作品名 作者名 カップリング
「無に還りたい」 264氏 -

 ども。小久保マサヒコです。
何故だか急に濱中先生に呼ばれました。何の用でしょうか?
「ま‥マサヒコ君!! お願い早く私の家に来てっ!!」
 「な‥何ですか!? 落ち着いて話を…」
 「はっ‥早くき‥ブッ…ツー、ツー…」
携帯から聞こえた先生の声は危機迫ったものでした。
 俺は今、丁度本屋の帰りで近いので、一応行くことにしましょう。
……何で落ち着いていられるかって?
うーん‥一言で言うと、あの人のことだから
 またロクな事にでも巻き込まれたんだろと思ったから。
ゴキブリで呼ばれた時は、流石に呆れました。一応…俺、受験生ですよ?
ええ‥勿論叱りましたとも。これぐらいの事で呼ぶな!!ってね。
泣かれましたよ。しかも号泣。いつの間にか俺が悪者になってました。
しかも、タイミングの悪さに定評のある中村先生がその後来たから大変。
…問答無用でパロスペシャル食らいました。数日経った今でも肩が痛いです。
容赦ねぇよ‥アイツ。
…さて、そんなこんなで先生の家の玄関に到着です。
最近体を動かしてないので、階段で息が上がってました。恥ずかしい。
トントン。ドアを叩きます。
…はんのうがない。ただのしかばねのようだ。


なんて冗談冗談。でも、本当に反応がありません。
「せんせ〜い! 来ましたよ〜」
 何回か言いましたが、それでも反応がありません。留守でしょうか?
仕方がないので、こちらから電話をかけてみました。
 プルルルルル……ガチャ。
「…はい!! ま、マサヒコ君!?」
…でた。テンション高っ。
「来ましたけど…何で出ないんですか?」
「‥ちょっとワケ有りでね…。カギは開いてるはずよ?」
…はぁ? ホントだ。開いてるよ。一人暮らしのわりに不用心だなぁ。
「入っていいんですか?」
「うん!?」
?? 今‥スゲェ悲鳴が電話と奥から聞こえたよ?
「ど‥どうしたんですか?」
「はっ‥早く!!」
ただ事じゃない。先生ヤバいわ。もしかしたら人命に関わるかもしれない。
 「先生!!」
靴を乱暴に脱ぎ捨て、声の主を探す。
「ここか!?」
そして、あるドアを開けた。
「‥先生?」
「……やっちゃった…」
 いたよ。確かに先生いたよ。
…返せ。俺の心配を返せ。
「…また……ですか?」
「……ハイ」
…ヤレヤレだ。また『トイレにハマって』やがる。
これって、何ていうディスティニー? もう俺、ため息しか出ないよ…。
こんな業務には経費すら出ないんだ。


「…んで、また助けて欲しいと?」
「…うん」
「声が必死だったのは、漏れそうだったからだと」
「…うん」
いい大人が何してんだよ…。2回目だよ? 2回目。
「…ヤッパリ、ダイエットは成功したのよ!!」
…もう、突っ込むほどのエネルギーもございません。泣きたいよ。
「んじゃ…また」
帰ります。時間は無駄に出来ないよね? 『時は金なり』って、ことわざもあることだし。
「あっ‥待って!! このままじゃ私…肉便器になっちゃうよォ…」
…前も言ったな。しかも…前よりも質悪いし。
「はぁ…んじゃ、この前みたいに引っ張りますよ?」
やさしいなぁ…俺。学んでないだけか?
「おねがぁい!!」
…仕方ない。やるか。
目‥血走ってるし。相当ガマンしてたな…この人。
 本は廊下置いて、手握ってと…よし。
「じゃあ‥いきますよ? せぇのっ!!」
「わっ!? つ‥強いよっ!!」
そんなこと言われても、もう遅いです。手遅れってヤツです。
ドシン!!という音と共に、俺は廊下に倒れました。予想以上に頭打ってパニクってます。
濱中先生は、そんな苦しむ俺の腹の上で安堵の表情をしています。
「抜けたぁ……あ゛っ…」
?? …何を間抜けな声をあげているのでしょう?


何…固まっているのですか? 顔引きつってるし。


………? 何か、温かいよ? あれ? 人肌ってこんなに温かかったかな?
………………まさかね?
「…先生?」
「………………ゴメン」






……ええ。分かってましたよ。認めたくないから聞いただけです。
アンタ…あれだ。俺は便器じゃない。小久保マサヒコだ。
さっきから耳に入っていた滝の音は、そういう事だったのですか。
 「マサヒコ君…ゴメっ……うっ…ボントにゴメン…」
先生…アンタが泣くなよ。俺の方が泣きたいんだ。
心は悲しみの雨でびっしょり。
体は先生の尿でびっしょり。
ずぶ濡れだ…ハハハ。
「なんて言えばいいか……グスッ…」
ごめんなさいで済むレベルなのか? これは。
「…とりあえず、着替えてくるね」
…出来たら、俺の服の替えもお願いします。
「……うっ‥うっ…」
 ふぅ…やっとどいてくr…
「!!!?」
「…どうしたの?」
どど‥どうしたのって…ぱぱぱぱぱパンツみみみ見えてる!!!
しししかも、漏らしたせいで透けてるっ!!!!
何か黒いのが見えてるよ? あれ何?
『あれですか? あれは陰毛です。』
ありがとうジム(←錯乱中の為、不明)。あれが陰毛なんだね?


「…どうしたの? マサヒコ君‥変だよ?」
アンタのせいで変なんだよ!!
ああああああ!! 動くな! 余計に目に入る!! やめっ!?

 ……マズい……勃った。
「…え? 本当にどうしたの? もしかして、どこか打った?」
…打ってはおりませんが、腫れ上がっている箇所はございます。
「あっ!? 腰の方? だったら、足の方に退くね?」
!!!!!!??? やっ‥止めてっ!! これ以上刺激したら僕、意識がとんじゃうよ!!
「そんなに首振って…よっぽど痛かったんだね? 今退くから‥よいしょ」
そっちじゃねぇええええええええええええええええええええ!!!!

 ぐにゅっ

「あっ……」
「ま…マサヒコ君? 急に真っ白になったけど、大丈夫?」

 ………僕…汚れました。

先生の柔肉が僕の臨海寸前の原発に優しくのしかかって来ました。詰みです。
はい…僕には無理です。耐えられませんでした。大丈夫なワケがありません。
上半身は尿で、下半身はどう見ても自らの過ちで汚れています。
 横目で見たら、本も尿まみれでした。
先生は困惑した眼差しを僕に向けていますが、もうすぐ軽蔑の眼差しに変わるでしょう。


………以上、現場の小久保マサヒコがお送り致しました。

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