作品名 |
作者名 |
カップリング |
NoTitle |
518氏 |
リンコ×マサヒコ |
彼女がどんな少女か?
そう聞かれたらクラスメイトは必ずこう答えることだろう。
即ち「天然」と。
それと。男子はこうも付け加えることだろう。
「けっこうかわいい」とも。
そんな少女――的山リンコはその日、自宅で家庭教師である中村の授業を受けていた。
ただ、その日はいつもと様子が違っていた。
「…リン。聞いてるの?」
「……」
「……リン!」
「ふぇ?」
大きな声を出され、ようやくリンコは呼ばれている事に気づく。
「どうしたの?あんたがボケボケしてるのは知ってるつもりだけど今日はいつにもまして酷いわよ?」
結構酷い言い様だ。
だがリンコは特に気にした様子もなく、
「…先生」
逆に中村に質問を返す。
「どうしたら私も先生みたいな大人になれますか?」
「はぁ?」
「ほら、私こないだ初潮来たじゃないですか?これって大人になったって事ですよね?」
「まあ…そうね」
「じゃあどうして中村先生達みたいにおっぱい大きくならないんですか?」
「……」
「先生、どうしたら大人の女になれますか?」
さてどう説明したものかと一瞬真面目に考えた中村だが。
次の瞬間には心の中の悪魔が彼女に囁く。
そして彼女はその囁きを忠実に実行に移すのだ。
「それはねリン」
「それは?」
「男と寝れば大人の女になれるのよ」
「そ〜なんですかぁ」
どうにも気のない返事のリン。
「あ!じゃあお父さんと一緒に寝れば!」
「父親以外の男とよ」
「?? お父さんだとだめなんですか?」
「だめよ。ある意味ありかもしれないけど」
さらりと危険な発言を繰り出す中村。
「でも男の人と一緒に寝る機会なんてないから…」
「ふむ。じゃあ――」
中村はカバンを漁り目的の物を取り出す。
「これあげるわ。いい?これはね――」
リンコは中村の言葉を真剣に聞き、覚える。
それが悪魔の囁きとは思いも、気づきもせずに。
職員会議で半ドン。いわゆる午前授業。
学生諸君にとってこれほど嬉しいことはない。
責任者である教師がいないため部活も無し。
だったらいち早く家に帰るのみ。
そのため日直であるマサヒコが諸雑務を終えて下駄箱まで来た頃は既にあたりは閑散としていた。
自分もとっとと帰ってゲームでもやろうと靴を履き替えているとパタパタと軽い足音。
「あ〜!小久保く〜ん!」
「ん?」
振りかえるとすぐそこにリンコの姿。
「今帰り?途中まで一緒してもいいかな?」
「ああ」
「ありがと。じゃあいこっか!」
「待て待て。靴を履き替えろって」
「わあ!」
危うく上履きで帰るところだったリンコ。
大慌てで履き替える。
「ご、ごめんね待たせちゃって」
「いや別に。じゃ行こうか」
「うん」
帰路につく二人。
その道中。
「ところで小久保君ってさ、ゲーム詳しかったりする?」
「まあものによるかな」
「じゃあ――!」
そういってリンコが口にしたのはつい先日発売の某大作RPG。
マサヒコもそのソフトは発売日に購入済。
「私ダンジョンで詰まっちゃったんだけど」
「ああ、大体想像はつくよ。あのダンジョン厄介なんだよな」
「ダンジョンクリアしたんだ!」
「一応。雑誌見ながらだったし」
「じゃあじゃあ!良かったら攻略法教えてくれないかな?」
マサヒコは戸惑う。
その様子をどう捉えたのか、リンコが悲しそうな顔をする。
「だめ?」
「いや、だめじゃないんだけど…口で言うのは難しいんだよ」
「あ、そっか。それに聞いても私忘れちゃいそうだし」
ありえる話にマサヒコは苦笑する。
「そうだ!小久保君このあと暇?」
「まあ特に用は無いけど」
「じゃあ私んち来ておしえてくれないかな?」
