作品名 |
作者名 |
カップリング |
「楽しい我が家?」 |
556氏 |
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「プルルルルルル プルルルルルル」
電話が鳴る。夕飯を作ってる最中に電話が鳴る。
腹が立つ。
日没後ほとんどの家庭持ちの女性ならこの気持ちが分かるだろう。
「うるさいわねー、誰よ夕飯時に電話かけてくる馬鹿は」
エプロン姿におたまを持ちつつとりあえず電話に出る。
「はい小久保です。あらマサヒコ……え?傘が無い?もう、傘ぐらい持っときなさいよ……あーはいはい分かったわよ迎えに行ったげるわよ」
ああ、ホントだ雨だ。気が付かなかった。それだけ料理に集中してたのだろうか。
まったく世話の焼けるヤツだ。この雨の中、わざわざ駅まで迎えに行かなくてはならなくなった。
まあちょうど夕飯も出来るトコだし、駅までそれ程は遠くないので傘を持って行ってやるか。
まず、その辺で遊んでいる筈の娘に声をかけねばならない。
「リョーコ!ちょっとお出かけするわよ」
「はーい」
ぱたぱたと可愛らしい音をたてて愛娘が寄ってきた。
「どこ行くの?」
「駅までパパお迎えにいくのよ」
とりあえず雨だし、暗めの色の上着を着させ、自身もエプロンを脱ぐ。
よし。ガスも止めたし電気も消した。準備オッケー。
「あれ?ごはんはどうするの?」
長靴を履きながら娘が尋ねてくる。
「悪いけど、パパが帰ってからね」
「えー」
心底残念そうな声。
「大丈夫。温めなおしてあげるわよ」
鍵をかけて家を出る。傘を三つ持って、二人は手を繋いで歩き出した。
十分程度で駅についた。大人の足なら五、六分で着くのだが、やはり子供を連れて、しかも雨の中を歩けばまあそのぐらいはかかるものだ。
「さあて……パパはどこかしらねぇ」
そんなに広くない駅の出口周辺を探すこと数分。やれやれ、せっかくのカレーが冷めてしまうではないか、と思いつつ娘の手を引いてマサヒコを探す。
自分だって仕事して結構疲れてるのに今度はダンナの世話までしなけりゃならない。自分は完璧超人か?ネプチューンマンだったか?なんて思ってしまう。
(ったく……ラリアットでも喰らわしてやろうかしら)
なんて思っている間に娘がマサヒコ発見。
「パパー」
「おー。リョーコ!」
うれしそうに駆け寄る娘。『あーあー。こけるなよ』なんておもいながら自分も彼の元へと向かう。
「いやーゴメンゴメン。助かったよ。おりゃっ!」
リョーコを抱き上げながら言うマサヒコ。リョーコは嬉しそうにはしゃぐ。
「ゴメンな。きっと飯作ってたんだろ?」
「もういいわよ。一応もう出来てるし」
「そうか、今日は何?」
「アンタ達の好きなカレーよ」
おっ。マサヒコの目の色ちょっと変わった。
「リョーコ聞いたか?今日はカレーだってさ」
「しってるよー」
親子二人でカレーではしゃいでいる。周囲から見ればそれはとても微笑ましい。
「ホントごめんな。なんか埋め合わせでもするよ」
困ったかのような表情でいうマサヒコ。ずるい。コイツはいつもそれで周囲の女性を沈めていく。結婚した今も、コレを見るとドキッとしてしまう。やっぱりマグネットパワーをつかい、相手を動けなくするマサヒコの方が完璧超人なのだ。
そして自分はそれに見事につかまった一人なのだと改めて実感する。
「ん」
少し顔を赤らめながら、いつかの大雪の日と同じようにアヤナはマサヒコに傘を突き出した。
なんだかんだで無事家に帰宅。
二人とも働いていて、しかも若田部父から
「家でも買いたまえ」
とポーンと大金を渡され、貯金は結構ある。
最初は結婚後すぐに中古の二階建て一軒家でも買おうと思ったのだが、まだまだ新婚だということでマンション(と言っても結構広い)に住んでいる。
もっとも、もう結婚して数年になるので近いうちに一軒家に引っ越す予定だが。
部屋着に着替えるマサヒコ。
