作品名 |
作者名 |
カップリング |
「男の子」 |
160氏 |
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中学2年の春、私はついに行動に移る事にした。
「あらあら まだ委員の割り当ても決めてないのにもう委員長気取り?」
「久しぶりね」
「あなたは…」
ええ…。 本当…本当に久しぶり……。
初めての冒険…というものだったのだろうか?
小学3年生の夏、私は親に買ってもらったばかりの自転車で、自分の力では今まで行ったことの無い場所に向けペダルをこいでいた。
たかが隣町とは言え、初めての風景。 初めてすれ違う人たち。 同世代の子供たちともすれ違ったりするのだけれど、その誰もが
知らない顔。 すれ違った後に『ねぇねぇ今のコ見た?』『うん、見た見た! すっごく綺…』なんて女の子たちの会話が遠ざかっていく。
自分の顔のことを言っているのだろう。 こんなのは慣れっこだ。 父親には『アヤナは将来、物凄い美人さんになるぞー』と
言われ続け、珍しく父親が家に連れてきた部下らしき若い男の人に挨拶しても『若田部部長のお嬢さん…将来…ボクに下さい!』
などと世迷い事のようなことを言って父親にグーで殴られている人もいた。 そんな自分の顔がキライなのでは無いけど、
学校でもみんなに特別扱いされるのにはちょっと嫌気がさしていた。
『お人形さんみたい』
『お姫様役は絶対アヤナちゃんだよね!』
『アヤナちゃんみたいになりたいなー』
こんな事を日々言われ続けていると、迂闊なことが出来なくなってしまう。 勉強が出来ないなんてもってのほかだし、運動だって
さらりとこなし、楽器の一つもひけて、他人にはいつもやさしく…………そう言う風に努力しないといけない。 頑張らないといけない。
でもそれは非常に疲れる毎日。 そんな日常から逃げたくてあの場所まで行ったのかもしれない。
「きゃぁっ!!」
突然、私の体は悲鳴と同時に自転車から地面へと転がっていた。 要するにタイヤが何かを踏んでバランスを崩して転んだのだ。
「ふ…ふぇぇ…えぐっ」
小学生の私は転倒の痛みに耐えることが出来ず、当然の如く泣き出した。 知らない場所で。 一人きりで。 心細くて…。
ヒザを擦りむいて泣きべそをかいている私に容赦なく照り付けてくる日差し。 転倒した時に帽子も脱げてどこかに飛んでいって
しまったから、その日差しのキツさは、とても苦しかった。 でも、突然頭上に日陰が戻ったかと思うと、言葉が私に投げかけられた。
「どうしたの?」
男の子の声だ。 同い年くらいの男子だろうか? と言う事は、隣の小学校の男の子? 私は慌ててその場を取り繕おうとした。
こんなところで泣いてちゃダメだ。
「なっ、何でもないのっ! 気にしないでよっ!」
そう言うと同時にいつもの私の凛とした表情を作って、声を掛けてきた男の子を見つめる。
「気にしないでよ…って言われてもなー」
その男の子はいつの間に拾っていたのか、私の帽子を頭に軽く被せてくれると、腰を落として私と正対する形となった。
「あ…ありがと…」
こういう場合きちんとお礼をしなければならないのは、常識の一つだ。 でも、今は放っておいて欲しい。 自転車で転んで泣きべそを
かいているなんて私にとっては耐えがたい屈辱なのだから。
「ヒザ…」
「え…?」
「ケガしちゃってるよ」
男の子が私のヒザにこびり付いている石や泥を落とそうとしたのか、その手が私のヒザに触った。
「ばかばかばかばかっ! いきなり触らないでよっ! 女の子に失礼でしょっ!」
触られたことによる傷の痛みからなのか、私は思わず怒鳴ってしまう。 心配してくれてこその行動に違いないのに。
「自転車…」
「え…?」
「起こさないとな」
私の言ったことを聞いているのかいないのか、男の子は立ち上がると私の後ろで倒れたままになっている自転車を起こしている。
どうも調子の狂う男の子だ。 同じ学校の同学年の男の子が、もし私に今みたいに怒鳴られたとしたら、それこそ平伏しかねない。
「ちょっとだけごめんな」
自転車を起こした男の子は、そう言うと、持っていたペットボトルに入っている水を、いきなり私の擦りむいたヒザに掛けた。
「……! ばかばかばかばかばかばかばかぁーっ! 痛いでしょーっ!」
「母さんがさ…」
「え…?」
さっきからこの展開ばかりだ。 この男の子は私の話を聞いてるのだろうか?
