作品名 作者名 カップリング
『初夏の衝動』本番編 264氏 -

マサヒコは部屋への道がいつもより長く感じた。一歩づつ踏み出すたびに部屋から遠ざかっていく―そんな感じだ。
 ドアの前に立つ。マサヒコは深呼吸をした。そして、ドアノブを握る。

ガチャリ。

マサヒコの目にいつもとは異なる部屋が映る。
「み、ミサキ!?」
「えへへ…マサちゃん遅いから、先脱いじゃった…」
そう言って舌を出し、はにかむミサキ。彼女は既に下着姿でベッドの横に腰掛けていた。
「あんまりジロジロ見ないで‥恥ずかしいから」
「!?あっ‥ああ、ゴメン。凄く…キレイで見とれてた」
マサヒコは、いつもと違った彼女の雰囲気に心を奪われていた。
「うふっ‥嬉しい。ねぇ‥来て?」
ミサキがそう言うと、マサヒコは隣に座り両手を彼女の背にまわした。さっきとは違う―愛のある濃厚な―キスを交わす。
「んちゅ‥んちゅ…」
二人は盛りのついた獣のように貪欲に互いの舌を絡め、唾液を混ぜあった。舌を離すと、舌先から妖艶に輝く唾液が糸を引いていた。

 マサヒコはミサキの後ろに座り直すと、彼女をその上にのせた。なだらかな双丘を下着の上から弄る。そのたびに少女の肌が、少しづつ赤らんでいった。
「ゴメンね?」
「ん?」
「私…胸無くて」
「それがどうした?大きかろうが、小さかろうが、ミサキ…お前はお前だろ?気にすんなよ。それに…俺は、どんなお前でも可愛いと思うよ」
「…マサちゃあん‥グスン」
自分のコンプレックスを、優しい言葉でかき消してくれたマサヒコ。その優しさに泣きそうになるミサキ。再びキスを交わす―感謝の意を込めて。
 マサヒコはその間に、ミサキの可愛らしい青と白のチェックのブラを試行錯誤しつつ外す。
「うわぁ…」
思わず声が出るマサヒコ。静脈まで見える、透き通った白い肌と桃色でやや硬直気味の乳首が姿をあらわした。その魅惑的なコントラストにマサヒコは息を飲み込む。

「‥やっぱり…気になるの?」
先ほどから胸を見つめたまま、固まっていたマサヒコにミサキが不安感を覚える。
「い‥いや、そうじゃないんだ。ゴメン…なんか‥美術品見てるみたいでさ…綺麗だよ。」
「ホント?‥ありがと…」
 マサヒコは、ミサキの体を横に傾けた。そして、自分の顔が近い左胸を舐め上げ、右胸を揉みしだく。指先、舌先がミサキの乳首を捉える度、彼女は喜びにも似た声をあげる。白磁の肌はいつの間にか薄桃色へ完全に変わっていた。不意にマサヒコが右手を胸から下半身へそらす。
「!?ひゃうっ…な、何? 」


 声が一回り大きくなる。
ミサキは、自分の秘所へと手が進んでいくのを理解した。彼女の中で恥ずかしさが膨張する。手を下の方へと進める。その都度、ミサキの息は荒くなっていった。マサヒコは、手を進めては止め、戻すといった動作を繰り返した。まるで、それを楽しむかのように。

「はぁ…ま、マサちゃん‥私なんだか‥ヘンだよ…」
目はもう焦点が合ってはいない。
(そろそろかな…)


「ミサキ、両足を開いて」
「あっ‥うん…はうっ」
 足をこすらせながら、少しづつミサキの両足が開いていく。やがて、布に覆われてはいるが、ミサキの秘所があらわになった。そこに、先ほどの右手を滑りこます。
「ひぁぁ!?…あぅ‥」
ピアノを弾くように、ミサキのそこに触れるマサヒコ。時に強く、時に弱く、淫猥な旋律を奏でていく。その度に淫らに悶える鍵盤を、マサヒコは愛しく思った。きっと、一種の征服欲のようなものだろう。
「はぁ‥ねぇ、マサちゃん…お願い‥もう脱がして…あぁショーツがドロドロになっちゃうよォ…」
「わかった。じゃあ、足を上げて」
 マサヒコはミサキをきちんとベッドに倒し、力の無い足からブラと同じ柄のショーツを引き抜いた。

糸を引いて脱げるショーツ。そして、それがあった場所には蜜がかかり、照り輝く薄い金色の茂みがある。そして、未だに蜜を垂れ流す―まだ少女の―それがあった。本などで知識はあったが、初めて見た淫靡で刺激的。そして、神秘的な実物のソレ。マサヒコの心はかき乱された。
 自分はこれから、この裂け目を通して彼女と一つになる―。そう思うと、ズボンの中の欲望の塊は一段と大きさを増した。