一方アヤナはマサヒコの脱いだ背広をきっちりハンガーに掛けてゆく。
「パパー。こっち来て本読んでー」
「はいはい」
そう言うとマサヒコは娘の方へ行ってしまった。
「二人共もうすぐご飯だからすぐに来てよー」
「「わかってるー」」
本当に解っているのか怪しい返事が二つ。
(ホントにわかってんのかしらね。あの子もお父さんっ子っぽいしその辺なんかもうそっくりだわ)
アヤナは小さく、しかし幸せそうなため息をついた。
鍋の中ではアヤナ特製のカレーがおいしそうな香りを放っていた。
二人の仕事のこともあり、小久保家の夕食はいつも七時半から八時ごろ。やはりまだリョーコは小さいので食べたらすぐに風呂に入れて寝かさないといけない。
よって大人が落ち着くのは十時過ぎになる。
「はい、アナタ。一週間お疲れ様でした」
「お疲れさん」
アヤナがワインを持って来てグラスに注ぐ。マサヒコが結構いけるクチなのを若田部父が喜んで、しょっちゅう海外からワインやらビールやらを送って来るのでこの家では晩酌が多い。
それでも飲みきれない場合は豊田家、元担任の豊田セイジと旧姓中村リョーコの家に輸出する。
ただあんまり輸出しすぎるとセイジがマサヒコに泣きながら抗議の電話を掛けてくるのだが。
結構なペースで飲みながら延々と話すアヤナ。その隣でテレビをみながらちびちびと飲むマサヒコ。目線はテレビに行っているものの、ちゃんと話は聞いている、これでいてなかなか器用である。
「それでさー、結局……なのよ」
「へー。でもそれって……だろ?」
アヤナはアルコールに強い方では無い。というか弱い。しかし明日は土曜日。
アヤナは休みの前になるといきなり酒豪となり、相当な量を飲むのだ。
飲み続けること一時間半。もうすっかり夜も更けてきた。
「あー。オレ風呂入るわ」
「そうね……お布団ひかないと」
二人とも真っ赤な顔でのろのろ動き出す。今日はかなり飲んだ。アヤナはもう千鳥足だ。
かぽーん
「あー……生き返る」
やけにオッサン臭いマサヒコの独り言。今日一日で一番平穏な時間ともなれば勝手に口から出てしまうのも仕方が無い。
明日は休日、アヤナは酔ってる、嫌な予感、この三つが揃えばきっとその……アレだろう。
(あー大丈夫かなオレ……)
これから普段より激しい深夜行事が始まるであろうことをマサヒコは確信した。
風呂からあがりだんだん酔いも醒めた。パジャマに着替え、ドライヤーで紙を乾かす。
布団部屋に入る。部屋の電気は消されているものの、枕元のスタンドは点灯していて部屋全体が妖しげな明るさを持っている。
布団からアヤナが半身で寝ながら掛け布団の端を上げてマサヒコを誘った。
「さあアナタ?一緒に・ね・ま・しょ?」
アヤナはもう完全に酔っている。いつもならこんなに大胆ではない
水色が基調の鮮やかなパジャマを着てはいるものの、ボタンは全く留めていない。おかげで艶かしい谷間がはっきり見える。
(……やべ……鼻血出そう)
普通の男なら鼻血で気絶するであろうシチュエーションをグッと耐えて、アヤナのいる布団に潜り込む。コレもEDの成せる技か。
「んっ……」
「……」
入るなり口を塞がれる。情熱的なキス。そのまま上に乗ってくるが口は塞がったままなので抵抗はしない。という手が首にまわされていて出来ない。
アヤナの舌が割り込んで来て、マサヒコの口の中で好き勝手に暴れまわる。ピチャピチャという音しか聞こえなくなる。これでもかというほどキスをしてから、アヤナから口を離す。二人の口に透明な橋が架かっていた。
「……ねえ……マサヒコ」
甘い声で呼びかけるアヤナ。
「……何?」
「ちょっと両手あげてくれない?」
「……いいけど」
マサヒコはいわれた通りに両手をあげた。
アヤナがあげた両手になにかしようとしているのは分かる。が、アヤナの豊満な胸に顔を押さえられていて何も見えない。
……ガチャッ
(……ガチャッ?)