「日射病にならないように持ってろ…って」
男の子は、空になったそのペットボトルを少し振ってから持っていたバッグのポケットに収め、今度はハンカチを取り出して
私のヒザにあててくれた。
「ぁ…ありがと…」
こんな事をされたらお礼を言うしかない。 いきなり断りもなしに体に触ってきて、いきなり液体をぶっ掛けてきて。
凄い失礼な男の子で、私としてはまだまだ怒鳴り足りないのに、これ以上責めれらない状況だ。
「じゃあ…これでだいじょうぶかな? 俺、そろそろ行くけど」
失礼な男の子は更に失礼な言葉を私に投げかける。 このまま私を放っておくというのだろうか?
「大丈夫…なわけ無いでしょ! ケガした女の子を暑い中放っておくつもり!?」
やっと自分の調子が出てきたようだ。 こんな同い年くらいの男の子の一人や二人、私ならどうにでもなるんだから。
「まいったな…」
ま、まいったなですって!? ケガをしているのはこの私、若田部アヤナだと言うのに、この男の子、一体何様のつもりなの?
「こう言う時はどこか涼しいところにでも連れてって、冷たい麦茶の一つでも出しなさいよっ! 麦茶には砂糖を入れなきゃダメ!」
なんと言っても夏は砂糖入り麦茶に限る。 あの甘さでこのケガの痛みも忘れられると言うもの。
「麦茶に砂糖? プ…」
「なんですって!?」
この男の子は砂糖入り麦茶の美味しさを否定しようと言うの? それは私に対する挑戦と受け取って…
「麦茶は無いけどさ…」
「え…?」
「涼しいところならあるけど、来る?」
数分後、私はなぜかプールのそばにいた。 まだ少しだけ痛む足を引きずりながら男の子について自転車を押して歩く私を
男の子が案内してくれたのは、どういうわけだか住宅街の中に存在しているプールだった。
「ここ、週に何回も使われていないプールなんだ」
どうやらその男の子が話すには、このプールはどこかの会社の保養施設と言うものらしく、夏になると何日かに一回、
泊まりにきたそこの社員が泳ぎにくるくらいで、泊まりに来る社員がいないと管理人もいないのだと言う。
コの字型の建物に囲われた中庭にあるプールなので、この時間だと確かに日差しは無く、少し涼しい。 ただ…。
「女の子にふほーしんにゅーさせるなんて、あなたどういう神経してるのよ?」
破れた金網を四つんばいになって潜り抜けるなどと言うのは、今日の私の予定には入っていなかったことだ。
「結局付いてきてるじゃん」
「あなたがいなかったら、私はこのあたりの事全然知らないのよ? ついてくるしか無いじゃない」
「そういえばキミ、どこの子?」
「私は、と… な、内緒よ。 パパが知らない人に名前とか教えちゃいけない、って」
危ない危ない。 この子と話しているといつもの私じゃないみたいに口が軽くなってしまう。
「そっか。 じゃあ俺も言わないけどいいよね?」
「きっ、聞きたいとも思わないからっ」
その男の子とはその後、色々なことを話した。 もちろん名前とか住所とかって言うことは話さなかったけれど、好きな事とか
この夏休みにどこに連れてってもらうだとか、夏休みの宿題の事とかだ。 いつもの私を知らない男の子だったからだろうか?