「指を…入れてもいい?」
「う‥うん」
ぷちゅ。思いがけず、サラッと入った指先。同時にミサキには、今までよりも強い快感が襲いかかる。
「あっ‥ああああぁ…」
マサヒコは円を書くように優しく、丁寧に指を回す。その度に、ミサキの愛液が溢れかえる。マサヒコは指を抜く。滴り落ちるミサキの雫。マサヒコはミサキの足を両手で抑え、おもむろに口をつけた。
「*#%§!!?」
体中から力が抜け、下半身が焼けるように熱くなる。思わず声にならない声を上げるミサキ。
「汗かいてたから‥キレイにするよ?」
マサヒコはそう言って、舌先をミサキの秘所に入れ込んだ。 自分でするのとは違う―不思議な感覚に喘ぐミサキ。
「はぁっ‥マサちゃん…ダメだ‥よ。汚いよォ…」
羞恥心で顔を隠しながらやっとのことで呟いた。舌先が溢れる蜜をすくい上げ、肉壁の形を変える。ミサキは、マサヒコの口戯に耐えていた。しかし、次々に襲いかかる快楽の波。彼女は限界が訪れようとしていた。そして、その瞬間は唐突にやってきた。
「あぁ!?あっ…ああああぁ……」
ミサキはベッドの上で大きく跳ね、そして力尽きた。頬には涙が流れ、呼吸がかなり乱れている。

(もしかして…イッたのか?もしそうなら、アイ先生とかもイッたらこうなるのかな…)
さすが冷静な現代っ子。後半は思いつかないぜ。
「ミサキ‥大丈夫か?」
「う、うん。私…イッちゃったのかな?」
「俺は男だから分からないけど、そうみたいだな…。なぁ…俺、もうそろそろ我慢できそうにないや…」
「いいよ‥来て…いっしょになろ?」
「ああ」
マサヒコはズボンとトランクスを脱ぐ。思春期なのにEDの疑いをかけられていた少年の性器。既に臨戦態勢である。
 初めて見る、男の膨張した性器。ミサキは、これからそれを自分の中に入れる―。そう思うと、体が先ほどよりずっと強張る。心は恐怖と期待の混ざった―。何とも言いようの無い感情に支配されていた。


「マサちゃん…やさしくね」
「できる限り‥そうするよ。痛い時は我慢せずに言えよ?」
「こんな時でも‥やさしいんだね。‥愛してる…マサちゃん」
「俺も…愛してるよ‥ミサキ」
 少年の男が少女の女にあてがわれる。マサヒコはミサキの身を案じ、ゆっくりと進める。自慰行為では得られない快感が、マサヒコを襲う。
(ぐっ…これがミサキの膣!?し、締めつけられるっ)
(ま、マサちゃんのが入ってくる‥うぁっ)
 少年は強い射精感に、少女は強い異物感に襲われ戸惑う。そうこうしているうち、マサヒコのペニスが何かにぶつかった。
「あぅ‥いたいっ…」
 ミサキが悲鳴を上げ、シーツを掴む力が強くなる。これが、いわゆる『少女と女の境界線』なのだろう。
「ミサキ‥いくぞっ…力抜いて」
「うん…」
 ミサキはシーツから手を離すと、マサヒコに抱きついた。互いに覚悟を決める。一呼吸。そして、一気に少年の刀が少女の盾を突き破った。
「いやああああ!!!!」
 痛みに歯を食いしばり、涙を流して耐えるミサキ。マサヒコの体に爪が食い込む。マサヒコは動きを止め、ミサキの痛みが軽くなるように涙を舌で舐め取り、耳、頬、首、肩と優しくキスをする。

「ミサキ…大丈夫か?止めるか?」
「んっ‥いいの。やめ…ないで。…痛くっ‥ないよ?‥ハァ。本当…だよ?」
 やっと結ばれた愛しい人と離れたくない―。ミサキは、必死で痛みをこらえた。
(無理すんなよって言ったのに…コイツ)
 マサヒコがふと結合部を見やる。自分の分身が、少女の鮮血と混じり合う。シーツには、赤い斑点が染み付いていた。
(シーツ…どうしよう?‥また美術の宿題だってごまかすかな…)
 そんな事を考えている間に、ミサキの呼吸は安定しつつあった。タイミングを見計らって、徐々に腰を動かし始める。ミサキの中で、痛みから快感が強まっていく。
「ずちゅっ‥ずちゅっ…」
湿った肌と肌がぶつかり合う。その音は、二人しかいない小久保家に響く。
「うわぁっ‥ハァ‥あぅ…マサちゃあん」
「ぐっ…な、何だ?ミサキ‥」
「ひゃうっ…愛して‥る。…あっ‥あん」
(ミサキ…お前)
こんな時でさえ、『愛してる』と言ってくれたミサキ。マサヒコは、彼女の思いがどれだけ深いか改めて気づく。
(ミサキがこんなに俺を思っていたのに、気づかなかったのか…ずっと)
友達やクラスメイトに、『鈍い』とは言われていた。しかし、本人は別に気にしてなかった。