どうにか見えるようになった頃、マサヒコの両手には手錠が掛けられていた。
「……何コレ?」
「手錠よね」
「んなこたーわかっとる。何でいきなり手錠なんか掛けるんだよ!?」
一瞬の静寂。
「だって、いっつも私ばっかりやられっ放しじゃない!たまにはこっちも一方的にやってみたいのよ」
拗ねたような口ぶりで言うアヤナ。一体どこから手錠など持って来たのだろうか。
「だからっていきな……」
「うるさいわねー。えいっ!」
もう一度口を塞がれ、上の服を脱がされる。そのままアヤナの舌が耳やら首筋やらを這い回る。もう普段マサヒコは愛撫をする側であって、される側では無い。
そのせいかくすぐったいような、ムズ痒いような感覚がマサヒコを襲った。
アヤナの唇が、舌が、指が、マサヒコの体を上からゆっくりと舐め回してゆく。もうアヤナのパジャマは自然と脱げていた。
ふとアヤナの動きが止まる。何か考えているようだ。
そしてそれはすぐに意地悪な笑みに変わった。
「そういえばアンタってココとか弱かったわよねー」
アヤナの舌がマサヒコの脇腹をなぞる。
「ちょ、おいアヤナ!ソコは駄……うわっ!」
マサヒコの顔がさらに激しく歪んでいく。その表情がアヤナをさらに昂らせていく
「んふふふふ〜可愛いわよ〜ア・ナ・タ」
「おま……酔いすぎ……ひゃっ!」
「いーじゃない。……アタシはアンタしか男知らないんだし、旦那の弱点くらい熟知してなきゃね〜」
そう言うと、アヤナはまたマサヒコの体にキスの雨を降らせていった。
「あーっ!ココも実は弱いんじゃないの〜?」
「ちょ……ヤバいって。なんで……うおっ……そんな上手いんだよ?」
「アンタのマネしてるだけよ」
「……マジかよ」
憐れマサヒコ。長い長い愛撫によって、一晩で新たに複数の弱点を見つけられたのであった。
「それじゃ、次はこっちね」
そう言ってマサヒコのズボンとパンツを一気に脱がせた。マサヒコはかなり体力を消耗した様で、もう大して抵抗しない。
同時にアヤナも身に着けた物を全て脱いでいた。見事としか言いようのないプロポーションが露になった。
「胸でしてあげるね……」
マサヒコのモノを胸に挟み、ゆっくりと擦り始めた。
「ほら?気持ちいい?」
「ああ……いいよ」
そう、マサヒコはパイズリに弱かった。さらにそれをしているのはアヤナ。中学時代からまた一段と大きくなった胸は威力十分、破壊力満点だ。
アヤナも段々、強く激しく擦り付け、舌で舐める。
普段とちがう環境がマサヒコとアヤナをさらに昂らせていく。
「んっ……どう?イキそう?」
「ああ……イキそうだよアヤナ……」
「だーめ。ん……まだ我慢して」
マサヒコが必死に耐えている姿を見るとなんとなく嬉しくなる。自分がマサヒコをイカせられるのだ。これ以上の喜びがあろうか。
「うぁっ!」
思わず声が大きくなる
「もう、リョーコが起きちゃうわよ?」
アヤナが責めるような声で嬉しそうに言う
いよいよマサヒコでも堪えられなくなってきた。
「んむっ……出して……いいよ」
亀頭の部分を更に強く刺激していく。
堪えていた精液がもの凄い勢いでアヤナの胸に掛けられた。
半分放心状態のマサヒコ。それほどまでに気持ちよかったのだろう。
しかし、彼のモノはまた、高く反り返っていた。
「……ホント元気よねぇ」
「うるせー」
アヤナの窪みはもう十分に濡れていた。
「それじゃ……挿れるわよ」
「……」
マサヒコの下腹部に、ゆっくりとアヤナが覆い被さっていく。
「あっ……入った……」
ゆっくり、ゆっくりとマサヒコのモノがアヤナの中に納まっていく。
快感がじわじわと二人の体を支配していく。だがそれはいつもと少し違った、柔らかい感触だった。
アヤナが少しずつ動き出す。マサヒコはされるがままだ。
「んっ……ああっ……どお?マサヒコ?気持ちいい?……んあっ……」
「ああ……いいよアヤナ」
確かに気持ちいい。それは事実だ。普段と違う快感がマサヒコの体に押し寄せている。
だがしかし!マサヒコは思った。
(確かに気持ちいいけど……)
(……こんなマヌケな格好で犯られていいのか?)