「え!?」
リンコの申し出にマサヒコは驚く。
女の子の家にお呼ばれするなどかなり久しぶりのことだ。
まあ家庭教師が絡んだ時は別だが。
「だめ?」
「いや、だめじゃないんだけど…って、さっきもこんな会話しなかったか?」
「そうだっけ?でも「だめじゃない」ってことはOKなんだよね!?」
「ああ」
「わ〜い!それじゃあ早くいこ!ほらほら!」
「わっ!」
腕を引っ張られマサヒコは驚きの声を上げるが、
「ほらほら早く早く!」
「わかった!わかったから引っ張るな!それにそんなに急ぐと――」
「わぁ!!」
「……転ぶぞ」
一足遅かった。
「ううう…いたいよ〜」
「わかったから泣くなって」
ぐずるリンコの手を引いて的山家へとやってきたマサヒコ。
「ほら、着いたぞ」
「うん…」
ぐしぐしと鼻を鳴らしつつカバンから鍵を取り出しドアを開ける。
「ただいま〜!小久保君上がって」
「ああ」
おじゃましま〜す、と一言言ってお邪魔するマサヒコ。
「……」
「どうしたの小久保君?」
「いや…妙に静かだな、おまえんち」
「うん。今日うちに誰もいないから」
女性の口から「今日うちに誰もいないから」発言!
これが一般的男女ならばドッキドキな展開も期待されるのだが。
だが、ED疑惑なマサヒコと天然なリンコの二人。
「へ〜。買い物かなんか?」
「うん」
まあ…ドッキドキな展開とは程遠いわけで。
そのまま二階のリンコの部屋へ。
「そのへんに座ってて。今ゲーム機の準備するから」
「ああ」
言われるまま腰をおろすマサヒコ。
年頃の女の子の部屋だが、マサヒコの性格と以前に訪れたという事実のためそれほどの緊張はない。
学生服を脱いでいる間にリンコがゲームの電源を入れる。
「ここなんだけど」
「あ〜やっぱここか。ここ隠し通路があるんだよ」
「そうなの!?」
「ホントは前の街で隠し通路の情報が貰えるはずなのに手順間違えると情報貰えないって。
雑誌に書いてあった。ある種のバグなんだってさ」
「へ〜…」
隠し通路を進み、イベントが起こる地点までキャラを移動させリンコにパッドを渡す。
「ここまで来れば後は大丈夫だろ?」
「うん。ありがとう小久保君」
パッドを受け取ったリンコは早速ゲームを進める。
マサヒコは……はてどうしたものか?と考える。
ここさえクリアしてしまえば自分は用済みだから帰るべきだろう。
そう思いリンコに声をかけるのだが、
「お〜い、的山〜」
「へ〜…こーいう展開なんだ〜…」
「お〜い…」
勉強のときには見せない集中力を発揮してしまっているリンコ。
いくらなんでもなにも言わずに帰るのはまずいだろう。
まあ、ゲームは見てるだけでもそれなりに楽しいし。
暇になれば宿題でもやってればいいし。
結局その場に居続けることにした。
「わ〜い、イベントクリア〜」
しばらくしてイベントを終わらせたリンコがバンザイする。
「よかったな」
「わぁ!こ、小久保君!?」
「…その様子だと完全に俺の存在を忘れていたな」
「ご、ごめんなさい…」
予想以上にしゅんとした様子のリンコにマサヒコは慌てる。
「あ、いや。別に責めるつもりは無いんだ。集中できるってのはいいことだし」
「でも私お茶も出さないで…今用意してくるから」
「いや、別にそんな気ぃ使ってもらわなくても」
「ゲームでもやって待っててね!」
「あ、おい…って行っちゃったよ」
止める暇も無くリンコは茶の用意に行ってしまう。
マイペースなリンコの様子にマサヒコは苦笑しながらゲームパッドを手に取る。
周りを見まわしてみて目に付くところにゲームソフトはない。
テレビ台の下を開けて見たがそこにも無い。
他にゲームのありそうな場所は何箇所か目星は着くが、勝手に開けるのもどうか?