私はいつに無く小学3年生らしい口調で、楽しいお喋りの時間をすごす事が出来たのだった。
「さーて。 そろそろ…」
「なにがそろそろなの?」
もしかしてこの男の子は帰ってしまうのだろうか? 淋しさが私の胸の中で急速に膨らんでいく。
「泳ぐんだって。 何のためにここまで来たと思ったの?」
そう言うと男の子は、おもむろに服を脱ぎだした。 どうやら水着はあらかじめ着ていたようで、私が本日3回目の怒鳴り声を
上げるようなことはなかった。
水着姿になった男の子は、小学生にしては綺麗なフォームでプールに飛び込んだ。 跳ねた水がこちらに飛んできて
私の服を少し濡らす。
「あ…」
服に水が掛かった事はどうでも良く、水の中から再び頭を出した男の子の姿に私は不覚にも涼しそうで羨ましいと言う
感情を持ってしまった。
「…ずるい」
当然、水着など持ってきているわけが無い。 そんな私の感情を見越してなのか、男の子がとんでもない事を言って来た。
「キミも入る? プール」
「バカっ! 水着も無いのに入れるわけないでしょうっ!」
どうして男の子っていうのはこう…。
「パンツで泳げばいいじゃん」
ぱ、ぱぱぱんつ〜!?
「え、ええエッチ! 変態! 何言ってるのよ!」
「小学生同士で何言ってるんだか…別に同い年くらいのペタンコの胸なんか見てもどうって事ないし」
この男の子、全然わかってないっ! お、おお男の子の前で裸になれるわけ無いでしょっ! そ、それに私…の、胸…。
「全く…女の子はみんな『じいしきかじょー』だよなー」
その言葉に私は思わずカッとなり
「バカバカバカバカバカぁ!! あなたデリカシーってものがな…アレ?」
怒鳴りながら男の子に向けて走る私は…運の無い日と言うのはこういう日のことを言うのだろう。 プールサイドの床面に
思いっきり足を滑らせプールの中に飛び込むハメになった。
当然の事だが、頭のてっぺんからつま先までずぶ濡れになった私は水の中で呆然と立ちすくんでいた。
こんな事になったのも、全部全部あの男の子のせいだ。
「ちょっと! あなたが変なこと言うからっ!」
「服…」
いや、もう、そういう人を惑わせるような口調には乗らないわよ…。 と、男の子を見るとなんだか顔が赤くてモジモジして
いる。 その視点の先を見てみると…。 私のフレアのワンピースが、かなり、本当にかなり花びらのように水の中に
広がっていた…。
「ううぅ…。 もぅやだぁ…。 えぐっ…えぐっ…」
その光景の間抜けさに私は本日二回目の泣き声を上げるしかなかった…。
「ごめん…」
「ひっく…えぐっ」
「本当にごめん…」
「うう…うぁ…」
「ごめんってば…」
泣き声を上げる私と、謝罪にならない謝罪をしている男の子。 私は女の子として大事な事を一つ確認する必要があった。
「…見た?」
「…ごめん」
どうやら見られていたようだ…。 本当に大きな声で泣きたくなる。
「無神経な事言っちゃったな…」
「え…?」
「さっき、『パンツで入れ』…なんて。 その…、胸がゴニョゴニョ…なんて知らなくて…」
本当にたった今も無神経なことを言っている男の子。
「私は…。 自分のこの体がキライ…。 ほかの子と同じような体が良かった。 ジロジロ変な風に見られるだけだし」
思わず、男の子に愚痴ってしまう。 こういう話はたとえ女の子同士でも迂闊に愚痴る訳にはいかないから。
「なんで? 格好良いじゃん?」
「は?」
何を言ってるのだろう、この男の子は。
「早く大人になれるみたいでさ。 俺も早く大人になりたいけど…まだまだガキじゃん?」
「そっそんな事ないっ! ちょっと胸がゴニョゴニョ…だって良いことないもん!」
「まあ、慌てる事ないって言うのは分ってるんだけど…」
「……」
そういえば、この男の子。 背もあまり高くない、って言うか私よりも背が小さい? だからなのかな?
