作品名 |
作者名 |
カップリング |
NoTitle |
518氏 |
アヤナ×マサヒコ |
「やっぱ若田部っていいよな〜」
「なにが?」
男子生徒Aの言葉にマサヒコは疑問で答えた。
「なにがってお前。アレだよ」
「どれだよ?」
「モノにしたいって事だよ」
なおも疑問を投げかけたマサヒコに男子生徒Bが極めて分かりやすい言葉を使う。
「若田部ってさ、頭いいし、顔もいいだろ?それになにより」
「スタイルだよな〜。他の女子なんか比べ物にならないもんなぁ」
「そうそう」
男子生徒B、Aの言葉に激しく同意。
「小久保もそう思うだろ?」
「…別に」
「お〜お〜!聞きましたかセンセ」
「え〜え〜聞きましたとも。流石に天野、若田部、的山と三股をかけてるだけはある色男的発言でしたね〜」
「…ノート返してくれ」
そう言ってA&Bが写している数学のノートを取り上げようとする。
「まあまあまあ。落ち着けって」
「そうそう。モテない男のひがみなんて気にするなよ。色男がさ」
「……」
マサヒコ、ノートをごーいんに取り上げ引き出しにしまう。
「わわっ!悪かった!悪かったって!だからノート見せてくれよ。俺今日あたるんだから」
「もうからかったりしないからさ。な?」
二人に顔の前で手を合わせられ、マサヒコは渋々ノートを再び取り出す。
「改めて言うことじゃないけどさ、別に俺は誰と付き合ってるわけでもないんだぞ」
「知ってるよ。でも仲はいいんだろ?」
「仲がいいっていうか…ちょっと縁がある程度だよ」
「ふ〜ん……と、よし、写し終わり!そっちは終わったか?」
「おう。サンキューな、小久保」
「ああ」
改めてマサヒコはノートをしまう。
「でもさ小久保」
「ん?」
「真面目なとこ、好意ぐらいは持ってるだろ?」
「まあ…友人関係程度になら」
「嘘つくなよ。いいよなぁ、若田部と仲良くってさ。お前は」
そんな事を話していると、
「小久保君、ちょっといいかしら?」
「え?」
話題のアヤナが話しかけてくる。
「あなた緑化委員よね?」
「そうだけど、それが?」
首を傾げるマサヒコに対してアヤナはビシッと教室に飾られている花を指差す。
「今日花瓶の水変えた?」
「…あ」
慌てて立ち上がろうとしたマサヒコをアヤナが制する。
「私が代わりにやっておいてあげたわよ」
「あ、そうなのか?ありがとな、若田部」
素直に感謝の意を表明するマサヒコの前にそっとアヤナが日誌を置く。
「?? 日誌?」
「私今日日直なのよ。でも放課後には委員会もあるし、代わりに日誌つけておいて」
「な、なんで俺が!?」
「花瓶の水替えてあげたでしょう?」
「う…」
「じゃあお願いね」
そう言って颯爽と去っていくアヤナ。
呆気に取られる男子生徒A、B。
マサヒコはため息をつきつつ、
「確かに。仲良しだな」
男子生徒A&Bにそう言ってやった。
放課後。
日直の仕事を押し付けられる形になったマサヒコ。
結構律儀に仕事をこなしていた。
黒板をきれいにし、机を整頓、窓の戸締り、んで日誌を記入。
やっとこ全ての仕事を終えた頃、委員会を終えたアヤナが教室に入ってきた。
「小久保君、日直の仕事終わった」
「ああ。後は日誌届けたら終わりだ」
「じゃあそれは私が職員室まで持っていくから」
「そうだな。日直は若田部だもんな」
「ええ。私は緑化委員じゃないもの」
「う…」
軽くジャブを放ったら強烈なカウンターを取られてしまった。がってむ。
「ほら。いつまでも教室にいないで帰って勉強でもしなさい。最近クラスの平均点下がってるんだし」
「いや、それは俺だけのせいじゃないって」
「…いいわ。今日暇だし、うちにいらっしゃい。日直のお礼も兼ねて勉強教えてあげるわ」
「いや、勝手に決めるなよ」
「玄関で待っててね」
「お〜い、若田部さ〜ん」
マサヒコの言葉をなかば無視。
アヤナはカバンと日誌を持って教室からでていってしまう。
マサヒコは…
「はあ…」
ため息をついた。
その後玄関で落ち合い、二人で下校。
若田部家は学校から徒歩5分だが、その間特に会話があるわけでもなく。