仮にも女の子の部屋だ。
サプライズな事があるのは避けたい。
しょうがなくゲーム機本体に入りっぱなしのRPGをプレイする。
先ほどまでリンコがやっていたセーブデータをロードする。
「俺のよりレベル高いんだよな〜…よっぽどあそこで詰まってたんだな」
雑魚敵は全て一撃。
この先はさくさく進められる事だろう。
「……データコピーしてもらおうかな?」
なかなかに姑息な事を考えるマサヒコ。
10分ほどゲームをプレイしていると不意に尿意を覚える。
トイレはおそらく一階。
リンコも一階に居るだろうからトイレの場所を聞きに一階へと向かう。
リビングだろう場所のドアを開けるたマサヒコ。
リンコの姿を奥のキッチンに見つけ、慌てる。
彼女はトレイにティーカップとお菓子の盛られた器を乗せ、ふらふらした足取りで運んでいたのだ。
見ていて非常に危なっかしい。
案の定、キッチンとリビングの僅かな段差に躓きぐらりと体勢が崩れる。
が、この事をある程度予測していたマサヒコが素早く駆け寄り、右手でトレイをキャッチ。
左腕でリンコを抱きとめる。
多少バランスを崩したものの事無きをえた。
「ふ〜…間一髪だったな」
「??」
状況がよくわかっていないのかリンコはきょとんとした表情でマサヒコを見上げる。
「あ〜…特に問題がないなら自分の足で立って欲しいんだけど」
「え?…わぁ!」
ようやく自分がマサヒコに抱きとめられていることに気づき大慌てで離れる。
「大丈夫か?」
「え、え?あ、あ、うん!大丈夫!」
「そりゃなによりだ」
そう言ってトレイを両手で持つ。
「これは俺が運ぶよ」
「あ、ありがとう。ごめんねお客様にそんなことさせて」
「いいって」
そう言って階段をリンコより先に上がる。
だからリンコが赤い顔で自分の背をボ〜っと眺めていることに気づかなかった。
リンコの部屋のテーブルにトレイを置いたマサヒコは自分が一階に降りた理由を思い出す。
「あ、そうだ。的山、トイレどこ?」
「階段降りた左だよ」
「そっか。借りるぞ」
「うん…」
部屋からマサヒコが出ていくのを確認し、リンコは呟く。
「小久保君…結構逞しいんだ」
先ほど抱きとめられた時そう思った。
まあ抱かれた経験など父と母、それに親類程度しかないのだからマサヒコが逞しいのか
貧弱なのかなんてことほ判断できないだろうけれど。
戯れに抱きついたり抱きつかれたりするクラスの少女達とは決定的に違ったことだけは確かで。
ただ妙にマサヒコの腕の中が安心できたのは間違いない事実。
転ばなくて安心した、とかその類のものではなく。
もっとこう別な……。
「う〜……」
唸ってみてもしょうがないのだが。
ちょうどいい言葉が出て来ないのだ。
そう。
こんな時リンコは自分が子供だなあと強く思う。
身体的なことだけでなく。
思っている事、考えている事をうまく言葉にできなかったり。
その場の状況を的確に判断できなかったり。
そんな時、早く大人になりたいと思う。
男の人と寝れば大人の女になれるというが相手はいないし――
「あっ!そうだ!!」
リンコはある事を思い出し机の引出しを開ける。
そこには中村から貰った小さなビン。
「これを使えば……」
それは破滅の序曲を奏でる甘い、蠱惑のアイテムだということを彼女は知らない。
トイレを済ませ戻ってきたマサヒコだが。
リンコの落ち着かない様子に眉をひそめる。
「どした的山?」
「な、なにが!?」
「なんか…挙動不審だぞ」
「そ、そんなことないよ〜」
そう言ってアワアワと激しく動揺する。
何ゆえ動揺するかまったく理由がわからないマサヒコは首を傾げながらティーカップを手に取る。
「(じー……)」
「…なぜ凝視する」
「え?え!?」
「いや、じっと見られてると飲みにくいんだけど」
「そ、そんなこと言わずに。ささぐいっと」