私は早く大人にはなりたくない。 この男の子は早く大人になりたい。 どうして世の中はこうなんだろう…?
「…上がろうか? 今のうちに上がっておけば、服もすぐ乾きそうだし」
二人の間の沈黙を打ち消すかのように、男の子はそう言うとプールから上がり、続いてプールサイドに上がった私に
バッグから取り出した大き目のバスタオルを渡してくれた。
着たままの服を絞って、髪の毛をタオルで拭きあげた私は男の子にバスタオルを返すと、その男の子は軽く体を拭い
ただけですぐに服を着てしまう。
「服…、大丈夫?」
どうやら今でもずぶ濡れに見える私の事を心配してくれているようだ。
「ええ。 家に帰るまでには乾く…と思う」
プールに飛び込むハメになったのは、結局自分のせいだし、ここでこの男の子をこれ以上責めても仕方が無い。
「でも、このまますぐに帰るわけにもいかないから、なにか話し…してよ」
「話し?」
「話し相手になって…って言ってるの」
「あ、うん」
それからまた、その男の子との間でお喋りをする事になった。 一度恥ずかしい目にあって開き直ったからなのか、
先ほどのお喋りよりも楽しく、そして自分の学校では絶対にする事の出来ない、私にしてはちょっと「エッチな」話を
向けてみたりもして、男の子が真っ赤になるところを楽しんだりもした。
ああ、ウチの学校にもこういう男の子がいたら楽しいのにな…と、思いつつ。
男の子と一時間も話したところだろうか、そろそろ服も夏の日差しと気温で乾き始め、このままであれば家に帰る
までには充分乾きそうな感じで…。 そして男の子との、この楽しい時間も終わり、と言う予感がしてきた…。
「今日はありがとう…」
「い、いや。 こ、こっちこそ」
「なんか一人でドジばかりして、あなたを困らせたみたいだけれど」
「こっちも楽しかったし」
話しながら、男の子の視線と私の視線が一本の糸に織り上げられていく。 最初は私の視線を感じると私を見ていた視線を
外すかのようだった男の子の視線も、今はしっかり私の瞳を差している。
「この夏はここにいるの?」
…? もしかして夏休みの間だけこちらに来ている女の子と勘違いされたのかしら?
「どうして? もしかしてまた私に会いたい、とか思った?」
からかうかのような私の言葉に男の子はドキリとしたようで
「……正直、…また会いたいかも」
って、今度は私がドキドキする番か…。 なぜか上手く返答をする事が出来ない。
ここは一つ大人らしく『ふふっ…あなたがそう思うならばまた会えるかもね』とか、言えるくらいの機転は利く私なのに…。
何故か顔と顔が接近していく二人。 ちょ、ちょっと待って! これは全然予定に入ってない! …でも私も何故か体が
勝手に…。 ふ…、何ていうの? 小学生にはまだ早すぎるっていうのかしら…。 でもでも、体が勝手に動いちゃうよぉ…。
「マサちゃぁああん?」
迫力のある声に、金縛りが解けたかのようにビクっとする二人。 い、いいところだったのに!! あのままキス寸前まで
行って『ウ・ソ♪』とか言って男の子をからかうつもり、本当につもりだったんだからっ!! 誰よ? 邪魔するのはっ!!
