作品名 | 作者名 | カップリング |
No Title | 518氏 | - |
曰く。 男は狼である。 是、真理なり。 マサヒコもその例に漏れることなし。 事実。 今、彼の目は狼。 飢えた狼…飢狼なり。 獲物を狙う狩猟者の目。 ゆえに彼の周りに人は無し。 遠巻きに彼を見守るのみ。 それでも、 「あの…」 一人の女性がマサヒコに近寄り、声をかける。 振りかえったマサヒコの視線の強さに彼女は気圧され………ない。 実ににこやかというかなんというか……微笑ましげ。 「どなたかへのプレゼントをお探しですか?」 「……はい」 「その様子ですと恋人さんに、ですね?」 その言葉に。 飢狼の如き目は落ち着きのないチワワかのような目に。 そして顔は恥ずかしさからか真っ赤に。 そんなマサヒコの様子に彼女は――店員さんは笑いを堪えるのに必死だった。 マサヒコがいるのは10代20代の女性が好みそうな雑貨を扱っている店。 店内の客層もそんなものだからマサヒコの存在は浮きそうなものなのだが。 狼のような目であれやこれやのかわいらしい雑貨を眺め、手に取り、 品定めするマサヒコの様子は誰かへのプレゼントを選んでいるというのがミエミエで。 その誰かが妙齢の女性ということもやはり店内の皆様にはお見通しで。 そんなマサヒコの必死さは彼よりもちょっと年上の女性達から見ればとてもかわいらしいものだから。 遠巻きに微笑ましい目で見られちゃってたわけなんです。 この店員さんもその一人。 「よろしければお手伝いさせていただけませんか?」 「……お願いします」 やはり恥ずかしげに小さな声でボソボソ答えるマサヒコの様子に。 堪え切れずにクスクスと笑ってしまった。 そんな店員さんをマサヒコは先ほどまでしていた、いわゆる狼の如き目で睨むのだが。 如何せん。 マサヒコの狼の如き目なんてたかが知れている。 ウルフと言われてたのにいつのまにかプリンスなんて呼ばれてたり。 嵐の夜でもないのに羊を襲えない狼。 そんなへたれな(失敬)狼なのだ、マサヒコは。 事実店員さんにはちっとも効いていない。 「ゴメンナサイね、笑ったりして。じゃあ……その彼女さんの年齢とか教えてくれるかな?」 「年……俺より六つ上です」 「姉さん女房かぁ…その人の好きなものは?」 「食べることと食べることと食べることとカラオケです」 「……なんで食べることを三回言ったの?」 「事実を言葉で表すとどうしても三回言う必要が」 「そ、そうなんだ」 視線がちょっと泳ぐ。 おそらく食べることの好きな彼女を想像しているのだろう。 「でも、スタイルはいたって普通なんですよ。身長同じくらいで体重俺より軽いですから」 「………うらましい」 「は?」 「な、なんでもないわ! でもそれなら食事に連れていってあげたら?」 「いえ、ケーキにお金かけたからそんなに予算が」 「なるほど……」 彼女はあごに手をかけふ~むと唸る。 食事に連れていくだけのお金はない、つまりあまりお金をかけずに。 さりとて誕生日らしく彼女を喜ばせることができるもの。 陳列されている商品から入荷したての未陳列品まであらゆる物を条件と照らし合わせる。 「ふむ……あれがよさそうね。ちょっとベタだけど」 そう言って店の奥に引っ込み、小さな箱を持ってくる。 「これはまだ店先には並んでない商品なんだけどね、これは――」 彼女の説明にマサヒコは顔を赤らめる。 「どうする? ちなみにこれ買ったらバカップルに認定してあげるわよ」 マサヒコはしばらく悩んでいたが、 「……買います」 「まいど~♪」 御購入と相成った。 「こんにちは~」 授業の日でもないのにアイが濃くボケ……もとい、小久保家を訪れる。 「先生いらっしゃい」 応対に出てきたマサヒコの母に「お邪魔します」と頭を下げつつ靴を脱ぐ。 「息子部屋で待ってますよ」 「そうですか」 「私出かけてきますから、ごゆっくり~」 「はうぅっ!」 母のありがたい気遣いにアイは赤くなる。 そんなアイの様子を微笑ましく見つめながら母は玄関から出て行き。 アイは赤く火照った頬をぺちぺちと叩いて冷ましながら二階へ。 ガチャッとマサヒコの部屋のドアを開けたなら。 「先生、誕生日おめでとうございます」 にっこり微笑むマサヒコと、大きなケーキが出迎えてくれた。 