端から見ればわけありで仕方なく一緒に帰っている二人連れに見えた事だろう。
少なくとも。
間違ってもアベックなどと思われることはないだろう。
……表現が古いとかゆーな。
カップルでもアベックでもいいじゃんかよぅ。
やがて若田部家に到着。
今日も今日とて若田部ファミリーはお出かけ中らしく、アヤナはカバンから取り出した鍵で玄関を開ける。
「家族出かけてるのか?」
「いつもの事よ。さ、上がって」
アヤナに促され、遠慮なく上がるマサヒコ。
「私はお茶の用意するから。あなたは部屋に行っててね」
「ん。わかった」
これまたアヤナに促され、マサヒコは遠慮なくアヤナの部屋へと向かう。
部屋につくとマサヒコは学生服を脱ぎ捨て、ベットに持たれかかり、
「ふ〜…」
緊張を解くかのように息を吐く。
そう。
年頃の女の子の部屋に年頃の男の子が入ってきたにも関わらず。
マサヒコは学校にいるときより、下校中より。
リラックスしている。
不思議な話だが不思議な話ではない。
なぜならば……。
「お待たせ」
「ああ」
薫り高い紅茶とクッキーを盆に載せ、アヤナが部屋に入ってくる。
テーブルに盆を置くと、
「はい」
「さんきゅ」
手ずからマサヒコにカップを渡す。
受け取ったマサヒコは熱い紅茶を一口。
いい香りが鼻に抜ける。
「うまい」
「ほんと?」
「ああ」
マサヒコに誉められ、アヤナは笑みを浮かべる。
学校で浮かべる笑みとは違い、にっこりと心からの笑み。
アヤナは自らもカップを持ち腰をおろす。
マサヒコの隣に。
「このクッキー私が焼いたのよ。食べて食べて」
「ああ」
言われるがまま、パクリ。
「ん、うまいよ」
「ほんと!?」
「こんなことで嘘ついても仕方ないだろ?」
「うれしい!」
アヤナはマサヒコに抱きつく。
そしてゴロゴロと猫のように甘える。
学校でのアヤナを知る者からは信じられないような光景だ。
学校でのアヤナは。
凛として、近寄り難く、自信と誇りに満ち満ちている。
今のアヤナにその面影はない。
実に素直に自らの感情を表現。
マサヒコにじゃれ付き、甘えた声を出す。
「あの…今日はごめんね」
「は?なにが?」
「だって…日直の仕事させちゃったし…」
「ああ。別にいいって。俺も代わりに緑化委員の仕事させちゃったわけだし」
「でも」
「委員会もあったんだろ?俺は若田部の力になれて嬉しかったぞ」
嬉しいことをさらりと言われアヤナはポッと顔を赤らめる。
さらによしよしと頭を撫でられ、ふにゃ〜と表情を崩す。
「若田部はなんでも一人でやろうとするから。たまには人を頼ってもいいんだぞ」
「そうかしら?」
「まあ、少なくとも俺は頼られると嬉しいし」
「そうなの?」
「俺もいちおー男だし。好きな子の力になれると嬉しいって」
好きな子が誰のことかなんて今更言うまでもなくって。
アヤナはマサヒコの胸板に顔をピトッと押し付ける。
赤くなった顔を見られないために。
けれど。
真っ赤な耳を見れば、隠された顔がどんな事になってるかなんてことは想像に難くない。
かわいいなぁと思いながらマサヒコは頭を、背を撫でる。
なされるがままのアヤナ。
もちろん、嫌がってなどいない。
嫌なら嫌というのが彼女だ。
「ねえ、小久保君」
「ん?」
呼びかけられ、マサヒコは胸の中のアヤナを見る。
彼女は目を閉じ、唇を突き出した体勢。
彼女が何を望んでいるかなんて九九よりも容易く分かる事。
望まれるまま、マサヒコはアヤナに口付ける。
「ふ…」
「……」
口付けたあと、おずおずと、アヤナから舌をいれてくる。
受け止めるマサヒコ。
受け止めつつ、手をアヤナの身体に回して抱き上げ、ベッドに横たえる。
マサヒコの手が、アヤナの服の中に、スカートの中に入り、蹂躙を始める。
しかし、アヤナはそのことに一切抵抗したりしない。
キスの時にアヤナから舌を入れた時点でこうなることは確定しているから。
そう、合図。
キスの時、アヤナから舌を入れたら今日は……と。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
はじめての時のきっかけはなんだったか?