勧められるまま紅茶を一口二口。
「ど、どう!?」
「どうって…うまいよ」
「…それだけ?」
「他に何を言えと言うんだ」
「そっか…」
がっかりした様子のリンコの様子にマサヒコは再び眉をひそめる。
他になにか言うべき事でもあっただろうか?と考えてみるが特になにも思い浮かばないし。
などと考えていると、リンコは気を取り直した様子で、
「ま、いっか。小久保君ゲームやろゲーム!どれがいい?」
ベットの下からソフトが大量に入った箱を出す。
そんなとこにあったのか…そう思いながらマサヒコはゲームを物色。
その中から格闘ゲームをチョイス、リンコと対戦をする。
両者熱中していたのだが…マサヒコが自分の体の異常に気づく。
「悪い的山、ちょっとタイム」
ゲームを中断、汗をかいてきた為上着を脱ぐ事にする。
カッターシャツを脱ぎ、Tシャツ一枚になるがそのTシャツも汗でべっとり。
今日こんなに暑かったっけ?と思いながら手で扇ぐ。
異常はそれだけでない。
妙に早い心拍、それにのぼせてしまったかのように頭がぼーっとする。
(風邪か?いやいや、いきなりすぎだろ)
自分で振って自分でツッコむマサヒコ。
とにかく体調がおかしい事は確かなわけで。
帰宅した方がよさそうだと判断。
「的山――」
話しかけて、絶句する。
リンコは真っ赤な顔で、目を潤ませ、息が荒い。
「ま、的山!?大丈夫か?」
駆け寄り…激しく後悔する。
色気がない色気がないと言われるリンコだが、それでも二次性徴の兆しもある女の子なのだ。
リンコから漂う女の香りを感じた瞬間、マサヒコの中の何かが蠢く。
(っ!!?な、んだこれ…)
今まで感じた事のない未知の感覚に戦慄する。
「こ、くぼ、くん…こくぼくん」
「おい、的山!」
「こくぼくぅ〜ん」
「おい!」
妙に鼻にかかった言葉のリンコ。
(おかしい、ぜったいにおかしい)
冷静な部分が激しく警鐘を鳴らす。
しかし、マサヒコの体は何者かに操られているかのようにリンコの体に触れる。
「!!?」
触れたのは頬。
触れただけでリンコは体をビクリと反応させる。
(そりゃいきなり触られりゃ誰でも驚くよな)
そう思いながらも体は動きを止めない。
触れた頬を摩る様に。
頤まで流れる。
「や……ぁ…」
「っ!!?」
リンコの声に、靄のかかったようなマサヒコの頭が僅かに晴れ、体に自由が戻る。
「的山…お前、なんかしたか?」
二人ほぼ同時に様子がおかしくなり、自分に心当たりがないのなら原因はもう一方だと思うのは自明の理。
そしてその予想通りの言葉がリンコから返る。
「え…っと、あのね…私、大人に……なりたい、の」
「うん」
「そうしたら…中村先生が……「男の人と寝ればなれる」って……」
「あのメガネは…」
テキトーな事をのたまう年上の家庭教師に呆れと怒りを覚える。
「それで…私は、「男の人と寝る機会がない」って言ったの」
「そりゃそうだ」
「そしたら先生が…これくれたの…」
そう言って空の小ビンを見せる。
「…男の人と……二人っきりにね、なったときに…これを飲ませれば、飲めば…寝られるって…」
「おい!まさかそれ!」
「うん…紅茶に入れたよ……」
「おいおいおいおい!!」
マサヒコは小ビンを奪い取りラベルの文字を読む。
聞いた事の無い薬品名が書かれていた。
「あのメガネのことだ。多分媚薬か興奮薬か…まさか向精神薬ってことは無いだろうし」
仮に向精神薬だとしたら姉さん、こいつは事件です。
麻薬及び向精神薬取締法にひっかかっちゃいます。
などど、マサヒコが居もしない姉に報告しているとリンコが体を摺り寄せてくる。
「小久保君…」
「落ち着け的山!ここで事に及んでしまえばメガネの思うままだ!」
「中村先生は…大人になれるって…」
「いや、確かにある意味大人の仲間入りだが……だがこれはまずいって!」
