れる。
「ねぇ……マサ」
 肩口から零れる長い黒髪が、頬にサラサラと当たってくすぐったい。
「今日の授業は下にお母さんもいないみたいだし、特別科目にしようと思うんだけど……どうかな……」
 股間の辺りをずっしりと、いやムッチリとした柔らかく心地よい感触が圧迫する。
 ユルユルッと、その気持ちいいものは前後に揺れていた。
「い、いいと思います」

「よろしい、んじゃ授業を始めようか」
 馬乗りになっていた中村は上体を起こすと、キスだけでハァハァと息を弾ませているマサヒコの手を取り自分の胸へと宛がう。
“にゅむん……”
「あ!?」
 ED疑惑があるマサヒコだって思春期真っ只中だ。オッパイの柔らかさってどんなだろう?と考えたことだって無論ある。
 (こんな感じなんだなぁ……なんか……コレ……スゴい……)
 なにがどうスゴいのかはマサヒコ本人にもよくわからないが、大げさではなく憧れの感触に感動していた。
「マサヒコ……もっと強く触ってみ」
 中村は乳房に添えられたまま、ピクリッともしないビギナー丸出しのマサヒコの手に自分の手を重ねると、軽く円を描くようにしながら
さらに強くふくらみに押し付ける。
“ぐにゅうッ……”
 下から見上げている所為もあるが、いつもより大きく見える乳房がマサヒコの手のひらであっさりとつぶれた。
「ねぇマサヒコ、私のオッパイ……どんな感じ……」
「ど、どんなって」
 毎度おなじみの、中学生をからかっているエロトークだということはわかっているのだが、『ハイハイ』と流せるような状況じゃない。
 マサヒコが答えに窮していると、
「ふむ? 服の上からじゃよくわからないか」
 どう考えても故意にセリフを曲解すると、中村は腕をクロスさせてTシャツを豪快に脱いだ。
「このブラ似合ってる? けっこう高いのよ」
 シャツを頭から抜いたときに乱れた髪を直しながら、中村は黒いブラジャーに包まれた胸を誇らしげにマサヒコに晒す。
 プロポーションには自信があるのか、思春期のガッツいた視線にも臆するところはない。

「あの、その……」
 マサヒコの喉はカラカラに渇いていた。
 ここで場慣れした男であれば気の利いたセリフの一つも出てくるのかもしれないが、マサヒコにそれを求めるのは無茶である。
 もっとも、中村がマサヒコに期待してるのはそんなセリフではなく、いかにも初心な童貞君の反応だ。
 ドギマギとした表情を見せられる度に、中村の背筋をゾクッとしたものが走ったりして、ここまでのマサヒコは文句なく合格点である。
 (いやぁ、まいったねこれは……以外に私はショタコンだったのね)
 心中密かに鼻息を荒くする中村は背中に手を廻すと、慣れた手つきでブラのホックを外した。
 カチッという音が静かな部屋の中、やたらと大きく聞こえる。
 ゆっくりと焦らすように、中村は熱いくらいの視線を意識しながらブラを脱ぐと、マサヒコの顔の両脇に手をついてお願いした。
「ねぇマサヒコ……触って…………私のオッパイ」
 真下に組み敷いた相手に上目づかいをするという器用なことをしながら、中村はじっとマサヒコがアクションを起こすのを待つ。
 誘ったのは自分だが、ここからはマサヒコに自分で決めてほしかった。
 中村は最後までイクきバリバリだが、ムリヤリの逆レイプみたいなのはしたくない。拒否するのであれば大人しく引き下がるつもりだ。
 いまならまだそれが出来る。
 (でもまぁ……オナニー覚えたてのサカッテル時期にこんな美人のお姉さまが誘ってるんだし……断れるわきゃないけどね)
 真剣な、それも涙を潤ませるオマケつきでマサヒコを見つめながら、中村はずいぶんと勝手なことを考えていた。