アヤナのミサキに対するライバル心から二人は間接的に知り合った。
アヤナからすればマサヒコは優しいが…少々軟弱な感のある少年だった。
マサヒコからすればアヤナはしっかりしているが…何処か危なげな印象を受ける少女だった。
そんなある日。
放課後の教室。
偶然二人きりになる機会があった。
マサヒコは日直で、アヤナは委員会の仕事があって。
二人きりでの会話。
アヤナは当たり触りのない、普通の話をしていたのだが。
マサヒコは違った。
気になっていた事を訪ねた。
なんか無理してないか、と。
普段の「受身体質」「事なかれ主義」のマサヒコからすればかなり思いきった言葉だった。
マサヒコの言葉に、アヤナは激昂した。
アヤナは、プライドが高い。
それが家庭環境から来るのか、生まれ持ってのものかはわからないが。
少なくとも。
自分よりも学力的に劣っているマサヒコからはそんな事を言われたくなかったのだろう。
人を気にする前に自分の事を考えろ、と。
あなたにそんな事をいわれる筋合いはない、と。
かなり激しくマサヒコを罵った。
しかし。
だがしかし。
そこでマサヒコは引かなかった。
逆にアヤナに言ったのだ。
心配だと。
張り詰めた糸みたいで今にも切れてしまいそうだと。
だから力になりたいんだ、と
マサヒコの言葉にアヤナは戸惑った。
思い当たる節がなかったといえば嘘になったからだ。
家族はみな東大出身、或いは在籍で。
言葉こそなかったが。
自分もそうである事を望まれている事は十二分にわかっていて。
誰よりも優秀で、トップにある事を望まれていた。
トップであることを義務付けられていた。
友人たちもそれを当然だと思っていて。
「さすが」「やっぱり」…などなど。
賞賛の言葉を掛けて来た。
そしていつも言われる。
「頭の出来が違う」と。
見えないところでのアヤナの必死の努力も考えず。
ただ表面だけを見てそう言うのだ。
だから。
ミサキを見たとき。
マサヒコやリンコと楽しそうにしているミサキを見たとき。
嫉妬を感じた。
自分と同じ成績…いや、自分よりもいい成績なのに。
なぜ楽しそうに出来るのかと。
自分に無い物を持っているのか、と。
それがミサキへの対抗心として表現されることになる……。
ともすればマサヒコの行為はアヤナにとって痛みを伴う。
心の奥底を穿り返されるのだから当然なのだが…だが。
マサヒコあっさりと最奥まで入りこみ、アヤナの弱い所を見つけ出し。
そして、癒そうとしてくれた。
アヤナの目から涙が零れた。
慌てる様子のマサヒコの胸に飛びこみ、泣いた。
幼子の様に泣きじゃくるアヤナの身体をマサヒコは優しく包み込んだ。
脆さを内包する少女。
その脆さを人に…自分にすら悟らせなかった少女。
強くて、弱い。
儚き乙女を。
心まで包み込もうとするかのように。
マサヒコは抱きしめる。
この瞬間。
アヤナは……マサヒコを手に入れた。
本当のアヤナを見てくれるマサヒコを手に入れた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
もう何度もされた胸への愛撫。
だがアヤナは一向に慣れる事はなく、羞恥に顔を赤らめる。
マサヒコはそんなアヤナの表情の感想を、耳元で囁く。
「…かわいいよ」
「っ!?」
より一層顔を赤らめるアヤナ。
マサヒコはさらに手を蠢かせる。
アヤナの弱いところは全部分かっている。
じりじりと快感を引き出していく。
アヤナの服はマサヒコの手により全て取り払われている。
が。さらに理性を、羞恥を剥ぎ取っていく。