「わたし、おとなになりたいよ…」
そう言ってリンコはマサヒコを見る。
潤んだ目は薬のせいか、或いは……
「小久保君や、皆と一緒にいるとき……私だけ取り残されるような…すっごく寂しい気持ちになる時があるの。
そんなの嫌だから。だから、わたし、おとなになりたいの」
「それは…わかるけど……」
子供の思い。
大人への憧憬。
子供は知らない。
大人は子供の頃を懐かしく思い、戻りたいと願う事があることを。
子供を羨ましく思う事を。
いや、大人がそう思っていると知ったとしても。
子供はやはり大人に憧れる。
未知の物は常に好奇心をかき立てる。
そして子供は好奇心が強いのだ。
それはマサヒコとて例外ではない。
擦り寄って来るリンコの体は柔らかく、良い匂いがする。
それに触れたなら、味わったならばと思うと酷く興奮を覚えるけれど。
けれど。
「それはわかるけど、だめだ」
「こくぼ、くん?」
強引にリンコの体を引き剥がす。
「こんなのはだめだ。こんなのは…違う」
「違う…って?」
「俺は、的山のことは、いい友達だと思ってて、それで、その…ああ!なんて言えばいいか!」
考えがまとまらず頭をかきむしる。
「とにかく!こんなのはだめだ!」
「どうして?」
「どうしてって…だから!」
「私は小久保君のこと好きだよ」
「!?」
リンコの言葉に、まとまりかけていた考えが吹っ飛ぶ。
「うん、好き。他の男の子と、二人っきりになっても…先生のくれたもの…使わなかったと思う…」
「……」
酷く、口の中が渇いた。
マサヒコは唾を飲み込み、それでも、この一言だけは口にしたかった。
「なんで、俺を?」
「だって……小久保君、やさしいもん」
にっこり微笑まれて、
「小久保君は、私のこと…嫌い?」
不安げに、上目使いに問われ、
「もし、嫌いじゃなかったら」
縋る様に、願う様に、
「私を…大人にして」
決定的な一言。
マサヒコを止めるものはなにもなかった。
一人の少女が自分のことを好きだと言ってくれているのだ。
それに答えるのに倫理も、道徳も、世間体も何も関係無かった。
「的山!」
「んっ!!?」
無我夢中で唇を合わせる。
前歯があたりコツンと音がしたが関係ない。
貪る。
唇を割って舌を挿し入れ、絡めとる。
さらに胸に手を這わせる。
残念ながらリンコには揉む程の胸の質量が無い。
しかしそれでもまったいらで乳首がぽつんとあるだけ…というほどでもない。
僅かに柔らかさを感じさせる。
その程度でも薬で野獣と化した今のマサヒコには充分だった。
リンコもまたそう。
マサヒコの拙い愛撫にまだまだ幼い体が激しく反応。
切なげな、甘い官能の声を押さえられない。
その声にマサヒコは興奮を覚え、激しく愛撫。
そしてリンコが……と無限の連鎖。
童貞と処女の二人が高みに昇り詰めるのに時間はかからない。
待ちきれない様子で二人、服も下着も全て脱ぎ去りベットにその身を横たえる。
マサヒコは幼いながらも女性としての性徴の兆しを見せているリンコの体に目を奪われる。
リンコもまた女性の様に丸みを帯びず、筋肉質なマサヒコの体、特にその存在を強く主張する下半身に目が釘付け。
しばらくお互いの体に見惚れておいたが、目が合うと、またキスをする。
拙いながらも濃厚な口付け。
それだけで十分だった。
マサヒコが何をしたいか、何をしなけらばならないか。
リンコが何を望んでいるか、何を受け入れねばならないか。
お互いにわかっていた。
その手のことに詳しい知識を持っていたわけではない。
媚薬を飲み、お互いの本能が刺激されることで直感的に悟ったことだった。
「的山…」
「小久保君……」
確認の意は、お互いの名を呼ぶこと。
それだけだった。
それだけで十分だった。
マサヒコがリンコの中を貫く。
