「横島さん…横島さん…」

俺を呼ぶ声がする
夢から覚めよと、我が声を聞けと

肩に添えられた手が、俺をゆっくりと揺り動かす。

誰だ、なんて無粋な事は聞かない。
これはきっと夢なのだから。

夢なら、きっと相手は美人だろう。
夢なら、きっと俺が好きにしていいはずだ。

そう、だから俺は美女の手を掴み…一気に布団の中へと引き摺り込…

「よ、横島さん起きてるんですかっ!? 僕はそんな趣味はありませんよぉぉっ!!」
「って、ジークかよ!!」

…どうやら、夢ではなかったらしい。


GS美神短編「恋し焦がるる戦乙女」


「全く…ここまで焦ったのは先の大戦以来ですよ…」

半泣きになりながら『来ないで』と叫ぶジークを、友好的に拳(こぶし)で優しく宥(なだ)める事30分。
何とか冷静を取り戻してくれたらしい。
因みに『先の大戦』というのは、俺たちがアシュタロスと戦った時の事で
正式には、『アシュタロス戦役』と言うらしい。
そんなにも凄い戦いだったんだよな…等と感傷に浸る訳ではないけれど。

「そもそも、男の癖に夜這いに来るのが…」
「夜這いではありませんっ!」

公式の訪問ではないのか、軍服ではなく私服姿の彼は
夜這いの一言でも、顔を赤くしながら大声で反論する。

まさか童貞か…とも思ったが、よくよく考えればコイツの姉であるワルキューレは戦乙女なのだ。
乙女ってことは処女だよな…

「…さん、横島さん…聞いてますかっ!?」
「っと、すまん…で、何だっけか?」

『やっぱり来るんじゃなかった』等と呟いてるが、そんな事を本人の前で呟くのはどうなのだろうか?


話半分で聞いた感じでは、どうやら魔界へ来て欲しいとの事だが…

「僕や姉上の父上であり、主君であらせるオーディン様が横島さんに会いたいと…」
「んな事言ってもなぁ…」

『主君』等と言ってるのだ。『魔王』ではないにしても『魔神』クラスの奴なのは何となく判る。
というか、北欧神話の主神の一柱じゃなかったか?

小竜姫様もなのだが、どうも俺を『魔王殺しの英雄』と見てる節がある。
別に一人で戦ったわけじゃないし、大半どころか殆ど美神さんの公績なのだ。


「ダメ…ですか?」
「んな顔すんなって」

コイツにしても、絶対服従の上役に言われて来たのだ。
それで『やっぱり来てくれませんでした』等と手ぶらで帰ったものなら…

…俺と美神さんだったら、確実に8割殺しコースだな。


「行かないとは言わないけどさ…」
「あ…勿論姉上も横島さんが来るのを凄く楽しみにしてますよ!」

『呼ばれる意味が分からん』と言いたかったのだが、何を勘違いしたのか
ワルキューレが…

待て、ワルキューレが楽しみにしてる?
俺が来るのを?

「あー…先に聞いておくけど、軍務中じゃないよな?」
「えぇ。姉上と共に、先の大戦の後に暫く休暇を頂きましたので」

ジークが私服だったので、もしかしたらと聞いてみたのだが
まるで聞かれる事を事前に分かっていたかのように淀みなく応えてくれる。

ワルキューレの私服姿…
軍服以外見たこと無かったからなぁ…

『遠路はるばる良く来てくれた。それで…その…私を嫁に貰ってはくれぬだろうか?』

暖かい部屋。柔らかい服に身を包んだワルキューレが頬を染めながら、俺に微笑みかけてくる…


「よし行こう! すぐ行こう!!」
「えっ? えっ!?」

俺の煩悩回路が愛らしいワルキューレの私服姿を俺に見せてくれた瞬間
オーなんちゃらの事は遠くに遠のき、ただワルキューレの照れ笑いが見たい
ただそれだけの為に行きたくなってしまったのだ。

やっぱりこれが俺だよな。
英雄がどうのとか、そんなのはやっぱり俺には似合わない。

そう考えると、少しだけ心が軽くなった気がする。



…だが

「どうやって行くんだ?」
「えっと…あぁ、まずは靴を履いてください」

よくよく考えてみれば、魔界の行き方など知らないのだ。
まさかジークに抱かれて延々と空を飛んでいかなければならない訳でもないだろう
…と言うか、流石にそれは勘弁して欲しかった。

言われた通りに靴を履き、『履いたぞ』とジークの方を向いたその瞬間。


空気が溶けた


まるで絵の具を上から塗ったかのように、空気が、背景が、全てが溶けたのだ。
声を出すことすら忘れて周りを見れば
目の前には身長の10倍はあるだろうかという大きな扉。

