作品名 |
作者名 |
カップリング |
「メモリー」 |
603氏 |
- |
「・・・ん」
声が聞こえる。はっきりとは聞こえない。
「・・く・君」
若干さっきより聞き取れた。その声は誰かの名前を呼んでいるようだ。
「小久保君」
声がはっきり聞こえた。「うっ・・・」
「大丈夫?小久保君?」
まぶしい・・・。首を少し起こし周りを見渡す。見覚えの無い風景。どこだ・・・ここ?
「・・・ちょっと・・いつまでそうしてるつもり?目が覚めたんならさっさと立ちなさいよ!」
そこまで言われてやっと今の自分の状況がわかった。どうやら膝枕をしてもらってたらしい。慌てて身を・・起こせなかった。頭に鈍痛が走ったせいだ。
「小久保君大丈夫?」
上から心配そうな声がかけられた。疑問を感じ返事をしようと試みたが「・うぅ・・・」うめき声を上げるのに精一杯だった。
「・・・・・はぁ」
ため息が聞こえたので頭の痛みを無視し、起き上がろうと体を動かしたら「無理して動いちゃだめ」と、言われたのでしばらくの間じっとしておく。
何分間かこの状態が続き、頭の痛みもだいぶ治まってきたので「ありがとう。もう大丈夫」と、感謝の声をかけ身を起こした。
「まったく・・・小久保君ってほんと人がいい上にドジね」
スカートをはたきながら言われ、その言葉にまた疑問を抱きさっき聞こうとして聞けなかった事を思い出す。
「なぁ小久保ってオレのこと?」
「っ・・・。笑えない冗談ね」
「いや・・冗談とかじゃないんだけど・・」オレの言葉に膝枕をしてくれてた女の子が顔色を変えた。
「ねぇ、私の名前・・わかる?」
「・・ごめん。わからない。」
「若田部って聞いたこと・・・・あるよね?」
「・・・ごめん」
いろんな質問に答えつつ、オレの頭の中はこれからどうしようと言う考えでいっぱいだった。