 しかし、今日この瞬間―それを如実に実感した。少年の心は自らへの怒りと、ミサキへの罪悪感で満たされた。それが少しづつ色濃くなっていく。いつの間にか、少年のミサキへの配慮心は失われていた。
乱暴に腰を動かす。滴り落ち、はじける汗。髪の乱れる音。互いの悲鳴にも似た喘ぎ。これら全てが音を奏でる。―さながら二人の『青春狂騒曲』といった感じだろうか。
 そして、曲は最終楽章へと進む。
「マサっ…ちゃん‥私、またイッちゃうよォォ…!!」
「オ、俺もだっ…ミサキ‥」
「い、いっしょに…あんっ‥イこう?ねっ?」
ミサキの中が急激にマサヒコを締め付けた。まるで、マサヒコの性器をちぎろうとするように。
「ああ‥」
 マサヒコは、それに答えるようにスパートをかける。
「マサちゃあん‥マサちゃあん…あっああ!!!」
「ミサキ…ミサキィィイイ!!!」
少年の性器から放たれる、青い衝動。みるみるうちに少女の中を満たしていく。
マサヒコが、自分の性器をゆっくりと抜いた。女となったミサキの裂け目から、まだら模様の液体が溢れ出す。箱からティッシュを数枚を取り出す。マサヒコは、それでミサキの秘部を優しく拭いた。ミサキは、じっとその動きを見つめている。

「‥ねえ、マサちゃん」
「?うん?」
「私達一つになったんだよね?夢じゃないよね?」
「ほら、夢じゃないだろ?」
マサヒコの手がミサキの頬をつねる。「ホントだ…痛いよ、マサちゃん?」
「あはは‥ゴメン、ゴメン」
手を合わせて謝るマサヒコ。
「いいよ…許したげる。…グスッ‥あれ?涙が出てきた」
「!?ゴメン!俺強くつねりすぎたか?」
「…バカ」
やっぱりマサヒコ鈍っ。少年はミサキの涙の意味が分からず、困惑している。一方、喜びの粒は頬を通じシーツを濡らしていく。
「えーと…あの‥ゴメンな?今まで気づかなくて」
「ヒック…何に?」
「お前の気持ちにだよ」
「ううん、気にしなくていいよ…。それより、宿題できなかったね‥」
「なぁに、また明日にでもやればいいさ」
 互いの顔が笑顔になる。しかし、マサヒコはある一点を見つめて動きが止まった。
「マサちゃん?」
「さ‥さ‥さ…」
「さ?」
「3時半だああああああああぁぁぁ!?」

「えっ?」
「後30分で先生達が来るっ!! ミサキはすぐにシャワー浴びろ。メガネに悟られた日にゃ、この世の終わりだっ」
「う、うん」
小久保少年の行動は素早かった。服を着替え、換気をする。シーツを取り替え、ティッシュをトイレに流す。ミサキには部屋で勉強していたふりをさせる。カンペキだ。何事もなかったかのように、家庭教師を待つ。
 そして、チャイムが鳴る。マサヒコは恐る恐るドアを開けた。

「どうぞ…あれ?」
 そこにはアイしかいない。
「ゴメンね…先輩、 今日頭痛で休みなの」
「的山は?」
「リンちゃんは、旅行だって」
マサヒコ、苦労が水の泡。思わず肩を落とす。内心ホッとはしたが。
「まぁ‥上がって下さい」
「は〜い♪…ところでマサヒコ君?」
「何ですか?」
「頬にキスマークが付いてるよ?」
「!?」
慌てて顔を拭うマサヒコ。
(しまった…バレたか?)
「ウ・ソ♪どうしたの?いつものキミらしくないよ?」
「き、気のせいですよ」
「そう?ならいいけど」
二階へ上がるアイを見届け、台所へ向かう。茶を注ぎ、菓子を載せる。大きくため息をつく。
(先生にバレたら…どうにか口止めしないと‥)
部屋のドアを開く。ミサキが顔を赤らめ泣いている。先生はオロオロしている。
(同じこと言ったな…この人)
さっきの仕返しに何のフォローもしないことにした。先生が、救いを求める眼差しで見つめてくる。
(マサヒコくぅん‥。何で助けてくれないのよぉ…)
 結局、この日の授業は終始ギクシャクしたのは言うまでも無い。


おしまい。

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