「はい、到着です」
「何じゃそりゃ!?」

まさか、その場から一歩も歩かずに魔界に来てしまうとは思いも寄らなかった。
詳しい話は良くわからないが、お互いの場所さえ確りと分かっていればこんな事が出来るらしい。


「なんつーか…城だなぁ…」
「はは…オーディン様の居城ですし」

中に入って物珍しく見回せば、意外に小綺麗で
窓から見えるコウモリや魔族らしき者が飛んでなければ魔界だという事を忘れてしまいそうになる。

何から何まで高そうに見える。
ただ、俺にわかったことというのは…

「お前らって、金持ちだったんだな」
「金…って、確かに否定しませんが…もっと他に表現の方法は無いのでしょうか?」

ジークが苦笑交じりに俺に応えてくれる。
いや他に思い浮かばなかったんだよな。

正直な話、魔王とか魔神とか…あまり現実味が無い…というわけではないが
ワルキューレや小竜姫様を筆頭に、神魔と関わってみると

人間と…あんまり変わらないんじゃないか
そう思ってしまうのだ。

恐怖王と呼ばれたあのアシュタロスでさえ、アイツなりに美神さんを愛してたのは分かったし
ルシオラ達も本当にアシュタロスを愛していたのだ。


「何ニヤニヤしてるんだ?」
「いえ、やはり横島さんは凄いですよ」

ふとジークの方に視線を向ければ、にこにこと俺の顔を見ていた。
何故と聞けば『凄い』と返すだけ。意味が分からん。

って、そうじゃない。
ここに来た『理由』に会わねばなら無いのだ。

「ワルキューレは? 私服姿のワルキューレは何処だ!? むしろパジャマやネグリジェ姿でもぉっ!」
「はは…姉上は二階の…」

半ば暴走しかける俺を苦笑しながら、ジークはワルキューレがいる部屋を教えてくれる。
大体、この時に『変だ』と気付くべきだったのかも知れない。

だが…

「わーるーきゅーーれぇぇぇっ!!」

脳内で、照れならがベッドの上で『おいで』と手招きするワルキューレの魅力に抗う理性など無かった。
ワルキューレのいる部屋に通じる廊下に不思議な匂いのする香を焚かれていたのにも気付かず
思い切り吸い込んでしまったのも、仕方なかったのだ。
誰かに今回の事で詰め寄られても、きっとそう言い訳するのだろう。


「ぶべらぁっ!?」

俺はワルキューレのいる部屋の前で盛大にコケてしまう。
別に誰かに殴られたわけでも、何かにぶつかったわけでもない。

ワルキューレがいるであろう部屋から聞こえた声が
かすかに開いたドアの隙間から見えた…

ワルキューレの自慰の姿にバランスを崩したのだ。


『まぁ…よこしま…ぁ…』

顔面スライディングをしてしまった俺の耳に、掠(かす)れる様な切ないワルキューレの声が届いてくる。

顔は、痛い。
頬を抓る必要すらない。夢ではないのだ。

俺は気付かれないようにゆっくりとドアに近付き、ドアの隙間から中の様子を覗いてみる。


「うぁ…」

ため息とも付かぬ声が漏れる。
ライトスカーレットのネグリジェに身を包んだワルキューレが…

「…島ぁ…横島ぁ…よこしまぁ…」

俺の名を呼びながら自分を慰めている…

こちらを向いた状態でベッドの上に座り、両手で秘所を弄り
視線はベッドの上にある写真…もしかしてアレ、俺か?…を溶けきった表情でうっとりと見つめている。

『にちゃにちゃ』と、ここからでは良く見えないが
恐らくはワルキューレの秘所を自分で慰める音が部屋中に…いや、俺の頭の中に響いてくる。
半開きの唇から『つつっ』と涎が垂れて、『ぴちゃり』と写真に落ちた…

微かに表情が歪み、呼吸が浅く、声が短くなった瞬間

「あ…ぁ…ア…っく…ーーーーーーっっ!!!」

ベッドに顔を埋めそうなほどに屈んでいたワルキューレの身体が一気に伸び上がり
まるでダンスを踊るかのように『がくがく』と震える。

絶頂(イ)った…の…か?