 そして、いくらもしないうちにその読みは的中する。
 しばらくは時が止まったように身じろぎしなかった二人だが、中村の目の端ではそろそろとマサヒコの手がリハビリ患者のように
握って開いてをくり返していた。
 それは如実に少年の迷いを表している。もっとも……
 (よっしゃいただき!!)
 思春期の天秤がどっちに振れるかなどは、自称隣のキレイなお姉さまにはわかりきっていた。
 まだまだ通院が必要なぷるぷると震える手が、魅惑のふくらみへと伸ばされる。
“ふにゅんッ……”
「……あッ」
 パンチドランカーさながらな加減の出来ない童貞の指先が、ずっしりと重くて柔らかな乳房にめり込む。
 マサヒコは『しまった』と顔をしかめたが、意に反して中村の唇からは色っぽい鼻に掛かった声が漏れる。
「もっと……もっと強くていいから……」
「は、はひ」
 コミカルな裏声で返事をしながら、マサヒコは憑かれたように指先を動かし続けた。
「そう……んッ……いい………あんッ……感じ……」
 中村の言葉に偽りはなく、すぐにムックリと身を起こした乳首が下から手のひらを突き上げてくる。
 見ると触れてもいないほうの乳首もふるふると震えながら起立していた。そのままマサヒコの口元へとスゥッと寄せられる。
 頭の中がくらりっとなると、花の匂いに誘われる蝶のように、マサヒコは赤ん坊以来十数年ぶりに乳首を口に含んだ。

“ちゅむ…”
「あんッ!」
 中村の唇からは艶かしくも歓迎するような声が漏れる。
 その反応に勇気づけられたのか、マサヒコは舌先でくすぐったり歯を立ててみたりと、愛撫と呼ぶにはまだ稚拙ながらも積極的に
舌と指先を蠢かせた。
「んぅッ……そ……そう…んぁッ……くぅッ……あ………ウマい…よ……ンんッ……」
 (これは……マサヒコ……ほんとにスジがいいぞ……掘り出しもんだわ、いやぁ将来が楽しみだね)
 中村としては童貞少年を傷つけないように、ある程度の『気持ちがってる演技もしなくては』と思っていたが必要はなさそうである。
 ここまでのスーパールーキーぶりならば、デビュー戦でも手加減はいらないだろう。
 マサヒコにバレないように、こっそりモジモジとお尻を振ってしまう火照った身体でそう結論付けると、中村はパッと身体を起こした。
“ちゅぽん……”
 音が鳴るくらい強く吸っていたマサヒコは、離れていく乳首に未練がましく舌を伸ばす。
 残念ながらマサヒコの舌の長さは人類平均なので当然届かず、自分の唾で濡れた乳首を物欲しそうに見つめていた。
「ぼく、まだオッパイ欲しいでちゅか?」
 からかうように〔実際からかってるのだが〕中村が声を掛けると、ハッとなったマサヒコは口を尖らせながら慌ててそっぽを向く。
 その顔は耳まで真っ赤である。
「あっはは ごめんごめん」
「………………………」
 マサヒコはむっつりと口を閉ざしたまま、中村の方を見ようともしない。ヘソを曲げてしまったようだ。
 ただ中村にはマサヒコの考えていることが手に取るようにわかる。
 まぁ、まだ手に取ってはいないのだが、お尻の下に敷いているマサヒコの勃起が、ドクンドクンッと可愛くなるくらい素直に
そして力強く欲望を訴えてくる。

「機嫌直してよ、お詫びに、いいことしてあげるから」
 そう言って中村は立ち上がると、手をマサヒコに差し出す。
 現金なもので、マサヒコは『いいことしてあげる』の言葉にあっさりと手を握って立ち上がった。
「そこに座って」
 中村が目で指し示すのは机の上だ。
「なんで?」
「なんでも、いい子にしないとヤメるよ」
 (あれ? 俺、押し倒されたんじゃなかったっけ?)
 マサヒコの頭の上にはクエスチョンマークが浮かんだが、たしかにこんなところでヤメられては、抑えの利かない思春期の身体の
構造上大いに困る。
 釈然とはしないが、大人しく机の上に座った。
「もっと男らしく、ガバ〜〜ッと足開きなさいよ」
 ゼスチャー付きで説明する中村を見ながら、なんとなくマサヒコにも『お詫び』の正体がわかってきた。
 (やっぱ……アレ……かな)
 マサヒコの開いた足の間に身体を入れると、中村はペロッと唇を舌で舐めてズボンのチャックに手を掛ける。
“ジ〜〜〜ッィ”
 ぽっかりと開いた穴からは、ヤリたい盛りの元気な勃起がパンツから飛び出さんばかりにこんもりと膨らんで顔を覗かせていた。
「こんなんじゃ苦しいでしょ」
 マサヒコのように指先が震えることはないが、柔らかく包むように取り出した勃起を見つめる中村の目は爛々と輝いており、
熱い吐息が吹きかかるほど顔を寄せている。
「えらいえらい、ちゃんとムケてるね」
 (それに……ちょっとだけするオシッコの臭い……変態っぽいけど嫌いじゃないんだよね)
 ただこの残尿臭というものは、誰のものでもいいというわけじゃないから不思議だ。
 同じ香水でもイヤなヤツが使っていれば、それはイヤな臭いになるのである。マサヒコの匂いは……嫌いじゃない。