初めてながらリンコが上げたのは苦痛のうめきでなく、歓喜の叫び。
容易くマサヒコを受け止め、マサヒコを喜ばせる。
初めて故にすぐに果てるマサヒコとリンコ。
しかし、それで終わらない。
止まらない。
まだまだ全然足りていない。
二人は時を忘れてお互いを貪りつづける。
絡みつき、纏わりつき。
お互いの肌の感触を、体温を、匂いを感じながら何度も何度も昇り詰める。
やがて。
欲望が満たされる前に体力の限界がきた二人は眠りへと落ちていった。
「ん…あれ」
マサヒコが気づいたのはすでに日が沈みかけた時間。
「寝てたのか俺…って寝てた?なんで?」
少々混乱気味のマサヒコ。
落ち着いて記憶を掘り返す。
「たしか的山んちに行って…それで……うお!?」
その後のリンコとの濃厚な一時のことを思い出しがばっと起き上がる。
当然の様に自分は裸で。
隣には同じく裸のリンコがこちらを見ていた。
「ま、的山!」
「おはよう、小久保君」
にこにこと笑顔で返され、マサヒコは落ち着かない気分になる。
「どうしたの?」
「どうしたのって、お前…あんなことがあったんだぞ」
「うん。これで私も大人の女の仲間入りだね。小久保君のおかげだよ。ありがとう」
「ありがとうって…」
「あの時もいったけど、小久保君だから私したんだよ。それだけは忘れないで欲しいの」
リンコの言葉にマサヒコは真っ赤になる。
「…小久保君照れてる?」
「当たり前だ」
真っ赤な顔のまま服を着る。
「じゃあ俺帰るから」
「うん、また学校でね」
無言でマサヒコは部屋から出ていく。
無愛想な、冷たい感じもするが耳まで真っ赤で。
ようするに照れまくっているわけで。
マサヒコの様子にリンコはクスクスと笑みを零すのだった。
そして翌日。
「おはよ〜」
「おはよう的山さん」
いつものと変わらない朝。
だったのだが、
「あら?」
「どうしたのアヤナちゃん?」
「なんか…的山さん雰囲気変わってない?」
「言われてみれば…」
アヤナの言葉にミサキも同意する。
「うん!私大人になったの!」
嬉しそうに言うリンコに、アヤナとミサキは顔を見合わせる。
「大人になった?」
「どーいうこと?」
「男の人と寝たから」
「「…はぁ!?」」
ギョッとする二人だが、すぐに落ち着きを取り戻す。
リンコの言葉に驚かされるのは今に始まった事ではないのだ。
今回もなにか壮絶に勘違いしてるに違いないと思ったのだが、
「小久保君に協力してもらったんだよ」
「「小久保君!?」」
身近な人物の登場に再び驚かされ、さらに、
「でも初めてだったけど言われるほど痛くなかったし」
「「!!!!???」」
この頃にはクラス全員の注目を浴びており、リンコの言葉に教室内が静まり返る。
すると、
「おはよ〜っす」
「あ、小久保君おはよ〜」
件のマサヒコがなにも知らず、暢気に教室に入ってくる。
が、1歩足を踏み入れ流石に異常に気づく。
「な、なんだよ?」
クラスメイト達の刺すような視線にたじろぐ。
「小久保君」
「ああ、天野おは――」
挨拶しようとして、できなかった。
闘気。
いやさ…殺気?
不可視のプレッシャーを発する幼馴染にマサヒコは戦慄する。
「ど、どーした?」
「何があったの?」
「は?」
「的山さんと、何があったの!?」
「!!?」
真っ青になって絶句し、リンコを見る。
彼女はにこにこと笑顔で手を振っている。
「こ・く・ぼ・く・ん!!」
「は、はははっ…」
引きつった笑いを浮かべ、マサヒコは…脱兎の如く逃げた。
今日はマサヒコのジャッジメントデイ。
逃げれば天国つかまりゃ地獄。
追って来るのは眉を吊り上げたミサキとクラスメイト達。
多分…捕まっちゃうんだろ〜な〜。
などと思いながらとりあえず。
マサヒコは万人を納得させられるだけの言い訳を考えることにした。
END