「ありがとう、マサヒコ君」 アイも笑顔でマサヒコに応える。 「さあ先生、そんな所に立ってないで座ってください」 「うん」 満面の笑みでアイは部屋の中へ入ろうとした。 したのだが。 アイはマサヒコもケーキも大好きで、だから少し急ぎすぎたのだろう。 あるいは逆上せ上がってしまっていたのか。 いや、それ以上に重要なファクターはアイ自身だろう。 アイは、天然なのだ。 普段はリンコというワールドクラスの天然がいるから目立たないだけで。 アイ自身は立派なジャパンクラスの天然なのだ。 説明が長くなったが、要するに何が起こったのか? ……こけた。 じゅうたんに足を取られたか、足が縺れたかどうか知らないが。 こけた。 マサヒコは咄嗟にアイを支えようとしたのだが、 如何せん彼は座していた為アイを支えることは出来なかった。 そしてアイは? 転びそうになったら手をつく……ワールドスタンダードだ。 しかし、手をつくべき場所にはケーキがあった。 とっさに手を広げてケーキの両横に手をついた。 頭は人体の中でも重い場所であり、非力なアイでは支えきれず。 顔面からケーキに突っ込んだ。 「……」 「……」 恐ろしいまでの沈黙が部屋を支配する。 「先生……」 飛び散った生クリームを顔につけたマサヒコが口を開く。 「そんなに焦らなくてもケーキは逃げませんよ」 「ち~が~う~」 ケーキから顔を上げつつ、悲しそうな声でアイが言う。 「別に「ケーキにまっしぐら!」なわけじゃないよ~」 「わかってます。転ぶ瞬間見てましたから。 ただ…先生の場合だと「ケーキにまっしぐら!」の可能性も否定できなかったもので」 「う~…マサヒコ君酷い」 ぷくっと膨れて怒って見せるが。 「顔が生クリームだらけじゃまったく怖くないです」 まったくもってその通り。 アイはしばらく膨れていたが、やがてシュンと沈んだ表情になる。 「ごめんね。せっかくのケーキが……」 「いいんですよ。怪我が無くてなによりです」 そう言ってティッシュを差し出す。 「これで顔拭いてください。綺麗な顔が台無しですよ」 マサヒコの歯の浮くような言葉にアイは顔を赤らめる。 「マ、マサヒコ君だって顔中生クリームまみれで……おいしそう」 言うが早いか、マサヒコの顔についたクリームをぺろりと舐める。 「せっ先生!?」 「ん、甘いし……マサヒコ君の味がする」 「なんつー恥ずかしいことを」 「でもホントのことだよ。すごくおいしい」 そう言ってぺろぺろとマサヒコの顔を舐め始める。 こうなってくるとマサヒコも負けてはいられない。 アイの顔についた生クリームを舐める。 「ひゃっ!くすぐったぁい」 アイがなんと言おうとやめる気はさらさら無い。 愛しい彼女に顔を舐められ…………火がついた。 「ふぇ?あ、ちょっ!……んぁっ……」 服の上からアイの胸に手を這わせる。 やわらかな胸はマサヒコの手の動きに合わせ、自在に形を変える。 服の上からでは満足いかなくなったマサヒコはアイの服を脱がせにかかる。 裾をまくり、ブラをたくし上げる。 大きさも程よく、形も抜群の胸と御対面。 「マ、マサヒコ君……えと……するの?」 「……ダメですか?」 マサヒコに熱っぽい目で見られれ、アイは顔を赤らめる。 掘れた弱みと言うやつで、彼にそんな目をされるとアイは拒否できない。 するつもりもない。 「……いいよ」 了承も取り、マサヒコの手の動きはいっそう激しくなる。 アイの柔らかいかな胸はマサヒコの手の中で形を自在に変え、 手を放すと丸くて張りのある形へと戻る。 マサヒコは手だけでなく、顔を近づけ、アイの胸に埋める。 「んっ!鼻息が……くすぐったぁい……」 ぴくぴくとアイの体が小刻みに震える。 マサヒコはアイの匂いを存分に吸い込む。 「先生っていい匂いしますよね」 「そう……かな?」 「はい。すっごく………いい匂いです」 「どんな匂い?」 「そうですね……おいしそうな匂いです」 舌を這わせ、アイを味わう。 「んぁ!お、おいしそうって……たべちゃやだよ?」 「さあ、どうでしょうね?」 かぷっと乳首を甘噛み。 「ひゃうっ!」 アイの身体全体がはねる。 マサヒコの手が下へと伸びていく。 「わっ!ひゃぅっ!……あうっ!…」 「先生ここ弱いですよね」 しっとりと手に吸い付くような、やわらかで滑らかなアイの足をマサヒコは撫でる。 