(……クソ……手錠さえ外せれば……)
漢のプライドが許さなかった。
マサヒコは必死で意識を保ちながら手錠の鍵を探した。
(……あった!!あれだ!!)
鍵を発見。そしてアヤナが俯いた瞬間、
「とう!」
物凄い力で鍵に向かって体を伸ばした。
「えっ!?ちょ、ちょっと何?」
突然のことに驚いてアヤナの体勢が崩れる。その一瞬の間に鍵をキャッチ、ルパン並みの器用さで鍵を開けてしまった。非常にマヌケな姿勢のままで……
「……ウソ」
あまりに突然のことに驚くアヤナ。まあ普通は驚くが。
晴れて自由の身になったマサヒコ。その目は妙な色に染まっている。
アヤナを見つめ恐ろしい笑顔でマサヒコは言った。
「ふっふっふ……反撃開始!」
「よっ」
マサヒコはあっという間に上に乗っていたアヤナを押し倒した。
マサヒコはもう一度アヤナに挿入する。
「これじゃ……ああっ……ああああ……」
アヤナの抵抗もだんだん弱くなる。
もう酔いも抜けているようだ。アヤナの大胆さが無い。
「さっきの仕返しだ〜」
ピストン運動を行いながら、アヤナのたわわな胸にしゃぶりつく。
「ああああッ!……ダメェェェェェェ……んああ……」
アヤナの声が高く、大きくなっていく。
「んっ……おいおい……リョーコが起きちまうよ」
すでに真っ赤なアヤナの顔がさらに赤くなっていく。今度は目を閉じ、必死に声を出さないように耐えていた。
だが、その表情がマサヒコをさらに意地悪くする。
「んんんッ……うん……んぁんんんんん〜!」
動きが更に激しくなる。アヤナはもうマサヒコにしがみつくことしかできなかった。
「うっ……あぁ……そろそろヤバイ……」
時間的に見れば今日のマサヒコは長持ちしていた。アヤナの方ももう限界だ。
「んんっ……中に……出して……あああああ……」
もう何も考えられない。
マサヒコが最後に強くアヤナを貫き、二人はほぼ同時に達した。
そのまま布団に倒れこむ。
「はぁ……はぁ……結局……いつも通りじゃない……」
アヤナが息を整えながら拗ねる。
「せっかく……」
「せっかく……何?」
マサヒコがアヤナを抱きしめながら尋ねる。
「……もういいわよ」
アヤナもマサヒコに抱きついた。
「パパー、起きて!」
「うーん……」
目が覚めると朝だった。いや、もう昼前だった。
娘が上に乗っている。結構重たい。
いつの間にか服が着せられている。多分アヤナが着せておいてくれたのだろう。
「ねえパパ」
「何?」
「昨夜はお楽しみでしたね」
「ぶっ!」
思わず吹き出してしまった。確かにあれだけ激しかったから、起こしてしまったかもしれない。
「って言えってリョーコおばさんに言われたの」
「あんのメガネめ……」
とりあえず安心。今度仕返しをしなければいけない
「で、結局ダメだったんですよ……」
「へぇ……次の手をかんがえないとね」
隣の部屋から声が聞こえる。どうやら中村が遊びにきているようだ。
(そうか……あれもメガネの入れ知恵か)
なんとなく昨日の成り行きが分かって来た。
こんな調子が続くのかと思うとマサヒコは複雑な気分になった。
ちなみにリョーコにすぐに弟ができたのは、また別の話……
fin