作品名 | 作者名 | カップリング |
No Title | 518氏 | - |
「マサヒコ」 玄関を出ようとしたら、父に呼び止められた。 「今日あまり運勢がよくないようだから気をつけてな」 結構占い好きな父の言葉に素直に頷いた。 朝、学校、玄関。 「おはよー小久保君」 リンコと合う。 「今日も朝から寒いね~」 まったくだと頷く。 「寒いと縮んじゃうって言うけどホントなの?」 リョーコ仕込みの無自覚な下ネタに付き合わされる。 冷えた体に周囲からの好奇の視線がグサリとくる。 昼、教室、昼食。 「へぇ、小久保は胸派かぁ。なあ天野、若田部。小久保は胸派なんだってさ」 「淫猥!!」 「恥を知りなさい!!」 殴られた。 ツープラトンで殴られた。 胸派って……鶏肉の部位ですが何か? 夕方、自室、家庭教師の授業。 「今日は保健体育を勉強します。まずは四十八手を……」 「なに言ってるんですか先輩!」 脱線するリョーコをアイが制止。 「まずは男女の体の仕組みからはじめるべきですよ」 「む。確かに。基本は大切よね」 …しっかりせえよ家庭教師たち。 夜、リビング、まったり。 「どうだったマサヒコ?」 晩酌をする父に問われ、マサヒコは疑問の視線を向ける。 「運勢は悪かったみたいだが、どんな一日だった?」 マサヒコは一日を振り返る。 朝はリンコの下ネタに付き合わされた。 昼はミサキとアヤナに誤解でどつかれた。 夕方はアイとリョーコが脱線した。 「やっぱりよくないことでもあったか?」 父の言葉にマサヒコは首を振った。 そして、 「別に。いつも通りの楽しい一日だったよ」 END 「素敵な景色」 彼女は絶壁に佇み、絶景を望む。 一面の青。 海の藍色。 空の蒼色。 融けて、交じり合って、白い雲。 頬をなでる風を感じながら、彼女はつぶやく。 「天野さんにも見せてあげたいわね」 つぶやいて、彼女は悲しく微笑んだ。 「バカね、私ったら……天野さんは、もう…いないのに」 そう。 彼女の友は。 天野ミサキは、もういない。 この世界から、消えた。 ほんの先日まで確かに存在したのに。 もう……いない。 天野ミサキは、もういない。 「こんなとこでなにしてるんだ?」 声をかけられ、振り返る。 「海を眺めてたのよ」 「ふ~ん」 彼も彼女の横に並び、海を見つめる。 彼女はそんな彼の手を握る。 「お、おい」 彼は驚いた様子で彼女を見る。 彼女が何も言わず、悲しそうに微笑んだので、彼も何も言わず、また海を見た。 「天野さん」 彼女はまた、つぶやいた。 「あなたの分まで、二人で幸せになるから」 言葉は風に乗って―― 「ちょっと若田部さん! 人のこと死んだみたいに言わないでよ!」 すぐ後ろに来ていた彼女の耳に届いたようだ。 「それに! なんでマサちゃんと手を繋いでるのよ!」 「いいじゃない、手を繋ぐくらい」 「だめ! マサちゃんはもう私のだんな様なんだから! 私のなの!!」 つい先日苗字が天野改め、小久保になったミサキが真っ赤になって二人の間に割ってはいる。 「そもそも! 何で新婚旅行に若田部さんがついてくるのよ!?」 「私は一人で旅行をしてるだけ。偶然小久保君と行き先が一緒だっただけよ」 「若田部さん……まだマサちゃんのこと諦めてなかったのね」 「失楽園ってのも燃えるものよ」 平然と言い放つアヤナの様子にミサキ、プッツン。 「そんなのダメ!! 私達の関係は法律で守られてるんだからね!」 「離婚は立派な権利よ」 「双方の合意がないとダメなんだもん!」 「そんなものいくらでもやりようがあるわ。お金とコネがあればね」 「ち、力技!? そんなことさせない! マサちゃんは私が守るんだから!」 「無駄よ。なんとしても小久保君は貰い受けるわ!」 乙女二人が熱いバトルを繰り広げる。 「空って広いなぁ……」 空に比肩するほど懐の広い男、小久保マサヒコ。 彼の苦労は終わらない。 END 「いい景色」 彼女は絶壁に佇み、絶景を望む。 一面の青。 海の藍色。 空の蒼色。 融けて、交じり合って、白い雲。 頬をなでる風を感じながら、彼女はつぶやく。 「若田部さんにも見せてあげたいな」 つぶやいて、彼女は悲しく微笑んだ。 「ダメだな、私ったら……若田部さんは、もう…いないのに」 そう。 彼女の友は。 若田部アヤナは、もういない。 この世界から、消えた。 ほんの先日まで確かに存在したのに。 もう……いない。 若田部アヤナは、もういない。 「こんなとこでなにしてるんだ?」 声をかけられ、振り返る。 「海を眺めてたの」 「ふ~ん」 彼も彼女の横に並び、海を見つめる。 彼女はそんな彼の手を握る。 「お、おい」 彼は驚いた様子で彼女を見る。 彼女が何も言わず、悲しそうに微笑んだので、彼も何も言わず、また海を見た。 「若田部さん」 彼女はまた、つぶやいた。 「あなたの分まで、二人で幸せになるね」 言葉は風に乗って―― 「ちょっと天野さん! 人のこと死んだみたいに言わないでもらえるかしら!」 すぐ後ろに来ていた彼女の耳に届いたようだ。 「それに! なんでマサヒコと手を繋いでるのよ!」 「いいじゃない、手を繋ぐくらい」 「だめよ! マサヒコはもう私のだんな様なのよ! 私のなの!!」 つい先日苗字が若田部改め、小久保になったアヤナが真っ赤になって二人の間に割ってはいる。 「そもそも! 何で新婚旅行に天野さんがついてくるのかしら?」 「私は一人で旅行をしてるだけ。偶然マサちゃんと行き先が一緒だっただけよ」 「天野さん……まだマサヒコのこと諦めてなかったのね」 「失楽園って知ってる?」 平然と言い放つミサキの様子にアヤナ、プッツン。 「そんなのダメよ!! 私達の関係は法律で守られているのよ!」 「離婚は立派な権利だし」 「双方の合意がないとダメでしょ!」 「そんなものいくらでもやりようがあるわよ。愛人に子供が出来て離婚ってね」 「既成事実!? そんなことさせない! マサヒコは私が守ってみせるわ!」 「無駄よ。なんとしてもマサちゃんは貰い受ける!」 乙女二人が熱いバトルを繰り広げる。 「海って広いなぁ……」 海に比肩するほど懐の広い男、小久保マサヒコ。 彼の苦労は終わらない。 END
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