ああ、そういえばこの男の子『マサ…なんとか』って名前なのね…。
声のした方を見てみると、薄い色の髪の毛を後ろで二つに縛った女の子。 顔は…可愛いけど私の敵では無いわね。
「あ、あま…っ!」
「そちらの可愛い女の子は誰なの?」
「い、いやっ! この子は俺の知らない子でっ! じゃなくって、き、今日知り合って!」
「ふ〜ん。 知らない子と秘密プールで遊ぶんだ。 マサちゃんは…」
何なの? この子? 随分とこの男の子と仲が良い様じゃない。 売られたケンカは買う女よ?私は。
「ちょっとあなた? その『マサちゃん』は今、私と遊んでいるの。 邪魔しないでくれない?」
ワザと今知ったばかりの男の子の名前を呼んで挑発してみる。
「な!? マ、マサちゃんですって?」
その女の子が敵意をむき出しにして私を睨みつけるが、そこで引くような私じゃない。 さらに追い討ちをかける。
「ああ、この子? マサちゃんが言ってた『ペタンコ』な子って?」
「ちょ! 何言って?」
男の子が慌てる。 いや、慌てると言うより狼狽しているようだ。
「昼間から洋服ずぶ濡れの女の子なんてちょっと変だよ。 いこ、マサちゃん」
その女の子は、強引に男の子の手を取って立ち去ろうとする。 ふ…、この若田部アヤナを捕まえて『変な女』呼ばわりとは
良い度胸しているじゃないの。 このペタンコ。
「ずぶ濡れになっちゃったのは、マサちゃんと楽しく遊んだおかげなんだけれど…。 えっと…ペタンコさん?…その手
離してくださらない?」
私も男の子の手を強引に掴み、それ以上立ち去れないようにする。
「ちょっと! ペタンコ、ペタンコってどうせあなただっ…」
「〜♪」
そんな反応は予想済み。 私は、生乾きの服でラインが強調された胸を反らし、その『ペタンコ』の能書きを最後まで喋らせない。
「くっ…」
ふふ…、悔しがってる悔しがってる♪ それじゃそろそろトドメの一撃と行こうかしら…。
「と、言うわけでマサちゃんは、今日は私と遊・ぶ・わ・け。 悪いけど引っ込んでいてね」
「なっ!?」
あら? 何かこの『ペタンコ』の体の周り、白いモヤのようなモノが…。
「わ、わー!! あ、天野っ! それじゃ行こうか!」
いきなり響く男の子の声。 それと同時に女の子の周りを包む白いモヤが女の子に吸い込まれていくかのように消えていく。
一体何だったのかしら? あれは。
「と、言うわけで…ごめんね? マサちゃんは私と遊ぶって…」
一転して勝ち誇ったような顔をする『ペタンコ』 あ!いまこっち向かってニヤリとした! なにこの女の子!
それ以上、文句を言う暇すら与えられずに、その男の子は『ペタンコ』に引きずられながら敷地の外へ出て行ってしまっ…
と思うと、走って引き返してきて、
「またいつか会おうね」
と一言だけ言って、私の前から今度は本当に消えてしまった。
私は自分があの女の子に負けたことに釈然としないものがあった。 何もかも私のほうが勝っているはずだった…。
『試合に勝って勝負に負けた…というやつなのかしらね…』
そう自分を納得させ、楽しかった(最後は不愉快だったが)一日を振り返りながら家路についたのだった。
あの強烈な印象を残した真夏の一日、私はその後、随分とあの男の子の事を調べようとした。
『またいつか会おうね』
その言葉は、自分の手で実現させる! と行動に移したものの、結局その夏での再会は叶わず。 その次の夏も会えず。
私が通っていたピアノの教室にいた、隣の小学校の女の子にも聞いてみたのだが、その正体は分らないままだった。
結局私は、私立中学への進学話もあったのだが、別に私立でなければ良い高校にはいけないと言う事も無いだろうし、と、
地元の中学校に入学した時点で、あの男の子…。 そして『ペタンコ』との再会を果たしたのだった…。 だった…。
だった…が…、あの二人はすっかり昔の出来事など忘れているようで、しかもクラスも違ったために変に話しかける訳にも
行かず『ペタンコ』とは、クラス委員の集まりで一緒になることはあったが、結局1年間を無駄に過ごしてしまった。
だけどこの学年からは彼とも『ペタンコ』とも同じクラス!
さ、行くわよ…アヤナ。 『ペタンコ』との勝負を付けに。 …そしてあの「男の子」を奪い返すために。