作品名 |
作者名 |
カップリング |
時季外れの小ネタ |
メリー氏 |
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〜バレンタイン前日〜
《ミサキ》
市販チョコの山の前で、一人腕を組みながらミサキは唸っていた。
『ただ溶かして、移して後は固めるだけだよね…?』誰に聞かせるでなく独り言を呟きながら、決心したように顔を上げて作業に取り掛かる
(うん…こんなのは気持ちが籠もっていれば、大丈夫!待っててねマサちゃん!)
愛しい人を思いながら、根拠のない自信に満ち溢れた作業は進んでいく
次の日相手が凝縮されすぎたチョコに歯が折られたり、腹痛に悩まされたりしたのは想いが強すぎたのだろう…。
《アヤナ》
エプロンを身につけ、チョコを湯煎しながら、アヤナは顔を赤くしている。
(小久保くん…喜んでくれるよね?)
頭の中に、想像しながらも自分自身を納得させようとする。
(そ、そうよ大体義理なんだし、家族にあげるついでなんだから…。)
明らかに気合いの入り方が違うと、誰か居たら突っ込まれそうだが…。
(ま、まぁ金魚とかも貰ったし…。それに小久保くんに特別な気持ちなんか……。)
(優しいし、他の男と違って私を普通に友達とみてくれるけど…。)
(で、でも!もし渡してそれから付き合うようになったら……。)
少しトリップをしていたアヤナだったが…。
『えっ!?焦げ臭い……って…ああぁ!?』
火をかけすぎたチョコは、焦げ付き煙をあげていた…。
勿論アヤナは泣きながら台所を片付けた
【恋は盲目】という言葉が似合うアヤナであった…。
《アイ》
『やっぱり美味しいのが良いよね?』
と、アイは自分で買ってきた数種類のチョコをテーブルの上に置いた後
『味見よね?味見…うん味見!』
少し涎を垂らしながら、手を伸ばしてチョコを自分の口へと運ぶ。
『あ!美味しい!……えーとこっちは…パクパク…こっちも美味しい〜……じゃあ……』
〜その後〜
『あ〜美味しかった〜。え〜と何か忘れているような…。』
テーブルの上にあったチョコは、味見?によってみる影もなく当初の目的を、すっかり忘れてアイは満足そうな顔をしていた。
次の日に、マサヒコの家に向かっている途中に思い出し、急いで買いに行くが持ち合わせがなく、チ〇ルチョコをかって苦笑いをされたというのは、また別の話である。