秘所に手をやったまま、天を見上げるように見上げるワルキューレは
ゆっくりと視線を下げ、やがて…正面を向く。

まるで野獣を彷彿とする瞳。
その瞳が、俺の視線と絡み合った。

薄く口紅を塗った、淫靡な雰囲気を持った唇の端がゆっくりと上がる。


…気付かれた


捕食されるかのような恐怖が全身を襲う。
なのに…まるで蜜に誘われる蝶の様に、俺はふらふらとワルキューレのいる部屋へと入ってしまう。

「わ…る…きゅ…れ…」
「よこしま…どの…」

ぬらぬらと、愛液で濡れた手を広げ
俺を捕まえようと、ワルキューレが待ち構える。

一歩
二歩

足に力…入る
大丈夫だ。


俺は、ゆっくりと屈み
息を吸い
全身に力を込め

「ずっと前から愛してましたぁぁぁっ!!」
「っ!?」

ワルキューレに飛びついた。
その瞬間、身体に自由が戻る。

ぐらぐらしていた頭がはっきりとしてくる。

はっきりとした頭に入ってくるのは…


「あ…」

ネグリジェ姿で
潤んだ瞳で俺を見つめ
朱に染まった頬で笑みを浮かべ
俺に押し倒されたワルキューレ

そんなワルキューレの唇から漏れる熱い吐息…

「あーもう、我慢なんか出来るかコンチクショー!?」

これで我慢できる奴は、俺が『非男(オトコナラズ)』の称号を与えてやろう。


「んっ…ふ…ちゅ…よほひ…んじゅる…いほぉ…ひ…ちゅる…ん…」

貪るようにワルキューレの唇に激しいキスをすれば
シャツの下からワルキューレが手を差し込んでくる。

ワルキューレの愛液でぬるぬるになったワルキューレの指が俺の胸を弄び
俺の指は荒々しく胸を揉んでいく。

薄く儚いネグリジェなのに、まるで絶対領域の様に俺の指を直接触れさせんとしてくれる。

もどかしく脱がそうとする俺の手を、ワルキューレは掴み…妖しく笑んだ。


『引き裂け』と


真ん中辺りを両手で掴み、力任せに両側に引っ張れば
『ビィィッ』となごる音を立てながらネグリジェは引き裂かれてしまう。

脱ぐのとは違う荒々しい行為に、俺はさらに興奮し
俺は、噛み付くようにワルキューレの胸にしゃぶりつく。

「はぁっ…んぁっ!!」

技術も無く、ただ本能の赴くままにワルキューレの胸を弄んでいく。
俺の視線に絡む、ワルキューレのうっとりとした瞳。

「愛(いと)…し…人よ…さぁ…私の純潔を…荒々しく…お前の猛(たく)るモノで…」

我慢できないのは俺だけでは無かった。
ワルキューレも…俺を欲してくれる。

俺のものになりたいと…俺に全てを捧げてくれると…


ベルトを外し
ズボンと一緒にパンツを脱ぎ去り

もう一度、ワルキューレを見る。


ゆっくりと頷き、笑むワルキューレを…

「はっ…くっ…んっ…あぁっ!!!」

どれだけ長い間守っていたのだろうか。
ただの一度では貫ききれないワルキューレの純潔を
俺はベッドのバネを利用して、打ち付けるように貫いていく。


「…島ぁ…よこしまぁっっ!!」
「はいっ…っく…」

亀頭が入るまでが長かった。
だがそれからは、まるで迎え入れるように『ずぶずぶ』とゆっくり埋没していく

俺はゆっくりと身体を起こせば、ワルキューレは泣き叫ぶ
『動け、壊せ。愛せとは言わぬ、お前のものにしてくれ』と

だから、俺は…

「つぇいっ!」
「痛っ!?」

思い切りデコピンをしてやる。

確かに動けば気持ち良いだろう。
だが、一人で気持ちよくなっても仕方ないのだ。


『ぽろぽろ』と涙を流すワルキューレの頬に、そっと手を添える。
やっぱり、魔族とか人間とか…そんなのは関係無かった。

そこに居たのはただのワルキューレであり、俺を愛してくれる一人の女。
ただ、それだけだったのだ。


「あ…ん…」

触れるだけのキス
だけど、ワルキューレの唇から溢れんばかりの俺への思いが伝わってくる。

でもきっと、俺の思いは口に出さないと伝わらない。
だから、俺はゆっくりと伝える。

誰にも…あの、ルシオラにも言えなかった言葉。


「愛してる。ずっと…」



はしがき

ネグリジェでオナる悪Qをお送りしますゆめりあんでござります。

こんな所で止めてみました。
本当はもっと長かったのですが、それだといつも通り過ぎるかなぁと…
書きたかった部分は悪Qのネグリジェオナですしね。

理由付けに書いた序盤をもう少し削れば良かったかなぁ…なんて思いつつ…

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