作品名 作者名 カップリング
No Title 584氏


そういえば、私達だけでパーティーとかやったこと無いよねー。
何気なくつぶやいたリンコの一言から、あれよと話は進み、カテキョ二人を抜いた三人娘+マサで
ちょっとしたパーティーをやろう、ということになった。
「お姉様達に内緒にするなんて、ちょっと心苦しいわ」
「まあ、そんなに深く考えるなよ」
エロボケに突っ込まなくてもいい分だけ気楽なもんだとマサヒコ。
「あ、どうせなら、皆で料理しない?」
「ええぇ!?」
これを聞いたミサキはうえぇっとしかめ面。
これまた何気なく、ていうか何も考えずに発言する天然娘。
いきなり何を言い出すんだこの天然娘。
「でも場所とか…食材とか」
「あら、それなら私の家でやればいいわ。キッチン広いから四人くらい大丈夫よ?」
にっこりとアヤナ。それはすでに勝利の笑み。料理はミサキに唯一勝っている分野。
「大丈夫だよミサキちゃん!万が一があっても、アヤナちゃんならきっと何とかしてくれるよ!」
無邪気な言葉の槍が刺さりまくる。だが、ミサキも座して死を待つつもりはさらさら無い。
あれから独学で鍛錬を積み、先学期、家庭科は3になったのだ。
それに、これはマサヒコに自分の料理の成長を見せるまたと無いチャンス。
「わかったわ、皆でやりましょう!」
「フフン、そうこなくちゃ」
「わーいごちそうだぁー!」
うおおぉっと気勢を上げる少女達。そして、
「ちょっと待て、俺もやるのか?」
一人蚊帳の外のマサヒコだった。




さて、時と場所は移って、ここは若田部邸の台所。ていうか厨房。
お気に入りのエプロンに身を包んだ三人娘達、何だかんだで和気藹々と下ごしらえ。
ちなみにメニューは中華。材料、ソースの下ごしらえを面倒くさがらずにやれば、見た目が悪くても
結構美味しく食べられるんです。
マサヒコは客間でテーブルのセッティング。さすが若田部家、りっぱな円卓があったりする。
てきぱきとリズム良く慣れた手つきのアヤナ、むぅと眉間にしわを寄せ秒を刻むがごとく包丁を
振るうミサキ、そして同じくたどたどしく包丁を使うリンコ…。
って、彼女に包丁を持たせて、事件が起こらないわけが無い。
「うわーん、指切ったぁー!」
痛いよぅと、左の人差し指を押さえてリンコはドタドタと走り回る。
「リンちゃん落ち着いて!」
「ああもう!とりあえず指を口にくわえなさい!」
「口って上?それとも下の方?」
「上に決まってるでしょ!」
下ネタを振られてキーッと憤るアヤナ、リンちゃん余裕あるんじゃと苦笑いするミサキ。
そこにセッティングを終え、騒ぎを聞きつけたマサヒコが、なんだどうしたと、
ひょこりと顔を出した。
「あ、小久保君!口開けて口ぃ!」
「はぁ?」
ワケワカラン状態で突っ立つマサヒコに向かってリンコは突進、血でうっすらとにじんだ指先を
マサヒコの口の中へと押し込んだ。そりゃもうちゅぽんって感じで。
「むがっ…いきなり何をする!」
リンコの左腕を掴んで強引に引き離す。
「だってアヤナちゃんが口にくわえろって…」
「自分の口を使え」
いつものようにクールに突っ込むマサヒコに、「あ、そっか」とリンコはマサヒコの唾液で濡れた
指先を咥え、ちゅーちゅー吸い始めた。
「で、おまえらは何やってんだ?」
マサヒコの視線の先には、包丁の切っ先を自分の人差し指に刺そうとして、プルプルと震えて
いるミサキとアヤナの姿があった。



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