作品名 作者名 カップリング
No Title 518氏 -

ツンデレラ

あるところにツンデレラという女の子がいました。
彼女はスタイル抜群、極めて聡明、すこぶる美人。
その上裁縫、炊事はマスターレベルの完璧超人ぶり。
天は二物を与えやがるんです。
まったくもってうらやましい話。
そんな彼女ですから身内からも妬まれちゃったりもする。
身内その一曰く。
「だっていくら食べても太らないんだから。うらやましいよ」
身内その二曰く。
「スタイルいいんだもん」
身内その三曰く。
「私もアヤナちゃんみたいにしっかり者になりたいなぁ」
なお、身内一から三が何者かはあえて言わないでおきましょう。
つーか身内三。アヤナじゃなくってツンデレラだっての。
話を根本から覆すな。

……こほん。

さて。
ある日彼女達の元へとパーティーの招待状が届きました。
ある人物のお嫁さんを決める大事なパーティーの招待状です。
……例によってある人物が誰であるかはご想像におまかせしておきます。
まあ、それはそれとしてパーティーです。
身内一は思いました。
「パーティーならおいしい料理いっぱい出るだろうし。
私の取り分を多くするためには出席者は少ないほうがいいよね」
彼女はツンデレラを部屋の一室に閉じ込めてしまいました。
意外に腹黒い。
身内二は思いました。
「マサちゃんのお嫁さんになるのはあたしだもん!ライバルは少ないほうがいいよね?」
彼女はツンデレラの服を全て隠してしまいました。
つーかあんたも。マサちゃんじゃなくて、ある人物だっての。
設定守ろうぜ。
身内三は思いました。
「わ!アヤナちゃんの靴私にもぴったりだ!えへへ……ちょっと借りてっちゃお」
彼女は天然でツンデレラの靴を使用不能にしてしまいました。
身内三。大概にするよーに。アヤナちゃんじゃないっつってんだ。
……まあ、そんなわけで。
ツンデレラはパーティーに出席することも出来ず、家で寂しく留守番をすることになりました。
「ふん、ばかばかしい。何であたしがそんな嫁選びのパーティーに出席しなきゃいけないのよ。
相手を選ぶ権利は私にだってあるんだから」
それは偽らざる本心ではありましたが。
行くなといわれると行ってみたくなるのが人の性。
ツンデレラは悔しい思いを抱えたまま悶々としていました。


すると。
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃジャーン・クロードバンダム!」
わけのわからないセリフと共に怪しげな風体の美女が現れました。
「だ、だれ!?」
「私は魔法使い。あなたの願いをかなえに来たのよ」
「ほんとに?それじゃあこの大きすぎる胸を少し小さく――」
「あ、それは無理だから」
世界中の貧乳で悩む女性から袋叩きにあいそうなセリフはアッサリ却下。
「私にできるのはあんたを件のパーティーに出席させることだけだから」
「……別に願ってないんだけど」
「願ってるわよね?」
美女の目がきらりと怪しく光ります。
ツンデレラはコクコクと頷きました。
万が一にもNOと言っていたら命の保証はないと思ったからです。
「よろしい」
美女は満足そうに頷くと素敵な服と、ガラスの靴を取り出しました。
「これを着て、これを履いてパーティーへ行きなさい」
「あ、ありがとうございます」
「表に下僕の運転する車が待ってるから会場までつれてってもらいなさい」
「……はい」
ツンデレラは下僕と書いて哀れな英語教師と読む人物の運転する車でパーティーへと向かいました。


そのころパーティー会場は大盛り上がりでした。
「次!プリンセスプリンセスのダイヤモンド歌いまーす!」
「「いえーい!」」
マイクを持って熱唱するはある人物の母。
盛り上げるはうっかり酒の入っちゃった身内二と三。
身内一は食事に夢中です。
「……この状況で俺になにしろっての?」
パーティーの主役であるはずの彼は置いてけぼり。
「……ずいぶん盛り上がってるわね」
そんな折に、ツンデレラは到着しました。
ドアの外からでもわかる盛り上がりっぷりにちょっと引きましたが、意を決して部屋の中に入ります。
「あ」
彼女が入ってきたのに気づいて彼はツンデレラに近寄ろうとしました。
暇だったんです。
話し相手が欲しかったんです。
彼女もまた彼に近寄ろうとしました。
部屋の中でまともそうなのは彼だけだったからです。
賢明な選択です。


そんな時、ハプニングが起こりました。
彼女の、ツンデレラのワンピースタイプのドレスの裾がドアに挟まったのです。
すると、なんということでしょう。
プチっと軽い音と共にあっという間に彼女は真っ裸に。


「あ、そーいえばあの服仮縫いしかしてないから脆いって、言い忘れたわね」


遠く離れた場所で怪しい風体の美女が呟く言葉が聞こえるはずもないのですが。
あっという間にすっぽんぽんになってしまったツンデレラはしばし呆然。
彼もまたツンデレラの生まれたままの姿に唖然。
服が脱げたのはわかるとして下着はどうした?などと言ってはいけません。
世の中にはお約束ってものがあるんです。
二人は同時に真っ赤になり。
「きゃぁぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
二人仲良く同時に絶叫しました。
体を隠すようにしゃがみこむツンデレラ。
彼は慌てて服を脱いで彼女に渡します。
ツンデレラは涙目で服を受け取りながら
「見た?」
尋ねました。
「見てない」
彼はそう言いましたが。
微妙に前かがみなのはなぜでしょう?
「見たんだ」
そんな男の事情から、見られたことを察したツンデレラ。
彼女はグスグスと鼻を鳴らし始めました。
「見られたんだ……全部見られちゃったんだ……」
「う……いやその…ごめん」
彼に非はないのですがこーいうときは謝るほかにありません。
「……責任、とってね」
「わかった……責任?どうしろっての?」
不思議そうに首をかしげる彼。
「こーいうときに責任っていったら……アレしかないじゃない」
顔を赤らめてぷいっと横を向いてしまうツンデレラ。
「アレって?」
「もう!鈍いわね!」
どこまでも鈍い彼にちょっぴり怒った表情で言い放ちます。
「責任とって結婚してって事でしょ!」
「ああ、なるほど………ってなんですとぉ!?」
「だって……全部見られちゃったんだからもうお嫁にいけないじゃない。
それとも……あたしじゃ…………イヤ?」
悲しそうに首を傾げるツンデレラに彼が言える言葉はただ一言でした。
「イヤじゃないです」

こうして。
ツンデレラは彼と結婚。
子供にも恵まれて幸せにすごしたかどうかは定かではありませんが。
言えることはただ一つ。

彼女は結婚してもツンデレだったそうです。


END

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