「てか、むしろ好きかな」
「うッ!」
 マサヒコが身をよじる。ただでさえ敏感な器官のうえに、マサヒコのはこの姿になってからまだ日が浅いのだ。
 中村がしゃべるだけでも息が掛かって、少しピリッとした痛みが走る。
「おっと、ごめんごめん」
“はむッ”
 口を大きく開けると、中村は勃起をいきなり根元まで丸呑みにした。
「あぅッ!」
 女の子みたいな声を上げて、マサヒコが身体を仰け反らせる。
“ぬむむむッ”
 今度はゆっくりと頭を引いて亀頭ぎりぎりまで後退すると、また勃起に唇を滑らせて喉の奥まで呑み込んでいく。
 それを中村は二、三度くり返して口内に馴染ませると、先っちょの鈴口に舌を挿し込んでくすぐったり、シャフトの裏を根元から
先端まで舐め上げたり、小さな円を描くようにこねまわしたりと、多彩な技の冴えをみせて亀頭をなめしゃぶる。
 そのしつこいぐらい丁寧で技巧を凝らした亀頭愛撫に、マサヒコが耐えられる訳がなかった。
「ちょ、せ、先生、俺もうダメ……んぅッ……で、出そう」
 マサヒコは童貞にしてはよくもってるほうだろう。
 しかし、中村はマサヒコのギブアップ宣言を聞いて眼鏡のレンズをを光らせると、再び喉の奥まで呑み込んで頭の振りを速くした。
「ほ、ほんと、出ちゃうって……ああッ」
 中村を引き剥がそうと、マサヒコは黒髪を振り乱してる頭を掴んだがどこか力がない。
 建前は『口の中を汚してしまう』などと繕おうとするが、本音では『思いっきりぶちまけたい』という隠れた願望があるからだろう。
「あッ す、すいませんッ!!」
 亀頭が口内でぶわっと一回りも大きく膨らみ、爆ぜた。
“びゅくん・びゅ・びゅるる……”
 暴発した蒼い精を、中村は慌てず騒がずにいったん舌で受け止める。

“ぶちゅ・びゅる・びゅッ……”
 よっぽどタマッていたのか、マサヒコの射精は中々終わらない。
 (それにスゴく濃い)
 この後はなにを食べても青臭くなりそうだ。そうは思いながらも、中村は躊躇うことなくマサヒコの精液を飲み下していく。
 勃起をひくつかせながら、マサヒコはぼ〜〜っと中村の白い喉がコクンコクンッと嚥下するのを見ていた。
“じゅちゅるる……”
「はぁうぁッ!!」
 口の端から零れそうになる精液を中村がすすり上げるたびに、口内がきゅぅッと収縮して亀頭が強く圧迫される。
 最後の一滴まで口の中に収めると、ガクガクと腰を震わせているマサヒコの勃起からようやく唇を離した。
“チョイチョイ”
 顔を伏せた中村が手招きする。『なんだろう』と普段よりもかなり警戒心の無くなっているマサヒコが顔を近づけると、
「んンッ!?」
 また、いきなり唇を重ねられた。だが今度侵入してきたのは舌ではなく、
「うぅ!? うぇええ!!」
 マサヒコは中村を突き飛ばすと、口元を抑えながらすごい勢いで部屋を出ていった。
「まったく男ってヤツは……女には飲ませたがるくせに自分はイヤなんだから」
 部屋に一人取り残された中村は、男の身勝手さを糾弾しながらふっと窓を見る。今更だがカーテンも引いてなかったことに気づいた。
「これはいくら私でもオープンすぎたかな」
 カーテンを閉めに、上半身裸のままで窓に近づくが、
「!?」
 素早く身を伏せる。知り合いがいた。急いで服を身に着ける
 階段を下りると、洗面所辺りから水の流れる音が聞こえるが、マサヒコに事情を説明している余裕はない。
「二時間目はバレない浮気の誤魔化し方実践編よ、がんばってねマサヒコ」
 聞こえてないのはわかっているが、一応マサヒコにそう言うと、浮気相手の家庭教師は本妻が来る前に脱兎の如く小久保家を後にした。
 ついでにこの問題の難易度はかなり高い。マサヒコの部屋には、黒いブラが残されたままだった。


                                         終わり

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