作品名 | 作者名 | カップリング |
No Title | 102氏 | - |
発動の日は何の前触れもなくやってきた。 「こんにちはー」 その日、いつものように勉強道具を抱えて小久保宅を訪ねた天野ミサキ。 が、返事がない。 玄関に鍵はかかっておらず、家人の靴も欠けてはいないので、留守というわけではないらしい。 確認のためにミサキが先程より大きな声を発しようと思った矢先、二階から見知った人物がしずしずといった感じで降りてきた。 家庭教師によって学費を賄っている淫猥女子大生、中村リョーコその人である。 「あ、中村先生。先にいらしてたんですか。マサ君とリンちゃんは…」 「しっ!!」 険しい表情で人差し指を唇に当て、彼女はミサキの言葉を制する。 「え…。ど、どうしたんですか?」 「いいから、静かに! …音をたてないように留意しながら、私に付いてきなさい」 「は、はい…」 突然のことに状況が把握できていないものの、得体の知れない剣幕に押されたミサキは、リョーコの指示に素直に従うことにした。 音を立てないよう細心の注意を払いながら、二人はそろりそろりと階段を上っていく。 階段を上りきって開けたミサキの視界に、小久保マサヒコの部屋の前でうずくまる二つの人影が飛び込んできた。 そのうち一人はマサヒコの母親。声を出さぬように息を潜め、部屋の中の様子に聞き耳をたてているようだ。 もう一人はミサキの級友たる的山リンコ。マサヒコの母に口元を塞がれた上に全身を極められており、声を出すことも動くことも叶わぬ様子。 異様な光景であった。 「え…ちょ…、何を…」 「…しっ!!」 驚きの声を挙げかけたミサキを、今度はマサヒコの母親が制す。 リョーコが声を潜めて囁いた。 「…どうですか按配は?」 「なかなか凄いことになっているわよ」 「そうですかぁ…」 ニンマリと満足げな笑みを浮かべる二人の大人。 状況が理解できない少女は混乱するばかりである。 「…あの、一体これは…?」 「…まぁ、アンタも座って聴いてみなさい」 意味ありげにニヤニヤと笑いながらミサキを手招きするリョーコ。 ミサキは誘われるがままに腰を下ろした。 部屋の中から聞こえてきたのは…。 「あ…ああ…。すごく気持ちいい…。気持ちいいよぉ、マサヒコくぅん…」 マサヒコの家庭教師、濱中アイの艶っぽい嬌声であった。 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 あまりの衝撃にミサキは思わず叫び声をあげた!! …はずであった。 声が出ない。 見ると、いつの間にかミサキの口元をリョーコがしっかと押さえつけている。 口だけではない。全身の間接をガッチリと極められており、身動きひとつままならない。 「あらぁ、流石にやるわねリョーコちゃん。絶対に脱出できない見事なホールドだわ」 その様子を見たマサヒコの母が感嘆の声を挙げた。 それを受けたリョーコも嬉しそうに微笑む。 「いやいや、お母様の完璧な技に比べたら私なんかまだまだですよ」 「あらあら、謙遜しちゃって。もう、世渡りも上手なのね。ふふ…」 「ふふふ…」 それぞれが容赦なく少女を極めつつ、二人はたおやかに実力を称え合った。 端から見ると奇妙な図ではある。 「なに笑ってるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 ミサキが抗議の声を発するも、口を塞がれているので「もごもごもご」という音にしかならない。 「ほら、静かにしてなさい。中の二人に聞こえちゃうわよ。せっかくの営みを邪魔したら悪いでしょ?」 「もごもごもごぉーっ!!(なにを言ってるんですかぁ!!)」 怒りに満ちたミサキの視線を受けても、リョーコは全く動ずることはない。 「ほらほら、中は凄いことになってるみたいよ。こんな生で聴けるチャンスなんて滅多にないんだから、楽しまなきゃ損だと思うわぁ」 「もごー! もごもごーっ!!(離してぇ! マサちゃんがぁぁぁぁぁ!!!!)」 必死になってもがいてみるも、リョーコの極め技が外れる様子はない。 そうこうしているうちにも、部屋の中では事態が着々と進行しているようだった。 「い、痛いけど…とっても…気持ちいい…! ああ…マサヒコ君…! もっと…もっと強く突いてぇ…!!」 「…こ、こうですか?」 「あっ! ふぅん!! いい…!! 凄い…! 初めてだなんて信じられない…!!」 「そんなこと…」 「ねぇ…、本当はもう何人もしてるんでしょ? そうでなきゃ…こんな…ああっ!!」 アイの息遣いは荒くなっていく一方だ。 「おおー…、凄ぇ…。あの二人、意外とやるわね…!!」 「息子の行為に聞き耳を立てる…。私は…破廉恥な女かもしれん…」 「………………」 部屋の中の様子に大興奮している二人は気付かなかった。 ミサキの全身からオーラのような光が吹き出し初めていたことに。 「ん? ミサキ、さっきからずいぶん大人し…い…!?」 やあやっとリョーコが気付いたとき、それはもはや完全に手遅れだった。 ミサキの身体の中に、凄まじいエネルギーが渦巻いている。 少女の怒り、嫉妬、焦燥、不安…。 それらの急激に発生した強い負の感情が一体となり、無限力を呼び起こしたのだ。 撃てるぞ! イデオンガンが!! 「うわあぁぁぁぁぁぁあああぁ!!!!!!」 獣のような咆哮をあげて、ミサキが勢い良く立ちあがった。 絶対に破られないかに見えたリョーコの極め技も、 とてつもないパワーの前に成す術なく破られてしまう。 「ううっ! こ、これが伝説の巨神の力なの!?」 壁際まで吹き飛ばされたリョーコがうめいた。 「マサちゃあぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」 一方、もはやリョーコなど眼中にないミサキは、勢いそのままにドアを破壊して一気に部屋の中へと雪崩れ込む。 「え!?」 「な!?」 部屋の中の二人と視線が合った。 一瞬の静寂。 そして…。 >>109 うぉぉぉぉぉぉぉい!!!!! あんた誰だぁぁぁ!!??www その時イデが発動した。 完
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