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カップリング |
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424氏 |
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「へー、若田部は聖女(聖光女学院)に行く気なのか。」
「うん。アヤナちゃん、中村先生に憧れてるから同じ高校行きたいみたい。
リンコちゃんも狙ってるみたいだよ、先生には無謀だって言われるみたいだけど。」
中学生活2年目も残りわずかになり、これから高校進学の受験勉強に入る二人は
いつもの学校の帰り道に何気なく、自分たちの進路について話していた。
「ははっ、まぁ若田部は余裕だろうけど的山はなぁ‥‥ところで、お前はどうする気なの?
お前も聖女に行く気なのか?」
「うーん‥‥まだよく考えてない、でも聖女はちょっと遠いかな、私立だから学費高いし。
小久保君はどこを目指すか決めてないの?」
「俺はー、無難に市立B高でいいかな、と。あそこなら俺の成績でも難なく入れるだろうし。」
「そっか‥じゃあ私もB高にしようかな‥」
「えっ、なんで?お前の成績ならA高だって余裕だろ、もったいなくないか?」
「そ そんなことないわよ。A高が余裕だなんて‥あんまり自信ないよ。」
「えぇー、お前にそんなふうに言われたら俺まで自信なくなっちゃうよ。んじゃ俺はF工受けるか?」
マサヒコは冗談で言った、F工業高校は滑り止めでも受けるつもりのない高校だった。
「いや、でもマジでもったいないんじゃないか?A高本命で、B高を滑り止めに受ければいいじゃん。」
「う‥‥うん、そうなんだけど‥」
口ごもるミサキをマサヒコが不思議そうに見つめているうちに、二人は互いの家の前に着いていた。
「じゃあ、またあしたな。」
「うん、じゃあね。あ、今日は濱中先生の日じゃないよね?」
「ああ、そうだけど。先生に何か?」
「ううん、なんでもないの。バイバイ。」
「ただいま。」疲れたような声でミサキは言った。
「おかえりなさい。シュークリーム買ってきてあるんだけど、食べる?」
自分もちょうど買い物から帰ってきたばかりらしい母親がキッチンから言った。
「今はいい、あとで食べる。」そういうとミサキは、さっさと自分の部屋に向かった。
「そう、じゃあ冷蔵庫に入れとくわね。」どうも最近、元気がないわね。もうすぐ受験だからかしら‥?
「はぁ‥」自室に入ったミサキは、着替えもせずにスカーフだけ外してベットに倒れこみ、
大きなため息をついた。母親の勘は当たっていた、彼女は進学のことで悩んでいるのであった。
しかし彼女はちょっと手先が不器用で家事が苦手という以外に欠点はなく、進学で悩まなければ
ならないような成績ではなかった。さっきは嘘をついたが、彼女ならA高でも今の成績のペースで
受験勉強を進めていけば問題なく入れるだろう。しかし、自分がどこの高校に進むのかが問題では
ないところに、彼女の悩みの種はあるのであった。
「馬鹿‥‥」部屋の窓から、向かいの部屋の窓を見据えて彼女は呟いた。
「私の気も知らないで‥‥」
この手の悩みは、自分の親でもなかなか打ち明けがたいものだが、
幸いにも彼女にはこういうことで頼れそうな年上の女性がいた。
私服に着替えた彼女は少しの間迷った後、その女性に携帯でメールを送った。
[To:濱中アイ]
[Sb:こんにちは]
[本文:何時もお世話になっています。
突然で申し訳ありませんが、今日お時間空いていませんか?
もし空いておられれば、合ってもらえませんか?できれば二人だけで‥]