唇を落とし、胸を揉み、女性器を摩る。
そのたびにアヤナは声を上げる。
艶っぽい、女の声。
マサヒコは、思う。
アヤナと身体を重ねるたび、いつも思う。
女って卑怯だ、と。
理性を、羞恥を剥ぎ取るつもりで責め立てているのに。
相手の一挙手一投足に。
逆にこちらの理性が、羞恥が奪われていってしまう。
今回もその例に漏れず。
マサヒコの理性は圧倒的な本能の前にいとも容易く屈する。
ズボンを脱ぎ去り分身を取りだし、アヤナにすりつける。
ビクリ、とアヤナが身体を震わせる。
もう、いいよな?と目で問うマサヒコ。
アヤナは頷いて返す。
…まあ、仮に嫌だと言ってもやめる自信なんかマサヒコにはまったくありゃしないのだが。
「ああぁぁ!!」
一気に最奥まで貫かれたアヤナは歓喜の悲鳴を上げる。
歓喜なのに悲鳴とはこれにかに。
なんて事はどうでもいいわけで。
挿入直後からマサヒコは激しく腰をアヤナに叩きつけ、快感を貪る。
行為に至った当初こそアヤナは挿入に痛みや恐怖を覚えていたが、
数をこなした最近は逆にやや乱暴にした方が喜ぶことをマサヒコは知っている。
だから自分勝手と思われるほどに激しく。
アヤナのなかを蹂躙していく。
「あぁぁ!……ひぃ!……だ、だめぇ!」
髪を振り乱し、アヤナが激しく悶える。
普段凛として、気位が高いアヤナの顔がだらしなく緩む。
綺麗な物を、目茶目茶にする悦び。
マサヒコは背徳に捕われ、なおいっそう腰の動きを速める。
「あぁ!……くぅ!…ふぁぁ!!」
アヤナが喘ぎ、くねらせ。
快楽を全身で受け止め、表現する。
艶かしく蠢くアヤナの身体。
艶っぽいアヤナの声。
ひどく女を感じさせるアヤナの体臭。
ほのかに甘く感じるアヤナの味。
そして、マサヒコを逃すまいと纏わりつくアヤナの中。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚そして触覚。
五感全てがマサヒコを刺激する。
「っ!わ、かたべ!」
「やぁ!アヤナって…呼んでぇ!」
「アヤナ!俺…もう」
「中に…今日は…あん!…大丈夫だから…なかにぃ!!」
もう、両者共に限界。
マサヒコが勢い良く突き立てると同時に、熱い体液をほとばしらせる。
身体の一番奥にマサヒコの熱いモノを感じながらアヤナは意識を手放した。
ベッドの上。
自分の横で、自分に寄りそうようにして。
いや、しがみつく様にして眠るアヤナ。
その寝顔は穏やかで。
マサヒコは自然と笑みを浮かべる。
初めて出会った頃はこんな関係になるなんて思ってもいなかったけれど。
けれど今は。
愛しくて。
かわいくて。
ちょっと意地っ張りな。
大切な恋人。
ああ、それから。
とっても照れ屋。
なにしろクラスメイトに関係がバレる事をなによりもいやがる。
どうやら恥ずかしいらしい。
「ん…」
アヤナが身動ぎし、起きる気配。
目を開けはしたが、まだ寝ぼけている様でボーとしている。
時間も時間なのでマサヒコはアヤナを起こしてやる事にする。
アヤナの瞼に唇を落とす。
ビックリした様子のアヤナに、
「おはよう、お姫様」
気取った調子で言ってやる。
「…バカ」
アヤナは顔を赤らめ、口元までシーツを引き上げる。
そんなアヤナが堪らなくかわいかったので。
マサヒコはアヤナをギュッと抱きしめることにした。
それに比例する様に男としての欲望がむくむくと持ちあがってきて。
アヤナもそれに気づき、さらに顔を赤らめるが…拒否はしないので。
マサヒコは再びアヤナに圧しかかる。
遅く帰ることになった理由を考えながら。
END