特にアイの性感帯である内ももを中心に。 触れるか触れないかのソフトタッチから、抓る一歩手前まで。 ソフトに、そしてハードに。 「ふあっ!」 アイの身体がはねる。 マサヒコの指がショーツの上から割れ目をこする。 わずかに湿っているそこを押し入れるようにずぶずぶと指を埋めていく。 「あっあっああっ!」 深く埋まるにつれアイの声も甘く、高いものへと変化していく。 押し付けられたショーツはびしょびしょに濡れてしまっている。 脱がそうとショーツに手をかけるとアイもそれを察し、腰を浮かせる。 剥き出しにされた秘部はとろとろに濡れて、いつでもマサヒコを受け入れる事が出来る状態だ。 指を入れて軽く掻き混ぜる。 「あっ!あっ!ああっ!」 内側を軽く引っ掻くようにしてやるとアイの嬌声がいっそう高まる。 もう十分だろうとマサヒコは判断する。 つーか我慢の限界だ。 マサヒコは服を脱ぐ。 「先生…いれますよ」 「うん」 狙いを定め一気に挿入する。 「くっ!」 「ああっ!」 挿入と同時に声をあげる。 快楽に溺れそうになるのを理性の糸一本で繋ぎとめる。 「マサヒコ君」 「何ですか?」 訪ねると、アイは両手を広げて、何かをねだるような目で。 「だっこ」 「……はい」 マサヒコはアイを抱きしめ、そのまま膝の上に抱え上げる。 対面座位。 密着率が高いこの体位がアイのお気に入りだった。 そしてマサヒコも。 「はぁ!……あん……ああっ!……はぁっ!」 激しく突き上げられ、アイの体がマサヒコの上で揺れる。 アイの内部は優しくマサヒコを締め付けてくる。 この体勢のもう一つの利点。 それは目の前にアイの胸がくること。 アイの胸に顔を埋め、夢中で吸い上げる。 「あんっ!ああっ!ふぁ!」 甘い声をあげるたびにアイの中はきゅっきゅとマサヒコを締め付ける。 マサヒコは夢中でアイを突き上げる。 アイはマサヒコにぎゅっとしがみつく。 「あふっ!あんっ!マサヒコ君…!マサヒコくぅん!」 結合部からはくちゃくちゃと淫猥な音。 アイもマサヒコに合わせるように夢中で腰を振る。 桜色に染まったアイの艶かしい肌に誘われるようにマサヒコは無心で突き上げつづける。 「せんせい…俺…そろそろ…」 「いいよっ……ふぁ!…なか、で!ああっ!」 了承を得たところでスパートをかける。 腰を突き上げ、胸を揉み、吸い上げ……。 「くっ!」 ビクンビクンと身体を震わせながら熱いものをアイの一番奥へと注ぎ込む。 「ふぁぁぁ……入ってくる…マサヒコ君の…熱いのが…」 恍惚の表情でアイはマサヒコを受け止めた。 「え~っとですね。これプレゼントです」 さらに二回戦ばかし戦って、落ち着いたところでアイへと小箱を差し出す。 「わ~ありがとうマサヒコくん。開けていい?」 「どうぞ」 「なにかななにかな?」 出てきたのはチェーンのついたシルバーリング。 「わ~…」 「ネックレスみたいにして使ってください」 「うん。ありがとうね」 アイは嬉しそうにリングを見つめる。 「ん?あれ?これなんかかわった模様入ってるね。何だろう?」 「気づいちゃいましたか……」 マサヒコは少々照れた様子。 「ねえ、これなにか意味がある模様なの?」 「まあ一応」 そう言って脱ぎ散らかした服のポケットをごそごそとあさる。 出てきたのはアイにプレゼントしたのと同じようなリング。 差し出され、アイは素直にそれを受け取る。 「ペアリングってこと?それだけじゃないよね……あ!」 何かに気づいたのか、自分が貰ったリングとマサヒコのリングを見比べる。 「もしかして……こーいうこと?」 アイのリングとマサヒコのリングを二つ組み合わせる。 単品だとただの模様だったものが、合わさると文字になる。 「『変わらぬ愛を君に誓う』……うわぁ……ベタだねマサヒコくん」 「言わんでください」 アイは真っ赤。 もちろんマサヒコも真っ赤。 「……えへへ」 「うお…っと」 ちょっと照れた様子のマサヒコに抱きつき、 「ありがとね、マサヒコくん」 ちゅっと頬にキス。 マサヒコは驚いた様子だったが、いつもの笑顔になると、 「…お誕生日、おめでとうございます、アイ先生」 そう言って。 今日1番優しいキスをした。 END
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